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2020-07-04 19:27:59

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急落・急騰を繰り返す東京株式市場、その当面の見通しを探る

2020/6/16

投資情報部 鈴木英之

3/19(木)に底入れして以降、反発局面をたどってきた日経平均株価ですが、6/9(火)に一時23,185円85銭の高値を付けた後は売り先行の展開になりました。上昇ピッチの速さに対する警戒感が強まっていたタイミングで、新型コロナウイルスの感染第2波の到来が懸念される状態になってきたことが要因と考えられます。ただ、企業の資金繰り支援策で米国株が値を保っていることもあり、6/16(火)の東京株式市場は再び、大幅高の展開になっています。

東京株式市場は急落・急騰を繰り返す不安定な状況になりつつあると言えそうです。今後はどうなるのでしょうか。日経平均株価は再び上昇トレンドに復帰できるのでしょうか。それとも、再び波乱の展開を覚悟すべきなのでしょうか。

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1急落・急騰を繰り返す東京株式市場

6月第2週(6/8〜6/12)の日経平均株価は4週ぶりに下落し、週末終値は前週末比2.4%安(558円25銭安)となりました。日経平均株価は3/19(木)に底入れして以降、反発局面をたどってきましたが、6/9(火)に一時23,185円85銭の高値を付けた後は反落局面になっていました。

投資家が株式の買い持ち高を抱えている時、それをどこで売るか判断するために「買い付けた時の理由」を記憶しておくことは重要なテクニックのひとつであると考えられます。仮に、重要な「理由」がすでになくなっていたり、その影が薄くなっていた場合、その銘柄はすでに「売り」のタイミングにあるのかもしれません。

3月中旬以降、6月上旬まで、投資家の多くはなぜ日本株を買ってきたのでしょうか。その理由のおもなものは以下のとおりであると考えられます。

(1)先進国を中心に、新型コロナウイルスの感染の拡大傾向に一巡感が台頭。
(2)上記の動きと並行し、多くの国が都市封鎖や人の移動を制限する政策を解除する方向になったこと。
(3)主要国の多くが未曽有の金融緩和や大規模な財政政策を発表し、実施の方向になったこと。
(4)経済指標の底入れ・上振れを背景に、外為相場で円安・ドル高が進展(5月上旬〜6月上旬)したこと。

上記のうち、(2)や(3)については、その方向感に大きな変化はみられず、引き続き株価上昇要因になっていると考えられます。足元でも、6/12(金)・6/15(月)の米国株式市場でNYダウは続伸となりましたが、企業の資金繰りを支えるべく、FRB(米連邦準備制度理事会)が社債購入を始めるとしたことが追い風になりました。また、6/16(火)に結果が発表された日銀金融政策決定会合でも、大規模な金融緩和の維持が発表されています。

しかし、(1)について現状は、市場の期待を裏切る状況となりつつあります。6/14(日)時点の、世界の新型コロナウイルス累計感染者数は約778万人で、6月にはいってからの新規感染者数は1日当たり12.3万人増と過去最速のペースで増加しています。米国では経済活動を早めに回復させた中・西部で再加速している上、ブラジルやインドなど主要新興国では感染が加速する兆しをみせています。さらに、一時感染が収まったかに見えた中国でも、北京市の卸売市場で集団感染がみつかり、感染第2波への警戒感が強まっています。当面、これらの国々の動向から目を離せない状態が続きそうです。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/6/8〜2020/6/16)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
6/8(月) 23,178.10 +314.37 前週末のNYダウが829ドル高。米国雇用統計が大きく上振れ。
6/9(火) 23,091.03 -87.07 外為相場が円高・ドル安方向へ反転したこともあり、利益確定売りに押される。
6/10(水) 23,124.95 +33.92 FOMCを見極めたいとの見方多く、マチマチ。値上がり銘柄数は前日比で増加。
6/11(木) 22,472.91 -652.04 下落幅は4/1(水)の851円以来の大きさ。米低金利の長期化警戒で円高進展。
6/12(金) 22,305.48 -167.43 新型コロナウイルス感染再拡大を懸念。米国株続落で安くスタートも下げ渋る。
6/15(月) 21,530.95 -774.53 新型コロナウイルス感染拡大を引き続き懸念。先物主導で売り。
6/16(火) 22,582.21 +1051.26 FRBによる社債買い入れ開始を評価。米国の1兆ドルインフラ投資にも期待。
  • ※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/6/16現在。

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/6/15現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/6/16取引時間中。

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
6/16(火) 日本 日銀金融政策決定会合結果発表/黒田日銀総裁会見
  ドイツ 6月ZEW景況感指数 約350人のアナリストや市場関係者にアンケート
  米国 5月小売売上高 米個人消費の趨勢を探る
  米国 5月鉱工業生産・設備稼働率  
6/17(水) 日本 5月貿易統計・設備稼働率
  日本 5月訪日外客数 4月は前年同月比99.9%減。
  米国 5月住宅着工件数  
6/18(木) 日本 東京都知事選告示
  米国 6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
6/19(金) 日本 日銀金融政策決定会合(4/27)議事要旨  
6/22(月) 米国 5月中古住宅販売件数  
  米国 アップル世界開発者会議  
6/23(火) 米国 5月新築住宅販売件数  
6/24(水) 日本 日銀金融政策決定会合「おもな意見」(6/16発表分)
  ドイツ Ifo景況感指数 約7,000社のドイツ企業に景況感をアンケート
  米国 FHFA住宅価格指数  
6/25(木) 中国 ◎中国市場が休場(〜27日 端午節)
  米国 5月耐久財受注 米国民間設備投資の先行指標

3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年
日銀金融政策決定会合 6/16(火)、7/22(水)、9/17(木)、10/29(木)、12/18(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 7/29(水)、9/16(水)、11/5(木)、12/16(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 7/16(木)、9/10(木)、10/29(木)、12/10(木)
  • ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表3の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2【ココがPOINT!】新型コロナウイルスの感染拡大が加速するシナリオに注意

新型コロナウイルスの感染者数は引き続き増加し続けています。世界の新型コロナウイルス累計感染者数は約778万人となっていますが、6月にはいってからの日次の新規感染者数は1日当たり12.3万人増と過去最速のペースで増加しています。

図4は新型コロナウイルスの感染者数について、図5は同死亡者数について、4月末と6/15(月)のデータを比べたものです。人口100万人当たりの数字に補正されていますので、数字が大きく、4月末から6/15(月)までの伸びが大きい国であるほど、同ウイルスの影響は深刻であると考えられます。

深刻度という意味では、いかに欧米への影響が大きかったのか、ご理解いただけると思います。また、足元の伸びという意味では、ブラジルやインドなど新興国の増加が気がかりな状態です。このうち、インドは人口が13億人台で中国同様に大きく、ここで感染爆発が起きると、全体の数字も増えやすくなるので注意が必要です。半面、人口が多い分、同国の人口100万人当たりのデータは比較的に小規模にとどまっています。

米国は財政・金融政策については機敏に対応してきたように評価されます。ただ、新型コロナウイルスの感染防止に対しては、結果的に、対応が遅れたと言わざるを得ないでしょう。現状でも、大統領選挙を意識したためか、都市封鎖等の解除が早過ぎた可能性もあります。人種問題と絡んで、米国経済・社会の不安定要因になるリスクがあります。なお、感染のさらなる拡大や社会の不安定化を経て、トランプ大統領の再選が難しくなる可能性も小さくありません。

また、ブラシルはボルソナロ大統領が経済活動を回すことを優先し、新型コロナウイルスへの対応が「軽視」された結果、爆発的な感染が拡大しています。新型コロナウイルスと気温の関係は解明されてはいませんが、気温が高いほど同ウイルスの活動は鈍りやすいとの見方が多いようです。逆に、これから冬を迎える南米にとっては不利な材料であり、引き続き注意が必要です。

こうした中、日本は人口補正したデータでみると、アジアを除く諸外国と比べ、新型コロナウイルスの抑え込みにかなり成功していると考えられ、投資の観点でも「海外投資家の買い」の増加を経て、有利に働く可能性もありそうです。半面、東京(実効再生産数が1.07倍)では「夜の街」での集団感染がみられ、感染が再拡大する可能性も出ています。当面はそうしたリスク面にスポットが当たりやすいとみられるので、こちらも要注意であると考えられます。

6/16(火)の大幅高でムードが明るくなった株式市場ですが、ボラティリティが大きいということは、不安定さが残っていることの裏返しと言えるかもしれません。

図4  各国の新型コロナウイルス感染者数(100万人当たり) 

図5  各国の新型コロナウイルス死亡者数(100万人当たり) 

  • ※報道等をもとにSBI証券が作成。国により計上基準が異なるほか、発表済みのデータが大きく修正されることもあります。
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