来週の株式見通し(2019/8/26〜8/30)
来週(2019/8/26〜8/30)の日経平均株価の予想レンジは20,500円-21,000円。東京株式市場は外部環境の落ち着きを受けて底堅い展開か。米ジャクソンホール会合でのパウエルFRB(連邦準備理事会)議長の講演(8/23)に反応する、米国株式市場や為替市場の動向を織り込むことから始まる。
ドル円の水準や米中貿易摩擦による今後の悪影響を踏まえると、業績期待による買いは期待できない。ただ、東証1部の騰落レシオ(25日)は86.6%(8/22)と過熱感がなく、待機資金を温存している投資家は多い。米主要指数であるS&P500やナスダックは史上最高値を前に調整を入れているが、ジャクソンホール会合をきっかけに再び高値更新に向かえば、日経平均株価の21,000円超えをサポートするだろう。ドル円も目先的には107円台前半までの円安余地があるとみられる。
一方、米中通商協議は9/1からの対中制裁関税第4弾の発動と中国による報復措置に要警戒となる。さらに、トランプ米大統領が「米国・香港政策法」を背景に香港問題を交渉カードに持ち込み、習中国国家主席は「反テロリズム法」を背景に武力鎮圧を示唆していることで、難航・決裂が警戒されている。
物色面では、相変わらずリターンリバーサル(株価は下がればいずれ反発し、上がればいずれ下落する傾向を狙った戦略)志向が強く、8月相場で出遅れ業種である鉄鋼、海運、非鉄株などに注目だ。また、決算発表で売りこまれた主力大型株には配当利回りが4%〜5%程度で推移しているものが目立ってきており、9月の中間決算を意識して仕込めるタイミングではないだろうか。
日経平均株価(図表1)は底堅い展開が続く。米国株式が下げた直後の取引で売り先行となるものの、終値は陽線で終えるケースが目立つ。目先的には8/9高値(20,782円)を超えられるかがポイントとなる。超えることができれば、8/6安値(20110円)と8/15安値(20,184円)とでミニ二番底が完成することになる。2012年安値水準を起点に2016年安値を通る右肩上がりの長期上昇トレンドライン上での動きになるため、その後は短期的に反発基調を強める公算が大きい。
12/26安値を起点に6/4安値(20,289円)を通る右肩上がりの上値抵抗線(1)を一気に上回る戻りがある場合は強気継続と判断したい。依然として下落基調が続く200日移動平均線(21,286円 8/22)超えや、4/24高値(22,362円)を起点に7/25高値(21823円)を通る右肩下がりの上値抵抗線(2)までで頭打ちが予想されるものの、その後の底固めにつながる可能性が高まる。この場合の波動パターンは、上値抵抗線(2)と下値支持線(1)の間でもみ合いが想定される。
一方、6/4安値をすでに下回ったことで、4/24高値からの逆N字波動(下げの三波動構成)で下落基調が続くことも考えられる。目先的な戻りが上値抵抗線(1)に届かずに10日移動平均線(20,570円 8/22)などを下回る場合、4/24高値から6/4安値までの下げ幅を7/25高値から下げたN計算値19,750円前後、6/4安値から7/25高値までの上げ幅に対する倍返しの下げとなる18,755円前後まで下落余地が拡大する可能性が高まる。
日柄分析では、昨年12月の戻り高値〜4月高値までの「79」日を4月高値から先の期間で当てはめた8/22前後、昨年1月高値〜10月高値までの「173」日を昨年12月安値からの期間で当てはめた9/13前後が変化日として重要となる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/7/2-2019/8/22)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、7月企業サービス価格指数(8/27)、7月完全失業率、7月有効求人倍率、8月都区部消費者物価指数、7月商業動態統計、7月鉱工業生産、7月住宅着工統計(8/30)がある。
企業決算では、エイチ・アイエス(8/28)、パーク24、菱洋エレク(8/29)、東和フード、ACCESS、共和工業、内田洋、アインHD(8/30)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標は、独8月Ifo景況感指数、米7月シカゴ連銀活動指数、米7月耐久財受注(8/26)、米6月FHFA住宅価格指数、米6月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米8月消費者信頼感指数(8/27)、米4-6月期GDP改定値、米7月NAR仮契約住宅販売指数(8/29)、米7月個人消費支出・個人所得(8/30)などがある。
米企業決算では、ティファニー(8/28)、ダラー・ツリー、ベストバイ(8/29)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2019/8/26〜8/30)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
1808 | 1,450 | 1,000 | マンション建築首位。株価は長期に渡ってさえない動きが継続している。これに伴ってバリュエーションも低下しており、現在今期予想PERは5倍台、PBRも1倍を割り込む水準となっている。ただ、今後は下値を拾う動きが強まりそうだ。ROEは安定して20%以上という高水準をキープしており、前述の低PERも相まってファンダメンタルズ目線でのうま味が目立つ段階だ。今後は買いが優勢化するとみる。ターゲットは1,450円、ロスカットは1,000円 | |
6113 | 1,400 | 980 | 金属加工機械の総合メーカーで世界首位級。今期の業績は芳しくない状況だ。1Q(4-6月)の連結営業利益(IFRS基準)は47.3億円(前年同期比21.6%減)と、減益での着地。金属加工機械事業での海外板金部門で、米中における通商問題の激化による設備投資に鈍化が発生し、ネガティブに響いた。ただ、株価はというと1,000円を心理的節目に買い戻しの動きが強まっている。もともと業績は近年拡大基調が続いてきただけに、底打ち感からの今後の反発の動きは強いと考える。ターゲットは1,400円、ロスカットは980円 | |
6724 | 1,820 | 1,250 | インクジェットプリンタ(IJP)国内首位級。1Q(4-6月)の連結営業利益(IFRS基準)は34.3億円(前年同期比74.6%減)と大きく減少した。通期の会社計画600億円に対する進ちょくはわずか5.7%で、株価は急落。5年超ぶりの安値を更新した。ただ、悪材料出尽くしによる下値拾いの買いも見受けられる。おまけに直近では部品組み立てラインなどで使用する新型搬送ロボットシステムを開発したとの報道もある。減益幅が大きかったのですぐにとはいかないだろうが、中期的には業績回復・拡大期待の高まりから資金が回帰するとみる。ターゲットは1,820円、ロスカットは1,250円 | |
7236 | 2,300 | 1,600 | 自動車・建設機械メーカー向けにラジエーターなど熱交換器を製造。今期の業績見通しは、営業利益予想41.0億円(前期比19.5%減)と弱い。弱気な見通しの背景にあるのは国内需要の低迷や米中摩擦による関税引き上げの影響などだ。ただ、株価はそれ以上に過小評価されているように考えられる。今期予想PERは7倍、PBRは0.3倍前後と非常に低水準だ。近年のトップラインの伸びと増配基調を踏まえれば売られすぎ感が強く、今後は見直し買いが徐々に強まるとみる。ターゲットは2,300円、ロスカットは1,600円 | |
8133 | 1,030 | 710 | 伊藤忠系のエネルギー商社首位。株価は2017年10月のピークを過ぎて以降、弱い値動きが継続している。ただ、業績は足元で堅調だ。2019年度に売上高は急増。利益水準も近年は上昇してきており、株価とは裏腹に堅実さが目立つ。加えて再生エネルギー事業への注力により将来的な成長シナリオも比較的鮮明だ。海外経済の鈍化懸念が高まる中で安定性の高いビジネスモデルを運営しているという点も魅力になりやすいと考え、今後は買い戻しが向かう公算が大きいとみる。ターゲットは1,030円、ロスカットは710円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部銘柄で時価総額が8/22現在で7,000億円以下、PERが12.0倍以下、PBRが1.0倍以下、配当利回りが4.0%以上、株価が25日移動平均線を下回っている中から、業績面、話題性、材料性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。