来週の株式見通し(2020/10/19〜10/23)
来週(2020/10/19〜10/23)の日経平均株価の予想レンジは23,400円-24,000円。東証1部では日々の値下がり銘柄の数が相対的に多くなってきており、指数上昇のイメージが描きにくい。主力大型株は米国株の前日の動向を織り込んだあとは動きが鈍く、外部環境に神経質な日経平均先物の動きに小刻みに連動する程度。証券会社のアナリストによる評価レポートも少ない時期であり、決算発表の本格化を翌週に控えて手詰まり感が続きそうだ。直近買われた業種を売り、売られた業種を買うなどのリターンリバーサルが物色の選択肢となる。
IMF(国際通貨基金)は10/13、2020年の世界経済見通しを6月改定値の前年比−5.2%から同−4.4%見通しに上方修正した。中国経済の成長回復が想定以上に強いことが要因であり、当面は中国頼みとなる。決算発表で先陣を切った安川電機も中国向けの一部で伸長しており、株価は決算発表直後こそ材料出尽くしで売り込まれたが比較的底堅い。これから増える決算でも中国事業の伸びが株価動向のカギとなる可能性が高く、特に売上の中国比率が高い企業群の変化率に着目したいところだ。リスクは高いが先回り買いも戦略の一つだろう。
例えば、最近は村田製作所やTDK、日東電工、日本電産などが高値更新基調にあり、共通点として中国での売上比率が高いことが挙げられる。ほか、従来から中国関連としてイメージが強いファーストリテイリングやピジョン、ユニ・チャームの株価もそうである。
一方、マザーズ指数が2018年1月に付けた高値を更新。市場全体の過熱感を示す騰落レシオ(25日)も115%(10/14)程度で強い過熱感はない。来週は新規上場(IPO)が予定されておらず、含み益のあるリスクマネーを通じて既存銘柄を選別物色する流れが続きそうだ。一方、指数は9月中旬以降、押し目らしい押し目もなく上昇が続いている。日本株全体の調整入りはマザーズ市場の崩れがきっかけになることも考えられ、潮目が変わる事象などにはすぐに対応できるよう準備しておく必要はあろう。
米国では新型コロナ景気対策法案に関して、共和党(1.5兆ドルから1.8兆ドルへ増額)と民主党(2.4兆ドルから2.2兆ドルへ減額)による協議が続いているものの、11/3の米大統領選前にまとまる可能性は低下しつつある。それを市場は織り込みつつあり、他の材料待ちの状況にある。そういった中、IBM、ネットフリックス、テキサス・インスツルメンツ、マイクロソフト、テスラ、インテルなど注目企業が決算発表を予定しており、結果に好反応を示せるかがダウ平均やナスダックの史上最高値更新のカギとなる。
国内の経済指標は、9月貿易収支(10/19)、9月首都圏マンション発売(10/20)に注目。海外では、中国7-9月期GDP、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高(10/19)、米9月住宅着工件数(10/20)、ベージュブック(10/21)、米9月中古住宅販売、大統領候補者討論会(10/22)などが注目材料となる。
日経平均株価(図表1)は短い期間で高値更新の動きを続けているが、高値更新から一段高はみられず、もみ合いの範ちゅうを抜け出すような勢いはない。一方、10/8に形成したチャート上のマドを開けた状態にあることや、10日移動平均線(23,475円 10/15)上を維持しており、目先の騰勢に注目したい局面だ。
RSI(9日)は76.0%(10/15)と強弱の分岐である50%から過熱ゾーンに入っており、目先的には強いモメンタムが続く公算が大きい。
一方、200日移動平均線(22,012円 10/15)の横ばいが続いている。当面は横ばい、ないしは下落基調になることも予想され、株価の上値を抑える要因になる。
また、6/9高値を起点にして高値が緩やかに切り上がり、安値が緩やかに切り上がる一見強そうな動きになっているが、高値と安値が収れんする先端部分からは急落することも珍しくなく、当面の注意点となる。
7月末の安値からの上昇局面では、TOPIX(東証株価指数)が相場を主導している。だが、TOPIXは長期トレンドでみると依然として右肩下がりであり、9月の上昇で長期下降トレンドラインに差し掛かった状況にある。10月に上回れば大きなトレンド転換のサインとなるが、短期的には株価頭打ちのシナリオもある。
当面の上値のフシは、6/9高値から6/15安値までの下げ幅の1.5倍返し24,000円、6/9高値から6/15安値までの下げの倍返し24,841円などに注目。3/19安値から3/25高値までの上昇幅を6/15安値から上げた24,735円にも近く、上昇継続の場合の重要なフシとなる。一方、200日移動平均線や7/31安値(21,710円)を下回る場合、21,000円の心理的フシまで下落余地は拡大する公算が大きい。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2019/12/2-2020/10/15)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、9月貿易収支(10/19)、9月首都圏マンション発売(10/20)、9月訪日外客数(10/21)、9月全国消費者物価指数(10/23)がある。
企業決算では、光世証(10/19)、ゲンキードラ、KOA、アルインコ(10/20)、ジャフコG、高純度化(10/21)、中外薬、ディスコ、ビオフェル、三谷産、エイトレッド(10/22)、富通ゼネ、キヤノンMJ、東製鉄、沖縄セルラー、京阪神ビ、菱鉛筆、カワチ薬品、モーニングスタ、サーティワン、岩井コスモ、アクシーズ、ブルドック、伊勢化、モバファク(10/23)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、中国7-9月期GDP、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高(10/19)、米9月住宅着工件数(10/20)、ベージュブック(10/21)、米9月中古住宅販売、大統領候補者討論会(10/22)などがある。
米企業決算では、ハリバートン、IBM(10/19)、ネットフリックス、トラベラーズ、テキサス・インスツルメンツ、プロクター・アンド・ギャンブル、フィリップ・モリス・インターナショナル(10/20)、ベライゾン・コミュニケーション、アボット・ラボラトリーズ、マイクロソフト、テスラ、ザイリンクス(10/21)、インテル、ギリアド・サイエンシズ、ユニオン・パシフィック、コカコーラ(10/22)、アメリカン・エキスプレス(10/23)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/10/19〜10/23)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3678 | 11,200 | 7,700 | 電子書籍の取り次ぎで国内首位。同社の株価は堅調な業績を背景に右肩上がりを続けている。直近では今期通期の連結営業利益予想を従来の22億円から28億円(前期比51.0%増)に上方修正。巣ごもり消費などを追い風に電子書籍市場の拡大が想定以上で、上期(3-8月)の営業利益も15.3億円(前年同期比64.8%増)だった。13週移動平均線のサポートも買い安心感へとつながっており、足元ではトレンドフォロー的買いが今後も続きやすいと考える。ターゲットは11,200円、ロスカットは7,700円 | |
4776 | 4,600 | 3,200 | 業務を効率化するグループウェアで国内シェア高い。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って多くの企業が業務フロー面にメスを入れる中、同社の業務効率化サービスは堅調。上期(1-6月)の連結営業利益は16.3億円(前年同月比30.3%増)と大きく伸びた。そのほかにも、直近では出資先のトヨクモがマザーズ市場に上場したことで約4億円の証券売却益を計上する見込みであり、豊富な買い材料のもと今後も資金は流入しやすいと考える。ターゲットは4,600円、ロスカットは3,200円 | |
6247 | 1,160 | 800 | プレート式熱交換器、染色機器で首位。地味な事業内容ながら近年の売上高は堅調な伸びを見せており、営業利益に至っては利益率の改善もあって顕著に伸びている。3月から株価は右肩上がりでの値動きを継続しており、9月には52週移動平均線も上抜け。配当利回りも3%超とそれなりの水準で、今後も堅実さを評価した買いは向かいやすそうだ。ターゲットは1,160円、ロスカットは800円 | |
6755 | 3,900 | 2,700 | 富士通系。海外向け空調機販売が計画を上回ったほか、国内の空調機需要の立ち上がりが早かったことで上期の連結営業利益予想を従来の30.0億円から45.0億円(前年同期比27.9%減)に上方修正したほか、1Q(4-6月)の営業利益は39.6億円(前年同期比55.3%増)と大きく伸びた。国内大手証券ではウィズ・コロナで「存在意義」の向上を図ると指摘し、高い評価をつけている。足元では上場来高値付近で推移しており、今後も上値の軽い展開が続くと考える。ターゲットは3,900円、ロスカットは2,700円 | |
7925 | 1,270 | 880 | 継ぎ手など塩ビ製の上下水道関連製品が柱。1Q(4-6月)については売上高は49.0億円(前年同期比9.5%減)と減ったものの、管工機材分野での経費削減によって営業利益は1.4億円(同50.9%増)と大きく伸びた。株価は9月下旬に大きく下落したものの、足元では売り出尽くしによる下値拾いが活発となっており、目先の株高観は強め。利益成長期待も相まって、今後も買いは向かいやすいと考える。ターゲットは1,270円、ロスカットは880円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で10/14現在、時価総額が5,000億円以下、PERが20.0倍以上、株価が5日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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