来週の株式見通し(2020/6/15〜6/19)
来週(2020/6/15〜6/19)の日経平均株価の予想レンジは21,000円-22,100円。東京株式市場は不安定な展開が予想される。配当金の再投資を通じた資金流入期待や日銀によるETF買いが心理的な下支え要因になるが、メジャーSQを通過し需給面に多少の変化が生じる可能性がある。
全米経済研究所(NBER)は「2020年2月に景気後退入りした」と発表。FOMC(連邦公開市場委員会)では低金利環境の長期化が示されたことで、景気早期回復に対する疑念につながっている。新型コロナ感染拡大の第2波への懸念も強く、投資家は一斉にリスク回避姿勢に傾く公算が大きい。
為替市場ではドルが売られ、ドル円は107円を割り込み、国際優良株を中心とした大型株は手掛けづらい。NY原油市場も1バレル=40ドルのフシに達したことで調整が予想され、米国株の短期的な波乱要素となる。アメリカの市民運動の行方も、コロナ感染者の推移や大統領選挙に影響を与えうる材料として世界の投資家が注視している。
マザーズ市場はバイオ株を中心に活況を呈しているが、短期的には来週の動きがポイントとなりそうだ。図表1は、日経平均株価と東証マザーズ指数の相対指数である。相対指数の上昇は日経平均の優位を示す一方、低下はマザーズ指数の優位を示す。2016年半ば以降は日経平均優位のトレンドが続いたが、今回の新型コロナショックによる急落をきっかけに、急速にマザーズ指数優位のトレンドに変わっているのが確認できる。この先、拡大基調が続くバンドの下限に沿って動くとみれば、マザーズ指数優位の展開はしばらく続く見立てとなる。
トレンドライン(右肩上がりの赤の直線)を引くと、2本のうち下方のトレンドラインで下げ渋っているのが確認できる。つまり、ここから日経平均優位に転換するか、さらにマザーズ指数優位が強まるかの正念場にあるといえる。
主要な国内経済指標の発表では、5月貿易収支、5月訪日外客数(6/17)、5月首都圏マンション発売(6/18)などに注目。一方、海外では、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、中国5月都市部固定資産投資、米6月NY連銀景気指数(6/15)、米5月小売売上高、米5月鉱工業生産(6/16)、米6月フィラデルフィア連銀景気指数、米5月景気先行総合指数(6/18)など市場が注目する指標がたくさん控えている。
図表1:日経平均株価/マザーズ指数(2015/1/2-2020/6/10)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は過熱感を示すテクニカル指標を横目に上昇を続けてきたが、週後半から調整色を強める動きとなっている。RSI(9日)は過熱圏から6/11にピークアウト。10日移動平均線(22,630円 6/11)を下回って終えており、200日移動平均線(21,741円 同)前後に向けてスピード調整もあり得えよう。200日移動平均線を下回れば、21,000円の心理的フシまで下落余地は拡大する。さらには、75日移動平均線(20,147円 同)〜19,980円処なども重要な下値メドの水準となる。
一方、値幅調整・日柄調整一巡後は上昇に向かう公算が大きい。史上最高値を更新したナスダックが再び上昇をけん引する展開が想定される。当面の上値のフシは、2/25の急落で形成したマド埋めの23,378円処、3/25高値から4/3安値までの下げ幅(1,918円)の3倍返しとなる23,400円処、昨年11月高値レベルの23,600円処となる。
5月は過去のもみ合い期間の平均値を示す、24カ月移動平均線や36カ月移動平均線まで戻した。6月に入ってからは、その2つが重なる21,800円付近の水準を上回り上値を伸ばしている。月末の終値で上回った状況を維持できれば一段高が期待できるが、月後半に下落に転じ終値で上回れないと、7月以降は調整のシナリオが浮上する。6月は年間では分岐点にもなりやすく、終値には注目したいところだ。
長期的な動きでみると、2003年安値と2008年〜2009年の安値を二番底、18,000円処をネックラインとしたダブルボトムを形成している。年内は乱高下が続く可能性もあるが、足元までのV字波動の戻りは、長期ダブルボトムを形成したあとであるからこそ成せる動きであり、新しい上昇相場へ抜け出す最後の関門といえよう。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2019/8/1-2020/6/11)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、日銀金融政策決定会合(6/15〜6/16)、黒田日銀総裁会見(6/16)、5月貿易収支、5月訪日外客数(6/17)、5月首都圏マンション発売(6/18)、日銀金融政策決定会合議事要旨(4/27、5/22開催分)、5月全国消費者物価指数(6/19)などがある。
企業決算では、伊藤園、パーク24、アークランド、セルソース、3Dマトリックス、システムディ(6/15)、フェローテック、CACHD(6/16)、NTN、電業社、アーレスティ(6/17)、西松屋チェ(6/18)、凸版印、クミアイ化、ソフトウェアサー、ブシロード、フリービット、菊池製作、フルスピード(6/19)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表は、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、中国5月都市部固定資産投資、米6月NY連銀景気指数(6/15)、独6月ZEW景況感指数、米5月小売売上高、米5月鉱工業生産、米4月企業在庫(6/16)、米5月住宅着工件数(6/17)、米6月フィラデルフィア連銀景気指数、米5月景気先行総合指数(6/18)、米1-3月期経常収支(6/19)などがある。
来週の注目銘柄(2020/6/15〜6/19)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
3034 | 1,600 | 1,120 | 調剤薬局上位。同社は目先で業績拡大期待が大きく高まっている。直近で部屋を消毒するオゾン発生器を医療機関向けに発売したと報じられ、新型コロナウイルス対策関連として買いが集中。株価は6月に入って動意づき、75日移動平均線を上抜けた。もともと今期予想PERが10倍台前半と割高感がなかったうえ、出来高の膨らみもあって目先の買いは短期的にしぼむといったことはなさそう。今後も堅調な値動きが続くと考える。ターゲットは1,600円、ロスカットは1,120円 | |
4441 | 2,800 | 1,920 | 独自の抽出アルゴリズムを用い迷惑電話番号を自動的に拒否、警告するシステムを開発、提供。同社は足元で東証マザーズから同1部への市場変更を発表しており、流動性拡大や機関投資家による買い需要の拡大などが期待されている。加えて、事業面ではフィッシング詐欺のSMSを検知率99%の精度でフィルタリング可能とするサービスを発表。トップラインへの寄与が期待され、こちらも大きく好感された。株価は3月下旬以降強い勢いで上昇しており、モメンタムの強さもテクニカル的ポイントであり、買いを呼び込んでいる。地合いの改善が進む中、これら要素により、相対的に強いパフォーマンスを見せると考える。ターゲットは2,800円、ロスカットは1,920円 | |
4526 | 2,900 | 2,000 | 理化学研究所がルーツ。同社は新型コロナウイルスの感染拡大時、一時は大きく売られたものの、食品関連をメインに業績拡大への期待が高まり、株価は他の銘柄と比べて非常に強い勢いで3月下旬以降上昇してきた。内需・ディフェンシブであり、海外における経済活動停滞の影響を受けづらいという特性もリスク回避の資金を呼び込みやすかった。近年、減益基調が続いていたことで今期予想PERは16倍前後と平均的なものの、トップラインは堅実に伸びており、今後は成長期待の高まりからさらに買いが向かうと考える。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,000円 | |
4828 | 3,730 | 2,600 | ERP(企業資源計画)で自社製生産管理ソリューションなど扱う。業態としては地味ながら、新型コロナウイルスの影響を受けて人手に頼らない、または生産工程を効率化する動きが活発化するとの思惑から、3月以降株価はしっかりとした値動きを見せている。足元では26・52週移動平均線を上抜ける展開となっており、急落前の水準を試すことが予想される。ターゲットは3,730円、ロスカットは2,600円 | |
9629 | 5,900 | 4,100 | 公認会計士の有志が設立した独立系ソフトハウス。同社の2021年3月期通期の連結営業利益予想は20.3億円(前期比26.9%減)と減益を見込んでいるものの、従来型ソフトウエア、クラウドサービスなどが好調だったことで2020年3月期の営業利益は27.8億円(前期比2.2倍)と大幅増。市場はこれを好感する動きを示している。株価は3月以降堅実そのもので、安定した値動きには買い安心感もある。今期予想PERは20倍以上だが、グロース株も物色されるなど高めのPERも許容されるようになってきたことから、今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは5,900円、ロスカットは4,100円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で6/10現在、時価総額が1,000億円以下、配当利回りが0.5%以上、株価が10日・25日・75日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。