来週の株式見通し(2018/3/26〜3/30)
来週(2018/3/26〜3/30)の日経平均株価の予想レンジは20,300円-21,300円。東京株式市場は年度末の週となる。連邦公開市場委員会(FOMC)のイベントをほぼ無反応で通過したことで、短期的には円高が和らぐ材料に乏しく、株式市場も不安定な動きが続きそうだ。日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)ともに200日移動平均線を下回り、戻る場面では上値のフシとして意識されやすい。米国株式市場も次第に上値が重くなっており、ダウ平均やナスダックなどがよほど大幅に上昇しない限りは、日本株の戻りも限定的か。
一方、業績に比較的安定感がありそうなインバウンド関連株や高成長、高配当株への選別物色が増えてきそうだ。3/27に予定されている佐川前国税庁長官の証人喚問が手控え要因にはなるが、当日は権利付き最終日に相当することで外部環境に波乱がなければ、需給環境は悪くはなさそう。持ち合い解消の売りが一巡したことに加え、公的年金などによる配当再投資の大口買いがTOPIX先物に入ることが予想されることや、年度末のドレッシング買い(お化粧買い)期待もある。
円高基調が進む中、翌週発表の日銀短観での大企業製造業の想定為替レート水準なども気になるところだが、新年度相場に向けて需給改善期待は強い。前回も指摘したように、海外投資家は例年4月1週から現物株に買いを入れる傾向がある。特に今年は3月1週まで9週連続で日本株(先物・現物合算ベース)を7兆8,600億円程度売り越しており、4月はその反動による買い戻し期待などが心理的な支えとなる。
月初の日経平均株価は大幅安となり、2月まで続いた月初高のアノマリーは20カ月連続で途絶えた(図表1)。ただ、4月も月初高の要因のひとつとされている毎月積み立て型投資信託の買い付けが予想される。また、3月は2月に比べ全般的にボラティリティが低下したため、2月の波乱相場を受けて月初に売られた3月のようなリスク資産(株式)売りは抑えられる公算が大きい。外部環境の落ち着きで月初高が期待できるムードになっていけるかも、重要なポイントとなる。
昨年の同期間はトランプ政権の政策不透明感が強まり、日経平均株価は週初から節目の19,000円を割り込んだ。その後、米国株の反発を受けて持ち直し、配当落ちも早々に埋めるなど持ち直す場面もあったが、上値も重く不安定な地合いが続いた。年度末となる3/31は後場からいきなり急落し、再び19,000円を割り込んだ経緯がある。
図表1:日経平均株価の月初の騰落率(2016/7-2018/3)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は再び200日移動平均線(21,297円 3/22)を下回ったことで、自律反発局面でも同線が上値のフシとして意識されやすい。
2/27高値(22,502円)を起点に3月中旬高値を通る右肩下がりの上値抵抗線、2月前半安値を起点に3月初旬安値を通る下値支持線とで三角もちあいを形成している可能性も考えられる。高値と安値を切り下げながら次第に収れんし煮詰まるパターンであるが、仮にそうであればそのレンジで4月半ばぐらいまでは不安定な動きが続くことになる。ただ、収れん後は上放れるケースも多く、決してネガティブな動きではない。
ただし、上述した下値支持線も簡単に下回るようだと、年度末に向けて下げが加速する可能性が高まる。
上値のフシとしては、200日移動平均線、3/12高値21,971円、2/19高値22,152円、2/27高値22,502円などが重要である。下値の目安は、心理的節目の20,500円付近、昨年6/20高値20,318円(終値ベースは20,230円)などが考えられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2017/8/1-2018/3/22)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表やイベントは、2月企業向けサービス価格指数、3月配当・優待権利付き最終売買日(3/27)、2月商業動態統計(3/29)、東京都区部消費者物価指数、2月失業率、2月有効求人倍率、2月鉱工業生産(3/30)がある。
企業決算では、ヒマラヤ、ハニーズHLD、ハピネス&D、アークランド、ニトリHD(3/27)、夢の街、スター・マイカ、GameWith、NaITO、セキチュー(3/29)、タキヒヨー、トライステージ、シベール、安川情報、トシンG、パレモ・HD、テクノアルファ、ミタチ、クラウディアH、ニイタカ、日本エンタ、ERI HD、ストライク、マルマエ、宝印刷、ヤマシタヘルケア、キユソー流通、日プロセス、ジャステック、アルテック(3/30)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントは、米2月シカゴ連銀全米活動指数(3/26)、米1月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米3月消費者信頼感指数(3/27)、米10-12月期GDP確報値(3/28)、米2月個人所得、米2月個人支出、米3月シカゴ購買部協会景気指数(3/29)などが注目される。
なお、3/30の米国市場はGood Fridayにより休場となる。
新規上場では、3/27にRPAホールディングス(6572)がマザーズに上場する。RPA(ロボットによる業務自動化)関連ソフトウエアの開発・販売とアドネットワーク事業の二本柱。アポイント獲得などの営業支援の電話代行、市場調査などのコンサルティングサービスも手掛けている。
3/28はアジャイルメディア・ネットワーク(6573)がマザーズに上場する。口コミ販促活動の支援。クライアント企業の商品や製品・サービスのファンを対象に、SNS(交流サイト)などを利用した口コミ(利用体験の発信・購入の推奨)の活性化や購買の促進を支援するさまざまなサービスを提供している。創業メンバーかつ前社長で取締役CMO(最高マーケティング責任者)の徳力基彦氏は、ブロガーとしてそれなりに知名度のある人物である。吸収額は4億円弱と超スモールIPOであり、内容よりも需給が重視されるだけに高騰して始まりそうだ。
3/29は和心(9271)がマザーズに上場する。日本文化に関する製品の企画・販売と体験サービスの提供。具体的にはかんざしや箸、傘、浴衣などのSPA(製造小売り)業態による販売店と、着物レンタル店を展開している。成長が明確になり始めたのは訪日外国人の増加を追い風にしたここ最近。爆買い終了後は「コト消費」が注目され、観光地での着物レンタルの人気はたびたびメディアで取り上げられるも、上場企業で手掛けるところはなかった。参入障壁の低い小売業態のため過剰な期待はできないが、吸収額は少なく需給要因から初日付かずは狙えそうだ。
一方、JASDAQスタンダードには、中古不動産の再生販売と賃貸・管理を手がけるアズ企画設計(3490)が上場する。南関東1都3県を中心に展開している。にわかに増えつつある中古不動産のIPO。低PERに放置されていたセクターだが、年末からの株高で水準訂正されており、そのわりに想定価格は見直さなかったのか割安感が強くなっている。事業内容に新味はないが、吸収額も少ないので高く始まることになりそうだ。
3/30は日本リビング保証(7320)がマザーズに上場する。住宅総合アフターサービス会社。住宅設備の無料修理の保証を中心に、検査補修、住関連設備購入のための電子マネー発行、住宅設備メーカーの延長保証制度の受託を展開している。業績を見る限り、市場そのものがまだ小さいとみられる。吸収額は3月の最小で、需給的には内容に関係なく高騰しそう。一応、新奇性のある事業内容に加え、大手の出資もあり買い安心感もある。
来週の注目銘柄!(2018/3/26〜3/30)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
3183 | 2,050円 | 1,570円 | 医療商社でステントやカテーテルなどの販売を手がける。主力の虚血性心疾患関連、心臓律動管理関連、心臓血管外科関連の販売がいずれも伸びており、業績は堅調に推移している。株価は中期的に上昇トレンドが続いており、2/27には昨年来高値を更新した。その後に大きめの調整が入ったが、大きく切り返した3/12の動きが強い。25日移動平均線を割り込んだところでしっかり買いが入り大陽線を形成した。足元は日柄調整が続く格好となっているが、大陽線の中心付近をサポートに高値圏もみ合いとなっており、再動意は時間の問題だろう。足元で信用倍率が低下傾向にあることも好感できる。2/6の第3四半期決算発表時に、設立5周年の記念増配を発表しており、株主還元にも積極的だ。ターゲットは2,050円、ロスカットは1,570円 | |
4275 | 1,350円 | 1,050円 | 薬・化学品を生産、リチウムイオン電池の安全評価も手がける。2018年3月期の第3四半期累計の営業利益は前年同期比49%増と好調な着地となった。今後も電子・機能材料の車載用途の需要増や、H2ロケット打ち上げ数の増加による過塩素酸アンモニウムの需要増が期待される。また、1月には大型リチウムイオン電池圧壊試験機を導入、電池受託評価試験の収益も順調に拡大する可能性は高い。さらに、リニア地下工事により来年度以降に産業用爆薬が増加する見込みとなっている。談合問題などによりリニア関連銘柄への注目度が低くなっており、仕込むタイミングとみられる。リチウムイオン電池関連として材料視される可能性もあろう。株価は100日移動平均線をサポートに底堅さを維持している。日柄調整が続く可能性もあるが、一目均衡表上での抵抗帯(雲)を上抜ければ1月高値(1,399円)トライが予想される。ターゲットは1,350円、ロスカットは1050円 | |
5302 | 6,450円 | 4,590円 | 2月に発表した2017年12月期の通期連結営業損益は25.7億円の黒字(前期は赤字)となり、会社計画24.0億円を上振れた。黒鉛電極の市況が好転や、販売価格の上昇が当初想定を上回ったことが要因。半導体関連業界向けファインカーボンなどの需要好調が今後の業績にも寄与しそう。なお、2018年12月期の通期連結営業利益予想は70.0億円を見込んでいる。 株価は2/22高値(6,540円)から調整局面にある。最初の主要なフシとなる1月高値(5,590円)付近からの反発も見られたが、戻りが鈍くダメ押しを強いられている。ただ、一目均衡表では抵抗帯(雲)をサポートに下げ渋る可能性が高く、日柄調整を経て再動意が見込めそうだ。「黒鉛電極」とう材料性を兼ね備えており、出来高の増加は短期資金を呼び込みやすい。ターゲットは6,450円、ロスカットは4,590円 | |
6301 | 4,050円 | 3,400円 | 建設機械で世界首位級。2018年3月期の第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は1,882億円(前年同期比75.8%増)で着地。ジョイ・グローバル社の買収に係る一時費用が発生したものの、各地で売り上げが増加した。特に、中国やオセアニア、アフリカは大きく伸長。なお、通期の会社計画2,160億円に対する進ちょくは87.1%となっている。NY原油相場が2/26の戻り高値を上回ってきており、鉱山向けにも強い同社株への思惑が働きやすい。株価は1月高値(4,475円)を起点に調整が続いている。足元も乱高下が続くが、200日移動平均線を前に下げ渋る公算が大きい。ターゲットは4,050円、ロスカットは3,400円 | |
6785 | 1,550円 | 1,080円 | 自動車電装部品や電子部品のコネクターが収益柱。2018年6月期の上期の営業利益は13.8億円(前年同期比65.4%増)となり、会社計画10.9億円を上振れた。同時に通期の営業利益予想を従来の17.7億円から20.6億円へと引き上げている。スマホ向けが予定を上回る水準を確保することができたことや、車載向けが比較的好調に推移していることが寄与した。なお、通期予想の引き上げは上期の上振れ分のみであることから、下期の上振れにも期待できる。株価は昨年11月以降で高値もみ合い。2/28に付けた昨年来高値(1,428円)からの調整も75日移動平均線を下値で意識している。出来高の極端な減少も見られず、短期的にも中長期的にも再び人気化する可能性が高そうだ。ターゲットは1,550円、ロスカットは1080円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で3/20現在、時価総額が100億円以上、PBRは3.0倍程度以下、配当利回りが0.9%\以上、信用倍率が15.0倍以下(3/16現在)、今期増収・営業増益予想(日経)、株価が200日移動平均線\を上回っている銘柄の中から、テーマや話題性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。