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2019-08-26 10:02:29

マーケット > レポート > 225の『ココがPOINT! > 波乱が続く東京株式市場〜投資家が注目する「ある現象」が示唆することは?

波乱が続く東京株式市場〜投資家が注目する「ある現象」が示唆することは?

2018/12/11

12月第1週(12/3〜12/7)、日経平均株価の終値は21,678円68銭となり、前週末比672円38銭(3.0%)の下落となりました。11月の上昇率は2.0%でしたので、それを帳消しにした格好になっています。続く12月第2週の東京株式市場も売り先行でスタートしました。米中貿易摩擦への懸念がくすぶり続けたことに加え、米雇用統計(11月)で時間当たり賃金の伸び率が高水準を維持し、利上げ停止観測が後退したことが要因になっていると考えられます。

こうした中、市場では「ある現象」に注目が集まっています。米国債利回りについて、期間の長い5年国債から期間の短い2年国債を引いた数字がマイナスになったことです。このような現象を「逆イールド」と称しますが、一般的には景気が悪化し、株価が下がる前兆と理解されています。今回は景気の悪化・株価の下落につながるのでしょうか。

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112月は下落基調でスタート

12月第1週(12/3〜12/7)、日経平均株価の終値は21,678円68銭となり、前週末比672円38銭(3.0%)の下落となりました。11月の上昇率は2.0%でしたので、それを帳消しにした格好になっています。

12/1(土)の米中貿易協議は具体的な進展こそ見られなかったものの、米国による中国製品への関税引き上げ(2,000億ドルの輸入品に対し、9/24以降賦課されていた関税の税率を10%から25%に)実施は「猶予」されることになりました。これを受けて、主要国の株式市場は買い先行となりました。しかし、中国最大かつ世界最大級の通信機器メーカーである華為(ファーウェイ)技術の副会長(CFO)が逮捕されていたことが判明し、米中貿易摩擦はむしろ激化する可能性が懸念され、主要国の株価は再び下げに転じました。なお、日次ベースでの動きは以下のようになっています。数字は日経平均株価の変化を示しています。

  • 12/3(月)223円70銭高・・・7営業日続伸。米中貿易協議が「一時休戦」と理解されました。
  • 12/4(火)538円71銭安・・・8営業日ぶりに反落。利益確定売りが広がり、連騰期間の上げ幅の約半分を帳消しにしました。
  • 12/5(水)116円72戦安・・・NY株安(12/4・799.36ドル安)を嫌気するも下値で押し目買いが優勢になりました。
  • 12/6(木)417円71銭安・・・華為技術副会長逮捕が響きました。
  • 12/7(金)177円06銭高・・・「華為ショック」でNY株も下げましたが、米国の利上げ停止観測が下支えになりました。

華為(ファーウェイ)技術は中国で最大、世界でも最大級の通信機器メーカーです。スマートフォンの世界シェアは韓国サムスン電子に次ぐ第2位(2018年7〜9月期)であり、アップルを凌駕しています。また通信基地局では世界トップシェア(2017年)を有し、エリクソンやノキアを上回っています。上場こそしていないものの、中国の製造2025をけん引する企業のひとつであり、同国の中核的企業の1社であると考えられます。中国の人民解放軍に所属していた人々が創業したことで知られ、逮捕された孟副会長は創業者である任正非氏の娘でもあります。

このように、華為技術は中国経済・産業界で極めて重要な位置にあり、その「創業者の娘」の逮捕について、株式市場は米中貿易摩擦との深い関わりの中で理解しようとしているようです。孟副会長がカナダで逮捕されたのが12/1(土)であることを考えれば、12月第1週の全般的な下げに強く影響していた可能性もありそうです。

なお、12月第2週の東京株式市場も売り先行でスタートしました。12/10(月)の日経平均株価は前週末比459円18銭安と大きく反落しました。米中貿易摩擦への懸念がくすぶり続けたことに加え、12/7(金)に発表された米雇用統計(11月)で時間当たり賃金の伸び率が高水準を維持し、利上げ停止観測が後退したことが要因になっていると考えられます。12/11(火)も日経平均株価は前日比71円48銭安と続落しています。

図1:再び21,000円台前半まで下落した日経平均株価

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2018/12/11取引時間中

図2:NYダウ(日足)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2018/12/10現在

図3:ドル・円相場(日足)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2018/12/11取引時間中

2米国の賃金上昇圧力は継続?

米国では12/7(金)に雇用統計(11月)の結果が発表されました。2018年最後の雇用統計発表となりました。その結果の概要は以下の通りです。

  • 非農業部門雇用者数(前月比)・・・市場予想(前月比19.8万人増)を下回る15.5万人増にどどまりました。
  • 失業率・・・・前月・市場予想と同じ3.7%でした。ただし、引き続き「完全雇用」状態の強い数字が続いています。
  • 時間当たり賃金・・・前年同月比3.1%増で、市場コンセンサスおよび前月の数字と同じになっています。
  • 労働参加率・・・・前月・市場予想と同じ62.9%でした。

米国経済は「完全雇用」状態とみられ、企業は人手確保に窮しています。このため、雇用者数を伸ばすことは難しくなっており、非農業部門雇用者数の伸びにくくなっています。また、人手不足に伴い賃金上昇圧力も高い水準を維持しています。この数字を受け、2019年にFRBが利上げを停止するとの見方は少し後退したようです。

今週は12/14(金)に重要日程が集中しており、投資家として十分な注意が必要です。日銀短観、メジャーSQ、中国主要経済統計の発表が重なっており、波乱となる可能性も十分残っていると考えられます。

表1 当面の主要タイムスケジュール〜2018年最後の米雇用統計が発表予定

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
12/11(火) 英国 EU離脱合意案の採決  
ドイツ 12月ZEW景況感指数 350人のアナリストや市場関係者にアンケート
米国 11月生産者物価指数  
12/12(水) 日本 10月機械受注 民間設備投資の先行指標
米国 11月消費者物価指数(食品・エネルギーを除く) 市場コンセンサス(前年同月比)は2.2%上昇
12/13(木) 日本 11月都心オフィス空室率 10月は2.2%
欧州 ECB理事会
12/14(金) 日本 12月調査日銀短観 市場コンセンサス(大企業・製造業・業況判断指数)は+18
日本 メジャーSQ
中国 11月鉱工業生産 市場コンセンサス(前年同月比)は5.9%増
中国 11月小売売上高 市場コンセンサス(前年同月比)は8.8%増
中国 11月固定資産投資(年初来・累計) 市場コンセンサス(前年同期比)は5.8%増
米国 11月鉱工業生産 市場コンセンサス(前月比)は0.3%増
12/17(月) 日本 11月首都圏マンション発売 10月は前年同月比2.8%増
米国 12月NAHB住宅市場指数 市場コンセンサスは61
12/18(火) ドイツ 12月Ifo景況感指数 約7千社を対象に現在と半年後の景況感をアンケート
米国 11月住宅着工件数 市場コンセンサス(前月比)は0.6%増
米国 ★決算発表 マイクロンテクノロジー、フェデックス他
12/19(水) 日本 ソフトバンク(9434)が新規上場  
日本 11月貿易統計  
日本 11月訪日外客数 台風等で9月に前年同月比5.3%減の後、10月は1.8%増に回復
米国 11月中古住宅販売件数 市場コンセンサスは前月比0.4%減
米国 FOMC結果発表(日本時間12/20午前4時頃発表) 政策金利上限が現状の2.25%から2.50%へ引き上げられる公算大
12/20(木) 日本 日銀金融政策決定会合結果発表  
米国 12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数  
12/21(金) 日本 11月消費者物価指数  
米国 11月耐久財受注 米国民間設備投資の先行指標

表2 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2018年 2019年
日銀金融政策決定会合 12/20(木) 1/23(水)、3/15(金)、4/25(木)、6/20(木)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 12/19(水) 1/30(水)、3/20(水)、5/1(水)、6/19(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 12/13(木) 1/24(木)、3/7(木)、4/10(水)、6/6(木)
  • ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表2の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

3【ココがPOINT!】市場が注目する「逆イールド」が示唆することは?

市場では「ある現象」に注目が集まっています。米国債利回りについて、期間の長い5年国債から期間の短い2年国債を引いた数字がマイナスになったことです。このような現象を「逆イールド」と称しますが、一般的には景気が悪化し、株価が下がる前兆と理解されています。

図4は「米5年国債・米2年国債の利回り格差と日経平均株価」を示したものです。米国債と比べるのであれば、米国株を対象とするのが妥当ですが、このコンテンツは日本株をテーマにしているので、対象を日経平均株価にしています。仮に、米国債の「逆イールド」が米国景気の悪化や米国株価下落の前兆なのであれば、日本株にも悪い影響が表れても不思議ではないと思います。

数字を付け、赤い四角で囲んだ部分は5年国債と2年国債の「逆イールド」がおおむね成立した局面を示しています。このうち、期間2は「ITバブル崩壊」と重なっていますが、株価下落期間ときれいに重なっています。

期間1は我が国の「平成バブルのピークアウト」の期間(したがって、もともと米国債と明確な関係があるとは限らない)に重なっており、期間3は米住宅バブルの時期と重なっています。これらの時期に共通して言えることは「すぐに株価が下落した訳ではないものの、しばらくして大きな下落につながった」と考えられます。

「逆イールド」が生じる時、「足元の景気は強いけれども、投資家は相対的に将来に対し不安を感じている」ということなのかもしれません。確かに、米国経済は総じて強いものの、金利上昇や人手不足の影が住宅市場等を覆いはじめ、米中貿易摩擦が企業マインドに影響を及ぼしつつあり、将来への不安は強まりつつあります。近い将来、市場で大きな波乱が起きる可能性を否定することはできません。

図4:米5年国債・米2年国債の利回り格差と日経平均株価

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
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