来週の株式見通し(2019/10/15〜10/18)
来週(2019/10/15〜10/18)の日経平均株価の予想レンジは21,600円-22,100円。東京株式市場は戻りを試す展開が予想される。テクニカル面の好転持続の中、バリュエーション重視の地合いが続きそうだ。今週業績を下方修正した安川電機のように設備投資関連に対する警戒感は残るが、日経平均の今期予想ベースのPERは12倍台前半で相対的に割安感があり、特に商社株や自動車株など低PER・PBR銘柄への下値買い意欲は根強い。
外部環境のきっかけ次第ではトレンドフォロー型のCTA(商品投資顧問業者)による先物買いが入りやすいほか、直近安値からの上昇相場の記憶も新しく、現物株に押し目買いを入れる投資家も増えそうだ。
第13回米中通商協議(10/10-11)の結果や米中関係にかかわる報道などで多少は振れるだろうが、上述したようにテクニカル面が好転しており下げる場面では押し目買いが優勢になりやすい。10/1から10/15に延期された対中制裁関税が再延期されればポジティブ視されそう。
米主要指数は不安定ながらも200日移動平均線上でもみ合いの範ちゅうだ。米連邦準備理事会(FRB)による保有資産拡大への期待感が浮上する中、来週から始まるJPモルガン、ゴールドマン・サックス、IBM、ネットフリックスなど米主要企業の決算が好感材料となれば、強地合いが持続する公算が大きい。一方、決算に対する織り込み済みの反応が続いた場合、相場全体の下押し要因になる。
経済指標の発表は特に米中が多く、市場の反応が注目される。中国9月貿易収支(10/14)、中国9月消費者物価、中国9月生産者物価、独10月ZEW景況感指数、米10月NY連銀景気指数(10/15)、米9月小売売上高、ベージュブック(10/16)、米10月フィラデルフィア連銀景気指数、米9月鉱工業生産指数(10/17)、中国7-9月期GDP、中国9月固定資産投資、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、米9月景気先行総合指数(10/18)などがある。
日経平均株価(図表1)は9/19高値(22,255円)を起点に調整局面にあるが、75日移動平均線(21,293円 10/10)をサポートに底堅い展開となっている。9/12に形成した上昇過程での「窓」を埋め戻したことで下落幅や調整期間が拡大する可能性もあるが、10/8高値(21,629円)超えや上方の「窓」を埋める動きがみられれば、反発基調を強める公算が大きい。当面は9/19高値を前にもみ合いが想定されるが、短期的には25日移動平均線(21,650円 10/10)が上昇基調にある間に、10/8高値を超えることが望ましいといえる。
10日移動平均線(21,602円 10/10)に上値を押さえられ、現在の水準でもたつくと25日移動平均線の下落転換から株価の一段安につながりかねない。4/24高値(22,362円)を起点に7/25高値(21,823円)を通る右肩下がりの抵抗線を突破した後の初期の揺り戻しであり、フシが集中する足元の水準からの反発に期待したいところだ。
日柄面では、昨年3月安値〜同年12月安値までの対等日柄が10/9であることや、6/4安値〜8/6安値までの対等日柄が10/10に到来するため、基調に変化が生じやすいタイミングである。
当面の上値メドとしては、7/25高値(21,823円)付近や、9/19高値(22,255円)、昨年10/10安値(23,373円)、昨年12月安値を起点としたN計算値23,524円付近などが考えられる。下値メドは、200日移動平均線(21,207円 10/10)や、一目均衡表の抵抗帯上限(20,966円)、9/5安値(20,787円)、昨年12月安値(18,948円)を起点に8/6安値(20,110円)を通る右肩上がりの下値支持線上などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2019/10/10)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、8月第3次産業活動指数、家電の国際見本市「CEATECジャパン2019」(〜10/18、幕張メッセ)(10/15)、9月訪日外客数(10/16)、9月首都圏マンション発売(10/17)、9月消費者物価指数(10/18)がある。
企業決算では、松竹、Sansan、TKP、トウキョベース、ヴィレッジV、ヨシムラフード、北の達人、PCNET、ドトル日レス、ラクトJPN、プロパスト、農総研、バロック、U&C、ロコンド、ジースリーHD、メディアドゥ、サイバーS、アクロディア、ウォンテッドリ、マネフォワ−ド、サーバーワクス、市進HD、Gunosy、ベクトル、アクトコール、ロゼッタ、セラク、ユーピーアール、SOU、大庄(10/15)、フェスタリアHD(10/16)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標は、中国9月貿易収支、ノーベル経済学賞発表、IMF・世銀年次総会(〜10/20 ワシントン)(10/14)、中国9月消費者物価、中国9月生産者物価、独10月ZEW景況感指数、米10月NY連銀景気指数、米が「対中関税第1〜3弾」の税率引き上げ(25%→30%)予定(10/15)、米9月小売売上高、米10月NAHB住宅市場指数、ベージュブック(10/16)、EU首脳会議(〜10/18)、米9月住宅着工件数、米10月フィラデルフィア連銀景気指数、米9月鉱工業生産指数(10/17)、中国7-9月期GDP、中国9月固定資産投資、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、米9月景気先行総合指数(10/18)などがある。
米企業決算では、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン(10/15)、バンク・オブ・アメリカ、アボット・ラボラトリーズ、IBM、ネットフリックス(10/16)、ハネウェル・インターナショナル、スナップオン、モルガン・スタンレー、フィリップモリス、ユニオン・パシフィック(10/17)、アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラ(10/18)などが発表を予定している。
新規上場では、10/18に浜木綿(7682)がJASDAQスタンダードに上場する。中国料理専門店。1967年2月に名古屋市瑞穂区で個人経営として創業し、翌年2月に多店舗展開するため株式会社化した。主力である家族の集いなど大人数向けの「浜木綿(はまゆう)」のほか、全室個室タイプの「四季亭」、少人数顧客向けの「桃李蹊(とおりみち)」――の3業態を東海地方を中心に展開している。地元名古屋では結構有名な高級中国料理店のようだが、人件費や食材のコストアップに加えて軽減税率の導入で外食回避の動きが警戒されるなか、地元民以外の関心を引き寄せるのはなかなか難しそう。ただ需給不安が生じるようなサイズではなく、PERも低いため、それなりの健闘は見込めるか。
一方、同日にワシントンホテル(4691)が東証2部に上場する。ビジネスホテルの運営。当時百貨店だった丸栄ほか中部財界からの出資を受け1961年5月に設立された。ホテル数は2019年8月末現在42カ所。2019年3月期のグループ全館の客室数は9118室、ADR(平均客室単価)は6,317円、稼働率は78.6%だった。
ホテル不足が既に懐かしい響きになったうえ、足元では中国景気の減速と韓国人旅行客の減少でホテルセクターは株もリートもさえない。ホテル事業所数は2004年3月期以降、頭打ちからの減少傾向に陥っており、経常利益は連結開始前から数えて3期連続の減少予想。PERに割安感はあり優待効果にも期待したいところだが、権利取りまでは長く上値は重そうである。
来週の注目銘柄(2019/10/15〜10/18)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1805 | 1,550 | 1,080 | 土木主体の老舗。2018年夏頃から株価の低迷が続いているものの、今年の夏頃には下げ止まりが見られ、足元では13週移動平均線を上回る値動きを見せている。下落が続いてきたことを背景にバリュエーションは今期予想PERが5倍台、PBRが0.6倍と割安感が強く、高値警戒はまだまだ先だろう。直近ではロゼッタと建設業向け多機能ハンズフリーシステムの製品化に向けて共同開発を開始しており、ITを活用した業務効率化にも期待が膨らみそうだ。ターゲットは1,550円、ロスカットは1,080円 | |
7231 | 2,550 | 1,760 | 商用車ホイール、建機用履板で国内首位。2020年3月期1Q(4-6月)の連結営業利益は11.4億円(前年同期比56.1%減)と、大幅な減益となった。建設機械用足回り部品の販売数量減少が響いた。これを受け、株価は急落。しかし、その後は悪材料の出尽くし感から買い戻しが向かっており、買い安心感のある値動きが続いている。バリュー株としての魅力も評価され、資金流入はまだ継続するとみる。ターゲットは2,550円、ロスカットは1,760円 | |
7236 | 2,500 | 1,700 | 自動車・建設機械メーカー向けにラジエーターなど熱交換器を製造。景気敏感が色濃い同社だが、株価の低迷が続いてきたことを背景に、米中貿易摩擦を要因とした売りは相対的に少ない状況となっている。紆余曲折しながらも米中両国は徐々に妥結に向かっており、その流れの中で資金流入が期待できる。今期会社ベースの株式益回りも約12%と高水準なので、割安さに注目した買いも向かうだろう。ターゲットは2,500円、ロスカットは1,700円 | |
7414 | 1,780 | 1,200 | 鋼材、建設機材の専門商社。株価は昨年から下落が継続してきたものの、9月にはそれまで長らく下回ってきた13週移動平均線を上抜ける強い動きを見せており、チャートの変調がうかがえる。日足でも25日・75日移動平均線を上抜けており、こうしたテクニカルポイントに着目した買いは今後も続きそうだ。近年の増益基調も買い安心感を出すポイントとして評価されそうだ。ターゲットは1,780円、ロスカットは1,200円 | |
8586 | 3,000 | 2,070 | 2016年5月に三菱UFJグループと資本提携。英米、中国、アジアなど海外営業資産比率が高い。株価は8月から非常に強い動きを見せている。市場予想では今期は増収・大幅増益が見込まれており、低いバリュエーションもあって業績拡大期待を背景とした買いはまだまだ向かいそう。海外での資産比率が高いので海外リスク要因に左右されやすいという面はあるものの、米中が徐々に歩み寄りを見せる中で、リスク回避も弱まっていくとみる。ターゲットは3,000円、ロスカットは2,070円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部銘柄で10/10現在、時価総額が3,000億円以下、PBRが1.0倍以下、PERが10.0倍以下、配当利回りが4.0%以上、株価が10日・25日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、材料性などを総合的に考慮 してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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