12月第3週(12/17〜12/21)、日経平均株価の終値は前週末比1,208円64銭(5.7%)の下落となりました。第2週(1.4%の下落)および第1週(3.0%の下落)に続く下落です。なお、週明け12/25(火)も日経平均株価の下落幅は1,010円45銭に達し、終値は昨年9/15(金)以来の2万円割れとなり、同年4/25(火)以来の安値水準となりました。
今回の株価下落は10/4(木)の「ペンス演説」が重要な契機となっており、2019年に入っても波乱が続く可能性はありそうです。ただし、目先的には12/25(火)または12/26(水)に底入れとなる可能性がありそうです。
12月第3週(12/17〜12/21)、日経平均株価(図1)の終値は20,166円19銭となり、前週末比1,208円64銭(5.7%)の下落となりました。第2週(1.4%の下落)および第1週(3.0%の下落)に続く下落で、前月末からは2,184円87銭(9.8%)下落したことになります。なお、週明けの12/25(火)も日経平均株価の下落幅は1,010円45銭に達し、終値は昨年9/15(金)以来の2万円割れとなり、同年4/25(火)以来の安値水準となりました。
引き続き、米中の覇権問題が株式市場の先行きを読みにくくしているようです。こうした中、米FRB(米連邦準備制度理事会)が米国時間12/19(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)後に示した政策金利見通しについて、2019年の利上げ回数予想を下方修正したものの、資産縮小については予定通り進めるとしたため、株式市場は「FRBは思ったほどハト派的ではない」との失望感が広がりました。さらに、米議会が可決した「つなぎ予算」について、メキシコ国境の壁建設の費用が盛り込まれていないことを理由に、トランプ大統領が署名を拒否し、政府一部機関が閉鎖になったことも嫌気されています。
この間の具体的な日別の動向は以下のようになっています。
- 12/17(月)132円05銭高・・・反発。自律反発狙いの買いが優勢。米国株安につながった「中国経済の減速」は織り込み済み。
- 12/18(火)391円43銭安・・・NYダウ(12/17)が507ドル安した流れを引き継ぐ。
- 12/19(水)127円53銭安・・・資金吸収額が過去最大の新規上場株ソフトバンク(9434)の初値が売出価格割れ。
- 12/20(木)595円34銭安・・・「FRBは思ったほどハト派的ではない」としてNYダウ(12/19)が351ドル安。
- 12/21(金)226円39銭安・・・トランプ大統領が「つなぎ予算」に署名せず、NYダウ(12/20)が464ドル安。
- 12/25(火)1,010円45銭安・・・政府機関閉鎖が嫌気され、12/21(金)・12/24(月)のNYダウが計1,067ドル下落。
日経平均株価は2018年、3/23(金)の20,617円86銭が終値ベースでの年初来安値でしたが、12/21(金)にそれを更新してしまった形です。通常株式市場では「師走相場」と言われ、年末にかけて株価が上昇する「掉尾の一振」を期待されますが、逆に下落するというのは、形として好ましくないように思われます。2019年の株式相場が波乱の展開になることを暗示している可能性もありそうです。
図1 昨年9/15(金)以来の2万円割れとなった日経平均株価
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2018/12/25取引時間中
図2:NYダウ(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2018/12/24現在
図3:ドル・円相場(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2018/12/25取引時間中
当面の重要日程は表1の通りです。経済指標の発表等について、特に重要なものはおおむね発表が終了しましたので、株式市場の関心は、年末の株価水準となるかもしれません。
ただ、年が明けていつまでも「おとそ気分」という訳にもいかなそうです。1/4(金)には米国で雇用統計(12月)の発表が予定されています。時間当たり賃金の増加率は、前年同月比で3.0%増というのが市場コンセンサスになっています。実績がここを上回ってくると、賃金上昇圧力の高まりを背景に株安材料となる可能性があり、注意が必要です。
表1 当面の主要タイムスケジュール〜米雇用統計は1/4(金)の予定
月日(曜日) | 国・地域 | 予定内容 | ポイント |
---|---|---|---|
12/25(火) | 日本 | ★決算発表 | しまむら |
米国 | ◎米国市場他多くの市場が休場 | クリスマス | |
12/26(水) | 日本 | 日銀金融政策決定会合(10/31発表分)議事要旨 | |
米国 | 10月S&PコアロジックCS住宅価格指数 | 9月は前年同月比5.15%上昇 | |
12/27(木) | 日本 | ★決算発表 | Jフロント、ニトリHD他 |
米国 | 10月FHFA住宅課価格指数 | ||
米国 | 11月新築住宅販売件数 | ||
米国 | 12月CB消費者信頼感指数 | ||
12/28(金) | 日本 | 11月失業率・有効求人倍率 | 有効求人倍率は9月1.64倍(44年8ヵ月ぶり高水準)、10月1.62倍 |
日本 | 日銀金融政策決定会合(12/20発表分)「おもな意見」 | ||
日本 | ★東証大納会 | 2017年終値は日経平均株価22,764円94銭、TOPIXは1,817.56 | |
米国 | 11月中古住宅販売仮契約 | ||
12/30(日) | - | 米国を除く11ヵ国で「TPP」が発行 | |
12/31(月) | 中国 | 12月製造業PMI | |
1/3(木) | 米国 | 12月ADP雇用統計 | 市場コンセンサスは前月比18万人増 |
米国 | 12月ISM製造業指数 | ||
1/4(金) | 日本 | 大発会 | 2019年の干支は「己亥」(つちのと・い) |
米国 | 12月雇用統計 | 市場コンセンサス(非農業部門雇用者数)は前月比18万人増 |
表2 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2019年 | |
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日銀金融政策決定会合 | 1/23(水)、3/15(金)、4/25(木)、6/20(木)、7/30(火)、9/19(木)、10/31(木)、12/19(木) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 1/30(水)、3/20(水)、5/1(水)、6/19(水)、7/31(水)、9/18(水)、10/30(水)、12/11(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 1/24(木)、3/7(木)、4/10(水)、6/6(木)、7/25(木)、9/12(木)、10/24(木)、12/12(木) |
- ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表2の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。
日経平均株価は今後どうなるのでしょうか。目先的には「底入れ」のタイミングが接近していることを示唆する材料が増えています。
- (1)日経平均株価の25日移動平均線からのかい離率がマイナス10.87%(12/25)に達し、反転の目処となるマイナス7〜8%を超えてきたこと
- (2)RSIが20.21%(12/25)に達し、反転の目処となる30%を下回ってきたこと
- (3)東証1部の騰落レシオが65.6%(12/21)に達し、反転の目処となる70%をすでに下回ってきたこと
- (4)12/21(金)の予想EPSで計算した日経平均株価の予想PERは10.69倍で、2012年の最低水準に接近していること
年内の重要日程がおおむね終了し、新規の悪材料が出にくくなっていることもあり、目先的には12/25(火)または12/26(水)に底入れとなる可能性がありそうです。
ただ、中長期的には波乱が続く可能性が残っていそうです。図5は日経平均株価の「年足」ですが、2018年の陰線が前年の陽線を包み込むような形になった場合、1990年、2000年、2007年のような形に類似することになり、翌年以降の下落が想定されることになります。思えば、今回の株価下落は10/4(木)の「ペンス演説」が重要な契機になっているとみられますが、仮に米中が「新冷戦時代」を迎えたのであれば、波乱は短期に収束しにくいと考えられます。
原油価格がピークアウトから下落が本格化していることも、2008年のパターンを想起させています。来年前半にかけて株式市場は正念場を迎える可能性がありそうです。
図4 日経平均株価(日足)と25日移動平均線、同かい離率
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成
図5 日経平均株価(年足)の長期推移
- ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。2018年の年足は12/25(火)終値を最新データとしています。