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マーケット > レポート > 225の『ココがPOINT! >  落ち着きを取り戻した株式市場、本当に危機は去ったのか?

225の『ココがPOINT!』

2018/02/27

落ち着きを取り戻した株式市場、本当に危機は去ったのか?

日経平均株価は1/23(火)に付けた昨年来高値24,124円15銭から、2/14(水)には一時20,950円15銭まで下落(この間の下落率は13.2%)しました。しかし、その後は反発基調に転じています。米10年国債利回りの上昇が一服し、VIX指数(恐怖指数)が下落に転じたことを好感し、米国株が上昇に転じたことが追い風になりました。

しかし、株価の戻りの割には、外為市場での円安・ドル高への復元力が鈍いように感じられます。このため、危機はまだ去っていない可能性があります。当面は、株式市場に対し、注意深く臨む必要がありそうです。

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日経平均株価は反発基調となり、上値抵抗ラインに到達

日経平均株価(図1)は1/23(火)に付けた昨年来高値24,124円15銭から、2/14(水)には一時20,950円15銭まで下落(この間の下落率は13.2%)しました。しかし、その後は反発基調に転じています。米10年国債利回りの上昇が一服し、VIX指数(恐怖指数)が下落に転じたことを好感し、米国株が上昇に転じたことが追い風になりました。

米10年国債利回りは2017年末2.409%から2018年1月末には2.704%まで上昇し、2/21(水)には2.949%の高水準となりました。2013年末の3.034%が視野に入ってくる高水準です。しかし、市場には米10年国債利回りが3%を大きく超えてくるとの見方は少ないようです。市場コンセンサス(Bloomberg集計)では3月末に想定される利回りが2.83%、6月末では2.87%となっています。現在の利回り水準は市場から見ると「行き過ぎ」という評価になっているようです。米10年国債利回りは2/22(木)以降は上昇一服となっています。

またVIX指数については、NYダウが「史上最大の下げ」を演じた2/5(月)の翌日(2/6)、50.30ポイントまで上昇しましたが、その後は下落に転じ、2/26(月)には15.80まで低下しました。

米10年国債利回りの上昇が一服してきたことや、VIX指数の低下を背景に、NYダウ(図2)は反発基調となっています。2/9(金)には23,360.29ドルの安値を付けていましたが、2/26(月)には25,709.27ドルまで値を戻しました。安値からの上昇率は10.0%に達し、あと3.5%上昇すれば過去最高値を回復できる水準です。米株式相場は金利上昇というリスクを何とか克服し、業績相場に移行しつつあるのかもしれません。

米国株の反発は世界的な株価回復につながっているようです。そうした中で、日本株も反発に転じ、2/15(木)〜2/19(月)および2/23(金)〜2/27(火)と2度の3連騰を経て、2/27(火)には2万2千円台半ばまで値を回復しました。ちなみに、2/5(月)の安値22,659円と2/6(火)の高値22,277円の間はテクニカル分析上の「窓空き」になっています。さらに2/26(月)現在の25日移動平均線は22,503円に位置しています。日経平均株価は当面の上値抵抗ライン水準まで値を戻したと言えそうです。

図1:日経平均株価(日足)〜2/5(月)安値と2/6(火)高値の間に「窓空き」

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2018/02/27現在

図2:NYダウ(日足)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2018/02/26現在

図3:ドル・円相場(日足)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2018/02/27取引時間中
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当面のタイムスケジュール〜パウエルFRB新議長の議会証言に注目

パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)新議長の議会証言(下院金融サービス委員会)は日本時間2/28午前0時開始の予定です。FRBは12月に、2018年の利上げ回数について3回が目安になっていることを示しましたが、これが4回に上方修正されると、米長期金利が上昇し、株式市場が波乱となる可能性が残るためです。ただし、実際には同議長が2018年の利上げ回数について、具体的に触れることはないとの見方が優勢になっています。

3/4(日)にはイタリアで総選挙が実施され、ドイツではSPD(ドイツ社会民主党)党員投票の結果が判明する予定です。前者については、右派連合の勝利が予想されているものの、過半数は困難との見方が有力です。また、後者については、与党との大連合が検討され始めてからSPDの支持率が落ちているようで、その分不透明要因が残ります。これらから、ユーロ相場や欧州株式市場に影響が出る可能性があります。

なお、米国の雇用統計(2月)は3/9(金)に発表される予定です。今月は第1金曜日の発表ではありませんので、ご注意ください。焦点となる「平均時給」について市場では、前年同月比で2.9%増と前月並みの伸びが予想されています。発表値がこの数字を上回ると、金利が上昇し、米国株安となる可能性があるため、注意が必要です。

表1:当面の重要なタイムスケジュール〜雇用統計(2月)は3/9(金)に発表の予定

月日

国・地域

予定内容

ポイント

2/27(火) 米国 1月新築住宅販売件数 コンセンサスは前月比+3.6%
米国 1月耐久財受注 米民間設備投資の先行指標
米国 12月FHFA住宅価格指数 コンセンサスは前月比+0.4%
米国 12月S&PコアロジックCS住宅価格指数 コンセンサス(20都市)は前年同月比+6.35%
2/28(水) 米国 2月コンファレンスボード消費者信頼感指数 コンセンサスは126.4
米国 パウエルFRB議長の議会証言(日本時間午前0時) 米金融政策の方向感を占う。下院金融サービス委員会
日本 1月鉱工業生産 コンセンサスは前月比-0.4%
中国 2月製造業PMI コンセンサスは51.2
米国 10〜12月期GDP改定値 コンセンサス(前期比・年率)は+2.5%
3/1(木) 日本 10〜12月期法人企業統計  
3/2(金) 米国 2月ISM製造業景況指数 コンセンサスは58.7
米国 2月新車販売台数 コンセンサスは年換算1,720万台
日本 1月失業率/有効求人倍率 12月の有効求人倍率は74年1月(1.64倍)以来の1.59倍
3/4(日) イタリア 総選挙 「五つ星運動」は穏健化。右派連合が優勢も過半数は困難か
ドイツ ドイツ社会民主党(SPD)党員選挙の結果が判明 与党CDU・CSUとの大連立の是非を問う。不透明感が残る
3/6(火) 米国 2月ISM非製造業指数 雇用指数にも注目
3/7(水) 米国 2月ADP雇用統計 雇用者数のコンゼンサスは前月比198千人増
米国 ベージュブック 米金融政策の重要な判断材料に
3/8(木) 日本 10〜12月期GDP改定値  
日本 2月都心オフィス空室率 1月は3.07%
中国 2月貿易収支 1月(前年同月比)は輸出+11.1%、輸入+36.8%
欧州 ECB(欧州連銀)定例理事会 ガイダンス変更はあるのか
3/9(金) 日本 日銀金融政策決定会合結果発表 黒田総裁の記者会見に注目
日本 メジャーSQ
米国 2月雇用統計〜非農業部門雇用者数 コンセンサスは前月比195千人増
  同〜平均時給 コンセンサスは前年同月比+2.9%

表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2018年
日銀金融政策決定会合 3/9(金)、4/27(金)、6/15(金)、7/31(火)、9/19(水)、10/31(水)、12/20(木)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 3/21(水)、5/2(水)、6/13(水)、8/1(水)、9/26(水)、11/8(木)、12/19(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 3/8(木)、4/26(木)、6/14(木)、7/26(木)、9/13(木)、10/25(木)、12/13(木)
  • ※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表2の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。
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【ココがPOINT!】危機は去ったのか?

一般的に、米長期金利が上昇する時、外為市場では円安・ドル高傾向となり、日経平均株価は上昇しやすいと考えられます。図4の「局面2」がその典型例とみられます。逆に米長期金利が低下する時、外為市場では円高・ドル安傾向となり、日経平均株価は下落しやすいと考えられます。図4の「局面1」がその典型例とみられます。

米長期金利が上昇している時、米国経済は順調に拡大している時が多く、米株高を経て日本株高につながりやすいと考えられます。また、米長期金利の上昇は日米金利差(米国金利から日本金利を引いた差額)の拡大要因となるため、円安・ドル高につながり、それがやはり日本株高をもたらすと考えられます。米長期金利が低下する時は、これらが逆になると考えられます。「局面1」と「局面2」における米長期金利と、ドル・円相場、日経平均株価の動きは教科書的であり、わかりやすく、説明は難しくないと考えられます。

しかし、「局面3」と「局面4」ではこれらの関係に変化が出てきます。米長期金利が上昇しているにもかかわらず、円高・ドル安が進んでいるためです。

株式市場では、この件についてはいまだに「謎」のままになっているのが現状です。この時期は、米税制改革が決まり、年が替わった後でもあり、その影響が考えられます。米税制改革によりドル債へ投資するメリットが低下しているとの記事もあり、マネーの流れに変化が出ている可能性があります。図5にもあるように、我が国による米国債保有額はすでに漸減傾向で、それが長期的にドル高・円安方向への動きを押さえているとみられます。米税制改革でドル資産離れ(米国債売り)が加速したことで、米金利が上昇し、円高・ドル安になった可能性がありそうです。

「局面3」では、ドル・円相場の水準が企業の前提レート(日銀短観によると2017年度は約1ドル110円)より円安・ドル高であったため、株価への影響が限定的でしたが、「局面4」では前提レートを超えた円高・ドル安となり、株安になったとみられます。これらに対して「局面5」は、米金利上昇が一服となり、外為相場や株価が落ち着きを取り戻し始めたことを示しています。

ただ、株価の戻りの割には、円安・ドル高への復元力が鈍いように感じられます。投資家のドル資産離れが水面下で進んでいるのかもしれません。このため、危機はまださっていない可能性があります。当面は、株式市場に対し、注意深く臨む必要がありそうです。

図4:「日経平均株価とドル・円相場」(上図)および「米10年国債利回りとドル・円相場」(下図)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。日足ベース。

図5:日本の米国債保有額とドル・円相場(月次データ)

  • ※米財務省、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。月足ベース。
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