先週の225先物は前週末終値比980円安(下落率3.50%)の27,010円と3週ぶりに大幅に反落した。米国での経済指標が相次ぎ前月から悪化し、景気回復期待が後退するなか、日本国内では緊急事態宣言の延長や対象地域の追加も濃厚となっていたことで、225先物は週前半から軟調スタート。アフガニスタン情勢を巡る地政学リスクや、中国の鉱工業生産や小売売上高などの悪化も相まって先物主導での売りに拍車がかかった。
週半ば18日には自律反発狙いの買いや短期筋の買い戻しで一時的にそれまで割り込んでいた27,500円を回復したが、週末にかけては再び下値模索の展開に。7月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて、年内にも量的緩和の縮小(テーパリング)が始まる可能性が高まったことが重しとなったほか、19日取引終盤に伝わったトヨタの減速報道が急速に投資家心理を冷やした。週末も、トヨタショックがもたらした新型コロナウイルス変異株による世界経済への脅威から相場は大崩れ。アジア市場も軟調ななか、先物主導で終盤まで下げ続ける動きとなった。
8月13日時点の裁定残高は、ネットベースで2,241億円の買い越し(前週は1,532億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、7,708万株の買い越しで、8月6日時点(5,452万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(8月13日時点)
両先物で海外勢の売り越しが目立つ
例年、9月第1週までは夏季休暇で海外勢を中心に取引参加者は少ないが、週間累計では海外勢が売り方上位に名を連ねた。225先物では、前週まで買い越し基調だったCSが売り越しに転じたほか、ドイツ、バークレイ、GSなどが上位に並んだ。
TOPIX先物では、BofA証券が1,000枚超売り越す日が計3日もあり、累計上位ではトップに踊り出た。そのほか、ドイツ、JPモルガンなどが並んだ。買い方では裁定売りに伴うAアムロCやソジェンの先物買いのほか、下落局面に逆張りで買い向かう個人が多かったようで、225先物の買い方上位にはSBIが入った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比3.01pt高(上昇率16.27%)の21.51ptと3週ぶりに上昇した。米中の経済指標下振れや新型コロナウイルス変異株の拡大による景気減速懸念に加え、アフガニスタンを巡る地政学リスクの台頭、当局による規制強化に端を発したアジア株安、トヨタの減産報道など、悪材料が多く重なった。株式相場が大きく崩れるなか、ボラティリティー(変動率)の高まりから日経VIは大きく上昇し、週初から警戒水準の20ptを上回って推移した。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、景気減速懸念の強まりから相対的に225型優位の展開
NT倍率(先物)は上昇。中国の7月の鉱工業生産や小売売上高、米国の8月ニューヨーク連銀景気指数、7月小売売上高など世界経済けん引役の米中二大国の経済指標の下振れが続いた。また、新型コロナウイルス変異株(デルタ株)の世界的な拡大、原油を中心とした資源関連価格の下落なども相まって、世界経済減速懸念がこれまで以上に強まった。
週後半にはトヨタ<7203>の減産報道で実体経済の先行き懸念が一層強まった。この週は、225先物もTOPIX先物もともに大きく下げたが、現物株市場での景気敏感株を中心とした売り優勢の展開から、NT倍率はやや上昇する形となった。
今週の225先物はもみ合いか。26日からカンザスシティ連銀が開催する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される。前週の7月FOMC議事要旨を受けたテーパリング懸念の増大から、本イベントが改めて大きな材料になるとは考えにくいが、様子見ムードは強まらざるを得ないだろう。ただ、週末にはタカ派であるダラス連銀のカプラン総裁がデルタ株の感染拡大動向によっては緩和縮小に対する方針を変更するとの発言をしており、むしろ、今回のイベントは相場を宥めるようなポジティブな内容となる可能性の方が高い。
一方、減産リスクが低いと見られていたトヨタの減産報道は余波が大きそうだ。米中経済指標下振れに加え、デルタ株の拡大が重しとなるなかでも、製造業を中心とした好調な業績が唯一の下支え材料となっていただけに、相場のサポート要因を失った形だ。前週も取引参加者が少ない中、景気敏感株を中心に週末にかけて大崩れしており、先物市場でも海外勢の売り越しが目立った。
225先物の27,000円割れでは値ごろ感も意識されるが、ムードが悪いだけに、短期的には26,500円あたりまでの下押しは想定しておいた方がよさそうだ。今週の225先物予想レンジは26,500-27,500円とする。
経済スケジュール(8月23日〜8月27日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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8月23日 | 月 | 国内 | 09:30 | 製造業PMI(8月) |
09:30 | サービス業PMI(8月) | |||
09:30 | 総合PMI(8月) | |||
14:30 | 全国百貨店売上高(7月) | |||
14:30 | 東京地区百貨店売上高(7月) | |||
海外 | 16:30 | 独・製造業PMI(8月) | ||
16:30 | 独・サービス業PMI(8月) | |||
16:30 | 独・総合PMI(8月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(8月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(8月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(8月) | |||
17:30 | 英・製造業PMI(8月) | |||
17:30 | 英・サービス業PMI(8月) | |||
17:30 | 英・総合PMI(8月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
22:00 | イスラエル・イスラエル銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
22:45 | 米・製造業PMI(8月) | |||
22:45 | 米・サービス業PMI(8月) | |||
22:45 | 米・総合PMI(8月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売件数(7月) | |||
23:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(8月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
ウクライナ・「クリミア・プラットフォーム」首脳会議 | ||||
決算発表 JDドットコム | ||||
8月24日 | 火 | 国内 | 14:00 | スーパーマーケット売上高(7月) |
東京パラリンピック開幕(9月5日まで) | ||||
タンゴヤが東証ジャスダックに新規上場(公開価格:1600円) | ||||
海外 | 07:45 | NZ・小売売上高(4-6月) | ||
15:00 | 独・GDP改定値(4-6月) | |||
21:00 | ハンガリー・中央銀行が政策金利発表 | |||
23:00 | 米・新築住宅販売件数(7月) | |||
米・ニューヨーク州知事クオモ氏の後任にキャシー・ホークル氏が就任 | ||||
8月25日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) |
10:30 | 中村日銀審議委員が宮崎県金融経済懇談会であいさつ、同記者会見 | |||
14:00 | 景気先行CI指数(6月) | |||
14:00 | 景気一致指数(6月) | |||
15:00 | 工作機械受注(7月) | |||
新型コロナ感染症対応の金融支援特別オペ(日本銀行) | ||||
海外 | 17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | ||
17:00 | 独・IFO企業景況感指数(8月) | |||
21:00 | ブ・拡大消費者物価指数(IPCA-15)(8月) | |||
21:30 | ブ・経常収支(7月) | |||
21:30 | ブ・海外直接投資(7月) | |||
21:30 | 米・耐久財受注(7月) | |||
国際ゲーム見本市「ゲームズコム」(27日まで) | ||||
決算発表 小米集団、セールスフォース・ドットコム | ||||
8月26日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外対内証券売買(先週) |
08:50 | 企業向けサービス価格指数(7月) | |||
自民党党本部総裁選挙管理委員会会合 | ||||
海外 | 17:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(7月) | ||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(8月) | |||
21:30 | 米・GDP改定値(4-6月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
韓・中央銀行が政策金利発表 | ||||
米・カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール、28日まで) | ||||
米・バイデン大統領がイスラエル大統領と会談 | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)議事要旨(7月会合) | ||||
決算発表 デル、HPインク、ギャップ | ||||
8月27日 | 金 | 国内 | 08:30 | 東京CPI(8月) |
ジェイフロンティアが東証マザーズに新規上場(公開価格:4190円) | ||||
海外 | 10:30 | 中・工業企業利益(7月) | ||
10:30 | 豪・小売売上高(7月) | |||
21:00 | ブ・PPI製造業(7月) | |||
21:30 | ブ・融資残高(7月) | |||
21:30 | ブ・個人ローン・デフォルト率(7月) | |||
21:30 | 米・個人所得(7月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(7月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(7月) | |||
21:30 | 米・卸売在庫(7月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者マインド指数(8月) |
- 提供:フィスコ社