来週の株式見通し(2020/2/17〜2/21)
来週(2020/2/17〜2/21)の東京株式市場は強含む展開が予想される。日経平均株価の予想レンジは23,600円-24,100円。米主要指数の高値更新や円安期待を背景に、日本株の持たざるリスクが浸透しつつある。依然として、売られ過ぎたリバウンド狙いの買いや好業績株などを選別物色する一部の市場参加者に限定されるが、次第に3月期末を見据えた配当・優待取りに着目した資金流入が予想される。
東証1部の騰落レシオ(25日)は2/13現在で83.2%と市場全体的には過熱感はみられない。日経平均株価の急ピッチの上昇による過熱感も、今週の日柄調整で幾分解消されており、一段高に向け外部環境がさらに好転に向かうかが焦点となる。
日米ともに決算発表が一巡し、マクロ動向に焦点が若干移りそうだ。国内の経済指標では10-12月期GDP速報値(2/17)、12月機械受注、1月訪日外客数(2/19)など。米国の経済指標では、米2月NY連銀景気指数(2/18)、米2月フィラデルフィア連銀景気指数、米1月景気先行指数(2/20)などが相場に影響を与えうる。
新型コロナウイルスの感染拡大に関する報道は上値の重荷とはなるが、景気認識の向上による米長期金利の上昇がさらなる円売り・ドル買いにつながれば、日経先物の買いを通じて騰勢を強める場面も想定される。2/17はワシントン誕生記念日で米国市場は休場。休場明けのダウ平均の動きを直近数年間でみると、連休明け後も短い期間ではあるものの堅調に推移するケースが多い。
日経平均株価(図表1)は1/27の急落で形成したチャート上のマド上限(23,755円)を埋め戻し、24,000円をうかがう動きとなっている。2/3の大幅安から一転して急反発となり、75日移動平均線(23,465円 2/13)や25日移動平均線(23,635円 2/13)上を一気に回復。年初来高値(24,115円)も視野に入ってきた。一目均衡表上では抵抗帯(雲)というフシなども上回り、再び転換線(23,385円 2/13)が基準線(23,445円 2/13)を上回る強気サイン直前にまで回復している。
RSI(9日)は74.1%(2/13)と強弱の分岐点となる50%を下から上抜ける格好となり、過熱ゾーンに向けて一段と騰勢を強める可能性がある。目先的には直近安値からの上昇に対する反動で上値が重くなる、ないしは反落調整の可能性もあるが、短期指標の好転を背景に年初来高値更新は十分にありえよう。日柄調整に入る場合でも、意識される下値水準は23,300円付近に切り上がった可能性がある。
上値メドは、(1)1/17高値24,115円、(2)2018年10/2高値24,448円、(3)2019年4/24高値から同年8/6安値までの下げ幅2,252円に対する倍返しとなるV計算値:24,614円、(4)1/17高値から2/3安値までの下げ幅1,340円に対する1.5倍返し:24,785円、(5)2018年10/2高値から同年12/26安値までの下げ幅5,500円を2019年8/6安値からの上げで当てはめた背反値:25,610円など。下値メドは、(1)2/5高値23,414円、(2)1/8安値22,951円〜2/3安値22,775円、(3)22,500円前後、(4)2019年4/24高値22,362円、(5)2019年9/19高値22,255円などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2020/2/13)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、10-12月期GDP速報値、1月首都圏マンション発売(2/17)、12月機械受注、1月貿易収支、1月訪日外客数(2/19)、1月全国消費者物価指数(2/21)などがある。
企業決算では、ブリヂストン、洋インキHD、清和中央、フィスコ(2/17)、トレンド、佐渡汽(2/18)、RED、AOITYO HD、JHD(2/19)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントは、独2月ZEW景況感指数、米2月NY連銀景気指数、米2月NAHB住宅市場指数(2/18)、米1月生産者物価指数、米1月住宅着工件数、FOMC議事録(1/28〜1/29開催分)(2/19)、米2月フィラデルフィア連銀景気指数、米1月景気先行指数(2/20)、米1月中古住宅販売(2/21)などがある。
米企業決算では、ウォルマート、デボン・エナジー(2/18)などが発表を予定している。
なお、2/17の米国市場はワシントン誕生記念日の祝日のため休場となる。
来週の注目銘柄(2020/2/17〜2/21)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1887 | 810 | 560 | 重機土工事が得意分野。建築事業において好採算工事の割合が低下したことを背景に、2020年5月期上期(6-11月)の営業利益は74.4億円(前年同期比34.3%減)と大きく減少した。ただ、今期予想PER7倍弱というもともとの割安感を受けて、押し目買いにより株価は持ち直しの動きが強く、2月に入ってからは右肩上がりが続いている。26週移動平均線のサポートも強く意識されており、悪材料の出尽くし感もあって今後も同線上でしっかりの展開を見せそうだ。ターゲットは810円、ロスカットは560円 | |
3548 | 1,330 | 920 | 若い女性向けの衣料、服飾雑貨のSPA。2020年2月期3Q累計(3-11月)の営業利益は39.4億円だった。通期の会社計画46.7億円に対する進ちょくは84.5%と堅調。この決算後に株価は急騰しており、市場での評価は上々となっている。利益確定売りの勢いも強く、急騰分の多くは既に吐き出されているものの、PERは13倍弱と割高感はないことから、ほとぼりが冷めた頃に徐々に下値を拾う動きが強まり、中・長期的には堅実な推移を見せると考える。ターゲットは1,330円、ロスカットは920円 | |
4992 | 830 | 580 | 全農系農薬専業大手。2019年11月期の営業利益は29億円(前の期比7.6%減)と減益となったものの、今2020年11月期の営業利益見通しは30億円(前期比3.4%増)と小幅な増加を計画している。利益水準こそ期によって多少ブレるものの、売上高に関しては安定成長を継続しており、トップラインの堅実さが株価の底堅さにつながっている。1月中旬以降は13週移動平均線のサポートも機能しており、良好なモメンタムがさらに買いを呼び込みそうだ。ターゲットは830円、ロスカットは580円 | |
5187 | 1,440 | 1,000 | 使い捨て医療器具メーカー。シリコン製カテーテルが主力で、中国の大連やベトナムで開発・生産も行っている。中国を中心に新型コロナウイルスによる肺炎感染が拡大する中で、市場では業績拡大期待が高まっている。株価は新年を迎えて大きく下落したものの、その後は右肩上がりを維持。もともとここ数年、売上高・営業利益ともに堅調な成長を続けていただけに、中国圏を中心にさらなる販売拡大への期待は今後も根強く株価を押し上げそうだ。ターゲットは1,440円、ロスカットは1,000円 | |
7211 | 550 | 380 | 日産の事実上傘下で再生加速。ドイツの検察当局が、同社がディーゼル車の排ガス検査の際に不正を行ったという疑惑に関連してドイツ国内の関係先10カ所を家宅捜索したと発表したことで、1月に株価は下落。その後も2020年3月期3Q累計の営業利益が36.3億円(前年同期比95.7%減)と大きく減少したことでさらに売られたものの、足元では悪材料出尽くし感から買い戻しの動きが優勢と見える。配当利回りが5%近くあるのも個人投資家の目に留まりやすく、押し目買いを促すと考える。ターゲットは550円、ロスカットは380円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で2/13現在、時価総額が8,000億円以下、PBRが2.0倍以下、配当利回りが2.8%以上、株価が10日移動平均線を上回っている中から、業績面や話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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