来週の株式見通し(2021/8/16〜8/20)
来週(2021/8/16〜8/20)の日経平均株価の予想レンジは27,700円〜28,200円。東京株式市場は決算発表が一巡して材料難となるが、決算で派手に動いた銘柄も多く、証券会社のリポートなどを材料に改めて物色される銘柄が多くなりそうだ。円安基調が一段と強まるようなら、リスク選好ムードに拍車がかかる公算が大きい。
ソフトバンクG(9984)の動向もカギとなる。決算発表後の株価は安値更新の場面があったものの、前回決算時のような大きな波乱はなく無難に通過したといえよう。昨年3月安値から年初来高値までの上昇幅に対する半値押し6,650円処を意識しており、ここから反発基調に転じることができれば、投資家心理および市場には多少の好材料になるだろう。
海外投資家は6月第5週〜7月第3週まで、日本株を現物先物合わせて1兆5,000億円程度売り越した。7月第4週は売り越し基調は止まったが、8月の株価上昇を鑑みると足元は買い越しに転じている公算が大きい。持続性には懐疑的ではあるものの、国内主力企業の予想以上の業績改善を評価したことや、アジア地域の資金配分の調整の過程で不安定な中国株を減らし、日本株を増したシナリオも描けてくる。史上最高値を更新する欧米主要指数に対する出遅れ感も意識され、TOPIXの年初来高値(2012.21ポイント)更新への期待値が高まったといえそうだ。
一方、国内の政局不安、新型コロナウイルス・デルタ株のパンデミック(世界的大流行)への警戒、8月から復活した米連邦債務上限の引き上げ協議の行方など懸念材料は少なくない。翌週のジャクソンホール会合でパウエルFRB議長がテーパリング開始に言及するとの観測が手控え要因となり、米国株が弱含む場合は日本株の上値の重荷となる。
新興市場に上場する企業の決算も一巡する。特に今週はマザーズ市場全体の5割〜6割の企業が決算発表しており、来週は選別物色が本格化する。市場全般では日経平均やTOPIXの方が優位の局面にはあるが、マザーズ指数は8月後半の値固めを経て、9月は堅調になることが多い点にも注目したい。
昨年のお盆明けの週を振りかえると、4-6月期GDP速報値の大幅悪化を受けて日経平均株価は週初から大幅下落。その後も円安に傾きかけていたドル円が再び円高方向に振れたことから、下押し圧力が強まった。
円安一服でハイテク株が弱かった一方、大型株の手掛けづらさが意識される中で資金は新興市場に向かい、マザーズ指数が8%超の上昇と騰勢を強めた。日経平均株価は週間では369円の下落となり、週足では3週ぶりに陰線を形成した。
国内の経済指標では、4-6月期GDP速報値(8/16)、6月機械受注、7月貿易収支(8/18)などに注目。海外では、中国7月鉱工業生産、中国7月小売売上高、米8月ニューヨーク連銀景気指数(8/16)、米7月小売売上高(8/17)、米7月住宅着工件数、FOMC議事録(7/27〜7/28開催分)(8/18)、米8月フィラデルフィア連銀景気指数(8/19)など重要指標が目白押しとなる。
日経平均株価(図表1)は7/16の下げで形成したチャート上のマドを埋めたあとは失速。8/12は5日ぶりの陰線を形成して終えた。だが、25日移動平均線(27,952円 8/12)や200日移動平均線(27,994円 同)上、28,000円台は維持している。
RSI(9日)は62.9%→56.7%(8/12)に低下したが、50%超の強気局面を維持。終値ベースで7/27高値27,970円を上回ったことで、短期的には75日移動平均線(28,502円 同)や100日移動平均線(28,753円 同)、7/13高値(28,852円)が視野に入る。
週足ローソク足では、一目均衡表の雲の上限付近で分岐足となりえる「陽線はらみ足」を形成しており、しばらくは反発基調が続く公算が大きい。
8月相場では12カ月移動平均線(27,305円処)を下値支持に反発につながるかがポイントとなる。月末終値で同線を下回ると、逆に9月以降の上値抵抗水準に変化する。
一方、TOPIX(東証株価指数)の月足をみると、12カ月移動平均線上で三角もち合いを形成中。一つのトレンドの高値圏で三角もち合いを形成する場合、一段高につながるケースが多い。日本株に対して再び強気ムードが出てくるときは、TOPIXが主導することになるだろう。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/1/4-2021/8/12)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、4-6月期GDP速報値(8/16)、6月機械受注、7月貿易収支(8/18)、7月首都圏マンション発売(8/19)、7月全国消費者物価指数(8/20)がある。
企業決算では、東エレク、エンJPN、FRONTEO、アイスタイル、UMCエレ、東京産、日本情報、ハウスドゥ、中小企HD、ダイオーズ、スカラ、片倉コープ、ハークスレイ、バルテス、総医研、ITbookHD、フレアス(8/16)、パンパシHD(8/17)、あいHD、MHグループ(8/18)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表では、中国7月鉱工業生産、中国7月小売売上高、米8月ニューヨーク連銀景気指数(8/16)、米7月小売売上高、米7月鉱工業生産(8/17)、米7月住宅着工件数、FOMC議事録(7/27〜7/28開催分)(8/18)、米8月フィラデルフィア連銀景気指数(8/19)がある。
米企業決算では、ウォルマート(8/17)、エヌビディア、ターゲット、ロウズ(8/18)、アプライド・マテリアルズ(8/19)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(8/16〜8/20)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3387 | 1,200 | 800 | SC(ショッピングセンター)内にレストランやカフェ展開。同社は直近で2022年2月期通期の連結営業利益予想を従来の46億円から55億円(前期は142億円の赤字)へと引き上げた。東京都に4度目の緊急事態宣言が発令されたことで売上高は想定を下回るものの、前期から取り組んでいる筋肉質な経営体制の強化が奏功している。株価は同材料を好感して7月に1,000円を上回る高値をつけ、その後新株式発行のリリースによって下落。ただ、目先の業績拡大期待は強く、また26週移動平均線がサポートとして機能していることもあって、今後は買いが再度優勢になると考える。ターゲットは1,200円、ロスカットは800円 | |
3921 | 1,800 | 1,200 | グループウェア大手。株価は昨年12月以降右肩下がりが継続している。ただ、長期的に見れば昨年8月からの急騰幅を調整しているといった局面であり、もともとの非常に強い増収増益の業績モメンタムや売りが続いたことによる値ごろ感、昨今のDX関連市場の拡大を背景に、今後は買い戻しの機運が高まると考える。ターゲットは1,800円、ロスカットは1,200円 | |
4441 | 1,630 | 1,100 | 独自の抽出アルゴリズムを用い迷惑電話番号を自動的に拒否、警告するシステムを開発、提供。同社の2021年10月期上期(11-4月)の営業利益は2.9億円(前年同期比18.1%増)だった。迷惑情報フィルタ事業において、主力サービスであるモバイル向けフィルタサービス、固定電話向けフィルタサービスおよびビジネスフォン向けフィルタサービスが好調だった。株価は2月以降軟調な展開が続いているものの、売りが継続したことでバリュエーションの過熱感は沈静化しており、持ち前の高ROE体質も相まって、今後は下値を拾う動きが活発化すると考える。ターゲットは1,630円、ロスカットは1,100円 | |
6199 | 2,500 | 1,700 | ITインフラ構築・保守が柱。同社の2021年8月期3Q累計の連結経常利益は15.8億円(前年同期比2.1倍)と堅調に伸びた。通期計画に対する進ちょく率は95.6%と好調。主力のシステムインテグレーション事業が堅調だったほか、デジタルトランスフォーメーション事業がそれぞれの技術領域におけるニーズの継続的な拡大などにより大きく伸びた。株価は年初からもみ合いが継続しているものの、目先の業績拡大期待は強く、今後は上にブレークする展開を予想する。ターゲットは2,500円、ロスカットは1,700円 | |
7550 | 3,600 | 2,500 | 外食最大手。飲食業界は新型コロナウイルスの蔓延の影響が長引いているものの、ワクチン普及に伴って事業環境は徐々に改善することが期待されており、基本的には持ち直しの流れが強い。また、同社は直近で日本政策投資銀行から約300億円を調達し、海外展開を加速すると報じられている。事業環境が厳しい状況での大規模投資はある種逆張り的な事業戦略ではあるものの、ハイリスクに伴ってハイリターンも狙える状況であり、アフターコロナでの業績水準の引き上げに対する期待も高まりやすい。今後はそういった点に着目した買いが向かいやすいとみる。ターゲットは3,600円、ロスカットは2,500円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・8/12現在、東証1部上場で時価総額が5,000億円以下、PERが15.0倍以上、PBRが10.0倍程度以下、今期増収予想(日経予想)、株価が10日移動平均線を上回っている中から、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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