来週の株式見通し(2021/6/14〜6/18)
来週(2021/6/14〜6/18)の日経平均株価の予想レンジは28,100円〜29,200円。メジャーSQを通過して需給面に多少の変化が生じる可能性はあるが、前半は6/15-16のFOMC(連邦公開市場委員会)を控え全体的には様子見か。個別ベースでは決算発表銘柄や空運などの経済再生銘柄への物色や、半導体関連、素材系景気敏感株などの押し目買いが中心となりそうだ。後半も外部環境によほどフォローの風が吹かない限り、基本的には29,000円以上からは上値が重くなる構図が続くことが見込まれる。
6/7まで連日で高値更新が続いた半導体マスク欠陥検査装置を手掛けるレーザーテック(6920)が急落した。米半導体株指数などの動向にも左右されようが、目先的には需給悪の局面(日柄調整)入りが濃厚だ。テーマ株や関連株物色が一巡し手詰まり感強くなる可能性もあり、個人投資家に人気が高いZホールディングス(4689)やエムスリー(2413)など比較的長い期間で調整が続いたグロース株の一角に資金が戻ってくるかが注目どころとなる。
トヨタ自動車(7203)の1万円超えにも注目が集まる。だが、ソニーG(6758)が9,900円台を付けてから1万円に乗せるまで13営業日かかっていることを考えると、来週はまだ未達に終わる公算が大きい。
FOMCでは声明文やパウエルFRB議長会見(6/16)などが注目される。前回4月の議事要旨では、「幾人かの参加者は経済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購入ペースの調整に関する計画を協議し始めるのが適切になるかもしれないと提案した」と記され、早期テーパリング(資産購入の段階的縮小)への警戒感が高まっている。パウエルFRB議長の会見では「テーパリング」開始時期を議論するには時期尚早とされたものの、その後に強いインフレを示唆する指標が相次いでおり、今回も議長会見に注目が集まる。
日経平均株価(図表1)は6月に入ってからは横ばいの推移が続いている。年初来高値を付けた2月以降、29,000円以上500円ごとに累積で60兆円程度の売買代金をこなしてきた価格帯に差し掛かっており、この水準近くになると戻り待ちの売りに押され、上値が重くなるのが最近の傾向である。
RSI(9日)は40.7%(6/10)と強弱の分岐となる50%を下回っている。そういった意味では一時的に下押す場面も想定されるが、当面では5/28の戻り高値(終値ベース)を更新できれば2月高値を起点とした上値抵抗線が上値のメドとなる。
配当金支払いの市場予想では、6/18以降、月末に向けて4兆円程度が支払われることになる。配当金すべてが再投資にまわるわけではないが、株価の下支え要因になることも考えられる。そういった好需給の中、海外投資家の買い越しが続けば29,000円以上を突破していく可能性も出てくるだろう。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2020/9/1-2021/6/10)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、ゲーム見本市「E3」(オンライン、〜6/15)(6/12)、5月貿易収支、4月機械受注(6/16)、日銀金融政策決定会合(〜6/18)、5月首都圏マンション発売(6/17)、黒田日銀総裁会見、5月全国消費者物価指数(6/18)がある。
企業決算では、パーク24、セルソース、正栄食、GA TECH、エニグモ、ブシロード、MSOL、coly、サトウ食品、Hamee、ギフト、アルデプロ、ダブルエー、Link−U、ビジョナリー、3Dマトリックス、ツクルバ、Mマート、ジェネパ、フィット、LeTech、バリュゴルフ、ジェイック(6/14)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、FOMC(〜6/16)、米5月小売売上高、米6月ニューヨーク連銀景気指数、米5月鉱工業生産、米4月対米証券投資(6/15)、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、中国5月都市部固定資産投資、米ロ首脳会談、パウエルFRB議長会見、米5月住宅着工件数(6/16)、米6月フィラデルフィア連銀景気指数(6/17)などがある。
なお、6/14の中国、香港市場は端午節のため休場となる。
来週の注目銘柄!(6/14〜6/18)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
4502 | 4,900 | 3,400 | 国内製薬首位。同社の2022年3月期通期の連結営業利益予想は2,500億円(前期比33.5%減)となっている。ただ、減益については革新的なパイプラインに投下する研究開発費を大幅に増加させるためであり、先行投資の負担が大きい。2021年3月期の純利益は3,760億円(前の期比8.5倍)と、武田コンシューマーヘルスケアの売却に伴う譲渡益計上が大きく寄与。直近ではモデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの国内供給を担っているが、モデルナが日本での生産を検討しているとの報道に株価が強く反応する場面があった。目先はコロナ関連の材料が注目を集めやすいとみて、株価はしっかりとした動きを見せると考える。ターゲットは4,900円、ロスカットは3,400円 | |
4544 | 3,800 | 2,600 | 臨床検査薬大手の富士レビオと受託臨床検査首位のSRLが統合して発足。2022年3月期の連結営業利益予想は255億円(前期比0.4%増)と微増を計画している。PCR検査や空港検疫所における高感度抗原定量検査等の新型コロナウイルス感染症関連検査の販売が増加すると見込んでいる。株価は5月下旬に急落したものの、足元では値ごろ感から下値を拾う動きが活発化しており、今後は買い戻しに伴う上昇が期待される。ターゲットは3,800円、ロスカットは2,600円 | |
5358 | 820 | 570 | セラミックファイバー大手。2022年3月期の連結売上高予想は151億円(前期比10.3%増)、営業利益予想は24億円(同11.6%増)と増収増益を計画している。断熱関連事業において、製造・販売・開発・エンジニアリングの連携をさらに深化し、顧客満足の実現と販売力の強化を図る。株価は4月以降右肩下がりが続いているものの、26週移動平均線のサポートを背景に反発の動きが見受けられる。今後は下値不安の後退から持ち直しの展開になるとみる。ターゲットは820円、ロスカットは570円 | |
6742 | 580 | 400 | 信号大手の一角、民鉄に強い。2021年3月期の連結営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響に加えて火災により出荷が延期となったことから12億円(前の期比60.1%減)と軟調となったものの、2022年3月期はプロセス管理、納期管理を強化し、生産効率を高めるなどして、営業利益で37億円(前期比3.0倍)を見込んでいる。株価は昨年10月以降長らく横ばいが続いているものの、足元では悪材料の出尽くし感が強く、今後は国内の経済活動の回復に伴って買いが進むと考える。ターゲットは580円、ロスカットは400円 | |
8075 | 3,200 | 2,200 | 神戸製鋼系の専門商社。2022年3月期通期の連結経常利益予想は52.0億円(前期比27.9%増)と堅調な見通しとなっている。前期も経常利益は40.7億円(前の期比3.1%増)と、販管費の抑制を背景に増加を維持。世界的な新型コロナウイルスワクチンの普及に伴う経済活動の再開期待を背景に株価は堅調なトレンドを維持しており、13週移動平均線のサポートもあって今後も強い値動きを見せると考える。ターゲットは3,200円、ロスカットは2,200円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で6/10現在、配当利回りが3.0%以上、PBRが1.5倍以下、PERが25.0倍以下、株価が5日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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