来週の株式見通し(2014/1/27〜1/31)
来週(2014/1/27〜1/31)の東京株式市場の指数はもみ合いが続きそうだ。週前半は29日まで開催のFOMCを前に手控えムードが予想され、大きな動きは期待できない。ただ、ドル円相場が直近安値(1/13、1ドル=102.80円前後)まで円高が進んだことで、逆に円安方向へのアヤ戻りが株価の売り圧力を和らげるほか、米NASDAQ上昇を背景に国内ハイテク株への買いが指数の支えとなる公算が大きい。中小型株の出遅れ物色や決算銘柄にも資金シフトが鮮明になるだろう。
国内主力企業の決算発表がスタートする。2013年の中間決算では、多くの企業が通期想定為替レートを1ドル=95円に設定した。それよりも円安基調が続いており、業績は上振れする可能性が高まっている。ただ、円安を要因とする上振れ部分は織り込んでおり、株価の上昇を後押しするためには、北米に加え、欧州や新興国向けに需要の伸びを維持できるかにかかっている。決算は、為替差益やコスト削減に頼ることなく、売上が伸びているかが投資判断のポイントである。
国際通貨基金(IMF)は1/21、2014年の世界経済見通しを昨年10月時点の3.6%から上昇修正し、3.7%に拡大するとの予想を示した。米国、ユーロ圏、日本でより大幅な成長を見込む一方、中国以外の主要新興国の成長見通しを下方修正した。また、株価への影響は限定的だったが、中国1月HSBC製造業PMIは49.6(速報値)と、景気の良し悪しを判断する50の分岐点を割り込んだ。
国内は消費増税前の駆け込み需要や米国経済の好調に頼る一方、新興国の景気減速ムードが一段と広がれば株価の上値の重荷となる。自動車株の最近のさえない動きが何を意味しているかを考慮する必要があるかもしれない。
日経平均株価の予想レンジは15,400円〜16,000円。週前半は下押す場面も想定されるが、一目均衡表の基準線の上昇でポジティブな方向にムードが変わるかが後半のポイントである。日柄面で基調に変化が生じやすいのは、1/27-29。当面の上値メドは、6月安値から7月の戻り高値までの上昇幅に対するE計算値の17,171円。2009年3月安値から2011年11月安値までの安値切り上げ幅1,105円を、逆に2007年高値からの高値切り下げ幅とみた17,156円処と重なり重要である。下値メドは、15160円水準が重要である。
国内の経済指標やイベントでは、12月貿易収支、12月19・20日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨(1/27)、12月失業率・有効求人倍率、12月全国消費者物価指数、12月鉱工業生産、12月住宅着工件数(1/31)などが重要。
国内決算では、JSR、カゴメ、日立国際、日立ハイテク、日立化成、KOA(1/27)、信越化、日立建機、オービック、日新電、SMK、アドバンテ、日車輌(1/28)、コロプラ、ヤフー、日立金、コマツ、スタンレー、京セラ、キヤノン、任天堂、三井住友、松井証、JR東海、ヤマトHD、スタンレ電、横河ブHD(1/29)、カルビー、JT、OLC、富士フイルム、コニカミノルタ、新日鉄住金、東芝、NEC、富士通、カシオ、日野自、ダイハツ、東エレク、野村HD、KDDI、サイバーエージ、タカラバイオ、アンリツ、スカイマーク、ドリコム(1/30)、大東建託、ヤクルト、三越伊勢丹、大日住薬、第一三共、資生堂、JFE、日精工、エプソン、TDK、ファナック、村田製、日東電工、ホンダ、HOYA、リコー、ユニチャーム、りそなHD、みずほFG、アコム、JR東日本、郵船、商船三井、JAL、ANA、NTTドコモ、関西電、東京ガス(1/31)などが予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、独1月Ifo景況感指数、米12月新築住宅販売件数、米1月ダラス連銀製造業活動指数(1/27)、中国12月工業利益、FOMC(〜29日)、米12月耐久財受注、米11月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米1月消費者信頼感指数、米1月リッチモンド連銀製造業指数(1/28)、独1月失業率、米10-12月期GDP(1/30)、米12月個人所得・個人支出、米1月シカゴ購買部協会景気指数、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数改定値、バーナンキFRB議長の2期目の任期満了(1/31)など。
米国決算は、キャタピラー、アップル(1/27)、ファイザー、コーニング、AT&T(1/28)、ボーイング、ダウ・ケミカル、クアルコム、フェイスブック(1/29)、UPS、ビザ、グーグル、3M(1/30)、マスターカード、シェブロン(1/31)が発表する。
図表1は、日経ジャスダック平均の長期月足チャートである。今週は2013年5月高値(2,140.59円)を更新し、約7年ぶりの水準まで上昇した。過去の小勢波動で生じた値幅(1,241.17円〜1,391.74円)を2009年3月安値(994.45円)からの上昇幅としてあてはめた2,235.62円−2,386.19円が短期的な上値目処となりやすい。おおむね、1990年7月高値を起点とした右肩下がりの上値抵抗線の水準となる。そこでいったん頭打ちとなる可能性はあるが、2013年6月安値(1,717.03円)を下回らず再び高値更新につながれば、上値余地は一段と広がる公算が大きい。過去の中勢波動で生じた値幅(1,960.93円〜2,234.46円)に比べ、2009年3月安値からの上昇が小規模にとどまるためである。また、1998年10月安値以降は高値と安値を切り上げており、直前のもみ合い期間の長さから上昇圧力は温存されているとみられる。
仮に、2006年1月高値を上回ることができれば、1991年6月高値(3,333.78円)まで主要な節目はない。中勢波動で生じた習性値幅を2009年3月安値からの上昇幅としてあてはめた2,955.38円−3,228.91円まで上値余地が広がると予想する。
一方、日柄面では、1991年6月高値以降、88ヵ月〜89ヵ月で高値・安値を付ける傾向がある。昨年の5月高値もそうであった。仮に、2009年3月安値を起点に88ヵ月〜89ヵ月間上昇すると、2016年6月〜7月まで続くことになる。ただ、その前には1990年高値から100ヶ月下落した日柄が2006年1月高値から対等する2014年4月に高値を形成し、調整に入る公算が大きい。
図表1:日経ジャスダック平均(長期月足)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の注目銘柄(2014/1/27〜1/31)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット株価(円) |
注目ポイント |
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1605 |
1,800円 |
1,190円 |
原油・ガス開発生産で国内トップ。政府が筆頭株主。世界28カ国、70を超えるプロジェクトにおいて事業を展開。再生可能エネルギーへの取り組み強化へ。アラブ首長国連邦アブダビ海上鉱区での原油生産プロジェクトに参画。外国人持ち株比率高い。株価は2013年3月高値1,355円を前に押し戻されるも、13週移動平均線サポートに直ぐに切り返す強さ。信用買残は極端に買い長ではなく需給面に不安は乏しい。2011年高値(1,685円)を起点とした上値抵抗線を上方にブレークしたことで、ようやく中勢トレンドも上向きに転じた公算が高い。2月中旬以降の週足基準線の上昇で動意付けるかに注目したい。ターゲットは1,800円、ロスカットは1,190円 |
|
4543 |
5,800円 |
4,760円 |
主力のカテーテルなど心臓血管関連が伸長。円安進行の追い風を受け、海外事業が好調に推移している。国内では末梢動脈疾患治療用ステント「ミサゴ」が引き続き順調。ホスピタル事業は国内伸び悩むも、アジアや中南米の売り上げ伸長でカバー。財務体質を強化しながら、買収の機会を探索へ。海外比率高い。株価は目先の下落トレンドも安値切り上げ調整一巡か。昨年5月高値5,830円を起点としたもみ合い相場は週足均衡表の雲をサポートに反転期待大。中期の上値抵抗線を突破したなら、5月高値更新にも期待感が高まる公算が大きい。ターゲット5,800円、ロスカット4,760円 |
|
6508 |
532円 |
404円 |
中堅の重電メーカー。住友系。発電・制御装置に加え、水処理制御システムに強い。太陽光発電関連が伸長。変電設備は東南アジア向けに増勢。電気自動車向け部品は下期改善目指す。電力会社や官公庁向けの各種電気設備や、自治体向けの上下水処理設備などは年度末に売上げが集中する傾向も。グループ再編などで事業構造改革を進展へ。株価は1/8の大陽線後のもみ合いから再び上放れ、買い方の回転は順調。中勢波動では2013年5月高値414円を更新したばかり。短期的な上値メドは2013年5月高値から6月安値までの下げ幅の倍返しとなる532円となる。2008年安値を起点に大勢N字波動をイメージなら、N計算値770円処が中期上値メドか。ターゲット532円、ロスカット404円 |
|
8136 |
5,300円 |
4,170円 |
ライセンス事業やテーマパークを展開。円安による観光客増加でハローキティなどのグッズが好調、新キャラクター効果も。ライセンス収入は欧州の停滞を北米・南米でカバー。来期は中国やアジアなど新興国市場の盛り上がりで上乗せへ。株価は25日移動平均線を突破。目先的には5日移動平均線が上昇に転じる可能性が高く、1/9高値4,675円をクリアできれば動きは様変わりか。週足では、13週移動平均線は依然として下落基調にあるが、そろそろ下落スピードは弱まってくる可能性が高い。同線を越えられれば、目指すは2013年5月高値5,460円となる。ターゲット5,300円、ロスカットは4,170円 |
|
9005 |
790円 |
645円 |
東急グループの中核。輸送人員は民鉄2位。マンション販売や不動産賃貸事業の貢献が業績寄与大。渋谷ヒカリエなどの大型プロジェクトも収穫期へ。2015年3月期は百貨店や不動産販売への消費増税後の悪影響が懸念されるが、不動産市況の改善見込み、中計では連結営業利益700億円目指す。東南アジアにおける都市開発にも意欲的。株価は昨年9月高値を起点とした上値抵抗線を突破。1/15に形成した陽線上方で押さえ込みの陰線が続くが、一目均衡表の雲上限突破で二番底確認後の再動意か。3月末の株主優待買い見越し、買い持続も有効だろう。ターゲットは790円、ロスカットは645円 |
- 出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 東証一部の時価総額 500億円以上が対象。1/22現在、今期業績が増収予想でPERが30倍以下、予想配当利回りが1.0%以上。信用倍率が5.5倍以下の中から、話題性や物色の流れを考慮した。
- 「目標株価(円)」・・・ 一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・ 一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。