来週の株式見通し(2019/10/28〜11/1)
来週(2019/10/28〜11/1)の日経平均株価の予想レンジは22,700円-23,100円。国内外の金融イベントや重要経済指標の発表を控え積極的な売買は手控えられそうだが、ドル円相場の底堅さが日本株の押し上げ要因となる。国内企業の決算発表も多く予定している。弱い決算見通しなどで個別ベースで下げ幅が大きくなるものもあるだろうが、全体的には織り込み済み感が漂っており、相場全体への売り材料にはなりづらい。
ただ、11/1には米10月雇用統計、米10月ISM製造業景気指数が同日に発表される。そのため、週末に近づくにつれて寄り付き以降の値動きが小さくなる可能性があることや、外部環境次第では調整を迎える展開も想定される。
ドル円相場の動向が引き続き注目ポイントになる。109円にドル売りオーダーが控えており、同水準に近い200日移動平均線を超えれば目先の円安余地を探ることになる。9月日銀短観での大企業製造業の2019年度想定為替レートが108.68円であるため、109円台に乗せれば外需セクターには追い風となろう。
一方、半導体関連を中心にハイテク株に対する高値警戒感は強く上値が重くなりそう。そのため、東証1部では大手自動車株や銀行株を中心にバリュー株(低PER・PBR銘柄、高配当)が物色されやすいほか、出遅れ感のあるマザーズなど新興市場株が出直ってきている点には引き続き注目だ。
10/30から開催される日銀金融政策決定会合(〜10/31)では経済・物価情勢の展望で物価見通しを引き下げる公算が大きい。追加緩和への期待が現在の相場の堅調さにつながっているだけに、10/31に現状維持の場合は日経平均株価の下落要因になることや、翌日の米重要指標の発表、国内の3連休を前に買いが入りづらい。
海外では、FOMC(〜10/30)、米10月消費者信頼感指数(10/29)、米10月ADP全米雇用リポート、米7-9月期GDP速報値(10/30)、英国がEUからの離脱予定、中国10月製造業PMI、ユーロ圏7-9月期GDP(10/31)、米10月雇用統計、米10月ISM製造業景気指数(11/1)など注目材料が目白押しとなる。
第13回米中通商協議(10/10-11)での「部分合意」は、11/16-17のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に併せて開催される米中首脳会談での署名合意が計画されているもよう。一方、中国側は米国に対する報復関税を維持する限り年間500億ドル相当の米国産農産物の購入は難しいと警告、米下院の「香港人権・民主主義法案」可決に対する報復措置を警告しており警戒要因となる。
日経平均株価(図表1)は9/19高値(22,255円)や年初来高値であった4/24高値(22,362円)なども一気に上回る動きとなった後も底堅く推移している。反動安に警戒も必要だが、5日移動平均線(22,573円 10/24)を下値で意識して高値もみ合いが続いている。直近のローソク足で目立った形状は高値警戒感を示す「上ヒゲ」。ただ、10/23は「下ヒゲ」を形成しており、高値警戒が一段高期待に変わった可能性が高い。一目均衡表からみるとこれから転換線のさらなる上昇が期待できる局面でもあり、短期指標の好転持続を背景に強気スタンスを継続したいところだ。
8月安値(20,110円)を起点とした「N字波動(アルファベットのNのような動き)」、昨年12月安値(18,948円)を起点とした「N字波動」を形成している。一目均衡表の基本計算値を利用すると、8月安値を起点としたV計算値:23,234円、N計算値:23,421円、E計算値:24,400円。また、昨年12月安値を起点としたV計算値:24,614円、N計算値:23,524円、E計算値:25,776円などが値幅予測として挙げられる。出てきた数字の近い水準を平均すると、23,393円、24,507円などが上値メドになりやすい。例えば、23,393円という水準は、昨年10/10と10/11の間の窓埋め(23,373円)を意識するメドになりそうだ。
一方、直近の上昇過程でもチャート上に連続した「窓」を形成しており、過熱感もある。昨年5月から11月まで長いもみ合いを形成した上限付近の水準でもあるため、上値のフシとなることも想定される。5日移動平均線の上昇モメンタムが減速する局面でもあり、同線を強く下回る陰線を形成するような場合は目先の天井形成の可能性も出てくるだろう。近い下値メドは、9/19高値22,255円や7/25高値21,823円付近となる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2019/10/24)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、9月企業サービス価格指数(10/28)、10月都区部消費者物価指数(10/29)、日銀金融政策決定会合(〜10/31)、9月商業動態統計(10/30)、黒田日銀総裁会見、日銀が経済・物価情勢の展望(展望レポート)公表、9月鉱工業生産、9月住宅着工統計(10/31)、9月完全失業率、9月有効求人倍率、10月新車販売台数(11/1)がある。
企業決算では、ファナック、キヤノン、オリックス、JR東日本、JR西日本、JR東海、松井証、マネックスG、OBC、野村不HD、JSR、日立化成、大日住薬、アンジェス、オービック、弁護士コム、日立建、航空電、スタンレ電、関西電、特殊陶、日東電、ミスミG、Vコマース(10/28)、NTTドコモ、HOYA、オムロン、NEC、野村HD、ANA、カルビー、NSSOL、協和キリン、マンダム、日電硝、日立金、アサヒHD、新電工、GMOFHD、シマノ、日立ハイテク、コメリ、カプコン、セプテーニHD(10/29)、ソニー、OLC、三井物、コマツ、花王、アドバンテ、大東建、ヒューリック、インフォコム、エーザイ、JPX、塩野義、田辺三菱、東ガス、M&A、グリー、住友化、サイバエージ、ファンケル、ポーラオルHD、小林製薬、AGC、黒崎播磨、オークマ、ニューフレア、タダノ、日精工、明電舎、エプソン、アンリツ、アルプスアル、日野自、オリコ、大和証G、日立物、SCSK、オートバクス、マキタ、MARUWA、デジアーツ、太平洋、スクリン、SBI(10/30)、東エレク、村田製、京セラ、JT、任天堂、武田、第一三共、アステラス薬、キーエンス、三菱電、三菱重、デンソー、ALSOK、川重、TDK、ゼオン、小野薬、商船三井、CTC、アイシン精、日通、山九、ジェイテクト、トヨタ紡織、LIXIL G、ローム、東武、京成、豊田合、インフォマート、カゴメ、大陽日酸、コーセー、TOTO、住友重、セガサミーHD、富士電機、ヤマトHD、SGHD、JAL、コナミHD、ガイシ、JCRファーマ、イビデン、ZOZO(10/31)、伊藤忠、住友商、KDDI、NTTデータ、太陽HD、帝人、双日、三菱ケミHD、ダイセル、オカムラ、日清オイリオ、ハウス食G、ジョイ本田、TIS、宇部興、ISID、コニカミノルタ、日本製鉄、住友電、メガチップス、三菱食品、リコー、ヤマハ、阪急阪神、ミライトHD、ゼリア新薬、ヒロセ電、長瀬産(11/1)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標は、米9月シカゴ連銀活動指数(10/28)、FOMC(〜10/30)、米8月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米10月消費者信頼感指数、米9月NAR仮契約住宅販売指数(10/29)、米10月ADP全米雇用リポート、米7-9月期GDP速報値(10/30)、英国がEUからの離脱予定、中国10月製造業PMI、ユーロ圏7-9月期GDP、米9月個人消費支出・個人所得(10/31)、ラガルド氏がECB総裁へ就任、米10月雇用統計、米10月ISM製造業景気指数、米9月建設支出 (11/1)などがある。
米企業決算では、アルファベット、AT&T(10/28)、ゼネラル・モーターズ、ファイザー、メルク、マスターカード、アムジェン、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(10/29)、フェイスブック、ゼネラル・エレクトリック、アップル、スターバックス、モトローラ・ソリューションズ(10/30)、デュポン(10/31)、エクソンモービル、AIG、シェブロン、シーゲート・テクノロジー(11/1)などが発表を予定している。
新規上場では、10/28にセルソース(4880)がマザーズに上場する。再生医療支援ベンチャー。再生医療向けの脂肪由来幹細胞や血液由来組織の加工と法規対応サポート、医療機器販売のほか、自社開発化粧品や美顔器の販売を展開している。
10/29は、教育融合型人材紹介会社のジェイック(7073)がマザーズに上場する。主に従業員数300名未満の中堅中小企業に対し、フリーターや就職活動に苦戦する学生などの「就職ポテンシャル層」に教育の機会を与えたうえで紹介をする教育融合型の人材紹介サービス「カレッジ事業」を展開している。競合不在のなかで業績を拡大させている。現在対象年齢を30代に拡大させており、ニッチなブルーオーション企業としての成長が期待できそうだ。政府が支援を検討する就職氷河期世代は今のところ対象外だが、今後政策が打ち出された際には参入を検討していくという。人材紹介会社ということで見れば新奇性はそれほどでもないが、吸収金額は少なく初値はある程度高い水準に押し上げられそうだ。
10/30は、恵和(4251)が東証2部に上場する。高機能フィルムメーカー。小型液晶ディスプレー向けの光を均一に拡散させるプラスチックフィルム「オルパス」が主力。顧客ニーズに合わせた先端機能フィルムとソリューションを提供している。
11/1には、ダブルエー(7683)がマザーズに上場する。婦人靴のSPA(製造小売り)。婦人靴を中心とした自社商品の企画・販売に取り組んでいる。製造は中国で外部に委託。2019年9月27日現在、国内実店舗99店舗、国内EC(電子商取引)サイト7店舗、海外実店舗31店舗、海外ECサイト3店舗の計140店舗を運営している。中国向けの販売が多少目立つ以外は特に何の変哲もない業態。一方、業績は堅調に推移しており水準も新興市場としては高い。吸収金額に荷持たれ感があるものの、時価総額も200億円を超えており機関投資家の買いがあてにできそう。堅調なスタートが期待される。
来週の注目銘柄(2019/10/28〜11/1)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2317 | 2,130 | 1,470 | ソフト開発支援が主。国内大手証券では、来春新卒採用倍増・成長加速に注目するとして投資判断を中立から買いに引き上げた。第1四半期(4-6月)はPCハード増のミックス悪化を、増収効果と若手技術者の早期投入でカバー。関係者によると大規模な増員計画を確認したとしており、業績拡大へのアクセルの踏み具合は強い。2020年4月1日の連結社員数は前年同期比12〜14%増でスタートし、合わせて売上高の伸び加速ももたらすと考えられている。短期的な下げ止まり感もみられることで、今後は買いが向かいそうだ。ターゲットは2,130円、ロスカットは1,470円 | |
3687 | 2,000 | 1,400 | マルチコアプロセッサーの性能を向上させるソフト開発が主。2019年9月期の第3四半期累計(10-6月)の連結営業利益は9.9億円(前年同期比34.0%増)と好調な伸びだった。加えて、夏頃から同社は動きを活発化しており、AIソフトウエア開発マネジメントサービスの子会社設立、米国子会社による米コールドスプリングハーバー研究所向けのハイエンドGPUクラスターサーバーの提供、米ザイリンクス社とのFPGAアクセラレータボードに関するVAR(付加価値再販業者)契約の締結と、事業が進展している。株価も9月中旬から下げ止まりの展開となっており、買い安心感と今後の業績拡大期待から買われそうだ。ターゲットは2,000円、ロスカットは1,400円 | |
3878 | 1,270 | 880 | 半導体実装用テープや電子部品材料を手がける。直近では、9月に発売された「会社四季報秋号」に、「子会社製包装用紙テープがアマゾンで採用」との記載されており、これを受けて株価は急騰。その後一時利益確定売りに押される場面があったものの、13週移動平均線で下げ止まり、そして再度反発の動きを見せている。株価が急騰し、下落トレンドが止まったほか、13週移動平均線のサポートが確認されたことで買い安心感が出てきている。今後はしっかりの展開が続くとみる。ターゲットは1,270円、ロスカットは880円 | |
4974 | 2,900 | 2,000 | 遺伝子・再生医療研究用試薬や理化学機器販売が主。バイオ産業支援で品目別の売り上げ構成の変化などにより原価率が低下したほか、遺伝子医療で研究開発費が減少するなどし、2020年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は22.5億円(前年同期比45.8%増)と大きく伸びた。これが好感され、株価は8月に大きく上昇。その後、腫よう溶解性ウイルスC-REVのメラノーマとすい臓がんを対象とした臨床開発について、メラノーマを対象とした再生医療等製品の製造販売承認申請を取り下げると発表したことで、一転して急落。ただ、売りは長くは継続せず、10月からはまたじわじわと上昇してきており、底堅さが評価できる。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,000円 | |
9887 | 5,300 | 3,690 | 「牛めし」中心の定食店を展開。今期業績は堅調となっている。第1四半期(4-6月)の連結営業利益は12.7億円(前年同期比67.3%増)。新規出店のほか、既存店売り上げも順調に伸びてきている。また、固定費率と販管費率の低下も寄与。加えて同社は、新メニューの好調を背景に直近で上期(4-9月)の営業利益予想を大きく引き上げており、業績拡大期待は長期的に買いを呼び込みそうだ。ターゲットは5,300円、ロスカットは3,690円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部銘柄で10/24現在、時価総額が3,000億円以下、PERが30倍以上、今期増収予想(日経予想)、株価が5日移動平均線と20日移動平均線を上回っている中から、話題性、材料性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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