来週の株式見通し(2021/9/6〜9/10)
来週(2021/9/6〜9/10)の日経平均株価の予想レンジは28,300円-29,000円。米8月雇用統計の結果に反応する米国株次第では日本株への影響が懸念されるが、材料難の中でも需給面の改善から強含む展開が予想される。週末のメジャーSQに向けて買い方が優勢か。
日経平均株価の8月の月足は6カ月ぶりに陽線を形成。中国の規制・景気リスクや、新型コロナウイルスの変異株の世界的な感染拡大懸念が重荷となったが、終盤に盛り返した。7月まで11カ月続いた「月末は安い」というアノマリーを8月は跳ね返して大幅高となり、東証1部全体をカバーするTOPIXに関しては6月の戻り高値を更新、年初来高値が視野に入ってきた。重要な点は、年初来1950〜1960ポイントの価格帯に積み上がった売買代金の壁(約66兆円)を上に突破したことである。同水準よりも株価が低い場合は戻り待ちの売りに上値を抑えられやすいが、突破で逆に短期的な下値サポートになることが予想される。
物色面では、海運、鉄鋼などの景気敏感や、陸運、空運、レジャー関連などの経済再開関連、半導体を中心としたハイテク株、出遅れ感のある小売や金融などの内需株が日替わりで物色される展開が予想される。
9月相場は特徴として、もみ合い上放れや上昇したケースが多い。昨年は8月に上昇したことで9月は比較的小動きだったが、2017年から3年間は堅調だった経緯がある。一方、プラザ合意(1985年)、LTCM危機(1998年)、米国同時多発テロ(2001年)、リーマンショック(2008)など外的ショックが多い月としても知られている。今年は後半にFOMC(連邦市場委員会)があり、テーパリングの開始時期が焦点となる。ただ、市場はすでに現実感を持って織り込んでいるため、FOMCは相場の波乱要因にはならないだろう。
株価一段高の条件となるのは、企業業績の上振れ期待が高まるかどうか。きっかけの1つとして、ドル円の動向が注目ポイントとなる。今年に入って急速に円安が進み、TOPIXと同様に4月以降もみ合いを続けているが、ここ直近5年平均でみると、8月〜9月は円安と株高が連動性を強める傾向にあることがうかがえる。日米の金融政策の姿勢の違いが再び焦点になれば、円安方向に上放れる展開も十分あり得よう。半導体不足による減産で一時大幅に売り込まれた、円安メリットの自動車関連株などに買い戻しが強まれば、相場全体への波及効果が大きくなることが予想される。
日経平均株価(図表1)は9/2までに3日連続の陽線を形成した。長期のトレンドを示す200日移動平均線(28,300円 9/2)上を回復し、28,500円台を回復した。
RSI(9日)は80.4%→93.7%(9/2)に上昇。目先はピークアウトの可能性が高くなってくるが、調整一巡後に再び上値を伸ばせるかが注目される。
短期的な上値のフシは、年初来高値をつけた2月高値(30,714円)を起点に、3月、4月、6月などにつけた高値を通る右肩下がりの上値抵抗線。また、6/17の下げで形成したチャート上のマド埋め水準(29,263円)となる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/1/4-2021/9/2)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、7月家計調査、7月毎月勤労統計調査、7月景気動向指数(9/7)、4-6月期GDP確報値、8月景気ウォッチャー調査(9/8)、8月工作機械受注(9/9)、メジャーSQ(9/10)がある。
企業決算では、ファーマフーズ、アイル、ACCESS、フジコーポ、萩原工業、アイ・ケイ・ケイ、日ハウスHD、アスカネット(9/6)、スバル興、Casa(9/7)、アイモバイル、楽天地、サトウ食品、ミライアル、ハウテレビ(9/8)、積水ハウス、シーイーシー、シーアールイー、ステムリム、鎌倉新書、テンポスHD、Bガレージ、グッドコムA、トーホー、ベステラ(9/9)、三井ハイテ、エイチ・アイエス、くら寿司、ラクスル、クミアイ化、セルソース、ソフトウェアサー、丹青社、丸善CHI、オハラ、エイチーム、HEROZ、gumi、巴工業、イトクロ、サムコ、神島化、鳥貴族HD、シルバーライフ、フリービット、アセンテック、ギグワークス、ケア21、ブレインズ、トビラシステム、日本スキー、さくらさ、カラダノート、モルフォ、はてな、シャノン、アールプランナ(9/10)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表では、中国8月貿易収支、独9月ZEW景況感指数(9/7)、ベージュブック、米7月消費者信用残高、米10年国債入札(9/8)、中国8月生産者物価指数、中国8月消費者物価指、ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)、米30年国債入札(9/9)、米8月生産者物価指数(9/10)がある。
なお、9/6の米国市場はレーバーデーのため休場となる。
来週の注目銘柄!(9/6〜9/10)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4902 | 740 | 500 | 複合機中堅。同社の2022年3月期1Q(4-6月)の連結営業損益は31億円の黒字(前年同期比は226億円の赤字)と、良好な内容となった。売上高の6割を占める欧米での回復傾向や、中国の経済成長が続く中、オフィス向け複合機などを展開するデジタルワークプレイス事業をはじめ全事業で増収となった。加えて、全国地方自治体のDXを支援する「自治体DX支援プラットフォーム」のサービスを開始するなど、成長性の高い新サービスへの期待もある。今後のさらなる業績拡大に向けた期待から、買いは強まると考える。ターゲットは740円、ロスカットは500円 | |
6178 | 1,250 | 870 | 日本郵政グループの持株会社。同社の2022年3月期1Q(4-6月)の連結純利益は1,597億円(前年同期比2.0倍)と大きく伸びた。郵便物流事業において、コストコントロールにより営業費用が減少した。ゆうちょ銀行において外国証券利息の増加を主因に資金利益が増加したことも寄与した。外資系大手証券では投資判断は「買い」を継続しており、目先の好材料から今後は資金流入が強まると考える。ターゲットは1,250円、ロスカットは870円 | |
7414 | 2,100 | 1,500 | 鋼材、建設機材の専門商社。同社は通期の連結営業利益予想を従来の58.9億円から93.6億円(前期比43.7%増)に引き上げた。主力販売商品である鉄鋼商品に関し、原材料価格の上昇から市況がメーカー主導の中で当初の想定以上に上昇しており、それに伴い販売価格の上昇から在庫出荷分を中心に利益率が向上している。欧米経済を中心に経済が徐々に盛り返す中、鉄鋼など市況は今後も上昇する見通しが濃いことから、今後も業績拡大への期待は株式市場で高まりやすいと考える。ターゲットは2,100円、ロスカットは1,500円 | |
8316 | 5,000 | 3,500 | 傘下に三井住友銀、SMBC日興証券、プロミスなど。1Q(4-6月)の連結純利益は2,032億円(前年同期比2.4倍)と堅調な伸びをみせた。通期計画に対する進ちょく率は33.9%。資金利益や役務取引等利益、株式等損益の増加、与信関連費用の大幅な減少などが寄与した。米長期金利は低下傾向にあるものの、依然として1%を超えており、収益拡大の観測は強い。配当利回り5%といううま味もあり、今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは5,000円、ロスカットは3,500円 | |
8999 | 640 | 440 | 栃木県など北関東が地盤。同社は通期の連結経常利益予想を従来の24.0億円から30.0億円(前期比43.1%増)に、期末配当予想を20円から24円(前期は24円)に引き上げた。首都圏エリアにおける戸建住宅志向の高まりから受注が順調に伸長しているほか、栃木県を中心とした既存エリアの住宅需要も堅調に回復している中、需要に対応した仕入れ・生産体制の強化と利益率の改善に取り組んでいる。株価は6月以降堅調な伸びを見せており、良好なモメンタムからトレンドフォローの買いも向かいやすい。今エントリーするのが吉と考える。ターゲットは640円、ロスカットは440円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・9/1現在、東証1部上場銘柄で、PERが15.0倍以下、PBRが1.0倍以下、配当利回りが4.5%以上、株価が10日・25日・200日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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