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マーケット > レポート > 225の『ココがPOINT! >  波乱の東京株式市場!9月は買い場となるか?

225の『ココがPOINT!』

2017/09/05

波乱の東京株式市場!9月は買い場となるか?

重要日程が集中した9/1(金)については「無事通過」となった形ですが、9/3(日)に北朝鮮が核実験を強行したため、東京株式市場は再び波乱となってしまいました。日経平均株価は200日移動平均線近辺で下値を探る展開になっています。

9月相場はどうなるのでしょうか。過去のアノマリーからはまだまだ10月に向けて軟調な相場が続きやすく、買い場は先ともいえそうです。ただ、米税制改正論議の進展や円安への転換等により、相場が反発に転じる可能性もあります。そろそろ、買い場を探るべき局面に入ってきたかもしれません。

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重要日程が集中した9/1を無事通過も、北朝鮮の核実験を受けて再び下落

日経平均株価は8/29(火)に一時19,280円02銭まで下落し、5/1(月)以来の安値水準を付けました。この日の早朝に北朝鮮が本年14回目のミサイル発射実験を行い、地政学的リスクが再燃したことが響きました。しかし、税制改正への期待もあり、米国株式市場でナスダック指数が過去最高値を更新したことが好感され、日経平均株価も9/1(金)には一時19,735円96銭まで値を戻しました。

こうした中、9/1(金)に米国で8月雇用統計の結果が発表されました。非農業部門雇用者数が前月比15.6万人増と予想(18万人増)を下回り、失業率は4.4%と前月から0.1%悪化しました。また、時間当たり賃金(前年同月比)も予想(2.6%)を下回る2.5%にとどまりました。反面、同じ日に発表されたISM製造業景況指数は予想に反して上昇し、2011年4月以来の高水準を記録しました。

予想を下回ったとはいえ、雇用統計における非農業部門雇用者数は過去3ヵ月、月平均で18.5万人増加した計算になります。FRB(米連邦準備制度理事会)は完全雇用(失業率4.6%)状態下での雇用は10万人増で十分とみているようで、米労働市場は引き続き順調に拡大していると考えられます。しかし、「9/20(水)に結果が発表される9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では資産縮小が決定されるものの、年内の追加利上げの可能性は小さい」という市場の見方にも大きな変化は生じませんでした。したがって、通常であれば、イベントリスク後退を受けた9/4(月)の東京株式市場は買い先行になっても不思議ではなかったとみられます。

しかし、9/3(日)に北朝鮮が6回目の核実験を行ったことで、再び地政学的リスクが意識されることになりました。北朝鮮の非核化は一層難しくなったと考えられます。9/4(月)および9/5(火)の日経平均株価は下落し、8/29(火)に付けた安値水準が意識される展開になりました。

なお、9/4(月)に中国当局が仮想通貨発行による資金調達を全面的に禁止したこともあり、ビットコイン相場が波乱となっています。仮想通貨市場には個人投資家の多くも参加しているとみられ、その相場変動が株式市場に影響を与える可能性も無視できないとみられます。9/4(月)および9/5(火)に日経平均株価が下落するのに合わせ、ジャスダック市場や東証マザーズ市場も大きく下げています。

図1:日経平均株価(日足)〜引き続き不安定な展開

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2017/8/29現在

図2:ドル・円相場(日足)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/9/5取引時間中

図3:S&P500指数(日足)・一目均衡表

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/9/1(現地時間)現在
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当面のタイムスケジュール〜北朝鮮の建国記念日(9/9)等に注目

9/5(火)から米議会が再開されます。現在19.8兆ドルにのぼる連邦債務を月内までに引き上げられるか、トランプ大統領の正念場になりそうです。万が一、月内に連邦債務引き上げを実現できない場合、2013年のように政府機関が一時閉鎖される可能性が強まってくると考えられ、その場合は米株価が波乱となる可能性があります。一方、トランプ大統領による税制改革が実現に近づき、法人税の引き下げが実施のはこびとなった場合、米国株が大きく上昇する可能性も残っています。

また、9/7(木)にはECB(欧州中銀)理事会が実施され、ドラギ総裁が記者会見する予定です。市場の予想通りに資産買い入れ額の縮小(テーパリング)が表明されるか否か注目されます。さらに、東京株式市場は9/8(金)にメジャーSQを控えています。

ただ、何と言っても気がかりなのは北朝鮮を巡る地政学リスクとなりそうです。9/9(土)には同国が建国記念日を迎えるため、再びミサイル発射実験を実施するとの観測も出ています。北朝鮮への石油の輸出を禁止するといった厳しい追加制裁を実施できるか否かが焦点になりそうです。9/4(月)に開催された国連安全保障理事会(緊急会合)では、米国が追加制裁案を提出し、9/11(月)の採決を目指すことを表明したようです。

表1:当面の重要なタイムスケジュール〜北朝鮮の建国記念日(9/9)等に注目

月日(曜日)

国・地域

予定内容

ポイント

9/5(火) 米国 議会が再開 債務上限問題や税制改革、北朝鮮問題など懸案が多い
9/6(水) ロシア 東方経済フォーラム(ウラジオストク) ロシア極東の発展を目指す
米国 8月ISM非製造業指数 雇用指数など個別指標にも注目
米国 ベージュブック  
9/7(木) 日本 8月都心オフィス空室率 7月は3.22%
欧州 ECB定例理事会(ドラギ総裁会見) 資産買入の段階的縮小を示唆?
9/8(金) 日本 4〜6月期GDP改定値 速報値は前期比(年率)+4.0%
日本 メジャーSQ算出日
中国 8月貿易統計 7月の輸出(ドル建て)は前年同月比+7.2%
9/9(土) 日本 8月消費者物価  
北朝鮮 建国記念日 再度のミサイル(ICBM)発射実験も?
9/11(月) 日本 7月機械受注 6月は前月比1.9%減。4〜6月期は前期比4.7%減
9/12(火) - 国連総会(〜9/25)  
9/13(水) 米国 8月生産者物価  
9/14(木) 中国 8月小売売上高 6月は前年同月比11.0%増、7月は同10.1%増
中国 1〜8月固定資産投資 1〜7月は前年同期比11.7%増
中国 8月鉱工業生産 6月は前年同月比7.6%増、7月は同6.4増
米国 8月消費者物価指数 コア指数は5〜7月に前年同月比1.7%増で推移
9/15(金) 米国 8月小売売上高 7月(自動車・ガソリンを除く)は前月比+0.5%
米国 9月NY連銀製造業景気指数
米国 8月鉱工業生産 7月は前月比0.2%増
米国 9月ミシガン大学消費者マインド指数

表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日

  2017年 2018年
日銀金融政策決定会合 9/21(木)、10/31(火)、12/21(木) 1/23(火)、3/9(金)、4/27(金)、6/15(金)、7/31(火)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 9/20(水)、11/1(水)、12/13(水) 1/31(水)、3/21(水)、5/2(水)、6/13(水)、8/1(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 9/7(木)、10/26(木)、12/14(木) 1/25(木)、3/8(木)、4/26(木)、6/14(木)、7/26(木)

※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は現地時間を基準に記載しています。

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【ココがPOINT!】9月は買い場となるか?

それまでのボックス相場から下放れてしまった日経平均株価ですが、結局8月末の終値は前月末比1.4%の下落となり、7月に続き2ヵ月連続の下落となってしまいました。これまでご説明してきたように、地政学的リスクの高まりに加え、米国政治の不透明感や外為市場における円高圧力の強まりなど、悪材料には事欠かなかった印象です。

もっとも、「8月相場は下げやすい」というジンクス通りになったに過ぎない面もあります。図4は日経平均株価の月次騰落率の月ごとの平均を過去10年間についてみたものです。それによると、8月は平均2.8%の下落となっており、1月と並んで下げやすい月になっています。8月は投資家の多くが夏休みを取ることもあり、市場参加者が減りやすいことが影響しているのかもしれません。また、大統領や首相クラスの要人も夏休みを取る季節でもあります。政治面での支援材料を期待しにくい月であるとも考えられます。本年の8月は結局1.4%下げた訳ですが、過去の平均と比べればマシであったと考えることもできます。

9月の日経平均株価はどうなるのでしょうか。過去10年間の平均では、9月は1.0%の下落、10月は0.7%の下落、11月は1.8%の上昇となっています。9月といえば、2008年9月15日のリーマン・ショックの例もあり、大きな波乱が起きやすいというイメージもあります。過去の経験則に従えば、日経平均株価は10月まで下がりやすく、11月以降に上昇しやすいので、買い場は10月になる可能性が大きいと言えるかもしれません。

もっとも過去3年に限れば、2014年が+1.5%、2015年が+9.7%、2016年が+5.9%となっており、10月は上昇傾向になっています。これに従えば9月の安いところが買い場になるかもしれません。日経平均株価は年初来高値を付けたのが6/20(火)ですので、そこから3ヵ月目となる9月は「日柄」的には反発のタイミングになる可能性があります。現在、日経平均株価の200日移動平均線は19,372円ですが、強い下値支持線となっているとみられ、すでに押し目買いタイミングになっている可能性があります。

仮に米国で資産縮小が始まれば、FRB(米連邦準備制度理事会)が国債を市場で売ることになり、債券需給が悪化し、米長期債の利回りはその分、上昇しやすくなると考えられます。米長期金利が上昇すれば、円安・ドル高になりやすくなります。次回FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表される9/20(水)以降、円安・株高に転換する可能性もゼロではないと思います。紆余曲折を経ながらも、9月中に米税制改革が進み、法人減税が実施された場合、米国企業の予想EPS(一株利益)はその分だけ上昇する計算となります。

悲観的な見方が支配的な株式市場ですが、そろそろ明るい面にも留意すべきではないでしょうか。

図4:日経平均株価の月別平均騰落率(過去10年間)

  • ※日経平均株価公表データをもとにSBI証券が作成。日経平均株価の過去10年間の月次騰落率を月別にみたもの
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