225先物は前週末終値比1,330円安(下落率4.41%)の28,820円と大幅続落。
中国での不動産業の資金繰り問題や深刻な電力不足、米国の政府機関閉鎖や債務上限問題、米10年国債利回りの急上昇など、米中に関する不透明感に大きく振らされた。次期政権への期待や10月からの緊急事態宣言全面解除などが下支え役となり、週前半は軟調ながらも底堅く推移した。
しかし、29日の自民党総裁選投開票で、改革色が強く海外での人気が高かった河野太郎氏の劣勢が伝わった午後の取引終盤から、先物主導での売りが膨らんだ。前日に米長期金利が3カ月半ぶりの水準にまで上昇し、値がさ株やハイテク株が急落していたことも先物の下押しにつながり、この日の225先物は300円安。月末30日は60円高と底堅く推移したが、月替わりの週末10月1日は860円安と急落。前日の米国市場では政府閉鎖危機が回避された反面、債務上限問題が残され、月末・四半期末に伴うテクニカルな要因も加わり、NYダウがこの週2回目となる500ドル超の急落となっていた。
9月24日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆4,096億円の買い越し(前週は1兆989億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、4億6,993万株の買い越しで、9月17日時点(3億6,164万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(9月24日時点)
TOPIX手口は様相一変、海外勢が大量売り越しに転じる
前の週までTOPIX先物での買い方で目立っていたBofA証券とバークレイが一転して大量売り越しに転じているのが非常に目を引く。TOPIXではそのほか海外勢が上位を独占した。225先物でも短期筋の売りが膨らみ、週末にはドイツ、CSが1,000〜2,000枚程売り越した。なお、バークレイとBofA証券はこちらでも累計上位に入った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比3.08pt高(上昇率14.76%)の23.94と上昇した。週を通して、中国での不動産業の資金繰り問題や電力不足の問題を背景に、中国景気の減速リスクへの警戒が強まった。
加えて、週前半は米長期金利の急ピッチでの上昇、週後半は米連邦政府の債務上限問題から米株市場が崩れ、これが東京市場にも波及。先物主導で相場が急落するなど荒い展開となるなか、オプション取引でのプット(売る権利)の買いが膨らみ、日経VIも週末にかけ大きく上昇した。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は小幅上昇、景気減速懸念強まるなか相対的に225型優勢の展開
NT倍率(先物)は小幅上昇。中国での不動産業資金繰り問題や深刻な電力不足などを背景に景気減速懸念が強まるなか、現物株市場では景気敏感株を中心に売られた一方、ファーストリテイリング<9983>が堅調だった。このため、先物市場でも225型が相対的に優位となり、週前半のNT倍率は上昇。
ただ、週後半は米マイクロン・テクノロジーの失望的な見通しなどを受けて米フィラデルフィア半導体(SOX指数)が大きく調整したこともあり、東京市場でも半導体など値がさハイテク株の下落が強まった。また、中国リスクが警戒されるなか同国での売上比率が高いダイキン<6367>などの他の値がさ株も大きく下落。週後半は225型劣勢の展開でNT倍率は低下、ただ、それでも週間では小幅に上昇となった。
今週の225先物は下落継続か。
米国の債務上限問題の解決は時間の問題だろうが、相場が不安定な中、不透明感を理由に調整が続く可能性はある。
また、中国での不動産業を巡る問題や電力不足の問題は実体経済への影響が警戒され、こちらは世界的な供給網の乱れやインフレ懸念と共に長く尾を引きそうだ。
米中の不透明感が継続しているため、早々に急反発という展開は望めないだろう。また、9月半ばまでの日本株独歩高創出の背景となっていた国内政治についても、再び上値抑制要因に転じてきている可能性がある。
総裁選での河野氏の劣勢が伝わったあたりからの先物の下落は非常に気になる。8月末からの急上昇相場の要因が、海外勢の日本政治の“変化”に対する期待で、それが“改革色”の河野氏の総裁選出に強く代表されていたとしたら、“安定感”の岸田氏の選出でシナリオが崩れたことになる。
実際、TOPIX先物で9月半ばまで大きく買い越していたBofA証券などが前週は手のひら返しで連日大量の売り越しとなっている。不人気だった菅元総裁の退陣により、衆院選での与党大敗リスクが後退したことがポジティブに捉えられていたわけだが、岸田新内閣発足後の世論調査で支持率に変化がなければ、再び海外勢の売り越し基調が定着してしまいかねない。短期的な戻りに期待しつつも、本格的な回復には時間がかかりそうだ。今週の225先物予想レンジは28,000-29,500円とする。
経済スケジュール(10月4日〜10月9日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
10月4日 | 月 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(9月、日本銀行) |
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存10-25年)(日本銀行) | |||
臨時国会召集(第100代首相に自民党の岸田総裁が選出され新内閣が発足する見通し) | ||||
海外 | 15:30 | スイス・消費者物価指数(9月) | ||
16:00 | トルコ・消費者物価指数(9月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(9月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
23:00 | 米・製造業受注(8月) | |||
米・セントルイス連銀総裁がパネル討論会に参加 | ||||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
英・保守党大会(3-6日) | ||||
「OPECプラス」閣僚級会合 | ||||
中・株式市場は祝日のため休場(国慶節、7日まで) | ||||
10月5日 | 火 | 国内 | 08:30 | 東京CPI(9月) |
09:30 | サービス業PMI(9月) | |||
09:30 | 総合PMI(9月) | |||
14:00 | 需給ギャップと潜在成長率(日本銀行) | |||
経産省主催の「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)サミット2021」 | ||||
黒田日銀総裁と宮園GPIF理事長がビデオメッセージで参加 | ||||
海外 | 09:30 | 豪・貿易収支(8月) | ||
12:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
14:00 | 印・サービス業PMI(9月) | |||
14:00 | 印・総合PMI(9月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(9月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(9月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏生産者物価指数(8月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(8月) | |||
21:30 | 加・貿易収支(8月) | |||
21:30 | 米・貿易収支(8月) | |||
22:00 | ブ・サービス業PMI(9月) | |||
22:00 | ブ・総合PMI(9月) | |||
22:45 | 米・サービス業PMI(9月) | |||
22:45 | 米・総合PMI(9月) | |||
23:00 | 米・ISM非製造業景況指数(9月) | |||
米・マイクロソフトが「ウィンドウズ11」提供開始 | ||||
米・アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏没後10年 | ||||
欧・欧財務相理事会 | ||||
経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会(6日まで) | ||||
10月6日 | 水 | 国内 | 08:30 | 黒田日銀総裁が日米財界人会議で講演 |
海外 | 10:00 | NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
15:00 | 独・製造業受注(8月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏小売売上高(8月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-DI)(9月) | |||
21:00 | ブ・小売売上高(8月) | |||
21:00 | ブ・広義小売売上高(8月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(9月) | |||
香港・行政長官が施政方針演説 | ||||
国際決済銀行(BIS)が大手テクノロジー企業の規制巡る会合(7日まで) | ||||
10月7日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
10:00 | 営業毎旬報告(9月30日現在、日本銀行) | |||
11:00 | 東京オフィス空室率(9月) | |||
14:00 | 景気一致指数(8月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(8月) | |||
黒田総裁が日銀支店長会議であいさつ | ||||
地域経済報告(さくらリポート)(10月、日本銀行) | ||||
ワンキャリアが東証マザーズに新規上場(公開価格:2090円) | ||||
海外 | 14:45 | スイス・失業率(9月) | ||
15:00 | 独・鉱工業生産指数(8月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
28:00 | 米・消費者信用残高(8月) | |||
中・外貨準備高(9月) | ||||
米・クリーブランド連銀総裁がパネル討論会に参加 | ||||
米・テスラが年次株主総会 | ||||
欧・欧司法・内務理事会(8日まで) | ||||
世界貿易機関(WTO)が一般理事会(8日まで) | ||||
10月8日 | 金 | 国内 | 08:30 | 家計支出(8月) |
08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(8月) | |||
08:30 | 実質賃金総額(8月) | |||
08:50 | 貿易収支(8月) | |||
08:50 | BOP経常収支調整(8月) | |||
08:50 | 国際収支(経常収支)(8月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年)(日本銀行) | |||
13:30 | 倒産件数(9月) | |||
日本エコシステムが東証2部・名証2部に新規上場(公開価格:2120円) | ||||
海外 | 10:45 | 中・財新サービス業PMI(9月) | ||
10:45 | 中・財新総合PMI(9月) | |||
13:30 | 印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
13:30 | 印・RBI現金準備率 | |||
15:00 | 独・貿易収支(8月) | |||
15:00 | 独・経常収支(8月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(10月7日まで1カ月) | |||
21:00 | ブ・IBGEインフレ率IPCAI(9月) | |||
21:30 | 加・失業率(9月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(9月) | |||
21:30 | 米・失業率(9月) | |||
21:30 | 米・平均時給(9月) | |||
23:00 | 米・卸売在庫(8月) | |||
米・ダラス連銀総裁が退任 | ||||
チェコ・総選挙(9日まで) | ||||
10月9日 | 土 | 海外 | 中・資金調達総額(9月、15日までに) | |
中・マネーサプライ(9月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(9月、15日までに) |
- 提供:フィスコ社