来週の株式見通し(2020/7/20〜7/22)
来週(2020/7/20〜7/22)の日経平均株価の予想レンジは22,800円-23,100円。東京株式市場は3日立会いの中、景気改善や企業業績の底入れ期待を背景に続伸が予想される。企業決算の発表が本格化するのは7月の最終週となるが、来週は期待先行による疑心暗鬼の買いがじり高の支えになるだろう。
年前半で大きく売られた鉄鋼や鉱業、不動産、空運などバリュー株への買い戻しが目立っているが、今後は銀行や証券、自動車株など指数寄与が高いバリュー株物色に移れるかが焦点となる。
一方、米国ではハイテク株主体の米ナスダックが高値更新後に不安定な動きになっている。米国では、IBM(7/20)やテキサス・インスツルメンツ(7/21)などが決算発表を予定しており、結果を通じて国内ハイテク株が押し目買いで下げ止まるかも相場全体の上昇には欠かせない。
海外投資家は7月第2週(7/6〜7/10)に日本株を現物と先物の合算ベースで5週ぶりに買い越した。年間でも7月は買い越しが増加する傾向にあり、欧米市場の崩れがなければ、来週も海外勢による資金流入に期待したいところだ。もっとも、日経平均の今の水準は過去の累積売買代金が多いため戻り売りも強く、海外投資家の参入なしには上値追いには無理があるといえる。
7/21には日本電産の決算発表が予定されており、先日の安川電機に次いで市場参加者の注目度は高い。マザーズ市場はIPOの空白期間となり、材料を手掛かりに再び動意付く銘柄が多くなりそうだ。
高値から調整色を強める上海総合指数はこの先不安定な動きが予想されるほか、東京では新型コロナウイルスの感染者が過去最高を更新しており、取引時間中の他市場の動向、ならびにコロナ関連ニュースなどには振らされやすい地合いは続く。ワクチン開発への期待感はつながっているものの、景気の停滞リスクや、経済活動の停止が再び拡大するかどうかの正念場にある。
日経平均株価(図表1)は10日移動平均線(22,598円 7/16)を挟んだもみ合いから上振れる兆候がみられる。いったん下落に転じた25日移動平均線(22,421円 7/16)も再び上昇に変わる可能性が高く、6/9に付けた高値(23,185円)が視野に入ってきたといえよう。RSI(9日)は60.3%(7/16)と強弱の分岐点である50%を上回っており、依然として過熱感は薄い。目先的には過熱ゾーンに向けて騰勢を強める展開が予想される。
一方、一目均衡表では遅行スパンが当時の株価と接するタイミングであり、上値を抑えられるか、株価を上回り好転につながるかの正念場にある。
相場の「三段上げ」とはよくいう言葉であり、「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」と上げの3つの間に下げ(調整)が2回入る5波で構成する。今の相場に当てはめると、3/25高値までの1回目の上昇に続いて、6/8高値までが2回目の上昇、現在は調整を終え、3回目の上げ相場に入っている可能性がある。2回目の下げは高値もみ合いになるケースが多い。以上の要因からも6月高値更新に向けて期待値が高まった局面である。
当面の上値のフシは、2/25の急落で形成したマド埋めの23,378円〜昨年11月高値レベルの23,600円処となる。6/9高値から6/15安値までの下げ幅の倍返し24,841円などにも注目。3/19安値から3/25高値までの上昇幅を6/15安値から同値幅上げた24,735円にも近く、上昇継続の場合の重要なフシとなる。一方、6/15安値を下回る場合は、ダブルトップ形成で調整シナリオが浮上し、21,000円や20,000円の心理的フシまで下落余地は拡大する公算が大きい。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2019/8/1-2020/7/16)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、日銀金融政策決定会合議事要旨(6/15〜16開催分)、6月貿易収支(7/20)、6月全国消費者物価指数(7/21)などがある。
企業決算では、アルインコ(7/20)、日電産、ディスコ、富通ゼネ、マクアケ、ナガセ、三谷産、日鋳造(7/21)、オービック、サイバエージ、OBC、ネットワン、航空電、ジャフコ、東製鉄、カワチ薬品、ゲンキードラ、KOA、サーティワン、岩井コスモ、トーメンデバ、JFE−SI、NTTDIM、モバファク、光世証、植松商、東邦レマック(7/22)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表は、米6月財政収支(7/20)、米5月FHFA住宅価格指数、米6月中古住宅販売(7/22)、米6月景気先行総合指数(7/23)、米6月新築住宅販売(7/24)などがある。
米企業決算では、IBM、ハリバートン(7/20)、コカコーラ、ロッキードマーチン、フィリップモリス、テキサス・インスツルメンツ(7/21)、マイクロソフト、ネクストラエナジー、バイオジェン(7/22)、インテル、トラベラーズ、ユニオン・パシフィック、ツイッター(7/23)、アメリカン・エキスプレス、ベライゾン・コミュニケーションズ(7/24)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/7/20〜7/22)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1808 | 1,800 | 1,100 | マンション建築首位。今期の通期営業利益予想は725億円(前期比15.6%減)と軟調な見通し。上期(4-9月)期間において不動産取扱量の減少を見込んでいる。ただ、株価は悪材料出尽くし感からしっかりとした値動きを見せている。今期予想PERも10倍を下回っており、割安感が続くことで買いはまだ続きそう。足元では26・52週移動平均線も明確に上抜けており、テクニカル的ポイントに注目した短期資金の流入も見込めるとみる。ターゲットは1,800円、ロスカットは1,100円 | |
2174 | 800 | 500 | M&A助言会社。日本株全体に盛り返しの動きがみられる中、同社の株価の反発の勢いは弱い。しかし、目先では景気悪化に伴うリストラクチャリングや企業再生案件が豊富で、受注環境はよさそう。今期予想PERも10倍前後と成長期待の織り込み度合いは弱く、今後は下値を拾う動きが活発化すると考える。ターゲットは800円、ロスカットは500円 | |
4208 | 2,400 | 1,500 | 1897年に採炭で発祥し機械、セメント、化学へ多角化。目先は成長期待が高まりやすそうだ。一部メディアで、同社がバイオ医薬品市場への参入準備を進めていると報じられた。医薬品などの原料となるたんぱく質の生産効率を高める細胞培養システムについて、これまでの基礎検証でヒトや動物の細胞に幅広く応用できることを確認しているという。投資家は依然新型コロナウイルスに向けた警戒感を持っており、半面、関連銘柄には買いが向かいやすい状況。同社にも長期的業績拡大を見越した資金流入が活発化すると考える。ターゲットは2,400円、ロスカットは1,500円 | |
5021 | 2,100 | 1,300 | 石油元売り大手を傘下に置く持株会社。OPECが発表した6月の加盟国の産油量は前月比7.8%減となり、関係筋によると「OPECプラス」の6月の協調減産順守率は107%だったという。目先では原油の減産期待が高まっており、原油相場の先高観が強まっている。足元のさえない株価動向もあり、今後は大幅上昇を期待した買いが向かいそうだ。ターゲットは2,100円、ロスカットは1,300円 | |
7181 | 1,900 | 1,200 | 生保最大級。今期予想PER7倍以下という割安感から、足元の株価には底堅さが見られる。米国債利回りの低下基調は一服の段階で、目先は運用環境の改善期待が高まりそう。13週移動平均線を上抜けており、今は26週移動平均線の上抜けも期待されているところ。順調な動向から上抜けの可能性は高く、今後はテクニカル的ポイントを評価した資金流入が株価を押し上げると考える。ターゲットは1,900円、ロスカットは1,200円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で7/15現在、時価総額が1兆円以下、PBRが1.5倍以下、PERが15.0倍以下、配当利回りが4.5%以上、信用倍率が5.0倍以下(7/10現在)、株価が10日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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