来週の株式見通し(2021/4/5〜4/9)
来週(2021/4/5〜4/9)の日経平均株価の予想レンジは29,300円〜30,100円。基本的には「強いアメリカ株」を支えに底堅い地合いが続く公算が大きい。一方、国内では新型コロナウイルス感染者の数が再び増加しつつあることや、米長期金利の動向には引き続き要注意となる。週末にSQ(4/9)を控え、時間外のダウ先物や為替市場、アジア株などの動向に先物主導で神経質な展開が予想される。
グロース株への一部見直し買いが意識されているものの、指数の上値余地は海外投資家の動向がカギとなる。
日経平均株価が年初来高値を付けた2/16以降、採用銘柄の騰落率をみると、下落率上位にはエムスリーなど比較的グロース株が多く、上昇率では海運株など景気敏感のバリュー株が上位を占める。4月はこういった銘柄の方向性に修正が起きる兆候が出ている。
例えば、日本郵船は200日移動平均線から過去最高レベルのかい離水準を1カ月以上も続け上値が重くなっている。エムスリーは約1年ぶりに200日移動平均線付近まで調整し、反発基調を強めている。日銀がETFの買い入れ対象から日経平均連動型の除外を決めたことで、指数への影響度が大きいファーストリテイリング株も下落したことで反発余地が強まったと判断できる。
そうなると、日経平均株価をTOPIXで割ったNT倍率にも影響する。NT倍率はこの1カ月間で200日線まで低下し、TOPIXが優位な局面にあった(図表1)。しかし、過去の経験則では200日線から反発することが予想され、4月は値がさ成長株の影響を受けやすい日経平均株価の方が優位に変わっていく展開が予想される。
4月に入っても環境は悪くない。アメリカのダウ平均は2019年まで14年連続で上昇してきた。翌週以降、JPモルガン・チェースなど大手金融機関を皮切りに米企業の決算発表がスタートする。決算への反応も重要であるが、高値圏で好位置にある米主要指数はセル・イン・メイといわれる5月に向けてラリー相場が続く可能性もあり、中でもIT・テクノジー関連で構成されるナスダックに追い上げ騰勢がみられるかがカギとなる。底入れムードが少し出てきたマザーズ市場への動向にも重要な要素となる。
主要な国内経済指標では、2月景気動向指数(4/7)、3月都心オフィス空室率、3月景気ウォッチャー調査(4/8)などに注目。一方、海外では、米3月ISM非製造業指数、米2月製造業受注(4/5)などが注目材料となる。
また、ファーストリテイリングや7&I−HDなど小売の決算や、安川電機の決算発表などもあり、個別ベースでは材料が多少増えてくる。
図表1:NT倍率と200日線(2018/1/4-2021/4/1)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は25日移動平均線(29,304円 4/1)上を回復し、強気局面が続いている。RSI(9日)は42.9%(4/1)と50%以下で推移しているが、過去の値動きからはここから上昇しやすくなっていく。
一方、3/18に付けた戻り高値から下げる過程では「マド」を形成しており、3月上旬に付けた終値ベースの安値を一時割り込んでいる。75日移動平均線(28,596円 4/1)をサポートにいったん反発しているものの、3/24に付けた終値ベースの安値(28,405円)を下回ると、2/16高値と3/18高値とでダブルトップとなり、高値からの調整幅はさらに深まる公算が大きい。
3月相場が終了し、月足でみると2月の陽線のレンジに入り込む、上下に同じ長さのヒゲを伴う陰線コマ(分岐足)を形成した。2月と終値だけを比較すると、29,000円前後の横ばいで終えたことになる。日足ベースでは、4月はさらに狭いレンジが続くとみることができるが、月足の分岐足からは上か下に大きく動く見立てもできよう。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2020/9/1-2021/4/1)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、2月毎月勤労統、2月家計調査(4/6)、2月景気動向指数(4/7)、3月都心オフィス空室率、3月景気ウォッチャー調査(4/8)、オプションSQ(4/9)がある。
企業決算では、しまむら、キユーピー、クリエイトSDH、壱番屋、ダイセキ、ネクステージ、ナガイレーベ、アダストリア、WNIウェザー、オークワ、薬王堂HD、トーセイ、あさひ、瑞光、アヲハタ、マルカ、ダイセキソリュ、毎コムネット(4/5)、スギHD、サンエー、三協立山、AFC−HD(4/6)、ウエルシアHD、ディップ、ベル24HD、ハイデ日高、リソー教育、サーラ、日本BS放、サンデー、フェリシモ、GameWith(4/7)、ファーストリテイ、7&I−HD、久光薬、ローソン、イオンモール、マニー、SHIFT、U.S.M.H、USENNEXT、乃村工、コジマ、オンワードHD、ヒトコムHD、北興化、クリーク&リバ、MrMaxHD、小津産業、オオバ、ツインバード、中本パクス、三光合成、日フイルコン、ドーン(4/8)、安川電、イオンFS、OSG、サカタのタネ、DCM、JINSHD、イオンディライ、ライフコーポ、イオン北海、竹内製作、技研製、ベルク、MV西日本、カーブスHD、MV東海、ニッケ、ワキタ、ケーヨー、ファンタジー、チヨダ、マルゼン、チームスピリト、わらべや、カネ美食品、カンセキ、イワキ、ジーフット、明光ネット、パイプドH、Fブラザース、ブロッコリー、エスクローAJ、プラズマ、シグマ光機、メディカネット、jGroup、メディ工房(4/9)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標では、米3月ISM非製造業指数、米2月製造業受注、IMF・世界銀行春季総会(オンライン、〜4/11)(4/5)、米2月貿易収支、米2月消費者信用残高、FOMC議事録(3/16〜3/17開催分)、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(オンライン)(4/7)、中国3月消費者物価指数、中国3月生産者物価指数、米3月生産者物価指数(4/9)などがある。
来週の注目銘柄!(4/5〜4/9)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
2413 | 10,500 | 7,300 | ソニー関連会社。同社の3Q累計(4-12月)の連結営業利益は425億円(前年同期比57.7%増)と大きく伸びた。メディカルプラットフォームにおいて、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、製薬会社向けの販売が急激に拡大した。外資系大手証券では、製薬企業のDX化が加速するとの見立てのもと、投資判断を引き上げており、これを好感した買いも向かいやすい。1月以降売りが続いているものの、値ごろ感から下値を拾う動きが活発化すると考える。ターゲットは10,500円、ロスカットは7,300円 | |
3681 | 3,500 | 2,400 | Web会議などコミュニケーションサービス提供。新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってサービス需要が急拡大しており、足元の業績拡大期待は強い。加えて直近では3億円上限の自社株買いの計画もリリース。株価は昨年終盤のピークからやや落ち着いたものの、依然としてコロナ動向が不透明な中、企業のDX化は進んでおり、今後も成長期待から買われやすいと考える。ターゲットは3,500円、ロスカットは2,400円 | |
3694 | 3,900 | 2,700 | スマホなど端末の一括管理サービスをクラウドで提供。株価は昨年8月以降さえない展開を見せているが、2021年に入って急騰する場面が見られたほか、52週移動平均線がサポートとして機能しているなど、足元では買い安心感が高まりつつある。直近ではNTT東日本などとドローン分野における新会社を設立し、事業も開始した。成長期待が高まりやすい材料もあり、今後も資金は向かいやすいとみる。ターゲットは3,900円、ロスカットは2,700円 | |
3902 | 2,900 | 2,000 | 医療機関、製薬向けに医療・医薬品データのネットワーク化と利活用の両サービスを提供。同社の今期の連結営業利益予想は12.0億円(前期比4.7%増)と、市場コンセンサスの15.8億円を下回る見通しとなった。これを受け、株価は下落。一時は52週移動平均線付近まで下落した。しかし、同線のサポートを受けて反発しており、また、直近では5億円を上限とする自社株買いの計画も支援材料となることで、買いが優勢の展開。持ち直しの動きに乗じて今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,000円 | |
3923 | 2,800 | 2,000 | クラウドとIT人材派遣の2本柱。同社は直近で2月度の全社売上高が14.1億円(前年同月比33.8%増)と大きく伸びたと発表するなど、足元でトップラインの成長が著しい。株価は2021年に入って軟調な値動きが続いたものの、2月以降は持ち直しの動きも見せており、豊富な材料を元にした注目度の高さもあって今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは2,800円、ロスカットは2,000円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で4/1現在、時価総額が500億円以上、PERが30.0倍以上、今期増収・増益予想(日経予想)、株価が10日・75日移動平均線を上回っている中から、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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