来週の株式見通し(2020/11/9〜11/13)
来週(2020/11/9〜11/13)の日経平均株価の予想レンジは24,000円-24,700円。東京株式市場は買い優勢の展開が予想される。東証1部の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で除した騰落レシオ(25日)は91.7%と過熱感はなく、出遅れ株に物色対象が広がる可能性がある。一方、米大統領選挙やFOMC(連邦公開市場委員会)が通過し、雇用統計など重要指標の発表も終え材料難となる。ITハイテク株や景気敏感株の戻りが試されるが、史上最高値付近まで戻しているナスダックの反落には警戒が必要だ。一方、国内では建設や銀行などの内需系や新興企業を中心に決算発表が続く。
米大統領選挙は民主党候補のバイデン氏が有利な状況下、今後展開しうる法廷論争の行方に焦点が移る。一方、目先の市場混乱要因が取り除かれたといえ、新型コロナウイルス感染者の増加ペースが鈍化してくれば、拡張財政路線の中で景気の二番底懸念が薄れ株買い・債券売りが強まる可能性がある。
懸念材料は円高進行の動きである。米大統領選挙前に予想されていたバイデン米大統領の誕生と上下両院を民主党が多数を占める「ブルーウエーブ」の可能性が低下していることで、税制改正法の撤回、キャピタルゲイン増税、IT企業の解体などが回避されるとの思惑が、リスク選好の米株高、ドル安要因となっている。
その影響によりドル円は7/31、9/21、10/29と1ドル=104円付近のサポート水準を下回ってきており、国内企業の業績の底入れ期待が薄れる要因になりかねない。日銀短観で示された今年度の想定為替(1ドル=107円台)にはほど遠く、日経平均株価が年初来高値更新でも大型株の上値が重い点はやや気がかりだ。
TOPIX(東証株価指数)は9月までの上昇で長期下降トレンドラインに達している。続く10月の月足ローソク足は陰線となり、トレンドラインが見事に上値抵抗となって押し戻される格好となった。現在、トレンドラインは1,600ポイント台後半を推移している。上回れば出遅れ感のある大型株への見直し買いが期待できるが、11月相場も陰線で下げが続くようだと当面の弱気相場入りの可能性が高まる。
国内経済指標では、10月景気ウォッチャー調査(11/10)、10月工作機械受注(11/11)、9月機械受注(11/12)の結果に注目。海外では、独11月ZEW景況感指数(11/10)、米10月消費者物価指数(11/12)など注目指標は少ないが、シスコシステムズ、アプライド・マテリアルズ(11/12)などの米決算に注目したい。
日経平均株価(図表1)は終値ベースで年初来高値を更新。25日移動平均線(23,481円 11/5)が上昇基調に戻る可能性が高くなったことや、ボリンジャーバンド(20日)のプラスシグマ(23,947円 同)なども終値で上回ったことで上昇トレンドが加速するかどうか。
RSI(9日)は68.5%(11/5)と約2週間ぶりに強弱の分岐となる50%を上回っている。短期的に強いモメンタムが続く余地があり、8/14高値(23,338円)を起点に9/13高値(23,580円)を通る上値抵抗線を超えられるかが焦点となる。短期的な上値メドは、6/9高値から6/15安値までの下げの倍返し24,841円などに注目したい。
一方、200日移動平均線(21,997円 同)の横ばいが株価の上値を抑える要因になる。6/9高値を起点にして高値が緩やかに切り上がり、安値が緩やかに切り上がる一見強そうな動きも、高値と安値が収れんする先端部分からは急落することも珍しくなく当面の注意点だ。ただ、そうなるとしても延長された可能性が高いとみられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2019/12/2-2020/11/5)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、9月景気動向指数、日銀金融政策決定会合の主な意見(10/28〜10/29開催分)(11/9)、10月景気ウォッチャー調査(11/10)、10月工作機械受注(11/11)、10月企業物価指数、9月機械受注、10月都心オフィス空室率(11/12)がある。
企業決算では、ソフトバンクG、セコム、住友鉱、島津製、ホトニクス、ワークマン、関西ペ、大林組、ホシザキ、ユー・エス・エス、飯田GHD、清水建、ヤマハ発、太陽誘電、JFEHD、ブラザー、特殊陶、マツダ、東急不HD、デンカ、岩谷産、めぶきFG、東芝テック、沢井製薬、第一興商、五洋建、ニプロ、SANKYO、日製鋼、雪印メグ、ニチアス、三井金、共立メンテ、住友ベ、アース製薬、、ダスキン、東洋紡、ケネディクス、UNITED、アズーム(11/9)、富士フイルム、資生堂、ネクソン、パンパシHD、明治HD、大塚商、りそなHD、東急、大日印、出光興産、鹿島、TIS、カシオ、パーソルHD、タカラバイオ、太平洋セメ、ショーボンド、メニコン、DeNA、日揮HD、宝HD、クレセゾン、カネカ、IHI、DOWA、JTOWER、平和、日化薬、安藤ハザマ、住阪セメ、BML、コロワイド、熊谷組、Amazia、Welby、フィンテック(11/10)、菱地所、大和ハウス、東芝、ENEOS、GMOPG、電通G、大成建、ハーモニック、三井化学、凸版印、サンドラッグ、コンコルディア、フリー、THK、クラレ、アマダ、NIPPO、GMO、協エクシオ、応化工、森永乳、森永菓、NOK、ミツコシイセタン、近鉄エクス、前田道、アイフル、前田建、東京精、そーせい、ソフトマックス、ZUU、インフォネット(11/11)、みずほ、ブリヂストン、日産自、楽天、住友不、光通信、三住トラスト、トレンド、日産化、近鉄GHD、マクドナルド、ペプチド、博報堂DY、丸井G、ラクス、長谷工、西武HD、住友林、荏原、堀場製、富士ソフト、テレ朝HD、サイボウズ、ユーザベース、コスモエネHD、日清紡HD、オイラ大地、メドピア、NexTone、イグニス、FFRI、松屋R&D(11/12)、三菱UFJ、三井住友、SMC、ゆうちょ、日本郵政、日ペイントH、オリンパス、大塚HD、第一生命、かんぽ、ヤクルト、アサヒインテック、T&DHD、オープンハウス、マツモトキヨシ、ゼンショーHD、京都銀、セイノーHD、チェンジ、BASE、浜ゴム、ガンホー、TOYOTIRE、東映、メドレー、Dガレージ、ADEKA、HENNGE、サイバダイン、東和薬品、ヘリオス、ジーエヌアイ、MTG、ウェルビー、サイバセキュリ、ジモティー、アディッシュ(11/13)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表は、中国10月消費者物価指数、中国10月生産者物価指数、独11月ZEW景況感指数(11/10)、米10月消費者物価指数、米10月財政収支(11/12)、米10月生産者物価指数(11/13)などがある。
米企業決算では、マクドナルド(11/9)、シスコシステムズ、アプライド・マテリアルズ(11/12)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/11/9〜11/13)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1954 | 3,700 | 2,600 | 総合建設コンサル首位。同社の今期通期の連結営業利益予想は15.0億円(前期比72.1%減)と軟調な見通しだ。インフラ需要は引き続き活況であるものの、新型コロナウイルスの影響が今期中継続する想定。しかし、足元では悪材料の出尽くし感があり、底堅さのある推移が続いている。目先ではバングラデシュのマタバリ港開発事業のコンサルティングサービスに係る業務を4社のJV(共同企業体)で受注したと発表。今後は業績拡大を期待した買いがじわじわと株価を押し上げると考える。ターゲットは3,700円、ロスカットは2,600円 | |
4587 | 6,500 | 4,500 | 特殊環状ペプチド医薬品候補を大手製薬と創製、技術供与。同社は直近で富士通と共同で、創薬の候補化合物となる環状ペプチドの安定構造探索を12時間以内に高精度で実施することに成功したと発表した。これにより、創薬プロセスにおいて候補化合物の探索期間を短縮できる。同社の株価は9月以降堅調に推移。海外情勢に関連したリスク材料がある中、今後もリスク回避の資金の受け皿として、買いは向かいやすいと考える。ターゲットは6,500円、ロスカットは4,500円 | |
6103 | 7,000 | 4,800 | 東海の工作機械大手。日本工作機械工業会が発表した9月の工作機械受注額が841億円(前年同月比15%減)となり、8月の同23%減から減少幅が縮小した。報道によれば受注額の内訳をみると国内向けが34.3%減と22カ月連続で前年を下回る一方、海外は1.8%増えたとされる。目先では米国における追加経済対策に向けた期待も高まりやすい。株価は足元で堅調なモメンタムを維持しており、今後もしっかりとした値動きを見せると考える。ターゲットは7,000円、ロスカットは4,800円 | |
6113 | 1,250 | 860 | 金属加工機械の総合メーカーで世界首位級。1Q(4-6月)の連結売上収益は477億円(前年同期比26.5%減)と減ったものの、営業利益は87億円(同83.5%増)と大きく伸びた。固定資産の売却益という特別要因ではあるものの、それに伴うキャッシュインとひとまずの営業黒字維持は好感されやすいだろう。足元では52週移動平均線に上値を抑えられているものの、今後は下値を拾う動きが活発化すると考える。ターゲットは1,250円、ロスカットは860円 | |
6541 | 7,600 | 5,200 | 内外メーカー向けに産業機械マニュアルの作成、管理、運用システムや企画、翻訳サービス提供。1Q(4-6月)の営業利益は2億円(前年同期比21.9%増)と堅調に伸びた。原価率の低下が大きく寄与。同社の株価は4月以降非常に強い勢いで上昇している。7月以降は調整局面に多少入ったものの、9月からはまた買い戻され、底堅さも見て取れる。ビジネスモデルとしては省力化に絡む部分もあるので、今後も成長期待から上値の軽い動きを見せると考える。ターゲットは7,600円、ロスカットは5,200円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で11/4現在、時価総額が1兆円以下、PERが30.0倍以上、株価が10日・75日移動平均線を上回っている銘柄の中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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