来週の株式見通し(2020/9/28〜10/2)
来週(2020/9/28〜10/2)の日経平均株価の予想レンジは22,700円-23,400円。ドル円やダウ平均を中心とした欧米株が現状の水準を維持できれば、底堅い基調は保たれそうだ。一方、中国9月製造業PMIや米9月ISM製造業景気指数など米中の重要指標の発表が数多くある。欧米での新型コロナウイルス第2波への警戒から景気悪化懸念が高まっていることで、結果次第では欧米株の不安定さを増大しかねない。米国では共和党と民主党による新型コロナ景気対策法案の協議難航も株安の材料になっており、進展期待は強気転換の重要な要素となる。
9月中間期末の権利付き最終日を迎えることで、週前半は年金資金などによる配当再投資に絡む先物への買いが入ることが心理的な下支え要因になる。
9/28は権利付き最終日、翌日(9/29)は権利落ち日となり、年金資金などTOPIX(東証株価指数)をベンチマークとする大口投資家による「配当再投資の買い」が入る公算が大きい。年金資金などを運用・管理する信託銀行などが、運用ポートフォリオに占める株式資産の配当落ちによる目減りを補うため、機械的にTOPIX先物に買いを入れるためだ。
一方、週後半は注意が必要である。権利落ちや月替わりのタイミングなどで米国市場が下げ止まっていないと、さらに弱気に傾く材料が重なる場合は下押し圧力が強まる公算が大きい。
物色面では主力株は方向感がまだら模様。景気敏感株は手掛けづらく、グロース系のハイテク株の一角や、小売株、食品株などが相対的に下値不安が少ない。小売の一角では決算発表も予定されており、マザーズ銘柄で回転売買を繰り返した短期資金による決算プレーが活発化する展開が予想される。
日経平均株価(図表1)は25日移動平均線(23,216円 9/24)を意識したもみ合いが続いている。連休中の欧米株式市場の大幅安にもかかわらず、連休明けも異常な底堅さが注目されたところだ。
RSI(9日)は52.4%(9/24)と強弱の分岐となる50%水準を依然として上回っており、過熱ゾーンに向けて騰勢を強める余地はある。
当面の上値のフシは、6/9高値から6/15安値までの下げ幅の1.5倍返し24,000円、6/9高値から6/15安値までの下げの倍返し24,841円などに注目。3/19安値から3/25高値までの上昇幅を6/15安値から上げた24,735円にも近く、上昇継続の場合の重要なフシとなる。
一方、25日移動平均線の上昇が緩やかになりつつあり、依然として上放れにくい環境が続く。200日移動平均線(22,019円 同)の傾きも現在は横ばいで推移しているが、株価の上値の重さが続くようだと、まもなく下落基調に変わるネガティブな要因が増える点には留意したい。
パターンは異なるものの、今のようなもみ合い相場はコロナショックで急落する前にもあった。2019年12月〜今年2月まで続いたもみ合いのあと、2018年10月(24,270円)の高値水準を前に急落した経緯がある。今回も仮に200日移動平均線を下回るような動きになる場合、1月高値(24,083円)を前に比較的大きな下げにつながるだろう。
来週の注目銘柄(2020/9/28〜10/2)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、配当・優待権利付き最終日(9/28)、日銀金融政策決定会合の「主な意見」(9/16〜9/17開催分)(9/29)、8月鉱工業生産、8月商業動態統計、8月住宅着工統計(9/30)、9月日銀短観、9月新車販売台数(10/1)、8月失業率、8月有効求人倍率(10/2)がある。
企業決算では、しまむら、ハローズ、ハイデ日高、あさひ(9/28)、スギHD、DCM、ケーヨー、リプロセル、ハニーズHLD、ジャステック、ピックルス、ヒマラヤ(9/29)、ストライク、西松屋チェ、アダストリア、サムティ、フィードフォー、スターマイカHD、パイプドH、日本エンタ(9/30)、キユーピー、象印、ダイセキ、TAKARA&C、アヲハタ、キユソー流通、サンデー、ダイセキソリュ(10/1)、ニトリHD、トシンG、大有機、エスプール、TSI HD、瑞光、カネコ種、北恵(10/2)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米7月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米9月消費者信頼感指数数、第1回米大統領候補者討論会(9/29)、中国9月製造業PMI、中国9月非製造業PMI、中国9月財新製造業PMI、米9月ADP全米雇用リポート、米4-6月期GDP確定値、米8月NAR仮契約住宅販売指数(9/30)、ユーロ圏8月失業率、米8月個人所得・個人消費支出、米9月ISM製造業景気指数(10/1)、米9月雇用統計、米8月製造業受注(10/2)などがある。
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
1870 | 1,140 | 800 | 名古屋地区の大手、名鉄と密接。8月に発表した1Q(4-6月)の連結売上高は230億円(前年同期比31.0%増)、営業利益は20億円(同3.3倍)と堅調な着地となった。不動産の売買・賃貸事業、建設用資材販売事業、ゴルフ場経営事業などが増収に大きく貢献。株価は3月以降荒い値動きを伴いながら右肩上がりで推移しており、同決算を受けてさらに騰勢を強めている。一時は2年超ぶりの高値をつけるにまで買われており、足元のモメンタムの強さから今後も買いは向かいやすいと考える。ターゲットは1,140円、ロスカットは800円 | |
5017 | 250 | 170 | 石油精製専業で業界中堅。在庫影響による改善を見込むことで、今期の連結営業損益予想は48億円(前期は286億円の赤字)と黒字見通しとなっている。見通し発表後には株価は急騰。13・26週移動平均線を明確に上抜け、その後も値を保ってしっかりとした展開を見せている。原油相場も40ドル前後の底堅い推移を続けていることから、買い安心感を背景とした資金流入は今後も進むと考える。ターゲットは250円、ロスカットは170円 | |
6236 | 800 | 560 | 旧日本コンベヤ。1Q(4-6月)の連結売上高は29億円(前年同期比3.3%減)、営業損益はわずかながらの赤字と、新型コロナウイルスの経済への影響が懸念される中で底堅さを見せている。石灰石運搬設備、立体駐車装置設備などの受注が増加するといったポジティブな動向も見て取れ、逆境に強いビジネスモデルとあって株価は3月以降右肩上がりを維持。モメンタムの買い安心感から、リスク回避の買いを今後も呼び込みやすいとみる。ターゲットは800円、ロスカットは560円 | |
7940 | 1,040 | 720 | 壁紙、防虫網で首位。今期予想PERは8倍前後と低水準だが、同社には成長期待を高める材料が多く見られる。感染防止を目的とした透明ビニールカーテンの販売体制強化や、フェイスガードの発売開始、マスクを長持ちさせるグッズの直営ECサイトでの発売など、新型コロナウイルスの感染下において需要の高まる製品を多く提供。株価は8月以降横ばいが続いているものの、今後は業績拡大を期待した買いがじわじわと優勢化すると考える。ターゲットは1,040円、ロスカットは720円 | |
9624 | 1,700 | 1,200 | 建設コンサル上位で公共向けが大半。同社は2020年9月期の連結営業利益予想を従来の19.8億円から25.0億円(前期比13.9%減)に引き上げた。国内公共事業の受注増が寄与する。また、期末配当も40円から43円に修正。事前に期待が高まっていたことでリリース後は一時的に売られたものの、業績の底堅さを背景とした買い安心感から下値を拾う動きが活発で、株価はすぐに堅調さを取り戻した。足元では今年1月以来の高水準を回復しており、今期予想PER8倍弱という割安感から、今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは1,700円、ロスカットは1,200円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で9/23現在、時価総額が1,000億円以下、配当利回りが1.5%以上、PBRが1.0倍以下、PERが10.0倍以下の中から、テクニカル面や業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。