日経平均株価は10月第1週に1.4%下落、第2週に4.6%下落した後、第3週も0.7%下落し、3週連続の下落となりました。第4週の日経平均株価も不安定な状態が続いています。週明けに小反発したものの、10/23(火)は604円安と大幅反落し、結局9月末24,120円04銭に対し、8.7%の下落となりました。TOPIXは年初来安値更新です。
しかし、日経平均株価は目先「下げ過ぎ」の様相を呈してきています。同平均株価のRSI(相対力指数)は一般的に30%以下で「下げ過ぎ」を示唆すると言われていますが、10/23(火)現在で20.6%まで低下しています。日経平均株価はすでに底値圏に達しており、いつ反発に転じても不思議ではないと考えられます。仮に、更なる「ダメ押し」がある場合、その下値メドとして、いくつかの株価をご紹介したいと思います。
日経平均株価(図1)は10月第1週に1.4%下落、第2週に4.6%下落した後、第3週も0.7%下落し、3週連続の下落となりました。
10/15(月)には、日米通商協議で米国が日本に「為替条項」を盛り込むよう要請してくることが懸念され、前営業日比423円36銭安の急落となりました。10/16(火)には日経平均高寄与度銘柄の上昇が手伝って277円94銭高、10/17(水)には半導体関連株の反発で291円88銭高と続伸しましたが、10/18(木)に182円96銭安、10/19(金)に126円08銭安と再び続落しました。米中貿易摩擦問題で追加関税の可能性が懸念されました。
第4週の日経平均株価も不安定な状態が続いています。週明け10/22(月)に小反発したものの、10/23(火)は604円安と大幅反落し、結局9月末24,120円04銭に対し、8.7%の下落となりました。経済対策への期待から10/22(月)には中国株が大幅反発となりましたが、10/23(火)には中国株を含むアジア株が大幅安となり、世界経済の減速が懸念されました。日本株もこれらの動向にツラれる展開になっています。TOPIXは年初来安値更新です。
この間、米国株式市場(図2)では、NYダウが10/9(火)〜10/11(木)に3営業日続落し、NYダウが1,433ドル下げましたが、その後は200日移動平均線を下値に意識しながら、底値固めのような展開が続いています。米中貿易摩擦の影響が気になる所ですが、米10年国債利回りが一時3.2%まで上昇したことで、景気や株価への影響も懸念されています。
図1 3週連続安後も不安定な展開が続く日経平均株価
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2018/10/23現在
図2:NYダウ(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2018/10/23現在
図3:ドル・円相場(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2018/10/23取引時間中
米国ではいよいよ決算発表がピークを迎えようとしています。当面は毎日のように、世界的に事業を展開している企業の発表が続く予定です。中には、中国で生産を行い、製品を米国に輸出している企業もあります。中国からの輸入賦課に対する関税の影響は、米国企業にも及んでくる可能性があり、注意が必要です。
一方、我が国でも決算発表が本格的に始まろうとしています。10/10(水)に安川電機(6506)が今期(2019年2月期)の業績予想下方修正を発表し、ハーモニック(6324)も売上高や受注の落ち込みを速報ベースで発表しています。また、10/19(金)には川崎重工業(7012)が今期(2019年3月期)業績予想の下方修正を発表しています。
今の所、業績予想の下方修正が目立つため、決算発表の更なる本格化を控えた株式市場では、ポジション調整による株価下落圧力が強まる可能性があり、注意が必要です。ただ、円安により業績予想の上積みを期待できる企業もあり、決算発表では明暗が分かれることになりそうです。
表1 日米ともに決算発表シーズンへ
月日(曜日) | 国・地域 | 予定内容 | ポイント |
---|---|---|---|
10/23(火) | 日本 | ★決算発表(2社) | 日本電産、シマノ他 |
米国 | ☆決算発表 | キャタピラー、コーニング、マクドナルド、TI | |
10/24(水) | 日本 | ★決算発表(26社) | 花王、中外薬他 |
米国 | 8月FHFA住宅価格指数 | ||
米国 | ☆決算発表 | ボーイング、フォード、ビザ、AMD、マイクロソフト | |
10/25(木) | 日本 | ★決算発表(61社) | サイバー、日立建機、キヤノン他 |
日本・中国 | 安倍首相訪中(予定) | ||
欧州 | ECB理事会/ドラギ総裁会見 | ||
ドイツ | 10月Ifo景況感指数 | 約7千社のドイツ企業に景気の現状と半年後をアンケート調査 | |
米国 | 9月耐久財受注 | 米民間設備投資の先行指標 | |
米国 | 9月中古住宅販売仮契約 | 米中古住宅販売件数の先行指標 | |
米国 | ☆決算発表 | アルファベット、インテル、ツイッター | |
10/26(金) | 日本 | ★決算発表(96社) | 信越化学、日立、リコー他 |
日本・中国 | 日中首脳会談(北京) | ||
米国 | 7〜9月GDP(前期比・年率) | 4〜6月は+4.2%、7〜9月(市場コンセンサス)は+3.2%の予想 | |
10/28(日) | ブラジル | 大統領選決定投票 | 極右ボルソナロ氏が優勢との報道 |
10/29(月) | 日本 | ★決算発表(90社) | コマツ、三菱電機、ファナック、JR各社 |
10/30(火) | 日本 | 9月失業率/有効求人倍率 | |
日本 | ★決算発表(179社) | JFE、シャープ、ソニー、ホンダ、任天堂、三井物産他 | |
米国 | 8月S&PコアロジックCS住宅価格指数 | ||
米国 | 10月CB消費者信頼感指数 | 米国の消費マインドは? | |
米国 | ☆決算発表 | GE、フェイスブック他 | |
10/31(水) | 日本 | 日銀金融政策決定会合結果発表(黒田総裁会見) | |
日本 | 9月鉱工業生産 | ||
中国 | 10月製造業PMI | 企業マインドの強弱を示す | |
日本 | ★決算発表(386社)〜決算発表第1のヤマ場 | パナソニック、TDK、村田製作所、東エレク他 | |
米国 | 10月ADP雇用統計 | 雇用者数のコンセンサスは前月比20.4万人増 | |
米国 | ☆決算発表 | GM、スプリント他 | |
11/1(木) | 日本 | ★決算発表(81社) | 三菱ケミHD、小野薬、キーエンス他 |
米国 | 10月ISM製造業景況指数 | 米製造業のマインドを示す最も重要な指標 | |
米国 | ☆決算発表 | アップル他 | |
11/2(金) | 日本 | ★決算発表(138社) | 旭化成、新日鉄住、三菱商他 |
中国 | ☆決算発表 | アリババG他 | |
米国 | 10月雇用統計 | 平均時給(前回・前年同月比)は2.8%増 |
表2 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2018年 | 2019年 | |
---|---|---|
日銀金融政策決定会合 | 10/31(水)、12/20(木) | 1/23(水)、3/15(金)、4/25(木)、6/20(木) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 11/8(木)、12/19(水) | 1/30(水)、3/20(水)、5/1(水)、6/19(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 10/25(木)、12/13(木) | 1/24(木)、3/7(木)、4/10(水)、6/6(木) |
- ※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表2の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。
日経平均株価は目先「下げ過ぎ」の様相を呈してきています。同平均株価のRSI(相対力指数)は一般的に30%以下で「下げ過ぎ」を示唆すると言われていますが、10/23(火)現在で20.6%まで低下しています。また、25日移動平均線からのかい離率はプラス・マイナスともに5%以下に収まることが多いですが、足元ではすでに5.7%に達しています。したがって、日経平均株価はすでに底値圏に達しており、いつ反発に転じても不思議ではないと考えられます。
仮に、更なる「ダメ押し」がある場合、その下値メドとしては以下の7つが想定されます。
- (1)22,003円・・・10/2(火)の取引時間中に付けた年初来高値24,448円から10%押し(自律調整の範囲内)水準
- (2)21,851円・・・8/13(月)に付けた安値(終値ベース)
- (3)21,843円・・・10/2(火)に付けた年初来高値24,448円(終値ベース)から10%押し(自律調整の範囲内)水準
- (4)21,745円・・・25日移動平均線マイナス7%かい離
- (5)21,500円・・・心理的節目
- (6)21,462円・・・7/5(木)に付けた安値
- (7)21,192円・・・予想EPS(12/22現在)に本年の予想PERの「安値」である12.22倍を乗じた水準
図4は日経平均株価と25日移動平均線からのかい離率を1枚のグラフにまとめたものです。一般的には、日々線が25日線から上下5%かい離すると反転しやすいと考えられますが、さらに「行き過ぎ」となる時は7〜8%が節目になると考えられ、(4)に参考数値をご紹介しています。
図4 日経平均株価(日足)と25日移動平均線かい離率
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成