来週の株式見通し(2020/3/23〜3/27)
来週(2020/3/23〜3/27)の日経平均株価の予想レンジは16,000円-18,000円。東京株式市場は年度末相場を迎える。新型コロナウイルス「COVID-19」のパンデミック(世界的大流行)を受け、世界同時リセッション(景気後退)、世界同時株安の様相を呈している。株・為替市場ともに時間外のダウ先物や金利動向、アジア株など外部環境にらみで不安定な動きが続くが、来週は短期的な売られ過ぎの反動で反発基調となる公算が大きい。
今週はTOPIX(東証株価指数)が主導するかたちで反発する場面があったが、NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)の極端な低下を招く結果となっている。トヨタ自動車やソニー、JRなどに買いが続いた反面、日経平均採用銘柄では指数寄与度が高いファストリやソフトバンクGなどが売られる対照的な展開となった。TOPIXベースで買いを入れるGPIFや日銀のETF買いに便乗したヘッジファンドなども散見されたもようで、来週は逆のパターンなども想定しておきたい。過去、相場が反発する場面では相対的に日経平均が主導することが多かったことから、米国株の上昇で環境が好転した場合、日経平均採用の値がさ株の動向が注目される。
また、中小型の個別株ベースでは3月本決算銘柄への権利・配当取りの買いが意識されそうだ。足元の急落によって配当面で投資妙味が増した上場株は多く、外部環境が落ち着きを取り戻すような場面があれば、それらへの見直し買いが予想される。
一方、3/27の権利付き最終売買日や権利落ち日の3/30の寄り付き近辺では、大口投資家による「配当再投資の買い」が入る公算が大きい。配当金の実際の支払いは2〜3カ月程度先になるため、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を始めとする年金などは株式資産の目減り分をカバーするため、先物買いで代用する傾向がある。相場の地合いが悪い中、その買い需要を見越した短期筋の買いや、売り控えの行動が下値を限定的にする可能性はあるだろう。
日銀は3/16の政策決定会合でETF(上場投資信託)の保有残高を年間6兆円から12兆円、J‐REITを年間900億円から1,800億円に引き上げるなどの金融緩和策の強化を決定した。黒田総裁は当面の期間で買い入れを増加する意志を示していることからも、下落局面では下値を支える効果はあるとみられる。
国内の経済指標で重要度が高いものはなく、海外の経済指標やイベントでは、独3月Ifo景況感指数、米2月耐久財受注(3/25)、EU首脳会議予定(〜3/27)、米10-12月期GDP確報値(3/26)などが注目される。
日経平均株価(図表1)は下値模索が続いており、3/18には終値ベースで17,000円を割り込んだ。下げが一服するムードもあるが、5日移動平均線(17,346円 3/18)すら超えられない。TOPIX(東証株価指数)も3/18は大幅高になる場面があったが、終値で5日移動平均線下に押し戻される展開となった。
日経平均株価は2018年12月安値を下回ったことで崩れた感はかなり強い一方、東証1部の騰落レシオは45.5%まで低下(3/18)、日経平均株価は200日移動平均線からの下方かい離率が24.1%(3/18)と、2018年12/25(14.0%)当時よりも売られ過ぎの水準にある。3月SQ直後に安値を形成する「クセ」があるという点も、この乱高下の中でも忘れてはいけないアノマリーであろう。16,500円前後の下値固めから反発に転じることができるかが焦点となる。上値メドは、2018年12月安値18,948円前後が考えられる。月足の一目均衡表では抵抗帯(下限)のレベルでもあり、戻りのフシとなる重要な水準である。ほか、昨年8/6安値20,110円処が考えられる。
一方、多数の売られ過ぎ指標は散見されるが、トレンド転換を示すサインは出現していない。ダメ押しが生じる場合の下値メドは、16,000円前後、2016年安値の15,000円前後などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2020/3/18)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、2月企業サービス価格指数(3/26)、配当・優待権利付き最終日(3/27)などがある。
企業決算では、アークランド(3/23)、ハピネス&D(3/24)、オプトエレクト、セキチュー(3/26)、トシンG、出前館、ハニーズHLD、ジャステック、ミタチ、ニイタカ、ヒマラヤ(3/27)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントは、米2月新築住宅販売(3/24)、独3月Ifo景況感指数、米2月耐久財受注、米1月FHFA住宅価格指数 (3/25)、EU首脳会議予定(〜3/27)、米10-12月期GDP確報値(3/26)、米2月個人消費所得・個人支出(3/27)などがある。
米企業決算では、ナイキ(3/24)、マイクロン・テクノロジー(3/25)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/3/23〜3/27)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
1821 | 570 | 400 | PC(プレストレスト・コンクリート)橋と超高層マンションに強い準大手ゼネコン。同社の2020年3月期3Q累計(4-12月)の売上高は3,328億円(前年同期比9.3%増)と増加したものの、営業利益は182億円(同12.5%減)と減少した。建設需給や建設労働者のひっ迫などを背景に、資材・労務コストが損益を圧迫しているようだ。ただ、日本株全体の下落を背景に同社の株価も大きく下がっており、今期予想PERは5倍を下回る水準。20%を超える高ROE(自己資本利益率)体質や堅調な増収基調を踏まえると割安感は強く、今後は下値を拾う動きが活発化すると考える。ターゲットは570円、ロスカットは400円 | |
5480 | 1,900 | 1,300 | ステンレス専業大手。2020年3月期3Q累計(4-12月)の営業利益は50億円(前年同期比32.2%減)と軟調な着地となったものの、通期の85億円(前期比10.0%減)という見通しは維持しており、ここからの持ち直しには期待が高まる。足元では新型ウイルスの感染拡大に伴う世界景気見通しの悪化を受けて需要縮小の懸念が高まっているものの、直近では買い戻しの動きが見られており、過度な警戒感が後退する局面は近いと考える。もともとROEも改善傾向にあり、ファンダメンタルズ的にも評価ポイントがある中で、反発局面では強い動きを見せそうだ。ターゲットは1,900円、ロスカットは1,300円 | |
6218 | 1,040 | 720 | 自動車用工作機械とヤマハ発動機向け部品加工が柱。低PER銘柄として、今後は押し目買いが向かいやすいと考える。自動車・部品関連ということで、足元では新型ウイルスへの警戒感を背景に軟調となっている。しかし、2018年3月期以降の業績立て直し、特に利益水準の回復の勢いは強く、個別要因での大きな買い材料があるという点は総悲観な相場の中でも買いを集める要因となりそうだ。今現在3年超ぶりの安値水準にあるものの、今後は上記の要因によって買い戻しが優勢になると考える。ターゲットは1,040円、ロスカットは720円 | |
8090 | 680 | 470 | 昭和電工グループの中核商社。軟調な地合いが続く中でも、同社は3月中旬に2020年12月期通期の純利益予想を従来の16億円から27億円(前期比48.8%増)に引き上げると発表しており、好感された。固定資産譲渡に伴い、売却益を計上する。特別利益に関しては通常はさほど大きく好感されるものではないが、景気悪化が見込まれる状況の中では資産売却に伴う資金繰り改善などはポジティブに評価できる。2017年12月期から続く利益構造の改善基調も多少の買い安心感につながるとみて、今後は右肩上がりで推移すると考える。ターゲットは680円、ロスカットは470円 | |
9130 | 1,060 | 730 | 日本郵船系の外航海運会社。同社は今期の営業利益見通しを従来の17億円(前期比1.7%増)から16億円(同7.2%減)へと下方修正した。市況の悪化を背景に、一転して減益での着地を見越している。ただ、足元では株価が700〜800円のレンジで乱高下。新型ウイルスに対する懸念が相場を覆う中でも買い戻しの勢いが強まっている状況であり、またこういった状況自体がさらなる下値拾いも促進していくと考える。ターゲットは1,060円、ロスカットは730円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で3/18現在、時価総額が1,000億円以下、PERが10.0倍以下、PBRが1.0倍以下、13週移動平均線からのマイナスかい離率が10%以上ある中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。