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2020-05-29 18:34:30

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「新型コロナウイルス」と日本の株式市場〜今度の反発は「本物」なのか?

2020/4/7

投資情報部 鈴木英之

世界的に株価は落ち着きを取り戻してきています。新型コロナウイルスの感染者数が拡大するとともに、世界各国の株価は下がる傾向にありましたが、感染者数の拡大に歯止めがかかる兆しが出ています。海外の株価はそれに先行するようにボトムを形成し、反発する兆しをみせています。

こうした中、我が国の新型コロナウイルスの感染者はその増加数がピークアウトしたとは言い難い状況にあります。その意味では、株価も底が固まったとは考えにくい面があります。ただ、日本が良い意味でも、悪い意味でも、世界で特異な存在になっていることが影響している可能性があります。今後感染者数がピークアウトしてくれば、すでにつけた株価の安値が正当化されることにはなりそうです。その意味で、緊急事態宣言で感染者数の増加にピークアウト感が出てくるか否か注目されるところです。

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1新型コロナウイルスの感染拡大に鈍化の兆し

4月第1週(3/30〜4/3)の東京株式市場では、日経平均株価の週終値が前週末比1,569円24銭(8.1%)安と、週足ベースでは反落となりました。3月第4週(3/23〜3/27)に週足ベースで、率・幅ともに、過去最大の上昇となったことに対する反動安になりました。3/30(月)以降、受け渡しベースで4月相場入りとなり、株主優待や配当の権利を取る動きが剥落したこと、新型コロナウイルスの国内での新規感染者数の増加が加速し、緊急事態宣言の発動が意識され始めたことも逆風となりました。

続く4月第2週は買い先行の展開になっています。4/6(月)の日経平均株価終値は前週末比756円11銭高の18,576円30銭となりました。4/5(日)に米NY州のクオモ知事が、新型コロナウイルスによる同州の死者数が前日比で初めて減少したと述べ、市場の警戒感が後退しました。日本では、安倍首相が緊急事態宣言と100兆円規模の経済対策を決断したと伝えられ、ようやく事態打開への期待が高まりました。

現在、株式市場にとってもっとも重要な関心事となっている新型コロナウイルスについては、世界の感染者数が3/21(土)の27万人超から3/28(土)に60万人超、4/4(土)に111万人超と拡大が加速しました。特に米国では、同じ期間に感染者数が、2万人超から12万人超、30万人超と急拡大し、感染の中心地であるNY州では医療崩壊の危機に瀕しています。ただ、数字に大きな修正がなければ、米国の新規感染者数の増加および世界の新規感染者の増加ともに4/3(金)頃がピークになる可能性が出てきています。こうした感染者数の推移も、株価の動きに大きく影響しているとみられます。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/3/30〜2020/4/7)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
3/30(月) 19,084.97 -304.46 3/27のNYダウ大幅安を嫌気。配当落ち178円超影響。配当再投資の買い等に期待
3/31(火) 18,917.01 -167.96 新型肺炎のワクチン期待でNYダウ上昇(3/30)も期末で買い持ちしにくい状況
4/1(水) 18,065.41 -851.60 「短観」の上振れはスルー。「非常事態宣言」を警戒。新年度4%超の下落は25年ぶり
4/2(木) 17,818.72 -246.69 3/23以来の安値。前日、米大統領が「とても厳しい2週間に」と発言
4/3(金) 17,820.19 +1.47 ロシア・サウジアラビアが原油減産との米大統領発言を好感。新型肺炎感染拡大を懸念。
4/6(月) 18,576.30 +756.11 NY州の死者が初めて減少したこと、日本の非常事態宣言間近の報道受け買いが先行
4/7(火) 18,950.18 +373.88 新型コロナウイルスへの不安が後退し、NYダウ(4/6)が1,627ドル高
  • ※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/4/7取引時間中。

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/4/6現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/4/7取引時間中。

2決算発表シーズン接近も材料にしにくく

4月に入り、2月決算の小売・外食企業で決算発表が本格化しつつあります。4/10(金)の安川電機は設備投資関連企業や、中国ビジネスを展開する企業の「先行指標」になりそうです。また、4/14(火)にはJ&JやJPモルガン・チェースの決算発表が予定され、米国企業の2020年1〜3月期決算発表が本格化のはこびです。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に生産・サービス活動が停止しており、企業にとっては先行きを見通すことが非常に困難となっています。4/9(木)に決算発表を予定している7&iホールディングス(3382)では、終わった期の業績は発表するものの、業績予想と中期計画の公表は見送る方針であることが明らかになりました。

今後も、業績見通しの発表を見送る上場企業は増えると思われます。業績予想を公表しない企業が増えるということは、予想PER等が正確に計算できない企業が増えることを意味しており、決算発表が材料にしにくくなるため、今後の波乱要因となりそうです。逆に、PBRなど過去数値で計算できる指標の利用頻度は高まりそうです。日経平均株価の上値や下値のメドを計算する時、PERよりもPBRの方が利用しやすくなると考えられます。

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
4/7(火) 日本 2月毎月勤労統計  
4/8(水) 日本 2月機械受注 民間設備投資の先行指標
4/9(木) 日本 3月工作機械受注
  日本 ★決算発表〜7&i、良品計画、ファーストリテイ 我が国および海外個人消費動向を占う
4/10(金) 日本 ★決算発表〜安川電機 設備投資動向、中国ビジネス動向等のヒントに
  日本 オプションSQ
  中国 3月消費者物価
  米国 ◎米国市場が休場(聖金曜日)
4/13(月) 日本 ★決算発表〜ファミリーマート、高島屋  
4/14(火) 日本 ★決算発表〜東宝、吉野家HD
  中国 3月貿易統計
  米国 ☆決算発表〜J&J、JPモルガン 米決算発表シーズンが開始
4/15(水) 日本 3月訪日外客数 2月は1,085千人(前年同月比58.3%減)
  韓国 総選挙 ムン・ジェイン政権の中間評価的位置づけ
  北朝鮮 故金日成主席誕生日
  米国 3月小売売上高 米個人消費の動向は?
  米国 4月NY連銀製造業景気指数 米国で最も厳しいとみられる地域の景況感
  米国 3月鉱工業生産・設備稼働率
  米国 ☆決算発表〜バンカメ、シティG、GS他
  - G20財務相・中銀総裁会議(電話会議)
4/16(木) 米国 3月住宅着工件数 労働市場の悪化が逆風に
  米国 4月フィラデルフィア製造業景況指数  
4/17(金) 中国 1〜3月期GDP 市場は前年比5%台の減少を想定
  中国 3月工業生産
  中国 3月都市部固定資産投資
  - IMF・世銀春季総会  

表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年
日銀金融政策決定会合 4/28(火)、6/16(火)、7/22(水)、9/17(木)、10/29(木)、12/18(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 4/29(水)、6/10(水)、7/29(水)、9/16(水)、11/5(木)、12/16(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 4/30(木)、6/4(木)、7/16(木)、9/10(木)、10/29(木)、12/10(木)
  • ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表3の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

3【ココがPOINT!】「新型コロナウイルス」と日本の株式市場

現在、投資家は新型コロナウイルスの感染者数の増減と株価を関連付けてみているようです。新型コロナウイルスの感染者拡大とともに、株価は下落する傾向にありますが、感染者の増加数がおおむねピークを付ける約10日前に、株価はボトムを付ける傾向にあるようです。米国では、感染者数の増加が4/3(金)頃にピークとなりそうですが、S&P500のボトムは3/23(月)になっています。

ただ、日本はこの通りになっていません。株価のボトムは今の所3/16(月)ですが、その10日後くらいに感染者の増加数がピークとなっていないようです。

(1)日本の感染者数は慎重なPCR検査実施基準もあり、海外に比べて低く出ている可能性があること。
(2)日本の株価は米国を中心とする世界の株価に強い影響を受けるため、独立して考えにくいこと。
(3)手洗い、うがいが習慣化し、水洗い場も多いなど、ウイルスが一般的に感染しにくい環境とみられること。
(4)人口当たりの新型コロナウイルス死者数が世界でも特に低いこと。

などの要因があり、日本が良い意味でも、悪い意味でも、世界で特異な存在になっている可能性があるためです。ただ、今後感染者数がピークアウトしてくれば、すでにつけた株価の安値が正当化されることにはなりそうです。その意味で、緊急事態宣言で感染者数の増加にピークアウト感が出てくるか否かが注目される所です。

仮に、感染者数にピークアウト感が出てくれば、(1)の数字が低いことすら正当化され、「コロナ以降」の日本株の、世界における相対的な位置づけを高める要因になりそうです。そのためにも、緊急事態宣言に協力し、不要不急の外出等を避けたい所です。

図4 米国の新型コロナウイルス感染者数の増加数と株価(S&P500)

図5 日本の新型コロナウイルス感染者数の増加数と株価(TOPIX)

  • ※報道等をもとにSBI証券が作成。土曜日、日曜日、祝日の株価は直前営業日の終値を使用。なお、感染者数データは特に新しいものほど大きく修正される可能性があり、注意が必要です。
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