来週の株式見通し(2022/6/13〜6/17)
来週(2022/6/13〜6/17)の日経平均株価の予想レンジは27,600円〜28,300円。地合い好転を通じて買い優勢の展開が続きそうだ。メジャーSQ通過後で前半は6/14-15のFOMC(連邦公開市場委員会)を前に様子見姿勢が予想されるが、円安進行が業績期待につながる連想が広がりつつある。商品市況の上昇やインフレ高進を織り込みながらも、日本株全般の見直し買いが続く公算が大きい。
主要企業の今期想定為替レートは概ね1ドル=110円〜120円が多い。6月に入ってから再び円安方向に勢いが強まっているが、株価の反応ではグロース株が多く含まれる精密・電気機器セクターが米金利上昇の方が重荷となり出遅れ感が強くなっている。円安に加え、外国人観光客の受け入れ再開で高額品需要が注目されやすく、百貨店株への物色も続きそうだ。
来週は6/16-17に日銀政策決定会合も開催される。結果発表が週末であることから相場への反応は限られるが、ドル円は日米金融政策の方向性の違いを一段と意識し、FOMCに向けて一段と円安が加速する展開が予想される。
日本銀行は賃金上昇を伴う持続的なインフレ率2%を目指し、粘り強く金融緩和策を継続しており、イールドカーブコントロール(YCC)により日本の10年国債利回りを0.25%以下に抑えている。一方、米連邦準備理事会(FRB)は5月FOMCでは0.50%引き上げて0.75-1.00%とし、6月と7月のFOMCでも0.50%の追加利上げを行い、1.75-2.00%まで引き上げることが見込まれている。
図表1は、日経平均株価の過去6月相場の30年間の平均と今年の配当金予定支払い額の推移である。30年平均をみると6月相場は横ばいのイメージとなるが、今年のように6月最初の5日間で2%以上上昇した、過去8年間の平均推移は右肩上がりとなる。
6月は3月期決算企業の配当金が支払われる時期でもある。市場推計では配当金総額は約7兆円規模に達するという。指数連動型のパッシブの運用を行う大口の機関投資家は、3月末のタイミングで配当落ち分の先物を買いつけており、6月に買い需要は発生しない。一方、それ以外の投資家からの再投資需要が予想される。すべてが再投資にまわることはないが、現在のような好地合いで買い余力が増すことは相場にはフォローである。今年も右肩上がりになる想定で投資戦略をイメージしておく必要もある。
図表1:日経平均株価の過去6月相場と今年の配当金予定支払い額の推移
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
チャート上では5/12安値(25,688円)からの反発基調が続く。200日移動平均線(27,942円 6/9)や、昨年9/14高値(30,795円)を起点に11/16高値(29,960円)を通る右肩下がりの上値抵抗線などの主要フシを上回った。
引き続き、上向き基調にある5日移動平均線(28,020円 6/9)をサポートにしたトレンドフォローが基本スタンスだが、短期モメンタム指標は過熱感を示唆している。
一方、25日移動平均線からの上方かい離率は4.7%程度(6/9)。昨年以降、7%前後に達すると概ね上昇一服を迎えた経緯があり、それを考慮するとまだ伸びしろは見込めそうだ。短期的には終値ベースで3月の戻り高値(28,252円)を超えられるかが焦点となる。超えることができれば、3/9安値(24,681円)を起点とした二段上げ波動が確認できる。
当面の上値メドは29,000円前後や、1/5安値(29,204円)など。下値メドは、200日移動平均線や10日移動平均線(27,640円 6/9)、5/18高値(27,053円)、25日移動平均線(26,925円 6/9)、5/19安値(26,150円)などがある。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/6/9)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、4-6月期法人企業景気予測調査(6/13)、4月機械受注(6/15)、日銀金融政策決定会合(〜6/17)、5月貿易収支(6/16)、黒田日銀総裁会見(6/17)がある。
国内企業の決算発表では、神戸物産、ビジョナル、エイチ・アイエス、正栄食、セルソース、JMHD、J.S.B.、Pアンチエイジ、サーキュ、スマレジ、Hamee、MacbeeP(6/13)、MSOL、ヤーマン、サンバイオ、GA TECH、サトウ食品、エニグモ、ギフトHD、3Dマトリックス、アルデプロ、CAICA、トウキョベース、coly、ダブルエー、AB&C、ノバック、ファーストロジ、Link−U(6/14)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、独6月ZEW景況感指数、FOMC(〜6/15)、米5月生産者物価指数(6/14)、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、中国5月都市部固定資産投資、パウエルFRB議長会見、米5月小売売上高、米6月ニューヨーク連銀景気指数(6/15)、英国金融政策発表、米5月住宅着工件数、米6月フィラデルフィア連銀景気指数(6/16)、米5月鉱工業生産(6/17)などがある。
来週の注目銘柄!(6/13〜6/17)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3853 | 1,670 | 1,000 | ブロックチェーンやAIなど先進技術を有するソフト開発メーカー。ソフトウェア事業では「ASTERIA Warp」がデータ連携ツールで国内シェア首位。出資先の台湾ゴリラテクノロジーがナスダック上場を控えていることから今期予想は未定としているが、インテルの認定パートナーでもあり注目度は高い。同社のソフトウェア事業自体も好調で、前期の営業利益4.2倍からさらなる業績拡大も期待できる。株価は前期実績(5/12)の発表後は買いが優勢となっている。大発会で付けた高値1,140円を上抜けてきたが、業績拡大に対して評価が依然として足りない印象だ。5月後半から続いていた保ち合い上放れ後の調整一巡後は再動意に期待したい。ターゲットは1,670円、ロスカットは1,000円 | |
3907 | 1,420 | 940 | 3DCG技術基盤のゲーム用ミドルウェアが主力。2022年11月期の1Q(12-2月)の連結営業損益は800万円の黒字(前年同期は1億5300万円の赤字)となった。エンターテインメント業界からの案件を中心に引き合いが多くなっているもよう。昨今、さまざまな分野で続々とメタバース参入が発表されており、AR・VRソリューションを展開する同社もメタの社名変更時に物色された経緯がある。4/22付けの日本経済新聞朝刊で日産とトヨタがメタバースを活用すると報じられたが、同社はモビリティ業界向けソリューションも展開しており、今後の期待はさらに高まりそう。株価は上述の決算が好感され、今年に入って初の1,000円台を回復。調整一巡後に再び高値更新基調にあり、上値追いに期待したいところだ。ターゲットは1,420円、ロスカットは940円 | |
3926 | 2,450 | 1,800 | 格安旅行商品等を網羅した比較サイト「トラベルコ」が収益柱。6/4付の日本経済新聞朝刊で、政府内で観光需要喚起策「Go Toトラベル」を6月末〜7月にも再開する案が浮上してきたと報じられたことで、6/6の取引では旅行関連銘柄として同社に買いが向かった。久しぶりに強い中陽線を形成して200日移動平均線を上回る場面もあったが、2月中旬以降で何度も跳ね返されてきた2,180円前後の水準に迫り、戻り待ちの売りに押される展開となっている。一目均衡表では抵抗帯(雲)を上抜ける可能性が高く、当面の保ち合い上放れ期待銘柄として注目したい。ターゲットは2,450円、ロスカットは1,800円 | |
6298 | 2,300 | 1,540 | 各種自動化機器を手掛けている。資源量がほぼ無尽蔵とされるマグネシウム電池の開発にも成功。今期の営業利益は前期比92%増と大幅増益を見込んでいる。好調なメカトロニクス関連事業などが業績をけん引する。1Q(4-6月)をめどに、前述のマグネシウム電池量産化も開始する計画という。株価は5/13に発表した今期の見通しが好感され、翌日はチャート上でマドを開け騰勢を強めた。5/30高値1,949円からの調整局面にあるが、25日移動平均線付近をサポートに反発する展開を予想する。機械株が見直されるなか、業績面に加えマグネシウム電池への期待が高まる。ターゲットは2,300円、ロスカットは1,540円 | |
9616 | 6,000 | 4,800 | 寮事業とホテル事業の2本柱。ビジネスホテル「ドーミーイン」とリゾートホテルを全国展開。苦境のホテル関連では、いち早く前期営業黒字に転じた銘柄の一つ。今期の営業利益も前期比2.1倍を見込む。6月から入国者制限が緩和され、6/10からは旅行目的も認められる予定。ホテル利用の回復に拍車がかかることで、業績のさらなる改善に期待したい。株価は今年に入ってから右肩上がり。6/8も強い陽線を形成しており、上値追い意欲は旺盛だ。新型コロナショックによる急落直前の高値5,390円(2019年11月)を上回ると、2018年高値6,370円が視野に入る。ターゲットは6,000円、ロスカットは4,800円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・6/8現在、時価総額が3,000億円以下、PBRが1.0倍以上、株価が25日・75日・100日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性を含め、総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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