先週の225先物は、前週末比160円高(上昇率0.69%)の23,290円と3週ぶりに上昇に転じた。米中貿易協議の進展期待から、225先物は週初から上昇して始まった。26日には23,620円まで上値を伸ばし、年初来高値を更新した。その後は、高値警戒感が強まったことから上値の重い展開になった。
また、トランプ米大統領が香港人権法案に署名したことで、米中通商協議に対する先行き楽観的な見方が後退。ただ、円相場が1ドル=109円台半ば程度で落ち着いた値動きとなったことが相場を下支えする要因になり、大きく下げ幅を広げるまでには至らなかった。また、この週は米国が感謝祭で休場があっただけに、海外勢の市場参加が限定的となり、商いは低調だった。
11月22日時点の裁定残高は、ネットベースで2,327億円の売り越し(前週は3,164億円の売り越し)と減少した。株数ベースでは、8,950万株の売り越しと11月15日時点(1億1,965万株の売り越し)比で減少している。
日経平均と裁定残(11月22日時点)
両先物でモルガンSが売り方筆頭となる
225先物の手口では、週を通じてコンスタントに売りをこなしたモルガンSが売り方トップになったほか、週末にかけてはCSによる大口の売り越し基調が目立った。一方、買い手口では、バークレイやGSが上位に並んだ。また、TOPIX先物の手口では、週末に大きく売り越したモルガンSが225先物同様に売り方トップになったほか、GSやSMBC日興などがそれに続いた。一方、買い手口では、週半ばに大きく買い越したUBSが買い方筆頭となった。週を通じて薄商いの中、短期目線の主体の売買手口が総じて目立った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末比0.81pt安(下落率5.33%)の14.37ptと4週ぶりに低下した。先週の東京市場は、米中通商協議の進展期待が高まり、VIは下落基調を強めた。26日に中国の劉鶴副首相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表らが電話協議したことも協議進展への楽観ムードの醸成につながり、VIは27日に13.93ptまで低下し、取引時間中としては7月17日以来約4カ月半ぶりとなる水準となった。
ただ、感謝祭休場を含む週となるだけに、海外投資家の市場参加が限られ、様子見気分が広がったほか、トランプ米大統領が香港人権法案に署名したことで、米中協議の楽観ムードも幾分後退し、週末にかけては水準をやや切り上げ場面も。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、こう着感の強い相場展開に
週初のNT倍率(先物)はやや拡大してのスタートとなり、翌火曜日も米エヌビディアの上昇効果もあって、指数インパクトの大きい値がさ株が日経平均 をけん引する格好となりNT倍率は上昇。その後はこう着感の強い相場展開が続 き、週の半ばにかけてNT倍率は横ばいで推移、週末金曜日に再びやや拡大する展開となった。
今週の225先物は、米中貿易協議に関連する報道に一喜一憂する地合いが継続すると見込まれるものの、全般は底堅い展開が予想される。先週の225先物は、23,500円超えレベルでの上値の重さも意識されており、同水準を終値ベースで回復するには至っていなかった。市場は米中協議進展への期待を織り込んで推移している分、投資主体別売買動向においても、11月半ばにかけてみられた海外投資家による225先物・TOPIX先物買いへの勢いは鈍りつつある。
一方で、節目の23,000円処での商いの積み上がりを背景に底堅さは継続しやすいとみられ、米中協議の先行き警戒感を強める新たな報道が出てこなければ、日本株を大きく売り込む動きも限られるだろう。年内の大きなイベントは来週に集中(いずれも日本時間、12/12早朝:FOMC、12/13日中:イギリス総選挙結果判明、12/15:対中輸入依存度の高い品目の対中追加関税発動期限)しており、そこまではボックス相場を維持するとみられているが、12/2に発表された中国の製造業指数が悪化の予想に反して改善したことで上昇再開になる可能性がある。
また、12/15の対中追加関税制裁が発動した場合、米国の雇用創出に影響し得るとともに、米国経済を牽引してきた国内消費の伸びを抑制する可能性があると指摘されており、来年の米国大統領選への影響を考えると強硬策に出ることは考えずらい。そうした状況からも来週の材料を無難に通過した場合、本格上昇再開となることが予想され、前哨戦となる今週の動きには要注目。今週の予想レンジは23,000-23,800円とする。
経済スケジュール(12月2日〜12月8日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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12月2日 | 月 | 国内 | 08:50 | 貸出先別貸出金 法人(10月) |
08:50 | 設備投資(7-9月) | |||
08:50 | 企業利益(7-9月) | |||
08:50 | 企業売上高(7-9月) | |||
09:30 | 製造業PMI(11月) | |||
14:00 | 自動車販売台数(11月) | |||
決算発表 ピジョン | ||||
海外 | 10:45 | 中・財新製造業PMI(11月) | ||
14:00 | 印・製造業PMI(11月) | |||
16:00 | トルコ・GDP(7-9月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(11月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(11月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
21:00 | ブ・製造業PMI(11月) | |||
24:00 | 米・ISM製造業景況指数(11月) | |||
24:00 | 米・建設支出(10月) | |||
26:00 | ブ・貿易収支(11月) | |||
ブ・CNI設備稼働率(10月、3日までに) | ||||
英・トランプ米大統領がNATO首脳会議出席のため訪問(4日まで) | ||||
欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会で証言 | ||||
米・フランスのデジタル課税巡る調査結果公表(報復措置発表の可能性も) | ||||
12月3日 | 火 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(11月、日本銀行) |
10:00 | 営業毎旬報告(11月30日現在、日本銀行) | |||
海外 | 09:30 | 豪・経常収支(7-9月) | ||
12:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)が政策金利発表 | |||
16:00 | トルコ・消費者物価指数(11月) | |||
16:30 | スイス・消費者物価指数(11月) | |||
18:30 | 南ア・GDP(7-9月) | |||
19:00 | 欧・生産者物価指数(10月) | |||
21:00 | ブ・GDP(7-9月) | |||
英・北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(4日まで) | ||||
米・自動車販売(11月、4日までに) | ||||
韓・GDP(7-9月) | ||||
決算発表 セールスフォース | ||||
12月4日 | 水 | 国内 | 09:30 | サービス業PMI(11月) |
09:30 | 総合PMI(11月) | |||
海外 | 09:30 | 豪・GDP(7-9月) | ||
10:45 | 中・財新サービス業PMI(11月) | |||
10:45 | 中・財新総合PMI(11月) | |||
14:00 | 印・サービス業PMI(11月) | |||
14:00 | 印・総合PMI(11月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(11月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(11月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(11月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(10月) | |||
21:00 | ブ・サービス業PMI(11月) | |||
21:00 | ブ・総合PMI(11月) | |||
21:00 | 米・MBA住宅ローン申請指数(先週) | |||
22:15 | 米・ADP全米雇用報告(11月) | |||
24:00 | 米・ISM非製造業総合景況指数(11月) | |||
24:00 | 加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
米・下院司法委員会が大統領弾劾調査の公聴会 | ||||
米・クオールズ連邦準備制度理事会(FRB)副議長が下院委で証言 | ||||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
12月5日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
10:30 | 原田日銀審議委員が懇談会であいさつ、同記者会見 | |||
海外 | 09:30 | 豪・貿易収支(10月) | ||
09:30 | 豪・小売売上高(10月) | |||
15:15 | 印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
15:15 | 印・RBI現金準備率 | |||
16:00 | 独・製造業受注(10月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏小売売上高(10月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏GDP確報値(7-9月) | |||
22:00 | ブ・自動車販売台数(11月) | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:30 | 米・貿易収支(10月) | |||
22:30 | 加・貿易収支(10月) | |||
24:00 | 米・製造業受注(10月) | |||
欧・欧財務相理事会 | ||||
オーストリア・石油輸出国機構(OPEC)総会 | ||||
米・クオールズFRB副議長が上院委で証言 | ||||
決算発表 ティファニー | ||||
12月6日 | 金 | 国内 | 08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(10月) |
08:30 | 実質賃金総額(10月) | |||
08:30 | 家計支出(10月) | |||
決算発表 積水ハウス | ||||
海外 | 16:00 | 独・鉱工業生産指数(10月) | ||
22:30 | 加・失業率(11月) | |||
22:30 | 米・非農業部門雇用者数(11月) | |||
22:30 | 米・失業率(11月) | |||
22:30 | 米・平均時給(11月) | |||
24:00 | 米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(12月) | |||
24:00 | 米・卸売在庫(10月) | |||
29:00 | 米・消費者信用残高(10月) | |||
オーストリア・OPECプラス会合 | ||||
12月7日 | 土 | 海外 | 中・外貨準備高(11月) | |
12月8日 | 日 | 海外 | 中・貿易収支(11月) |
- 提供:フィスコ社