来週の株式見通し(2021/3/29〜4/2)
来週(2021/3/29〜4/2)の日経平均株価の予想レンジは28,400円〜29,400円。米中の重要経済指標の発表を控え様子見姿勢の中、時間外のダウ先物やアジア株など外部環境に神経質な地合いとなりそうだ。
大口投資家による配当再投資の買いは週前半で一巡することや、3月末の権利落ち後で買い物は減少する公算が大きい。月末安に対する警戒も前半は手控え要因となる。最近の相場下落は海外投資家による売りが主要因とみられるが、後半の4月相場入りで再び買ってくるかがカギとなる。
一方、上海総合指数の不安定さが気がかりだ。3/31に発表される中国3月製造業PMIの結果次第では年初来安値(3,328.31P)を割り込み、日本株には重荷となる。また、欧州で起きている新型コロナウイルス感染第3波の世界規模での拡大懸念や、米長期金利の動向に株式市場は神経質な地合いが続こう。
3月調査の日銀短観が4/1に発表される。市場予想では、大企業製造業の業況判断指数(DI)は3四半期連続の改善を見込む。中国向けをはじめ海外経済の回復による輸出増、巣ごもり需要の拡大や円安なども追い風になる。新たに公表される2021年度の事業計画では、収益面や設備投資についてどの程度の回復が見込まれるかが注目ポイント。4月後半から始まる決算発表での業績見通しへのヒントになりそうだ。
海外の経済指標では、米3月消費者信頼感指数(3/30)、中国3月製造業PMI、米3月ADP全米雇用リポート、米2月NAR仮契約住宅販売指数(3/31)、中国3月財新製造業PMI、米3月ISM製造業景気指数(4/1)、米3月雇用統計(4/2)などが注目材料となる。
日経平均株価(図表1)は4日続落となり、調整色を強める展開となっている。下げる過程でもチャート上に「マド」を形成しながらの動きであり、3月上旬に付けた終値ベースの安値を割り込んだ。目先的には75日移動平均線(28,420円 3/25)をサポートに反発できるかが焦点となるが、25日移動平均線(29,451円 同)が下げに転じており、株価反発時に頭を抑える要因になってくる。
RSI(9日)は31.3%(3/25)まで低下。目先的には低下が続きやすく、ボトムアウトには少し時間がかかりそう。2/16高値と3/18高値とでダブルトップ形成なら、押し幅はさらに深まる公算が大きい。
短期的な下値メドは、100日移動平均線(27,639円 同)や26,900円前後である。26,900円前後の水準は12月に狭いレンジ相場を形成した上限である。12月のレンジを下回ると、200日移動平均線(25,288円 同)まで調整余地は広がる公算が大きい。
25日移動平均線の下向き基調が続く可能性が高く、100日移動平均線付近で下げ止まった場合でもしばらくは日柄調整からもみ合いが予想される。52週移動平均線からの上方かい離率は16.7%(3/24)とピーク時の28.5%から低下基調にあるが、概ね10%程度までは沈静化が必要だろう。
2007年の高値(米住宅バブル崩壊で下げる直前の高値)や、2018年から続いた24,000円のフシは、ともに1989年高値から崩れていく過程で形成したもみ合いの中心水準である。直近終値ベースの高値30,467円は、1990年4月安値(28,002円)から同年6月高値(33,192円)までの上昇の中値付近に相当し、すでに高値を付けた可能性もある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2019/12/2-2021/3/25)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、日銀金融政策決定会合の主な意見(3/18〜19開催分)、配当・優待権利付き最終日(3/29)、2月失業率、2月有効求人倍率、2月商業動態統計(3/30)、2月鉱工業生産、2月住宅着工統計(3/31)、3月日銀短観、3月新車販売台数(4/1)がある。
企業決算では、アークランド、大光、NaITO(3/29)、西松屋チェ、ストライク、サムティ、ハニーズHLD、マルマエ、日創プロ、アルテック、岡山製紙、ERI HD、ヤマシタヘルケア、ハピネス&D、パレモ・HD(3/30)、ニトリHD、トシンG、フィードフォー、TAKARA&C、スターマイカHD、日本エンタ、日プロセス、テクノアルファ(3/31)、象印、セキチュー、地域新聞(4/1)、平和堂、不二越、大有機、エスプール、キユソー流通、カネコ種、霞ヶ関キャ、東海ソフト、エクスモーション、岡野バル、クラウディアH、KTK(4/2)
などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標では、米1月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米3月消費者信頼感指数(3/30)、中国3月製造業PMI、米3月ADP全米雇用リポート、米2月NAR仮契約住宅販売指数(3/31)、中国3月財新製造業PMI、米3月ISM製造業景気指数(4/1)、米3月雇用統計(4/2)などがある。
なお、4/2の米国市場は聖金曜日のため休場となる。
来週の注目銘柄!(3/29〜4/2)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
3512 | 600 | 430 | 紙・パルプ用フェルトの国内市場をイチカワと二分。株価は2021年に入って強い動きを継続している。足元では26・52週移動平均線を上抜けており、テクニカル的な買いも向かいやすい。今期予想PERは30倍を超えるなど高めだが、米追加経済対策などをきっかけにバリュー株には追い風が吹いており、今後も堅調な展開が継続すると考える。ターゲットは600円、ロスカットは430円 | |
5019 | 3,800 | 2,600 | 石油元売り2位。新型コロナウイルスのワクチン普及や米追加経済対策による効果に向けた期待を背景に外需景気敏感業種のバリュー株は足元で強い動きを見せている。また、原油相場も上昇基調にあり、この点も買いを呼び込みそう。株価の上昇としてはやや急な印象があるので多少利益確定売りに押される場面はありそうだが、上記点が支援材料となり、トレンドとしては今後も強い動きを継続しそうだ。ターゲットは3,800円、ロスカットは2,600円 | |
7480 | 1,700 | 1,200 | FA(工場自動化)用制御機器が主力の技術商社。卸売業というセクター柄、新型コロナウイルスのワクチン普及や米追加経済対策に向けた期待の恩恵が連想されづらいものの、FA関連ということでビジネスモデルとしては収益拡大の見通しが強く、これまでの減収トレンドから一転、トップラインの伸びが期待できる。加えて直近では増配も発表しており、市場における注目度も高い。13週移動平均線のサポートも重なり、今後も強い動きを見せ続けると考える。ターゲットは1,700円、ロスカットは1,200円 | |
8041 | 3,900 | 2,700 | 大阪市中央卸売市場の水産物卸売り。同社は2月に業績予想の修正を発表した。売上高予想をやや引き下げたものの、各利益については赤字予想から一転、黒字予想へと引き上げた。コスト削減が奏功しており、利益押し上げ要素としては今後も効果が期待でき、株価も強い動きを見せている。当面はこれらポイントが評価されることで、買いが向かいやすいとみる。ターゲットは3,900円、ロスカットは2,700円 | |
9505 | 1,000 | 700 | 北陸3県に供給。同社は直近で今期通期の連結純利益予想を従来の100億円から170億円(前期比42.3%減)に、期末配当予想を5円から10円(前期末は10円)に引き上げると発表した。一定の前提を基に卸電力取引所の価格高騰影響を織り込んでいたが、足元の卸電力取引所価格の状況を踏まえた。これを受け、株価は上昇。コロナ禍では株価は不安定な動きを見せているものの、足元では26・52週移動平均線を上抜けており、買い安心感もある。リスク回避の資金が向かう先としても注目を得やすく、今後もしっかりとした値動きを見せると考える。ターゲットは1,000円、ロスカットは700円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で3/25現在、時価総額が1兆円以下、PBRが1.5倍以下、PERが20.0倍以上、配当利回りが2.0%程度以上、株価が25日・200日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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