来週の株式見通し(2013/10/15〜10/18)
来週(2013/10/15〜10/18)の東京市場は反発が予想される。今週発表されたアルコアの7〜9月期決算は売上高と1株当たりの利益が市場予想を上回った。マクロ面に続き、ミクロ面からも明るい兆しがあることは心理的なプラス要因となる。
10/17に米債務上限の引き上げ期限を迎えるが、同問題に前向きの見方が出てきており、早期に解決できれば米株の大幅反発が期待できよう。また、FRB(米連邦準備理事会)の次期議長にジャネット・イエレン氏が米大統領から指名されたことで、量的緩和の縮小時期が再びクローズアップされる公算が大きく、日米金利差拡大を背景とした円安方向の動きに期待したい局面である。
米国景気の底堅さに加え、中国や欧州の緩やかな景気回復、国内での消費増税前の駆け込み需要などが経営者マインドを大きく変える可能性があり、11月頃に向けては業績上振れ期待が出てくる可能性がある。3月本決算の場合、自社株の取得枠設定の発表が中間決算が終わる11月に多く、材料視されやすい。
また、6月にピークをつけた信用買いの整理が半年経過によって一巡するタイミングでもあり、需給面での不安材料も次第に解消されてくるだろう。
2014年3月期の上場企業の配当金は過去最高になる見通しであるうえ、自社株買いも昨年以上の勢いだ。海外勢による日本株買いが再開するとすれば、株主還元策などが物色の一つのポイントになるとみられる。最近では、東レ(3402)が炭素繊維と水処理膜の海外2社の買収に1,000億円程度かけると報道された。企業の豊富なキャッシュを裏付けとした設備投資の拡大や、M&A(合併・買収)に関する報道なども地合い好転なら材料視されそうだ。
図表1は、日経平均株価と東証一部の騰落レシオ(25日)の推移である。騰落レシオは、25日間の「値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数」で算出する指標で、70%以下を売られ過ぎ、120%以上を警戒ゾーンとみる。日経平均株価は短期的な下落基調が続くなか、オシレーター指標のRSI(相対力指数)(9日)は10/7に16.0%と昨年10/2(14.1%)以来の水準まで低下し、売られ過ぎを示唆している。一方、騰落レシオは10/8現在で107.3%と株価が直近高値を付けた9/27以降の下落局面では一度も100%を下回っていない。株価が安くなる場面でも広い範囲で個別物色が効いている。この流れが相場全体の上昇につながっていくかが注目される。
図表1:日経平均株価と騰落レシオ25日(2011.1.13〜2013.10.9)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の国内の経済指標は、9月首都圏新規マンション発売(10/16)以外に特に重要なものはない。決算発表では、キャンドゥ、アデランス、大和、松竹(10/15)、東製鉄、ジャフコ、安川電(10/18)などが予定されている。
一方、海外では、中国9月消費者物価、中国9月生産者物価、ユーロ圏8月鉱工業生産(10/14)、独10月ZEW(欧州経済研究センター)景況感指数、米10月NY連銀製造業景気指数(10/15)、米9月消費者物価、米10月NAHB(全米ホームビルダー協会)住宅市場指数、ベージュブック(10/16)、ユーロ圏8月経常収支、米9月住宅着工件数・建設許可件数、米9月鉱工業生産・設備稼働率、米10月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、9月北米半導体製造装置BBレシオ(10/17)、中国7〜9月期国内総生産(GDP)、中国9月鉱工業生産、中国9月都市部固定資産投資、中国9月小売売上高、米9月CB景気先行総合指数(10/18)がある。
米国の主な決算発表では、シティグループ、インテル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(10/15)、バンク・オブ・アメリカ、イーベイ、IBM、アメリカン・エキスプレス(10/16)、ベライゾン、ゴールドマン・サックス、AMD (10/17)、GE(10/18)などがある。
※なお、米政府機関一部閉鎖により一部の指標発表日は未定。上記は当初発表された予定日。
日経平均株価の予想レンジは14,050〜14,400円。6/13安値を起点とした1つの下値支持線から反発に転じた。仮にダメ押しがあったとしても、下方にあるマド(13,610円どころ)埋め達成後はいったん反転が意識されよう。一方、25日移動平均線(14,324円、10 /9)などが上値抵抗になる可能性は高く、5月高値以降のもみ合い相場が続くとの見方が広がる公算が大きい。押しは浅いほうがベターだが、上記の下値支持線上を維持している以上は特にネガティブではない。基調に変化が生じやすいのは、10/16、24、11/7、15〜18となる。
来週の注目銘柄(2013/10/15〜10/18)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット株価(円) |
注目ポイント |
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4676 |
2,600円 |
1,800円 |
フジサンケイグループ。今期は合理化効果に加えてスポット広告などの回復を見込み、通期の営業利益は382億円(前期比1.5%増)となる見通し。2020年の東京五輪開催に絡みメディア関連として物色の矛先が再び広がる可能性があるほか、東京開催に伴いカジノ解禁の思惑が再浮上。お台場カジノ構想が現実味を帯びてくれば、そのリード役を担うとともに収益寄与が期待されるところ。株価は2,200円の壁が意識されるが、13週移動平均線の上昇を支援材料に反発できるかの正念場。2,200円越えあれば次の節目は2,600〜2,700円。押し目狙いで臨みたい。ターゲット2,600円、ロスカット1,800円 |
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5715 |
247円 |
191円 |
削岩機で国内首位。産業用機械のほか電子材料も手掛ける。今期は底堅い復興需要を背景に産業機械部門がけん引し、通期の営業利益は47億円(前期比39%増)となる見込み。直近ではJR東海が2027年に品川〜名古屋間での開業を目指すリニア中央新幹線の詳細を発表したことを受けて、リニア関連株としてにぎわった。株式市場では開通工事に絡み、国内で圧倒的なシェアを誇るトンネル工事用機械ドリルジャンボに着目する向きがある。リニア新幹線を巡っては、地下やトンネル工事が多くを占めるとみられており、これに伴う需要増加の思惑が後押しする公算が高い。2013年9月高値265円からスピード調整だが、75日移動平均線や雲上限を意識して反発基調を強める公算が大きい。ターゲット247円、ロスカット191円 |
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6363 |
1,000円 |
819円 |
ポンプ製造の大手。今期は復興需要が一巡もコスト削減や海外拠点の拡充で補う方針。通期の営業利益は10億円(前期比約2倍)となる見通し。経済規模が比較的大きいカタールでは、2022年のサッカーのワールドカップに備えてインフラ整備の計画が相次ぎ、上下水道や海水淡水化など「水ビジネス」を巡る投資計画が活発化してくる可能性が高く、海水淡水化向けに強みを持つ同社に注目。株価は業績拡大の思惑がおよぶかたちで上げ足を速め、一時は1,000円の大台を回復する場面があった。現在は大幅に調整しているが、短期的には4月安値を起点とした下値支持線から反発・反転となる公算が大きい。当面は三角もち合い止まりだろうが、中期下落トレンドが底打ちの公算が大きく、下値を拾っておきたい銘柄だ。ターゲット1,000円、ロスカット819円 |
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6727 |
1,100円 |
821円 |
ペンタブレット・コンピューター利用設計システム(CAD)関連の製品に注力。今期はタブレットやスマートフォン向けタッチペンの底堅い推移や、円安が寄与する見込み。通期の営業利益は113億円(前期比43%増)となる見通し。最近では、中国などにある協力工場の組み立て工程に自動化ラインを導入すると伝わったことが材料視された。手作業主体だった組み立て工程の自動化や効率化により、2016年3月期中に月産能力を現在比2.5倍の1,000万本に引き上げるという。株価は7月31日に年初来安値(785円)をつけた後、安値圏でのもみ合いが続いた。9月に1,000円の大台を回復するなど戻り基調を示す。25日移動平均線を下値に反転しており、短期調整完了から再上昇に期待したい局面だ。ターゲット1,100円、ロスカット821円 |
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9684 |
2,100円 |
1,429円 |
ゲーム大手。今期は「ファイナルファンタジー(FF)14」などの寄与を見込み、通期の営業利益は50.0億円(前期は60.8億円の赤字)となる見通し。株価は調整を繰り返しながらも上昇局面が続いている。NTTドコモとスクウェア・エニックスが今冬にも、人気ゲーム「ドラゴンクエスト」の最新作をスマートフォン向けに配信すると報じられたことをきっかけに年初来高値を更新した。有力ソフトの最新作をスマホ向けに投入することで、収益寄与を期待する向きは多い。前期の営業赤字転落を受けた経営体制の刷新や有力タイトルによる巻き返しの思惑が後押しする格好で、もう一段の上昇を想定したい。2007年11月高値3,980円からの下げの38.2%戻りが狙い目か。ターゲット2,100円、ロスカット1,429円 |
- 出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 東証一部で時価総額200億円以上、最低投資金額が30万円未満の銘柄が対象。月足の一目均衡表の基準線を上回る、52週移動平均線の上昇が続いている銘柄。直近の話題性を特に考慮した。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。