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2020-12-04 08:32:53

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結局、24,000円から先、上昇余地は大きいのか、小さいのか?

2020/1/21

投資情報部 鈴木英之

米国とイランの対立激化が懸念されるなか、2020年の東京株式市場は波乱の幕開けとなりました。しかし、米国とイランは今以上に対立が激化しないことを望む旨の発言を行っており、それを受けて東京株式市場も落ち着きを取り戻しました。さらに、米中貿易問題が第1段階の合意に達し、両国が合意文書に署名すると、米国株は過去最高値更新の動きとなり、それを追い風にした日経平均株価も24,000円を回復してきました。

ただ、堅調な米国株式市場に比べると、東京株式市場の上値は重い印象です。日経平均株価の24,000円は強い上値抵抗ラインとして、投資家に意識されているように思われます。確かに昨年1月以降、日経平均株価は同水準で跳ね返される展開が続いています。一部の市場参加者は、現在の株高はバブルであり、近い将来下落の可能性が大きいと指摘しています。そうした見方は正しいのでしょうか。日経平均株価は24,000円を大きく上回ることはないのでしょうか。

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1日経平均株価は24,000円を回復したものの、上値は重い印象

日経平均株価(図1)は米国とイランの対立激化を嫌気する中、1/8(水)には一時23,000台を割り込む展開になりました。しかし、米国とイランの双方が紛争の拡大を望まない姿勢を示したことで反発に転換。結局、1月第1週(1/6〜1/10)末の日経平均株価は大納会終値に比べ193円95銭(0.8%)の上昇となりました。

1月第2週(1/14〜1/17)は、1/15(水)に米国と中国が貿易交渉を巡る第1段階の合意で署名に達するという重要な出来事があり、NYダウ(図2)など米国の主要株価指数が史上最高値を更新する展開になりました。さらに、1/14(火)にはドル・円相場(図3)において1ドル110円台まで円安・ドル高が進む展開となり、プラス材料が重なる形になりました。日経平均株価の週末終値は前週末比190円69銭(0.8%)高と、週足としては続伸となりました。

米国と中国が貿易交渉の結果、署名に至った第1段階の合意について、ポイントは以下のとおりであると考えられます。
(1)中国は米国からの輸入額を2年間で2千億ドル増やす。
(2)中国当局による外国企業への技術移転の強要を禁止する。
(3)中国から米国への輸入製品に課される関税の第4弾(2019年9月実施分)について、税率を15%から7.5%に引き下げる。
(4)合意内容について監視するとともに、月に1度交渉の機会を持つ。

市場では、この合意について署名が終わった後は「好材料出尽くしになる」との見方もありました。しかし、実際にはNYダウの上昇が続き、1/13(月)〜1/17(金)には5営業日連続で上昇し、日本株にも支援材料となりました。

ただ、東京株式市場では堅調な米国株に比べ、日本株の上値の重さが意識されるとの声も聞かれました。1/20(月)には日経平均株価が一時24,108円と昨年12月の高値(取引時間中ベース)24,091円を超え、上昇の加速も期待されましたが、翌日の1/21(火)には反落し、再び24,000円を割り込む展開になっています。日経平均株価の24,000円は強い上値抵抗ラインとして、投資家に意識されているように思われます。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/1/14〜2020/1/21)

  日経平均株価日米株式市場等の動き
終値前日比
1/14(火) 24,025.17 +174.60 米中通商交渉の進展を好感。1ドル110円台乗せの円安・ドル高も追い風か。
1/15(水) 23,916.58 -108.59 米中通商協議は材料出尽くし感強く、日経平均も4営業日ぶり反落。
1/16(木) 23,933.13 +16.55 米中協議署名も引き続き材料出尽くし感が強い。
1/17(金) 24,041.26 +108.13 米国株高の継続に加え、中国経済指標の上振れを好感。
1/20(月) 24,083.51 +42.25 米国株の高値更新を好感。米休場控え、東証1部売買代金は1.41兆円にとどまる。
1/21(火) 23,864.56 -218.95 新型コロナウイルス感染の拡大を警戒。アジア株安も逆風。
  • 日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/1/21現在。

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/1/17現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/1/20現在。

2日米で決算発表がスタート

1/14(火)以降、米国では2019年10〜12月期の決算発表が本格化してきました。我が国でも、前哨戦となる安川電(6506)の決算発表が終わりましたが、日本電産(6594)が発表する1/23(木)あたりから2019年10〜12月期の決算発表が本格化してくるはこびです。現状では、415社の発表が予定されている1/31(金)が第1のヤマ場、500社超の発表が予定されている2/7(金)が最大のヤマ場になりそうです。

個別には、ソニー(6758)が2/4(火)、トヨタ自動車(7203)が2/6(木)、ソフトバンクグループ(9984)が2/12(水)などとなっており、決算発表スケジュール上の重要な節目になると考えられます。なお、現在株式市場で注目されている半導体関連の主力銘柄の多くは1月中に発表を予定しています。

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
1/21(火) 日本 日銀金融政策決定会合結果発表/黒田総裁会見
  - 世界経済フォーラム(ダボス会議)
    1月ドイツZEW景況感調査 350人の市場関係者に景況感をアンケート
1/22(水) 米国 12月中古住宅販売件数 市場コンセンサスは前月比1.5%増
  欧州 ☆決算発表 ASMLホールディングス〜半導体露光装置世界最大手
  米国 ☆決算発表 J&J、TI
1/23(木) 日本 12月貿易統計
  日本 ★決算発表(4件) 日本電産〜東京株式市場で10〜12月期決算発表シーズン開始
  欧州 ECB定例理事会/ラガルド総裁会見 政策金利等に変更はない見通し
  米国 ☆決算発表 インテル、P&G、トラベラーズ
1/24(金) 日本 12月消費者物価(生鮮食品を除く) 市場コンセンサスは前月比0.7%上昇
  中国 ◎春節の休暇(〜30日頃)  
1/27(月) 日本 ★決算発表(22件) 日東電工
  ドイツ 1月Ifo景況感指数 約7千社のドイツ企業に景況感をアンケート
  米国 12月新築住宅販売件数 市場コンセンサスは前月比0.8%増
1/28(火) 日本 ★決算発表(36件) エムスリー、信越化学、日立化成
  米国 12月耐久財受注 米設備投資の先行指標
  米国 11月S&PコアロジックCS住宅価格指数
  米国 1月コンファレンスボード消費者信頼感指数
  米国 ☆決算発表 アップル、3M
1/29(水) 日本 ★決算発表(74件) NEC、アドバンテスト、ファナック、キヤノン、LINE
  米国 12月中古住宅販売仮契約
  米国 ☆決算発表 ボーイング、フェイスブック、GE、コーニング
1/30(木) 米国 FOMC(米連邦公開市場委員会)結果発表〜日本時間の未明に発表 政策金利の変更はない見通し
  日本 ★決算発表(198件) 中外薬、OLC、アンリツ、任天堂、東京エレク、三井住友FG
  米国 10〜12月期GDP 市場コンセンサスは前期比(年率)2.2%増
  韓国 ☆決算発表 サムスン電子
1/31(金) 日本 12月失業率/有効求人倍率 前回は失業率2.2%、有効求人倍率1.57倍
  日本 12月鉱工業生産
  日本 ★決算発表(415件)〜第1のヤマ場 第一三共、コマツ、日立、みずほFG
  中国 1月製造業PMI
  英国 英国のEU離脱期限が到来
  米国 ☆決算発表 キャタピラー、エクソンモービル

表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年
日銀金融政策決定会合 1/21(火)、3/19(木)、4/28(火)、6/16(火)、7/22(水)、9/17(木)、10/29(木)、12/18(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 1/29(水)、3/18(水)、4/29(水)、6/10(水)、7/29(水)、9/16(水)、11/5(木)、12/16(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 1/23(木)、3/12(木)、4/30(木)、6/4(木)、7/16(木)、9/10(木)、10/29(木)、12/10(木)
  • ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表3の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。決算発表のポイント欄に書かれた銘柄名は発表会社の例であり、ほかにも発表会社がある時が多くなっています。

3【ココがPOINT!】結局、24,000円から先、上昇余地は大きいのか、小さいのか?

冒頭で触れましたように、堅調な米国株式市場に比べると、東京株式市場の上値は重い印象です。日経平均株価の24,000円は強い上値抵抗ラインとして、投資家に意識されているように思われます。一部の市場参加者は、現在の株高はバブルであり、近い将来下落の可能性が大きいと指摘しています。まるでそうした考え方を裏付けるかのように、1/21(火)の日経平均株価は24,000円のラインから跳ね返されるかのように反落しました。やはり、日経平均株価が24,000円を大きく上回ることはないのでしょうか。

図4は日経平均株価と予想EPS(1株利益)の推移を示したものです。予想EPSは企業業績のトレンドを表すものと考えられますが、図4は株価が企業業績の拡大に伴って上昇してきたことを示しています。大雑把に申し上げますと、過去10年間で株価は2倍超になり、予想EPSは5倍超に拡大しました。確かに、企業業績(予想EPS)の拡大につれて株価は上昇してきましたが、予想EPSの拡大をすべて織り込めた訳ではないとみられます。

株式市場では時に、株価が上昇するとバブルだと指摘する意見が出てきます。日経平均株価は予想EPSと予想PER(株価収益率)の掛け算で求められ、このうち予想PERは市場の心理状態に左右されます。株価をすべて景気・企業業績だけで説明できず、市場心理に負う所もあるため、株価が本質的にバブルを含んでいることは確かです。しかし、この10年間をみる限り、株価は企業業績拡大の一部しか織り込めていないと考えられ、市場心理を示す予想PERは低下傾向になっています。

平成バブルにせよ、ITバブルにせよ、基本的には予想PERの極端な上昇が観測されています。図5にもあるように、予想PERが歴史的な低水準に低迷している現在は、バブルというには違和感が感じられ、歴史的には予想PERが低めの今はむしろ、株価の割安感を示しているとさえ言えそうです。

そもそも株価の上値の重さや、歴史的にみて継続中の予想PERの低下傾向の背景には何があるのでしょうか。たとえて言うならば「日本にはアップルやアルファベット、フェイスブックのような存在が見当たらない」ということかもしれません。言い方を変えれば、製造業を中心に国際競争力の低下が嫌気されているのかもしれません。

国際競争力の低下は長期的な円高や、海外への技術流出、貿易戦争を通じての優位性の低下等、様々なことが原因と考えられます。そうしたことを考えると、米中貿易摩擦で米国が中国にかける様々な圧力や施策は一見、保護主義的なもののようにみえますが、長期的には日本企業のためにもなるケースも出てきそうです。

なお、景気は緩やかな後退局面の中で底入れのタイミングを計る展開とみられます。現在1,650円前後の日経平均株価予想EPSが5%増益で1,732円、10%増益で1,815円の計算です。1年後にそうした予想EPSが実現しても不思議ではありません。仮に予想PERが現在と同一水準であれば、14.59倍が計算に使われることになります。予想EPSが5%増益の場合、日経平均株価は25,269円、同10%増益なら26,480円の計算です。予想EPSの回復と同時に市場心理(予想PER)も回復すれば、さらなる上値が可能となります。日経平均株価が24,000円を大きく上回る可能性は小さくないようです。

図4 日経平均株価と予想EPS(1株利益)の推移(日足)

図5 日経平均株価の予想PERの推移(日足)

  • ※図4、図5ともに日経平均株価データを用いてSBI証券が作成。
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