来週の株式見通し(2020/1/14〜1/17)
来週(2020/1/14〜1/17)の日経平均株価の予想レンジは23,400円-23,900円。1/10に発表される米雇用統計に対する米国株式市場の反応にもよるが、年初の急落がダマシに終わる安堵感もあり、安定した動きが予想される。新興市場に上場する銘柄を中心に小型企業の決算発表が多くなり、騰落率の上位に顔を出すケースが多くなりそうだ。
一方、ドル円相場が再び109円台を回復していることも安心材料となる。年明けはハイテク株の上昇が目立ったが、非鉄や鉄鋼、銀行など出遅れバリュー株へ見直し買いが入るかが注目ポイントとなる。
JPモルガン・チェースを皮切りに米主要企業の10-12月期の決算発表が始まる。予想利益に対して割高に買われた株価のさらなる上昇には、決算サプライズが必要だ。12月の米ISM製造業景気指数は2009年6月以来の低水準まで落ち込んでおり、決算に対する米国株式の反応には注意したい。
日本企業の主に4−12月期決算発表も月後半からスタートする。10月〜12月までのマクロデータはさえない結果が続いており、過度な期待は禁物である。期待先行で買われた分だけ、株価はバリュエーション調整を強いられる公算が大きい。
物色は、割安ではなく、割高でもない、売られ過ぎではなく、買われ過ぎでもない銘柄や業種が有望とみる。例えば、東証33業種をPBRの高位・中位・低位で各11業種に振り分けた場合、中位業種の建設、化学、卸売、機械などからの銘柄選別も重要な局面だろう。
国内の経済指標で注目は、12月景気ウォッチャー調査(1/14)、12月工作機械受注、地域経済報告(さくらレポート)、11月機械受注(1/16)など。海外では、米1月NY連銀景気指数(1/15)、米12月小売売上高、米1月フィラデルフィア連銀景気指数(1/16)、米12月鉱工業生産、中国10-12月期GDP、中国12月鉱工業生産、中国12月小売売上高(1/17)などに注目が集まる。
2020年の東京市場は波乱含みのスタートとなった。昨年の米国市場をけん引した米半導体株指数(SOX指数)の200日移動平均線からの上方かい離率が20%を超え、過去に高値から反落に転じた過熱水準まで上昇していた。米国株全般の上値の限界だったことを示唆していたため、ある程度の高値波乱は想定済みだ。ただ、先行性のあるSOX指数の過熱警戒は米国株全体の調整を示唆している可能性はある。
日経平均株価(図表1)は25日移動平均線(23,623円 1/9)を下回り、75日移動平均線(22,935円 同)に接近する場面があった。1/8は75日線を前に下げ渋る足となったが、早期に25日移動平均線や10日移動平均線(23,657円 同)上を維持する動きをみせないと値幅調整が拡大するリスクが残る。現状は昨年11/21安値(22,726円)を下回っておらず、大きく崩れていない。
RSI(9日)は41.8%(1/9)と直近3日間でボトム形成の兆しだが、強弱の分岐となる50%を上回るまではダメ押しの可能性に留意する必要がある。
2018年以降の東証1部の価格帯別累積売買代金を日経平均株価の500円刻みでみると、22,000円〜22,500円で190兆円程度、21,500円〜22,000円の水準では240兆円程度の売買代金をこなしており下値のサポート帯のヒントになる。昨年8月安値から上昇した分の半値押し21,600円(終値ベース)までで下げ止まれば、早くて春先から再び上昇基調に入る展開が予想される。
当面の上値メドは、(1)昨年12月高値24,091円、(2)昨年4月高値から8月安値までの下落幅2,252円に対する倍返しとなるV計算値:24,614円、(3)2018年10月高値から同年12月安値までの下げ幅5,500円を昨年8月安値から上昇させた背反値:25,610円などが重要。短期下値メドは、(1)昨年11月安値22,726円、(2)昨年4月高値22,362円、(3)昨年9月高値22,255円などが挙げられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2020/1/9)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、11月経常収支、12月景気ウォッチャー調査(1/14)、12月マネーストック、12月工作機械受注、地域経済報告(さくらレポート)、第3回自動運転 EXPO(東京ビッグサイト、〜1/17)(1/15)、11月機械受注、12月企業物価指数(1/16)、11月第3次産業活動指数(1/17)などがある。
企業決算では、東宝、松竹、Sansan、マネフォワ−ド、クリエイトSDH、北の達人、TKP、トウキョベース、サーラ、タマホーム、日本国土、エスプール、キャンドゥ、パルGHD、ヨシムラフード、ハブ、DDHD、ドトル日レス、ラクトJPN、SFP、三栄建築、クリレスHD、霞ヶ関キャ、農総研、串カツ田中、バロック、メディアドゥ、サイバーS、UUUM、ウォンテッドリ、サインポスト、チームスピリト、リックソフト、サーバーワクス、ダイト、明光ネット、北興化、MORESCO、Gunosy、シンメンテHD、ロゼッタ、セラク、ベイカレント、RPA、古野電、anfac、識学、ユーピーアール、ライトオン、IDOM、SOU、ナルミヤ、モリト、プレナス、大庄(1/14)、不二越、ニッケ、シリコンスタシオ、川口化、川崎地質、アクトコール、マルカ、ノダ(1/15)、グランド(1/16)、津田駒、ネクスG、ティムコ、くろ工、協和コンサ(1/17)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、台湾総統選挙(1/11)、米12月財政収支(1/13)、米12月消費者物価指数(1/14)、米12月生産者物価指数、米1月NY連銀景気指数、ベージュブック(1/15)、米12月輸出入物価指数、米12月小売売上高、米1月フィラデルフィア連銀景気指数、米11月企業在庫、米1月NAHB住宅市場指数、米11月対米証券投資(1/16)、米12月住宅着工件数、米12月鉱工業生産指数、中国10-12月期GDP、中国12月鉱工業生産、中国12月小売売上高(1/17)などがある。
米企業決算では、JPモルガン・チェース、シティ・グループ、ウェルズファーゴ(1/14)、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ユナイテッド・ヘルスグループ(1/15)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/1/14〜1/17)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2693 | 600 | 457 | 独立系の中堅機械商社。欧州製の工具研削盤、測定機器と電子部品実装機の販売が収益柱。2019年12月期の第3四半期累計の営業利益は4.5億円(前年同期比11%増)。電子機器、工作機械事業において、東南アジア向けに販売が増加したほか、光電子装置事業で研究用および産業用レーザーなどが好調だった。量子コンピューター関連銘柄としても注目されており、話題が出るたびに物色されている。株価は昨年10月高値(633円)から急失速後、出来高が増える雰囲気もなくもみ合い相場が続いている。ただ、下値は堅く460円前後が意識されているようだ。出来高増加時には足が速くなる可能性が高く、ゆっくりと仕込みを意識したいところだ。ターゲットは600円、ロスカットは457円 | |
3328 | 1,600 | 1,180 | 主力は越境EC事業。ブランド品の宅配買い取りや国内外でのベンチャー投資・育成事業も展開している。2020年9月期の通期営業利益は30億円(前期比76%増)と大幅な増益を見込む。中核事業であるEコマース事業では収益力強化に取り組む。また、インキュベーション事業では注力カテゴリーである「コンテンツ」関連の取り組みを強化する。1月に成長戦略の加速やグループ全体での一体運営の実現を目指し、子会社であるデファクトスタンダードを完全子会社化する。今後のシナジーにも期待したい。株価は昨年11月高値(1770円)からの値幅調整が続くが、昨年9月〜10月のレンジまで押し戻された水準だ。短期指標の悪化は続くが、長期投資を意識して値ごろ感に注目したい。ターゲットは1,600円、ロスカットは1,180円 | |
3658 | 2,350 | 1,900 | 電子書籍配信が柱、漫画作品を充実化。ヤフーの子会社。2020年3月期上期の営業利益は3.7億円(前年同期比19.0%減)となった。減益は新規ユーザー獲得のための広告宣伝、既存ユーザー向けの販促活動などが要因。ただ、これは成長市場におけるシェアの拡大を図るべく、積極的な投資を推進したことによるものであり、過度に悲観する必要はないと考える。株価は1/7に5日移動平均線を上にブレーク。さらに、短期線が中期線を上回るゴールデンクロスを形成するとともに、勢いを示すRSI(14日)が50%の分岐水準を上回ってきたことから、強い動きになるとみる。ターゲットは2,350円、ロスカットは1,900円 | |
4316 | 1,150 | 874 | 鉄道など交通関連、位置情報、画像配信事業を展開している。2020年3月期上期の営業損益は5,100万円の黒字(前年同期は6,000万円の赤字)転換となった。全ての事業分野において前年同期比で増収増益。特に、ワイヤレス・イノベーション事業が大型案件を計上するなど売上総利益を押し上げた。 2019年10月には事業所内の一角に外部との電磁波を遮断した区画「デジラボ」を設け、国内外の様々な無線デバイスを検証するとともに、様々なビジネスモデルの企画・検討を行うと発表。こちらの進展も楽しみだ。株価は1/6に5日移動平均線と25日移動平均線をダブルで上にブレーク。また、勢いを示すRSI(14日)が50%の分岐水準を上回ってきた。ターゲットは1,150円、ロスカットは874円 | |
7748 | 6,470 | 5,180 | 半導体電子ビーム測定・検査装置専業。2020年3月期上期の営業利益は7.8億円(前年同期比75%増)と好調な着地となった。主力製品であるフォトマスク用CD-SEM「Zシリーズ」などを計画通りに売り上げたことが寄与した。受注についても順調に推移しているとのことから、下期業績にも期待できる。株価は順調に下値を切り上げる。昨年12月以降は高値もみ合いだが、今週の下振れ時も押し目買いで下げ渋った。高値もみ合いから一段高につながる展開を想定したい。ターゲットは6,470円、ロスカットは5,180円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で1/9現在、時価総額が200億円以下、PERが80.0倍以下、PBRが5.0倍以下、今期営業増益予想(日経予想)の中から、テクニカル面や話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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