来週の株式見通し(2020/1/27〜1/31)
来週(2020/1/27〜1/31)の日経平均株価の予想レンジは23,400円-24,000円。国内企業の決算発表が本格化する。ハイテク企業や任天堂を中心に人気株の決算がたくさん予定されており、業績の底入れ期待が高まれば24,000円前後の上値の壁を突破するきっかけになるだろう。先物買い→裁定買い(割高になった先物を売り、現物を買う)が指数を押し上げる相場展開が予想される。また、中国本土市場が春節で休場となる。海外からの中国への資金流入が途絶えることから、アジア資金の一部が日本株に流入するかが注目される。
一方、米国株が高値から調整に入る場合、決算発表で材料出尽くしになりやすく、売り圧力が強まる銘柄が増えることが予想される。ドル円も円安が一服しており、米国株の堅調さが日本株上昇の担保になることに変わりない。
国内の経済指標では12月有効求人倍率、12月鉱工業生産指数(1/31)などに注目。海外の経済指標やイベントでは、独1月Ifo景況感指数(1/27)、FOMC(〜1/29)、米12月耐久財受注、米1月消費者信頼感指数 (1/28)、米10-12月期GDP速報値(1/30)、中国1月製造業PMI(1/31)などが重要である。
特に、米国の民間調査会社コンファレンスボードが発表する1月消費者信頼感指数(図表1)に注目である。消費者心理についての速報性や個人消費との関連性があり、株式市場との連動性も強い。足元は2000年以来の水準まで上昇しているが、昨年は改善と悪化を繰り返し、方向感がみられない。過去は株価との方向性がここまでかい離した局面はなく、2019年1月(120.2)の水準を下回ると、株安につながりかねない点には注意しておきたい。また、アップル、ユナイテッド・テクノロジーズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、マイクロソフト、フェイスブック、キャタピラーなど米企業決算が予定されており、米国市場の反応や日本株でも関連銘柄への波及がみられるかが注目ポイントになる。
図表1:米消費者信頼感指数の推移(1994/1-2019/12)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
当面の物色のポイントを考察した。例えば、東証33業種をPBR(株価純資産倍率)の高位・中位・低位で各11業種に分け、昨年からの合成チャート(図表2)をみると、高位PBR業種のパフォーマンスが相対的によいことがわかる。ただ、日経平均株価が2018年12月の急落後の反発がいったん終わり、調整した昨年3月は低位PBR業種や中位PBR業種が高位PBR業種にキャッチアップした経緯がある。
仮に今後、アメリカでハイテク株が調整した場合、電機や精密が入る高位PBR業種の下落によって、日経平均株価は調整色を強めるだろうが、昨年と同様、出遅れ感のある低位PBR業種や中位PBR業種の上昇の可能性はある。ただ、低位PBR業種に関しては値ごろ感がありますが、直近安値を下回っており、チャート面の判断では弱い。どちらかというと、昨年4月高値を上回っている中位PBR業種の方が上値余地はあるだろう。
図表2:高・中・低PBR業種の推移(2019/1/4-2020/1/17)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
中位PBR業種には具体的に何があるか。PBRの高い順に並べると、(1)化学、(2)その他製品、(3)空運、(4)電気・ガス、(5)建設、(6)機械、(7)卸売、(8)水産・農林、(9)倉庫運輸関連、(10)繊維製品、(11)非鉄金属となる。それぞれ単体でみると、株価の勢いやPBRの水準には差はあるが、この中でも昨年の3月〜4月に付けた高値を上回っている、建設、化学、機械、卸売(図表3)などは相対的に割安ではなく、割高でもない、売られ過ぎではなく、買われ過ぎでもない位置付けとして、しばらくは注目できるだろう。
割高や買われ過ぎは高値掴みが怖い、逆に、割安や売られ過ぎは悪材料で下げているから拾えない。つまり、消去法的に考えられるのが、中位どころということになる。実際、1/20の東京株式市場で業種別の上昇率上位をみると、1位は建設、2位は電気・ガス、3位は機械、4位は非鉄金属だった。
図表3:中位PBR業種で3月〜4月の高値を上回っている業種(2019/1/4-2020/1/17)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表4)は目先少し不安定さが出てきたものの、25日移動平均線(23,831円 1/23)を意識した動きとなっている。依然として、年初の急落から一気に持ち直したあとの高値もみ合いの範ちゅうといえよう。米主要指数には高値警戒感もあるが、現時点では短期指標の好転が続いており、トレンドフォローが基本スタンスとなる。
RSI(9日)はややピークアウト感はあるが、52.3%(1/23)と強弱の分岐となる50%以上を維持している。50%水準を下値に再び強いモメンタムにつながるかが焦点。月内に2018年高値(24,448円)更新の可能性は残っている。
短期的な上値メドは、(1)2018年10月高値24,448円、(2)昨年4月高値から8月安値までの下落幅2,252円に対する倍返しとなるV計算値:24,614円、(3)2018年10月高値から同年12月安値までの下げ幅5,500円を昨年8月安値からの上昇とみた背反値:25,610円など。下値メドは、(1)23,000円処、(2)昨年11月安値22,726円、(3)昨年4月高値22,362円、(4)昨年9月高値22,255円などが挙げられる。
2018年以降の東証1部の価格帯別累積売買代金を500円刻みでみると、23,000円以下の水準からは比較的多く積み上がっている。22,500円〜23,000円で170兆円程度、22,000円〜22,500円で190兆円程度、21,500円〜22,000円の水準では240兆円程度の売買代金をこなしており、強い下値のサポート帯になる。
図表4:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2020/1/23)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、12月企業サービス価格指数(1/28)、12月失業率、12月有効求人倍率、1月都区部消費者物価指数、12月鉱工業生産指数 、12月商業動態統計、12月住宅着工統計(1/31)などがある。
企業決算では、日東電、JSR、コーエーテクモ、松井証、マクニカ富士、高純度化、弁護士コム、信越ポリ、洋シヤタ、トランコム、KOA、岩井コスモ、タカラレーベン(1/27)、信越化、エムスリー、オービック、OBC、日立化成、リコーリース、SMK、マクアケ、栄研化、医学生物、東洋機械、航空電、キヤノンMJ、京阪神ビ、ディーエムエス、富通ゼネ、総メディHD(1/28)、ファナック、キヤノン、LINE、オムロン、NEC、アドバンテ、日立ハイテク、ミスミG、日立建、日野自、サイバエージ、スクリン、モバファク、サカイ引越、ヤマト、東エレデバ、イーブック、横河ブHD、FDK、日車輌、太平洋、コメリ、H2Oリテイル、PALTAC、ゼンリン、Vコマース(1/29)、東エレク、OLC、NTTドコモ、任天堂、中外薬、JR東海、三井住友、三住トラスト、京セラ、ANA、JR東日本、NRI、大東建、ゼオン、JPX、M&A、野村不HD、大日住薬、マンダム、ファンケル、MARUWA、日立金、M&Aキャピ、ニューフレア、日精工、富士電機、明電舎、マキタ、アンリツ、アルプスアル、スタンレ電、カシオ、ネットワン、アコム、野村HD、平和不、ヤマトHD、コナミHD、王将フード、日清粉G、JCRファーマ、特殊陶、小糸製、東電力HD、東ガス(1/30)、キーエンス、KDDI、みずほ、デンソー、アステラス薬、第一三共、日立、エーザイ、三和HD、豊田織機、TDK、東洋水産、小野薬、郵船、商船三井、清水建、日本ハム、LIXIL G、ジェイテクト、日通、ヤクルト、ALSOK、豊田合、山九、セリア、ミツコシイセタン、住友化、東映アニメ、コーセー、小林製薬、TOTO、ガイシ、大特鋼、オークマ、コマツ、住友重、エプソン、オリコ、京成、JR西日本、日立物、SGHD、JAL、関西電、SCSK、ワコールHD、日化薬、新明和、豊通商、りそなHD、ZOZO、三菱自、SBI(1/31)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、独1月Ifo景況感指数、米12月新築住宅販売(1/27)、FOMC(〜1/29)、米12月耐久財受注、米11月S&Pコアロジック・ケース・シラー・住宅価格指数、米1月消費者信頼感指数 (1/28)、米12月NAR仮契約住宅販売指数(1/29)、米10-12月期GDP速報値(1/30)、中国1月製造業PMI、米12月個人消費支出・個人所得、英国EU離脱予定(1/31)などがある。
米企業決算では、ジュニパーネットワークス(1/27)、アップル、ファイザー、3M、スターバックス、イーベイ、ロッキード・マーティン、ユナイテッド・テクノロジーズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ザイリンクス(1/28)、マイクロソフト、フェイスブック、ボーイング、マクドナルド、ゼネラル・エレクトリック、AT&T(1/29)、ビザ、デュポン、ベライゾン・コミュニケーションズ、UPS、コカ・コーラ カンパニー、アムジェン、イーライリリー、バイオジェン(1/30)、シェブロン、エクソンモービル、キャタピラー(1/31)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/1/27〜1/31)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2163 | 1,180 | 800 | 技術者派遣古参。2020年1月期3Q累計(2-10月)の売上高は52億円(前年同期比9.5%増)、営業利益は7億円(同15.5%増)と、今期の業績は堅調な印象だ。技術者派遣事業で派遣人数が増加したほか、稼働率も高水準で推移した。加えて顧客との単価改定も順調に推移し、技術者単価が上昇した。株価は昨年8月から緩やかな上昇が続いており、新年を迎えてさらに騰勢を強める段階。好調なモメンタムはさらに買いを呼び込みそうだ。ターゲットは1,180円、ロスカットは800円 | |
4423 | 2,600 | 1,800 | 光ファイバー網保有し、企業向け通信サービスを展開。丸紅系。外資系大手証券では、光る業績安心感、5Gにも期待と評価している。投資判断「買い」を継続し、目標株価も引き上げた。競争激化懸念が根強いモバイル銘柄に対し、都市部かつ法人向け固定通信サービスにフォーカスする同社の業績安心感が評価される局面が続く見通しとされている。株価は昨年5月以降堅調な推移が続いており、26週移動平均線の下値サポートも相まって今後も買いは向かいそうだ。ターゲットは2,600円、ロスカットは1,800円 | |
8007 | 2,600 | 1,800 | 重布から出発し、建材、物流資材、電子部品などへ多角化。今期予想PERは6倍台と割安感が強く、株価は昨年9月以降反発局面入りすることでバリュエーションの上方調整が足元で進んでいる。売上高自体は2017年度に大きく減収して以降、回復の局面に入ってはいるものの、増益のペースは緩慢。ただ、主力の建設資材関連分野で市場が堅調に推移するなど事業環境が良好となっており、底堅さを期待できる安心感はある。こういった点を踏まえ、今後もしっかりの展開が続くと考える。ターゲットは2,600円、ロスカットは1,800円 | |
9422 | 2,400 | 1,650 | 国内2位の携帯販売会社。2020年3月期上期(4-9月)の売上高は1,060億円(前年同期比14.6%減)とさえなかったものの、営業利益は53億円(同26.0%増)と大きく伸びた。これを受け、国内大手証券では業績の見通しを上方修正。独自のnexi系事業、LTV成績向上、端末価格の安定が寄与していると指摘しており、従来からの好調モメンタムもあって今後も買われやすいとみる。ターゲットは2,400円、ロスカットは1,650円 | |
9632 | 14,000 | 10,000 | 道路メンテナンスが主力。公共事業依存度が高い。東宝系。今期の利益成長は強いペースで、2020年1月期3Q累計(2-10月)の連結営業利益は33.0億円(前年同期比36.5%増)と大幅に伸びた。通期の会社計画38.3億円に対する進ちょくも86.0%と高く、計画上振れでの着地が期待できる。セグメントで見ると道路関連事業が好調。おまけに期末配当予想を50円から特別配当を含む290円(前期は140円)に修正しており、買い材料に豊富だ。それを反映して株価も非常に強い勢いを見せているが、今期予想PER10倍前後という割安感から、今後もトレンドフォロー的な買いが向かうとみる。ターゲットは14,000円、ロスカットは10,000円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で1/23現在、時価総額が2,000億円以下、PERが20.0倍以下、PBRが6.0倍以下、配当利回りが2.0%以上、株価が10日・25日・100日移動平均線を上回っている中から、業績面や話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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