来週の株式見通し(2015/2/2〜2/6)
来週(2015/2/2〜2/6)の日経平均株価の予想レンジは17,200円-18,000円。東京市場は売り一巡後に再び高値トライの展開が予想される。主力企業の決算発表が続くかたわら、円安進行が投資家心理を好転させる公算が大きい。ドル円相場の動きが1ドル=118円を中心に煮詰まってきており、2月前半は120円台乗せの可能性がある。日経平均株価は昨年12月に付けた昨年来高値(18,030円)を更新する場面もありそうだ。また、企業決算に注目が集まる。先行き不安を払拭する内容となれば、相場上昇に弾みがつくだろう。
注目されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、「経済活動はしっかりしたペースで拡大している」とし、前回の「緩やかなペースで拡大している」から上方修正した。労働市場は「力強い雇用の増加と失業率の低下を伴いさらに改善した」との認識を表明。「最近のエネルギー価格の下落が家計の購買力を押し上げ、家計支出は緩やかに伸びている」との認識も示した。来週発表される米1月ISM製造業景況指数(図表1)や、雇用統計における非農業部門雇用者数(図表2)などが予想以上に堅調で声明通りの内容が確認できれば、米主要指数の反発を後押しする展開が予想される。
米主要指数の中では特に直近高値から比較的高位を保っているNASDAQが主導する展開か。NASDAQ=日本の中小型株では決してないが、日経ジャスダック指数の高値更新が予想されるほか、マザーズ市場は出遅れ感が強い。
図表1:米ISM製造業景況指数(2001/1-2014/12)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
図表2:米非農業部門雇用者数(雇用統計、2001/1-2014/12)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
東京証券取引所が発表した1/16時点の裁定取引に伴う現物株買い残高(期近・期先合計)は、前週に比べ2,725億円減の2兆3,185億円となり、2013年1月以来の低水準となった。海外ヘッジファンドなどの先物売りを要因に解消売りが進んだ。1/23時点でも2兆4,023億円とさほど増えていない。一方、個人が主に利用する信用取引残高(一般信用と制度信用の合計)は1/23現在、3兆1,246億円と2014年以降では高水準を保っている。ただ、株価が高値圏で推移する中、買い方の入れ替わりで水準を保っている公算が大きく、シコリ玉がすぐさま市場に放出され需給悪となる展開は想定しづらい。図表3に示した仮需(裁定買い残と信用買い残の合計)を全体的にみると、株価が昨年10月安値から急反発の起点となった水準まで減少し、日経平均株価は底入れサインと判断できる。
図表4は、日経平均株価の日足チャートである。昨年11月以降で形成されるもみ合い中値付近(17,500円処)を上回り、一段高に向け踊り場形成の確度が高まった状況だ。昨年12月高値からつないで形成される上値抵抗線に達したことで再び中値付近(17,500円処)や、25日移動平均線(17,378円、1/29)前後までひと押し入れる可能性はあるが、2月第2週あたりを起点に上昇基調を強める展開が予想される。特に注視したいのは、昨年11月以降のもみ合いが、2013年5月高値を起点に同年12月高値を通る上値抵抗線上で形成されていることである。それは強気継続を示唆することに加え、早期に加速相場につながる兆候とみることもできる。当面の上値の目安は、18,219円処、18,700円〜18,863円、19,388円〜19,500円処などが考えられる。
予想変化日は、昨年10/17安値〜12/8高値までの日柄「35日」を、先に当てはめた1/30〜2/4。2013年5月急落直後の6月安値を起点に昨年4月安値までの日柄「205日」を先に当てはめた2/13前後、2013年5月高値から昨年4月安値までの日柄「221日」を先に当てはめた3/9前後が目先は考えられる。
図表3:仮需動向と日経平均株価(2010/1-2015/1/27)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
図表4:日経平均株価 (日足、2014.3.4-2015.1.29)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内指標の発表は、12月景気動向指数(2/6)。企業決算では、カルビー、アステラス薬、塩野義、田辺三菱、LIXILG、日精工、三菱電、キーエンス、京王(2/2)、大陽日酸、小野薬、テルモ、日ペインHD、神戸鋼、日立金、住友電、豊田織、ジェイテクト、ミネベア、パナソニック、デンソー、ローム、IHI、三菱自、アイシン、住友商、三菱UFJ、阪急阪神、NTTデータ(2/3)、三菱ケミHD、ダイセル、花王、ヤフー、JX、日立、ソニー、シスメックス、三菱重、トヨタ、マツダ、富士重、三井物、三菱商、千葉銀、横浜銀、東武(2/4)、キッコーマン、JT、東レ、旭化成、武田、ルネサス、スズキ、ドンキホテHD、ニコン、伊藤忠、菱地所、日テレHD(2/5)、国際帝石、大和ハウス、明治HD、東急不HD、旭硝子、クボタ、いすゞ、オリンパス、丸紅、セブン銀行、近鉄、NTT(2/6)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標では、中国1月製造業PMI(2/1)、米12月個人所得・個人支出、米1月ISM製造業景況指数、オバマ米大統領が16年会計年度の予算教書発表予定(2/2)、豪州準備銀行理事会、米12月製造業受注(2/3)、BOE金融政策委員会(〜5日)、米1月ADP雇用統計、米1月ISM非製造業景況指数(2/4)、米12月貿易収支(2/5)、米1月雇用統計(2/6)が発表される。
米企業決算の発表では、エクソンモービル(2/2)、UPS、ウォルト・ディズニー(2/3)、GM、メルク、ラルフローレン(2/4)、スプリント、リンクトイン、エスティローダー(2/5)などが予定している。
来週の注目銘柄(2015/2/2〜2/6)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3196 |
4,400円 |
2,940円 |
和風ファストフード店。たこ焼き店「築地銀だこ」が主力で、低価格・実演販売・小規模店・テイクアウトが基本スタイル。薄皮たい焼き店「銀のあん」のほか、米国発のアイスクリーム店「コールド・ストーン・クリーマリー(CSC)」、天ぷら店、鳥料理店なども直営、フランチャイズなどで国内外にチェーン展開している。昨年9月にマザーズに上場。季節柄たこ焼きの販売拡大が見込まれる上に、たこ焼きは最近では外国人にも人気が出ており、訪日外国人増加も追い風になると考える。株価は順調に下値を切り上げる展開が続く。上場来高値3,680円が射程圏に入ってきており、一目均衡表の基準線の上昇で追い上げることができるかに注目したい局面だ。ターゲットは4,400円、ロスカットは2,940円 |
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6098 |
4,210円 |
3,130円 |
販促メディア事業、人材メディア事業、人材派遣事業を手がける。1960年に大学新聞に企業の求人広告を掲載したことが始まり。幅広い事業領域を有するとともに各領域において一定程度のマーケットシェアを獲得している。株価は上場来高値である昨年11月高値4,015円を起点に調整が続く一方、25日移動平均線の下げ止まりが反発につながるかが注目される。1月前半に付けた高値3,660円前後での出来高増加の経緯はなく、上値での戻り売りは限定的ではないか。ターゲットは4,210円、ロスカットは3,130円 |
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7523 |
725円 |
495円 |
絵画や美術工芸品の催事を手がけるほか、三重県でホテル「タラサ志摩スパアンドリゾート」を運営。「萌え系」グッズを手がけることでクールジャパン銘柄の一角として注目されている。また、イルカの絵で有名なクリスチャン・ラッセン氏の展示会を催していることで知られるが、アベノミクスで潤った富裕層による絵画購入の拡大に期待。株価は昨年12月高値688円を起点に調整局面だが、25日移動平均線に接近し、そろそろもちあい上放れの公算も。信用買い残も高値から整理がある程度進んだ。高値更新後の主要な節目は930円処までは見当たらない。ターゲットは725円、ロスカットは495円 |
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9414 |
1,190円 |
990円 |
全国無料のBS放送チャンネルの運営。ビッグカメラが親会社。低価格の広告ビジネスも特徴。東京五輪に向け視聴可能世帯は更に増加見込み。約50%を占める自社制作番組による広告枠で付加価値向上図る。株価は上場来高値更新のあとは上ヒゲ確認後の中だるみ。信用買い残は重荷だが、株価は高値圏にあり買い方の体力は温存されている。26週移動平均線が下げ止まり、次の上昇転換による動意がポイント。株価の煮詰まり度合いが上放れの兆候となり、日足の一目均衡表では基準線の上昇が再びスタートか。ターゲットは1,190円、ロスカットは990円 |
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9419 |
4,300円 |
3,100円 |
仮想移動体通信事業者(MVNO)。Wi-FiやWiMAXなどの通信網を借り、高速無線通信サービスを展開している。ヨドバシ通した新規加入者の比率が高い。SIMカードは早期黒字化目指す。ブイキューブと業務提携。株価は3,000円台前半の値固めから水準訂正か。日柄調整足らずで26週移動平均線までにとどまる可能性は高いが、底値切り上げれば上値余地あり。過去の株価帯出来高が積み上がった4,500円超では戻り売り強い。ターゲットは4,300円、ロスカットは3,100円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で1/28現在、時価総額が50億円以上、PBR20倍以下をベースに配当利回り水準やPER水準などを考慮した。また、テクニカル面、出来高の変化、話題性、上場時期なども考慮しピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
お知らせ
私が所属しているNPO法人・日本テクニカルアナリスト協会ではこのたび「テクニカル分析」の普及活動の一環として、「テクニカル分析」ハンドブック(基礎編)を発刊しました。チャートに興味を持っていただくための入門書で、簡単に分かりやすく解説した小冊子です。
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。