来週の株式見通し(2021/2/15〜2/19)
来週(2021/2/15〜2/19)の日経平均株価の予想レンジは28,800円〜29,600円。東京株式市場は材料難の中で戻り売りに押される地合いとなりそうだ。国内企業の決算発表が一巡することや、円安一服なども手詰まりムードにつながり、買い方も様子見で一歩後退か。ダウ平均など米主要指数の過熱感が強くなっており、反転調整に警戒だろう。
半導体や電子部品関連など主力ハイテク株が調整する一方、逃避先として自動車関連株が選好され、指数の支えになっている。ただ、トヨタ自動車が決算発表を終え、材料出尽くしとなる可能性がある。そういった意味では、グロース株売り、バリュー株買いのリターンリバーサルも目先的には一巡する可能性が高く、グロース株の復調がなければ指数の上値は限られる。2月限のSQを通過した後でもあり、多少の基調変化には留意したいところだ。
海外投資家による日本株買いの観測が台頭している。ただ、昨年は10月頃までは買い越しの継続性がみられなかったことや、新型コロナショックがあったにせよ、2月中旬から3月末にかけ一貫して売り越しを続けた点には注意したい(図表1)。日経平均株価のテクニカル面(下記、テクニカル面を参照)でも上値のフシに達している可能性があり、安易な押し目買いには留意が必要である。
一方、東証1部の主力株の上昇一服を察知し、マザーズ銘柄への押し目買いが一部で意識されている。時価総額トップのメルカリが決算発表後に買われるなど、好需給で値動きの軽い銘柄への投資意欲は旺盛だ。決算発表予定の銘柄に買いが先走る投機的な動きもみられるが、春頃からマザーズ市場の売買代金が増加する年もあり、市場間で循環が上手く機能するかが今後の注目ポイントとなる。
図表1:海外投資家動向とトヨタ自動車株価の推移(2020/1/6-2021/1/29)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価は25日移動平均線(28,474円 2/10)割れから急速に盛り返し、年初来高値更新と同時に29,500円台を回復した。RSI(9日)も強弱の分岐となる50%を上回り、72.4%まで上昇。目先的には強いモメンタムが続きそうだ。
一方、3万円の大台を意識して上昇一服となりやすい水準でもある。以前から指摘していた29,600円水準にほぼ到達しているためだ。2007年7月高値〜2009年3月安値までの下落幅を倍返しで上げた29,500円処、昨年3月安値〜6月高値までの上昇幅を11月安値からの上昇で当てはめた29,600円処などに重要なフシが存在すると判断している。直近の動きでみると、1/14高値(28,979円)から1/29安値(27,629円)までの下落幅に対する1.5倍返しで29,650円となる。
もう一点、ポイントになるのがTOPIX(東証株価指数)の節目である。図表2の赤線で示したように、1993年高値を起点にその後の高値をつないで延長した水準が上値抵抗線になりうる。
概ね、1,950ポイント前後で推移しているとした場合、NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)が15.2倍程度であるため、日経平均株価の水準でいうと29,600円処になる。
TOPIXが上値抵抗線を超えて上昇が続く場合、日経平均株価は3万円超えトライとなるだろう。逆に、押し戻される場合は、高値を付けるタイミングとなりそうだ。
図表2:TOPIXの週足チャート(1987/1/5-2021/2/10)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、10-12月期GDP速報値(2/15)、12月機械受注、1月貿易収支(2/17)、1月首都圏マンション発売(2/18)、1月全国消費者物価指数(2/19)がある。
企業決算では、リクルートHD、ユニチャーム、クボタ、キリンHD、電通G、マツモトキヨシ、住友林、応化工、堀場製、TOYOTIRE、インフォマート、チェンジ、日製鋼、三谷商、アウトソシング、アンジェス、メドピア、都競馬、三谷セキ、あいHD、ユーグレナ、ノーリツ鋼機、ヤプリ、ロイヤルHD、大豊建、オロ、理ビタミン、ココペリ、片倉、WSCOPE、ビジョン、福田組、井関農、ALBERT、MrMaxHD、新コスモス、Jトラスト、ストリムメディ、ホットランド、FRONTEO、やまや、クレアHD、ニチリン、ジモティー、カヤック、ITbookHD、ドラフト、HANATOUR、ビートレンド、シェアリングT、エスユーエス、キャリア、INC、インフォネット、フレアス(2/15)、ブリヂストン、ガンホー(2/16)、トレンド、昭電工、木徳神糧、JHD(2/17)、浜ゴム、DIC、AOITYOHD、アップル、佐渡汽、セーラー、ピーエイ(2/19)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表では、独2月ZEW景況感指数、米2月ニューヨーク連銀景気指数(2/16)、米1月小売売上高、米1月鉱工業生産指数、米2月NAHB住宅市場指数、FOMC議事録(1/26〜1/27開催分)(2/17)、米1月住宅着工件数、米2月フィラデルフィア連銀景気指数(2/18)、米1月中古住宅販売(2/19)などがある。
米企業決算は、デボン・エナジー、オクシデンタル・ペトロリアム(2/16)、ウォルマート、アプライド・マテリアルズ、マリオット・インターナショナル、ニューモント(2/18)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(2/15〜2/19)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
4617 | 1,200 | 850 | 塗料3位。同社の2021年3月期3Q累計(4-12月)の連結営業利益は53億円(前年同期比2.2倍)と好調な伸びを見せた。新型コロナウイルスの影響によって減収となったものの、原材料価格が軟調に推移する中、各種コストダウンを進めたことが奏功し、採算が大幅改善。株価は1月中旬に大きく値崩れしたものの、52週移動平均線で下げ止まる底堅さも見て取れ、今後は押し目買いが優勢になると考える。ターゲットは1,200円、ロスカットは850円 | |
4658 | 970 | 670 | 空調設備等メンテナンスが主体、リニューアル軸に工事も行う。2021年3月期3Q累計(4-12月)の連結営業利益は19億円(前年同期比7.7%減)と軟調な着地。新型コロナウイルス感染拡大に伴って工場など一部施設への入場が制限され、メンテナンス・工事業務が延期となった。ただ、業務延期が要因で期ズレの収益計上が期待できるほか、52週移動平均線のサポートもうかがえ、一定の買い安心感はある。配当利回り3%以上という点も注目を集めやすいと想定し、今後はしっかりとした展開を見せると考える。ターゲットは970円、ロスカットは670円 | |
7966 | 3,100 | 2,160 | 粘接着素材で最大級。2021年3月期上期(4-9月)の連結営業利益は63億円(前年同期比9.0%減)とさえない結果となったものの、中・長期的には脱プラスチック需要の拡大に対応した、紙を表面基材に使用したラベル素材などの業績寄与が期待できる。そのほか、注目されづらいながらも半導体関連株であり、足元の半導体市場の拡大も背景となって、今後は資金流入が活発化すると考える。ターゲットは3,100円、ロスカットは2,160円 | |
7995 | 2,730 | 1,900 | 配管つなぎ目の気体・液体漏れを防ぐシール材大手。株価は昨年11月以降、右肩上がりで推移している。背景にあるのはテレワークの普及などを受けた世界的な半導体需要の急拡大であり、半導体製造装置向け部材を製造する同社にとっては長期的に追い風が吹いている状況だ。今期予想PERは14倍と成長期待の織り込みはそこまで進んでおらず、堅調なモメンタムも相まって今後も買いは向かいやすいと考える。ターゲットは2,730円、ロスカットは1,900円 | |
9644 | 1,800 | 1,250 | 経営コンサル大手。2021年3月期3Q累計(4-12月)の連結営業利益は5億円(前年同期比31.3%減)と、軟調な実績となった。ただ、新型コロナウイルスの影響で契約の一時休止や延期が影響してコンサルティング契約数は減少しつつも、今後は徐々に回復基調になる見通しで、業績の底打ちを背景に今後は回復期待が高まりやすい。株価は昨年9月に急騰し、その後失速。ただ、以降は底堅い動きを見せており、もともとの業績の安定成長感も重なって、今後はじわじわと買いが株価を押し上げると考える。ターゲットは1,800円、ロスカットは1,250円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で2/9現在、時価総額が3,000億円以下、PERが25.0倍以下、PBRが1.5倍以下、配当利回りが3.0%以上、株価が5日移動平均線を上回っている銘柄の中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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