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2020-08-04 02:51:44

マーケット > レポート > 225の『ココがPOINT!』 > 新型コロナウイルスの感染拡大でも、日経平均株価はなぜ底固いのか?

新型コロナウイルスの感染拡大でも、日経平均株価はなぜ底固いのか?

2020/7/28

投資情報部 鈴木英之

2020年の前半はまさに、年初から新型コロナウイルスの話題に支配された年になっています。株価は一時大きく下げ、未曽有の大不況を覚悟せざるを得ない状況のように思われました。しかし、世界的に株価は底固い展開となり、米国では、ナスダック指数が最高値を更新する状況となっています。

そうした中、今回は日経平均採用銘柄の個別の動きにスポットを当ててみました。そこから、日経平均株価が底固い理由と、仮に「アフター・コロナ」の時代になった場合の物色のヒントが示唆されているように思われます。

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1買い一巡?

東京株式市場では、日経平均株価が7月第1週(6/29〜7/3)に前週末比205円60銭(0.9%)安、第2週(7/6〜7/10)に15円67銭(0.1%)安、第3週(7/13〜7/17)に405円61銭(1.8%)高となった後、第4週(7/20〜7/22)は55円43銭(0.2%)高と小幅ながら続伸となりました。第5週は売りがやや先行する展開になっています。

市場参加者の主要関心事である新型コロナウイルスについては、感染拡大がさらに加速しています。6月の世界の新型コロナウイルス新規感染者数は1日当たり平均14.3万人でしたが、7月に入り、同22万人に加速しています。国別でもっとも感染が深刻な米国では、6月に一時、1日当たり新規感染者数が2万人を切る水準まで減速していましたが、7月は同約6.3万人のペースに速まっています。ブラジルやインド、ロシア、南アフリカなど、新興国の感染も深刻化しています。

我が国でも、5/25(月)には25人まで減っていた新型コロナウイルスの新規感染者数が、7/24(金)には981人まで再加速し、感染第2波の到来が意識される状態が続いています。ただ、死亡者数の増加率は6月の9.1%に対して7月は2.5%と減速しています。同様に死亡者数が急減速する傾向は欧州でもみられ、経済や株式市場の回復を下支える要因になっていると考えられます。

こうした中、世界的な過剰流動性を背景に、株式市場の需給関係は強く、海外の株式市場は総じて堅調に推移しています。米国市場全体の値動きを示すS&P500は7/22(水)に約5ヵ月ぶりの高値を回復、ナスダック指数は7/20(月)に過去最高値を更新し、その後もおおむね堅調な値動きを維持しています。なお、日経平均株価は7月第3週、第4週と総じて上昇した後、第5週はやや売りが先行する展開となっています。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/7/20〜2020/7/28)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
7/20(月) 22,717.48 +21.06 米ナスダック、SOX指数上昇が追い風。様子見気分強く売買代金は減少。
7/21(火) 22,884.22 +166.74 アマゾン、テスラ等が買われ、ナスダック指数(7/20)が4/29(水)以来の上昇幅。
7/22(水) 22,751.61 -132.61 米ハイテク株安が逆風。4連休を控えて様子見気分が拡大。
7/27(月) 22,715.85 -35.76 7/22(水)〜7/24(金)のNYダウは累計で下落。それを受け売り先行も下げ渋る。
7/28(火) 22,657.38 -58.47 米国株がハイテク株中心にリバウンド。半面円高進展で、強弱材料対立の形に。
  • ※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/7/28現在

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/7/27現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/7/28取引時間中。

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
7/28(火) 日本 ★決算発表(52件) 信越化、ファナック、日産自、東京エレク、キヤノン、オムロン
  米国 5月S&PコアロジックCS住宅価格指数 前回(20都市)は前年同月比3.98%上昇
  米国 ☆決算発表 コーニング、マクドナルド、ビザ
7/29(水) 日本 ★決算発表(84件) エムスリー、花王、三井住友、野村、JPX
  米国 6月中古住宅販売仮契約
  米国 ☆決算発表 ボーイング、フェイスブック、GE、GM、クアルコム
  米国 FOMC結果発表(日本時間7/30早朝)
7/30(木) 日本 ★決算発表(207件) OLC、コマツ、日立、三菱電、パナソニック、アドバンテスト、京セラ
  韓国 ※決算発表 サムスン電子
  米国 4〜6月期GDP(速) 市場コンセンサス(前期比・年率)は32.8%減
  米国 ☆決算発表 アップル、アルファベット、アマゾン、フォード
7/31(金) 日本 6月失業率/有効求人倍率 有効求人倍率は18/8の1.63倍(ピーク)から前回は1.20倍
  日本 6月鉱工業生産
  日本 ★決算発表(447件)〜前半のヤマ場 武田、NEC、村田製、三井物、JR東海、ヤマトHD
  中国 製造業PMI 前回は50.9
  米国 ☆決算発表 キャタピラー
8/3(月) 日本 ★決算発表(98件) 三菱重工、NTTドコモ、エーザイ
  米国 7月ISM製造業景況指数  
8/4(火) 日本 ★決算発表(118件) 日本製鉄、ソニー、三菱UFJ、オリックス
  米国 ☆決算発表 ディズニー
8/5(水) 日本 ★決算発表(174件) ホンダ、伊藤忠、ユニチャーム
  米国 7月ADP雇用統計 市場コンセンサスは2618千人増
  米国 7月ISM非製造業景況指数 雇用・新規受注等の指標にも注意
8/6(木) 日本 ★決算発表(328件) 資生堂、ダイフク、トヨタ、任天堂、三井不動産
8/7(金) 日本 ★決算発表(742件)〜発表社数では最大のヤマ場 ブリヂストン、日本郵政、住友商、東京海上、NTTデータ
  中国 7月貿易収支
  米国 7月雇用統計 市場コンセンサスは非農業部門雇用者数が2,685千人増。失業率10%

表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年
日銀金融政策決定会合 9/17(木)、10/29(木)、12/18(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 7/29(水)、9/16(水)、11/5(木)、12/16(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 9/10(木)、10/29(木)、12/10(木)
  • ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表3 の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2【ココがPOINT!】新型コロナウイルスの感染拡大でも、日経平均株価はなぜ底固いのか?

2020年の前半はまさに、年初から新型コロナウイルスの話題に支配された様相になっています。株価は一時大きく下げ、未曽有の大不況を覚悟せざるを得ない状況のように思われました。しかし、世界的に株価は底固い展開となり、前述したように米国では、ナスダック指数が最高値を更新する状況となっています。日本でも、日経平均株価(7/27終値)の年初からの下落率は4.0%程度にとどまっており、それだけで考えれば「自律調整」程度の株価下落にとどまっているとの理解が可能です。

それでも、インバウンド需要の消滅や、国際的な物流の減少等で業績の大幅悪化が避けられない業種が数多いことを考えれば、株価の底堅さは少々理解しにくいという投資家は多いように思われます。日本経済の大幅な落ち込みが避けられないと思われる中、日本を代表する銘柄の集まりであるはずの日経平均株価は、なぜあまり下げていないのでしょうか。

そこで、日経平均株価の構成銘柄の個別の動きに注目してみたいと思います。表4は、日経平均採用銘柄のうち、上昇への寄与が大きかった銘柄と、下落への寄与が大きかった銘柄のそれぞれ上位10社を並べたものです。昨年末から本年7/27(月)まで、日経平均株価は940円77銭(4.0%)下落しましたが、ソフトバンク(9984)は日経平均株価を376円超押し上げ、ファーストリテイリング(9983)は228円超押し下げた形になっています。結局、この間に値上がりした銘柄は35銘柄、下落した銘柄は190銘柄でしたが、この35銘柄の踏ん張りが、日経平均株価の下落を小さなものに押しとどめたと言えるかもしれません。

我が国のIT分野をけん引し、自社株買いにも前向きなソフトバンク(9984)、新型コロナウイルスと闘うセクターとして注目される薬品業界から中外製薬(4519)、世界的に活況が期待される半導体業界の東京エレクトロン(8035)、遠隔医療のテーマに乗った格好になっているエムスリー(2413)など、値上がりに寄与した銘柄は新型コロナウイルスとの共存を迫られる時代にも活躍が期待できると、市場は考えたようです。

なお、上昇した銘柄の中には、日経平均株価への寄与度が大きいと広く認識されている値がさ株が複数も含まれており、そうした点も日経平均株価を下支えしたように思われます。下落した銘柄が全体の84%にも相当する190銘柄に達しており、やはり、日本経済への影響は大きいということも、素直に言えるのではないかと思われます。

なお、新型コロナウイルスの問題が何らかの理由で出口に向かう可能性が強まってきた場合、それらの190銘柄がリバウンドしやすくなると予想されます。半面、上昇してきた35銘柄は相対的に値上がり率が鈍くなる可能性があります。「何らかの理由」として、現在想定しやすいのはワクチンの開発でしょう。新型コロナウイルス感染者の致死率が欧米や日本で落ちており、新型コロナウイルスの問題が出口に向かうことを期待したいところです。

表4 日経平均株価の年初来の変動に大きく影響している銘柄は?

コード 銘柄 2020/7/27 2019/12/30 変動率 変動への寄与
9984 ソフトバンクグループ 6,499 4,756 36.6% 376.73
4519 中外製薬 5,095 3,360 51.6% 187.50
8035 東京エレクトロン 28,870 23,925 20.7% 178.13
2413 エムスリー 5,110 3,305 54.6% 156.05
6367 ダイキン工業 19,365 15,450 25.3% 141.03
4063 信越化学工業 13,525 12,060 12.1% 52.77
4568 第一三共 8,666 7,228 19.9% 51.80
7733 オリンパス 1,973 1,689 16.8% 40.92
4021 日産化学 5,700 4,595 24.0% 39.81
6645 オムロン 7,490 6,420 16.7% 38.54
コード 銘柄 2020/7/27 2019/12/30 変動率 変動への寄与
9983 ファーストリテイリング 58,650 65,000 -9.8% -228.75
6971 京セラ 5,917 7,480 -20.9% -112.61
6762 TDK 10,700 12,390 -13.6% -60.88
6098 リクルートホールディングス 3,558 4,099 -13.2% -58.47
2502 アサヒグループホールディングス 3,610 4,983 -27.6% -49.46
7751 キヤノン 2,099 2,987 -29.7% -47.98
4324 電通グループ 2,554 3,775 -32.3% -43.98
4911 資生堂 6,615 7,782 -15.0% -42.04
9613 エヌ・ティ・ティ・データ 1,246 1,467 -15.1% -39.81
7951 ヤマハ 4,990 6,080 -17.9% -39.27
日経平均株価 22,715.85 23,656.62 -4.0% -940.77
  • ※Bloombergデータ、日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。「変動への寄与は、たとえば京セラの場合、日経平均株価が940円77銭下落する中、112円61銭下落に寄与しているという意味になります。
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