来週の株式見通し(2017/12/4〜12/8)
来週(2017/12/4〜12/8)の日経平均株価の予想レンジは22,300円-22,800円。東京市場は週末発表の米11月雇用統計を前に伸び悩む展開が予想される。12/12-13に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが確実視されており、指標結果に動揺することはなさそうだが、日経平均株価の11/9高値(23,382円)を前にいったん買い手控えムードが強くなりそうだ。
半導体関連株の下落や円高が警戒要因となり、押し目買いに積極的だった投資家は少ない。一方、11/30のダウ平均の加速度的な上昇に加え、ドル円は再び112円台を回復する展開となっており、週末のメジャーSQに向け好需給が維持され売り方の買い戻しが株価の下支え要因となりやすい。
一方、米債務上限問題への懸念増幅、北朝鮮情勢リスク、上海総合指数の不安定な動きが悪材料視される可能性があることや、ドル円も113円台に入ると円高方向に押し戻されることが予想される。東京エレクトロンやソフトバンクなど指数寄与度が高い個別株の一部がやや崩れた状態にあり、ダウ平均の短期的な過熱感とともにメジャーSQ週で戻り高値となるシナリオが想定される。
裁定取引に伴う現物株の買い残高が増加基調にある(図表1)。11/24現在、2兆8,774億円と2015年12月以来の水準まで積み上がっている。9月安値以降の上昇局面では先物主導による新規買いや買い戻しが入り、裁定買いが誘発された。当面は、日経平均株価が外部環境の変化などで下げる局面では、下落圧力が強くなる要因になるといえよう。下落時には日銀によるETF買い(年末まで買い余力は6,600億円程度、11/30現在)は入るが、海外投資家が休暇に入る月後半に向けての動きには留意しておきたい。
国内の経済指標では、10月景気動向指数(12/7)、7-9月期GDP改定値、11月景気ウォッチャー調査(12/8)など注目指標が多く、米国の経済指標では、11月ISM非製造業景況指数(12/5)、11月ADP雇用統計(12/6)、11月雇用統計(12/8)などが注目材料となる。
図表1:裁定取引に伴う現物株の買い残高と日経平均株価(2011/9/22-2017/11/24)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は5日移動平均線(22,571円、11/30)、10日移動平均線(22,480円、同)、25日移動平均線(22,399円、同)が同水準に収れんし、一目均衡表では上昇基調にある基準線をサポートに堅調に推移している。
11/17高値(22,757円)を上回ったことで、11/9高値(23,382円)に向けて強い動きになる場面もありそう。ただ、11/9の「高値波乱」のローソク足は値幅が大きく出来高も高水準となったため、戻り売りをこなす時間がある程度は必要と考えられる。イメージできる当面の動きとしては、25日移動平均線上をサポートに大きな値幅でのもみ合い。日柄調整を経てエネルギーが蓄積されたのち、11/9高値更新につながる展開である。その場合、11/16安値まで下げた分の倍返し程度は上昇するシナリオが想定される。
一方、このまま11/9高値を上回れずに一段安となる調整パターンも十分考えられる。11/9高値を起点とする「下げ→戻り→下げ」の二段下げのよくあるパターンである。それを見極める最初のポイントは、11/16形成の中陽線の中値(22,182円)あたりで下げ止まれるかどうかである。
上値メドは、11/7高値22,953円付近、11/9高値23,382円付近、4/17安値から6/10高値までの上昇幅の2倍を高値に加えた24,506円付近、11/9高値から11/16安値までの倍返しとなる24,791円付近など。
下値メドは、25日移動平均線、11/16の中陽線の中値(22,182円)、10/20高値21,489円、心理的節目21,000円が考えられる。
日柄面で変化日となりやすいのは、12/1(6/20高値から9/8安値までの対等日柄)、12/13(9/8安値から65日目)などが考えられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2016/10/3-2017/11/30)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表は、11月マネタリーベース、11月消費動向調査(12/4)、10年国債入札(12/5)、11月都心オフィス空室率、10月景気動向指数、国内最大級の環境関連見本市「エコプロ2017〜環境とエネルギーの未来展」(〜12/9)(12/7)、7-9月期GDP改定値、10月毎月勤労統計調査、11月景気ウォッチャー調査、メジャーSQ(12/8)がある。
国内企業の決算発表では、ピジョン、モロゾフ、アマガサ、ティーライフ(12/4)、不二電機、ナ・デックス、アインHD(12/5)、日駐、共和工業、楽天地、きんえい(12/6)、アルトナー、巴工業、トップカルチャ、スバル興(12/7)、エイチ・アイエス、カナモト、三井ハイテ、積水ハウス、学情、アスカネット、テンポスHD、鳥貴族、モルフォ、ポールHD、エイチーム、ソフトウェアサー、gumi、イトクロ、アイモバイル、丹青社(12/8)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米10月貿易収支、米11月ISM非製造業景況指数(12/5)、米11月ADP雇用統計(12/6)、米10月消費者信用残高(12/7)、中国11月貿易収支、米11月雇用統計(12/8)などが注目される。
米企業決算は、オートゾーン(12/5)、ブロードコム、H&Rブロック(12/6)、ダラー・ゼネラル(12/7)が発表を予定している。
新規上場では12/7、美容サロン「atelier haruka」などを運営するアトリエはるか(6559)が名証セントレックスに上場する。関東中心に全国60店舗以上を展開する。ヘアメークやネイルのほか、レンタルドレスなど女性の身だしなみに関するサービスを提供するトータル・ビューティー事業を展開している。ただし、髪を切る、染める、パーマをかけるといったサービスは基本的には提供していない。法人向けにシステム開発サービスも提供している。
営業利益、吸収金額ともに1億円未満の案件で、地方市場となれば上場後は薄商いに悩まされそう。髪を切らない美容室には一定の斬新さはあるものの、普通の美容室でやらないことをやっているわけでもない。全国展開のわりには利益は出ておらず、業界全体同様、成長イメージは描きにくい。だが、吸収金額の少なさは突出しており、どちらにしろ需給は逼迫か。小さすぎて初値はどうにでもなるレベルだが、業態人気を踏まえると、さすがに翌日までもつれ込むような動きにはならないのではないか。
来週の注目銘柄(2017/12/4〜12/8)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2915 | 3,900円 | 3,100円 | マヨネーズ2位。業務用を中心に展開。コンビニ向け、外食向け、量販店向けに売上が安定している。給食などへ販路を拡大。各国のニーズに合わせた商品開発により、海外進出にも積極的に取り組んでいる。上期の連結営業利益は前年同期比13.1%減の21.5億円で着地した。減益決算ではあるものの、第2四半期(7-9月)が第1四半期(営業利益が9.7億円)よりも良好であったことから、株価は好反応を示した。2016年高値(3955円)を起点に調整が続くが、休養十分の株価は6月に付けた戻り高値(3,370円)更新を通じ、一段高の気配が出てきたところだ。業績面で大きな変化率はないものの、円高を通じた相場全体のリスク回避局面に備え、ディフェンシブ系への仕込みを意識したい。ターゲットは3,900円、ロスカットは3,100円 | |
3686 | 595円 | 404円 | 「秘密結社 鷹の爪」などキャラクタービジネスを展開する。11/14に発表された2018年6月期の第1四半期(7-9月)決算は、連結営業利益が前年同期比3.5倍の7,600万円と好スタートを切った。「東京ガールズコレクション」ブランドの伸長に加え、新規事業が貢献した。株価は長く低迷が続いており、10月には年初来安値をつけていたが、第1四半期決算を受けて急騰。この動きにより、中長期視点からの株価底打ちがうかがえる。決算を受けた11/15の大幅高で25日移動平均線を明確に上抜け、その後は同水準より上での推移が続いている。一目均衡表でも抵抗帯(雲)の下から中に入り込み、雲上限に接近する展開となっている。週足でも13週移動平均線を上抜け、26週移動平均線に迫っている。11/15の上昇度合いが大きかった分、高値465円をなかなか抜けなかったが、今週に入ってから上回ってきており、この先は戻り基調を強める展開を予想する。ターゲットは595円、ロスカットは404円 | |
3938 | 5,750円 | 4,550円 | 第3四半期決算を受けた10/26の株価はストップ高となり、市場の注目を大きく集めた。2016年7月に鳴り物入りで上場したが、その後は鳴かず飛ばずの動きが続き、決算は売りを誘うイベントとなることが多かった。それだけに、意外感のある大幅上昇だったといえよう。今月、クリスマス商戦では非常に注目度の高い商品となりそうなスマートスピーカー「Clova WAVE」を市場に投入。同商品が一段高を誘うカタリストになる可能性があるとみる。直近株価は堅調な推移から上場来高値(5,230円)が射程圏に入っている。10/26の急騰後は上値と下値を切り上げる動きであり、高値更新につながるかが注目される。一方、突如として陰線で下押すパターンも出やすい点には注意しておきたい。直近の信用倍率は決して低くはないものの、高値更新後は買い方の回転が効くことから需給相場に移行する展開が予想される。ターゲットは5,750円、ロスカットは4,550円 | |
6047 | 4,620円 | 2,090円 | 情報キュレーション(収集・整理)アプリ「Gunosy(グノシー)」の運営。膨大な情報群からアルゴリズムによる機械学習によってユーザーの興味・関心を分析・学習し、ユーザーの求める情報を配信している。ユーザーの興味・関心に関するデータを蓄積することでターゲティング広告を可能としており、費用対効果の高い広告出稿を実施している。2015年一番の注目IPOだった。2018年5月期の第1四半期(6-8月)の連結営業利益は4.2億円(前年同期比69.8%増)。アクティブユーザー数の順調な積み上がりで、「Gunosy Ads」の売上高が伸びた。株価は堅調だ。上場後にやや反動安を強いられる局面はあったが、2016年1月安値(383円)を起点に右肩上がりが続いている。今年8月に上場来高値(3,650円)を付けており、11月で押し3カ月目となった。7月同様に上昇が続く12カ月移動平均線をサポートに月足陽線が続くのであれば、押し目買いの好機であろう。ターゲットは4,620円、ロスカットは2,090円 | |
7172 | 3,860円 | 2,420円 | 航空機を中心したオペレーティング・リース事業が柱。企業の合併・買収(M&A)アドバイザリー事業に加え、AI(人工知能)を駆使した新たな金融サービス(フィンテック)の拡大を目指している。業績は連続増収増益、最高益更新を目指す。事業投資商品の販売ネットワークとして、地方銀行や会計事務所など提携先は幅広い。株価は2014年の上場以来、安定した右肩上がりを続けている。ゲームでもなくバイオでもなく、マザーズの中ではあまり目立たない存在だ。それゆえに群がる投資家が少なく過熱感は感じない。マザーズ市場への資金流入を期待し、時価総額上位の同社株に注目したい。ターゲットは3,860円、ロスカットは2,420円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で11/28現在、時価総額が80億円以上、PBRが8.0倍以下、今期増収予想(日経)、株価が25日移動平均線を上回っている中から、テーマ・成長性・話題性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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