来週の株式見通し(2019/12/23〜12/27)
来週(2019/12/23〜12/27)の日経平均株価の予想レンジは23,400円-23,800円。東京株式市場は年内6営業日を残すのみ。国内外の経済指標やイベントに目立ったものはなく、バリュー株とグロース株への日替わり物色や、出遅れ業種などへの目先の逆張り売買が中心となろう。クリスマスで休場となる市場が多いこともあり、アジア勢を含め海外投資家の売買が減少しそうだ。
ドル円相場が直近の高値圏で推移し、米長期金利(10年債利回り)は9月の安値以降で着実に短期底を切り上げている(図表1)。10年債利回りの直近高値は11/7に付けた1.966%。足元は再び1.9%台まで上昇してきており、バリュー株への物色が意識されやすい。ソニーや村田製作所など値がさハイテク株の一角で上値が重くなってきており、金利の動向次第ではバリュー物色が鮮明になる公算が大きい。10年債利回りは一目均衡表でみる上では雲(価格が雲を下回っていると弱気、上回っていると強気)を上抜け、トレンドが上昇に転じた可能性も高く、来週だけでなく長い目でみた来年の物色傾向を予測する上でのヒントになるかもしれない。
一方、トランプ米大統領に対する弾劾訴追案が米議会下院で可決された。上院での否決はほぼ確実視されているが、今まで明らかになっていなかった新たな情報が公開された場合に大きく動く可能性は否定できない。また、北朝鮮情勢も悪化していることは念頭に入れておくべきだろう。
来週の新規上場(IPO)は5社に減少する。IPOラッシュが一巡することで、今年の上場株へのセカンダリー投資や、小売企業を中心とした9-11月期の決算銘柄、テーマ性のある中小型株への反発狙いの買いに波及することが予想される。
注目の国内経済指標は、11月有効求人倍率、12月都区部消費者物価指数、11月商業動態統計、11月鉱工業生産など。海外では、米11月シカゴ連銀活動指数(12/23)、米11月耐久財受注(12/24)などに注目である。
図表1:米長期金利の年初からの推移(2019/1/2-12/18)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は24,000円台を回復し、昨年来高値(24,270円)にあとわずかに迫っている。5日移動平均線(23,968円 12/19)や10日移動平均線(23,685円 同)など短期指標の好転が続いており、トレンドフォローが基本スタンスとなる。
一方、相場のモメンタムをみるRSI(9日)は72.5%(12/19)と過熱ゾーンまで上昇。足元の相場を鑑みると水準自体は大したことはないが、8月以降の高値形成時に上昇した水準に到達できずに失速する場合、株価調整の先行サインになることが多い。8月安値を起点にカウントすると3段上げ目に入っている。3段上げ目は上昇の勢いが鈍ることが多く、上昇幅も比較的短く短期間に終わる傾向があるため注意が必要だ。今週は変化日(12/16-17)を含んでいる。
月足で2013年から振り返ると、強い相場でも9月から陽線が4カ月続いたことはない。今年は9月から陽線が3カ月連続となっており、12月は月末に向けて調整し陰線になることも考えられる。ただ、予想に反して12月も陽線が続いた場合、新しいトレンドに入るサインと捉えることができる。めったにない現象は相場基調の変化を示唆することもあるからだ。2012年8月〜2013年4月まで続いた9カ月連続陽線のように、2020年は意外高の可能性もあるだろう。
短期的な上値メドは、(1)8月安値を起点としたE計算値:24,400円、(2)11/8高値から11/21安値までの調整幅に対する倍返し(V計算値)となる24,456円、(3)昨年12月安値を起点としたV計算値:24,614円などが重要となる。下値メドは、(1)12/9高値23,544円、(2)12/4高値23,203円、(3)11/21安値22,726円、(4)4/24高値22,362円、(5)9/19高値22,255円前後などが挙げられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2019/12/19)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、日銀金融政策決定会合議事要旨(10/30〜10/31開催分)(12/24)、11月企業サービス価格指数(12/25)、11月住宅着工統計(12/26)、11月完全失業率、11月有効求人倍率 、12月都区部消費者物価指数、11月商業動態統計、11月鉱工業生産、日銀金融政策決定会合の「主な意見」(12/18〜19開催分)(12/27)などがある。
企業決算では、大光、あさひ(12/23)、しまむら、ストライク、ピックルス、ハピネス&D(12/24)、壱番屋、パルコ、象印、KTK、NaITO(12/25)、Jフロント、高島屋、スギHD、オプトエレクト、ハイデ日高、YE DIGIT、出前館、パレモ・HD、ミタチ、ニイタカ、WNIウェザー、瑞光、ナガイレーベ、TAKARA&C、オークワ、平和堂、セキチュー、タキヒヨー(12/26)、ニトリHD、DCM、アダストリア、トシンG、ソーバル、ハローズ、テクノアルファ、パイプドH、ERI HD、ヒマラヤ、タカキュー、ケーヨー、日プロセス、北恵(12/27)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、米11月シカゴ連銀活動指数、米11月新築住宅販売(12/23)、日中韓首脳会談(中国・成都)、米11月耐久財受注(12/24)などがある。
なお、12/25はクリスマスのため、主に米国、英国、香港市場が休場。 12/26はボクシングデーで英国、香港市場が休場となる。
来週は5社が新規上場予定。12/23は、同日上場が2社ある。カクヤス(7686)が東証2部に上場する。大正10年(1921年)11月創業の酒店。「なんでも酒やカクヤス」を中心に、酒類をはじめ食料品などを展開している。首都圏と大阪府では業務用センターを配置しており、料飲店の顧客に配達している。
都内では配達車もよく見かけ、目に付きやすいピンクのロゴでおなじみの酒店だが、国内の酒類販売市場は縮小しており成長イメージはわきにくい。公開株も売り出し主体の構成となっている。ただ、今期の配当利回りは3.28%あり、この水準なら下支え効果はいくらか働きそうだ。
同日に、global bridge HOLDINGS(6557)がマザーズに上場する。認可保育園やデイサービス運営。千葉県中心に東京23区や大阪にて保育施設、障害児用の放課後デイサービスや老人介護施設を運営しているほか、保育園運営管理システムを販売している。プロ向け市場からのくら替えでは2番目の案件。来期PERは6.6倍と低い。ただ買い疲れの心配されるラッシュ後半かつ既に海外勢は休暇入りしているであろう日程であり、落ち着いたスタートになるのではないか。
12/25は、WDBココ(7079)がマザーズに上場する。CRO(医薬品開発業務受託機関)中堅。理学系研究職派遣のWDBホールディングスの子会社。医薬品開発における代行、支援業務として「安全性情報管理サービス」を主軸に、「ドキュメントサポートサービス」、「開発サポートサービス」、「臨床開発支援サービス」を展開している。新味は特にないが成長市場で業績は順調に伸びており、基本的に公開価格割れリスクは低く、堅調なスタートになるとみる。
AI inside(4488)も同日にマザーズに上場する。AI(人工知能)によるOCR(光学式文字認識)サービス「DX Suite」を提供。ディープラーニング(深層学習)による手書き文字認識AIを開発しており、これを日々の業務で誰もが使えるようにするためのサービスとして、企業や官公庁に提供している。取引先は順調に増えており、収益も徐々にストック型部分の比率が上昇。売上高は急拡大している。クリスマス上場ということで既に海外勢不在のなかとなるが、テーマ性も高いことで短期筋を中心に人気を集めそうだ。
12/26は、スポーツフィールド(7080)がマザーズに上場。年内最後の案件となる。スポーツ人財の採用支援。現役体育会学生やスポーツ・競技経験のある社会人経験者や引退したアスリートと、スポーツ人財を採用したい企業とをマッチングさせている。
スポーツ人材に特化した例は上場企業にはなく珍しい。東京五輪を来年に控えた年内ラストの変わり種案件として注目を集めそうだ。希薄化後PERは20倍弱と人材関連としてはやや高めの評価ながら、既に来期期待を織り込む時期にもある。需給面にも問題ないことから、実力以上の注目を集めたスタートを切りそうだ。
来週の注目銘柄(2019/12/23〜12/27)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
2435 | 300 | 200 | デイサービス、有料老人ホームが2本柱の中堅。少子高齢化が叫ばれる中で有望視されつつも、株価は2018年2月から長らく軟調な展開を続けてきた。しかし、足元では底打ち感から反発の動きを見せている。上期営業利益は従来計画を上回る1.2億円。売上高の堅調な推移に加え、売上原価も抑えられており、継続的な利益成長への期待と、下値を拾う動きが今後も株価を押し上げるとみる。ターゲットは300円、ロスカットは200円 | |
2477 | 7,900 | 5,500 | 宿泊施設向け予約管理システム販売が主力。インバウンド需要を筆頭に宿泊提供側の需要が膨らむ中で、株価は長らく順調な推移を見せている。売上高、利益ともに堅調であり、実力の伴った株価上昇には納得感、安心感がある。今期1Q(4-6月)の営業利益も3.0億円(前年同期比50.4%増)と大きく増加。配当も増やしつつあり、買い材料が豊富な中で今後も買いが進みそうだ。ターゲットは7,900円、ロスカットは5,500円 | |
3917 | 1,800 | 1,250 | 集客、販促の「OtoO」施策支援展開。株価は9月から良好なモメンタムを形成している。加えて直近では将来的な業績拡大期待を高める材料が出た。10月には、フィンテック事業を展開する子会社がみずほフィナンシャルグループと「J-Coin Pay」を活用した新たなサービスについて協業すると発表。市場では案件の大型化が進むことで売上高が堅調に増えるとの見方も出ており、今後も株価はしっかりな動きを見せると考える。ターゲットは1,800円、ロスカットは1,250円 | |
4240 | 700 | 480 | 複合材料や微細加工技術を基に精密部品や成形碍子など展開。株価は米中貿易摩擦への警戒感が和らぐ中で、9月に動意づいた。足元では多少失速感が見て取れるものの、75日移動平均線がサポートとして機能し、買い安心感がある。売上高は2018年度から大きく伸び始めており、営業損益も黒字化へと好転。今後も業績成長期待のもと、買いは向かいやすいと考える。ターゲットは700円、ロスカットは480円 | |
4449 | 2,280 | 1,600 | 商品・サービスと交換できる電子チケット・eギフト発券・流通を一貫展開。今期の業績は堅調な推移となっている。2019年12月期3Q累計(1-9月)の営業利益が4.3億円と、通期の会社計画5.4億円に対する進ちょくは80.3%だった。国内大手証券では、eギフト市場のフロントランナーとして注目し、投資判断「アウトパフォーム」でカバレッジを開始。今後も資金は向かいやすそうだ。ターゲットは2,280円、ロスカットは1,600円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・マザーズ市場・ジャスダック市場上場銘柄で12/19現在、時価総額が500億円以下、PERが40.0倍以上、PBRが18.0倍以下、株価が5日移動平均線を上回っている中から、業績面や話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。