来週の株式見通し(2020/7/6〜7/10)
来週(2020/7/6〜7/10)の日経平均株価の予想レンジは22,000円-22,600円。東京株式市場は方向感に乏しい展開が予想される。主なパッシブ型 ETFで分配金支払基準日を迎え、配当金捻出のためのキャッシュ作りの売り需要が7,200億円程度発生するとの見方もある。外部環境次第という面はあるが、指数に及ぼす売りインパクトへの警戒が上値を抑える要因になる。SQなども週末に控えており、先物主導で上値追いの展開は想定しづらい。
財務省が7/2に発表した、非居住者(外国人)による対内株式投資によると、6/21〜6/27は差し引き4,944億円の処分超(資本流出)となり、3週連続の売り越しとなった。このところの株価低迷の要因といえるが、外国人は7月の月間ベースでは日本株を比較的買い越す傾向が強い。米主要指数の一角が決算発表を前に史上最高値更新といった強気材料もあり、簡単に下値を売り込める環境でもなさそうだ。指数のトレンドの効いた動きに期待しづらい一方、国内企業の決算発表が増加するため、決算銘柄への売買は活発化することが見込まれる。マザーズ銘柄の調整色が強くなっており、短期資金の迂回先となる可能性がある。
2020年の前半戦が終了した。図表1で前半戦の業種別株価の推移をみた場合、33業種のうち空運、海運、鉄鋼など成長期待は薄いもののPBRが低く割安感のあるバリュー業種が下位となった。バリュー業種には景気敏感が多く、新型コロナウイルスの拡大を背景に経済活動がストップし、世界的に景気後退が懸念される中で買いが入りづらかったといえよう。一方、しっかり値を保ったのが医薬、情報通信など成長期待のあるグロース業種。グロース業種にはワクチン開発や5G、オンラインビジネスの拡大などで恩恵を受けるという思惑が先行しやすく、3月以降の上昇が強かったことがうかがえる。
年後半も基本的にはグロース優位の構図は続くと思われる。ただ、短期的にはバリューへの見直し買い、いわゆるリターン・リバーサルの動きが予想される。バリュー株指数は6月だけでみても、調整・出遅れが目立ったが、既に3月の高値水準まで下落しており、そろそろ買われやすい水準にきている。7月後半から本格化する4-6月期の決算発表時期までは出遅れ感のあるバリュー優位の展開を想定したい。一方、最近では2016年、2018年の年後半で、長い間バリューが優位になる局面があったことからも、この先で景況感の改善が進めば、グロースに追いついていく展開も期待できる。
国内の経済指標では、5月景気動向指数(7/7)、6月景気ウォッチャー調査(7/8)、5月機械受注、6月工作機械受注(7/9)など。海外では、米6月ISM非製造業指数(7/6)が注目材料となる。
図表1:年前半の業種別指数の推移(2019/12/30-2020/6/30)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は10日移動平均線(22,332円 7/2)付近を意識し、方向感に乏しい展開となっている。引き続き、直近高値(23,185円)更新につながるか、直近高値からの二段下げパターンになるかの正念場が続く。10日移動平均線の上昇転換や、一目均衡表上では基準線が上昇するタイミングでも上に行けない状況であり、もみ合い継続を暗示する現象がみられる。
6月の月間の騰落率は1.8%と過去のアノマリー通りの小さな動きとなった。一時は23,000円台を回復しながらも終値で押し戻され、3月安値からの上昇の勢いが一服する格好となった。7月も騰落率が小さくなる傾向があり、200 日移動平均線(21,872円 同)を意識してのもみ合いが予想される。
月足では12カ月線、24カ月線、36カ月線が集中する21,800円水準の上方を維持しており、株価は好位置が保たれているといえよう。短期的にはもみ合いで売買代金も減少が予想されるが、日柄調整一巡後は上振れをメインシナリオにおきたい。
当面の上値のフシは、2/25の急落で形成したマド埋めの23,378円処、3/25高値から4/3安値までの下げ幅の3倍返しとなる23,400円処、昨年11月高値レベルの23,600円処となる。6/9高値から6/15安値までの下げ幅の倍返し24,841円などにも注目。3/19安値から3/25高値までの上昇幅を6/15安値から同値幅上げた24,735円にも近く、上昇継続の場合の重要なフシとなる。一方、6/15安値を下回る場合は、ダブルトップ形成で調整シナリオが浮上し、21,000円や20,000円の心理的フシまで下落余地は拡大する公算が大きい。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2019/8/1-2020/7/9)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、5月家計調査、5月毎月勤労統計調査、5月景気動向指数(7/7)、6月景気ウォッチャー調査(7/8)、5月機械受注、6月工作機械受注、地域経済報告(さくらレポート)(7/9)、オプションSQ、6月企業物価指数(7/10)などがある。
企業決算では、マニー、高島屋、ベルク、フジ、トーセイ、薬王堂HD(7/6)、イオンモール、U.S.M.H、サンエー、くら寿司、ハニーズHLD、TAKARA&C、フロイント、フェリシモ、Fブラザース、シリコンスタジオ(7/7)、イオン、ファミリーマート、ウエルシアHD、イオンFS、ディップ、ベル24HD、MV東海、MV西日本、ヨンドシーHD、サーラ、ファンタジー、ジーフット、天満屋ス(7/8)、ファーストリテイ、7&I−HD、ローソン、久光薬、SHIFT、島忠、乃村工、竹内製作、リソー教育、三協立山、クリーク&リバ、北興化、毎コムネット、ツインバード、小津産業、オオバ(7/9)、安川電、コスモス薬品、良品計画、アスクル、ライフコーポ、JINSHD、OSG、技研製、ローツェ、ニッケ、USENNEXT、プレナス、リテールPT、CSP、リンガハット、オンワードHD、ダイト、コシダカHD、丸善CHI、柿安本店、カネ美食品、トランザクショ、アレンザHD、キリン堂HD、明光ネット、ヤマザワ、イワキ、タキヒヨー、カンセキ、フィルカンパニ、プラズマ、イージェイHD、ワッツ、ブロッコリー、日本エンタ、システムインテ、トライステージ、jGroup、メディ工房(7/10)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表は、米6月ISM非製造業指数(7/6)、米5月消費者信用残高(7/8)、中国6月生産者物価指数、中国6月消費者物価指数(7/9)、米6月生産者物価指数(7/10)などがある。
来週の注目銘柄(2020/7/6〜7/10)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2975 | 1,770 | 1,200 | 中古区分所有マンションへ投資し賃貸、退去後に改装し売却の独自事業。同社の2020年11月期上期(12-5月)の営業利益は16.4億円と、従来計画の19.3億円を下回った。リノベマンション事業において新型コロナウイルス感染拡大に伴う事業環境の変化により、一部物件の引渡しがずれ込んだ。ただ、足元の株価は悪材料出尽くし感から底堅い動きを見せている。今回の計画下振れ要因は利益計上のタイミングのズレに過ぎず、さほど強く嫌気されるようなものでもない。足元では26週移動平均線が上値を抑えているが、今後は下値を拾う買いが株価をじわじわと押し上げるとみる。ターゲットは1,770円、ロスカットは1,200円 | |
4997 | 650 | 450 | 農薬専業大手。同社は2020年3月期通期の連結営業利益が従来予想の27.0億円を上回り、40.0億円(前期比2.2%減)になったようだと発表した。米国で新型コロナウイルス感染拡大による流通への影響懸念などを背景に3月後半から荷動きが早まり、翌期向けの在庫が前倒しで出荷され、販売が増加した。株価は5月下旬から大きく上昇したものの、足元では売り戻されていた。しかし、目先で市場の想定よりも堅調な業績ニュースが出てきたことで、今後は再度買い戻されると考える。ターゲットは650円、ロスカットは450円 | |
6264 | 1,400 | 980 | 液晶、半導体、太陽電池製造装置の精密部品加工業。同社の2020年8月期3Q累計(9-5月)の営業利益は6.3億円(前年同期比75.8%増)と大きく伸びた。半導体分野で新たな顧客を開拓したほか、従来顧客においても新規品種で受注が拡大。FPD(フラットパネルディスプレー)分野でも大型電子ビーム溶接関連の受注が好調に推移した。株価は5月中旬に26・52週移動平均線を上抜けたことで上値が軽くなり、足元で強い展開。今後もトレンドフォロー的買いが株価を押し上げると考える。ターゲットは1,400円、ロスカットは980円 | |
8218 | 3,600 | 2,500 | 新潟発祥の大手ホームセンター。国内大手証券は業績持ち直しの持続に期待するとし、投資判断「買い」を継続している。2020年3月期決算は想定通りハードルが低下する4Q(1-3月)から業績が持ち直し、わずかながら増収増益を確保。依然として株価は下方に調整しすぎていると指摘しており、粗利率改善・販管費圧縮などの収益体質改善が続く中、今後は見直し買いが継続して向かうと考える。ターゲットは3,600円、ロスカットは2,500円 | |
9972 | 300 | 210 | 包装、印刷関連など特殊産業機械の専門商社。同社の2020年11月期上期(12-5月)の連結営業利益は2.3億円(前年同期比8.6%増)と堅実な伸びを見せた。商社事業での苦戦で減収となったものの、コストコントロールを徹底したことが寄与。併せて上限5,000万円の自社株買いも発表しており、目先の株高観測は強い。株価は3月下旬から強い動きを継続しており、26・52週移動平均線を上抜けたことで上値も軽そう。増益と自社株買いに伴う買い安心感もあって、今後も買いは向かいやすそうだ。ターゲットは300円、ロスカットは210円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で7/1現在、時価総額が2,000億円以下、PBRが3.0倍以下、PERが25.0倍以下、配当利回りが1.2%以上、株価が10日・75日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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