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マーケット > レポート > 225の『ココがPOINT! >  日本株を持たざるリスクが意識され、日経平均株価は20,000円トライへ

225の『ココがPOINT!』

2017/01/31

日本株を持たざるリスクが意識され、日経平均株価は20,000円トライへ

日経平均株価は1/4(水)に19,594円の昨年来高値(終値ベース)を付けた後、1/18(水)の取引時間中に一時18,650円まで下落するなど調整気味の展開となりました。トランプ新政権の保護主義的な貿易政策等が懸念され、外為市場で円高・ドル安が進んだこと等が背景と考えられます。しかし、1/25(水)にNYダウが史上初の20,000ドル大台乗せを実現し、投資家のリスク許容度が高まる中で日経平均株価も反発に転じ、1/27(金)には上記の昨年来高値まであと一歩の水準となる19,467円まで値を回復しました。

こうした中、東京株式市場では2016/10〜12月期の決算発表が本格化してきました。円安転換を背景に、企業業績の見通しは改善の方向となる見込みで、それを好感する形で日経平均株価は上昇基調を続けると予想されます。内外の機関投資家にとり、日本株を持たざるリスクが次第に意識され、当面は20,000円大台回復を目指す展開になりそうです。

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一時年初来高値に接近

日経平均株価は1/4(水)に19,594円の昨年来高値(終値ベース)を付け、翌1/5(木)の取引時間中に19,615円まで上昇した後、1/18(水)の取引時間中に一時18,650円まで下落するなど調整気味の展開となりました。トランプ新政権の保護主義的な貿易政策等が懸念され、外為市場で円高・ドル安が進んだこと等が背景と考えられます。

図1は直近3ヵ月の日経平均株価の推移を示したものです。12/21(水)の高値19,592円と1/5(木)の高値19,615円が「Wトップ」となり、さらに昨年末12/30(金)の安値を下回ったことで、チャート上は目先の天井を確認してしまった格好です。25日移動平均線が下落に転じたこともあり、形としてはあまりほめられたものではありません。ただ、50日移動平均線を下値支持ラインにする形で反発に転じましたので、大きな波乱にはつながりませんでした。

折しも、外為市場に強い影響力を持つ米10年国債利回り(図2)は1/17(火)の2.305%をボトムに1/26(木)には2.555%と再び上昇に転じました。これを受け、ドル・円相場(図3)も再び1ドル115円まで円安・ドル高となりました。そしてこれと同時並行するかのように1/27(金)にはNYダウが史上初の20,000円の大台を回復し、東京市場にも追い風を吹かせる形となりました。こうした中、投資家のリスク許容度も高まり、日経平均株価も反発に転じ、1/27(金)には上記の昨年来高値まであと一息の水準となる19,467円まで値を回復しました。週明け後の1/30(月)および1/31(火)の東京株式市場は、トランプ大統領による「入国制限」を警戒する動きや、連騰後の反動もあり、売りが優勢となりましたが、基本的には底堅い展開が続いています。

こうした中、1月下旬を迎えた東京株式市場では2016/10〜12月期(2017/3期・第3四半期)の決算発表が始まりました。円安転換を背景に、企業業績の見通しは改善の方向となる見込みで、それを好感する形で日経平均株価は上昇基調を続けると予想されます。内外の機関投資家にとり、日本株を持たざるリスクが次第に意識され、当面の日経平均株価は20,000円大台回復を目指す展開になりそうです。

図1:日経平均株価(日足)〜年初来高値に接近

  • ※当社チャートツールもとにSBI証券が作成。データは2017/1/30現在。

図2:米10年国債利回り(日足)・過去3ヵ月

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/1/30現在。

図3:ドル・円相場(日足)・過去3ヵ月

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2017/1/30現在。
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当面のタイムスケジュール〜決算発表が本格化へ

東京株式市場では2016/10〜12月期(2017/3期・第3四半期)決算発表シーズンが開始となりました。市場の動向は米国を巡る政治・経済の動向(マクロ)から企業業績(ミクロ)へとシフトしてくると考えられます。なお、決算発表は発表社数ベースでは2/10(金)がピークになりそうです。また、2/6(月)にトヨタ自動車(7203)、2/8(水)にソフトバンクG(9984)の発表があり、質的な面ではこの辺がピークになると考えられます。

前四半期(2016/7〜9月期)決算では多くの企業が「1ドル100円」を覚悟し、業績予想に「円高」を反映させました。しかし、トランプ氏の大統領当選を経て外為相場が予想外に円安となり、その分、輸出企業を中心に利益が上振れしやすくなっています。こうした中、日経平均株価の予想EPSは底入れ・反発が見込まれ、株価上昇に寄与すると予想されます。

なお、米国では上場企業の決算が主力企業についてはおおむね1月で一巡してくることもあり、市場の注目は2/1(水)のISM製造業景況指数や、2/3(金)の雇用統計に移っていきそうです。これらの経済指標が市場の期待通り強い数値を示せば、トランプ政権の経済政策への期待と重なり、米金利上昇、円安・ドル高を経て、日経平均株価の上昇につながりそうです。

表1:当面の重要なタイムスケジュール〜決算発表がいよいよ本格化

月日(曜日)

国・地域

予定内容

ポイント

1/31(火) 日本 日銀金融政策決定会合結果発表 今回は変更なしがコンセンサス。成長率見通しの上方修正は?
日本 12月失業率、有効求人倍率等  
日本 ☆決算発表(367社) 富士通、村田製、任天堂、みずほFG他
米国 11月S&PコアロジックCS住宅価格指数  
米国 ★決算発表 スプリント、AMD、アップルなど
2/1(水) 日本 ☆決算発表(70社) 武田薬、日立他
中国 1月製造業PMI 前回は51.4
米国 1月ADP雇用統計 市場コンセンサスでは雇用者数が17.5万人増
米国 1月ISM製造業景況指数 前回54.7から今回の市場コンセンサスは54.8
米国 ★決算発表 フェイスブック他
米国 FOMC結果発表(日本時間2日未明) 今回は政策変更がない見通し
2/2(木) 日本 1月マネタリーベース  
日本 ☆決算発表(116社) 小野田薬品、新日鉄住金、パナソニック、ソニー他
米国 ★決算発表 メルク、アマゾン他
2/3(金) 日本 日銀会合(〜12/20)議事要旨  
日本 ☆決算発表(277社) ホンダ、伊藤忠、三菱UFJ他
米国 1月雇用統計 非農業部門雇用者数の市場コンセンサスは16.3万人増
米国 1月ISM非製造業景況指数 雇用統計と同じ日の発表で注目度が下がる可能性も
2/6(月) 日本 ☆決算発表(173社) トヨタ、丸紅、三菱地所他
2/7(火) 日本 ☆決算発表(180社) 旭化成、住友商事他
米国 12月貿易統計  
2/8(水) 日本 日銀会合「おもな意見」  
日本 ☆決算発表(187社) 鹿島、ダイキン、ソフトバンクG、三井物産他
インド IoT見本市(ニューデリー)  
2/9(木) 日本 12月機械受注 設備投資の先行指標
日本 1月都心オフィス空室率  
日本 ☆決算発表(227社) 東レ、資生堂、日産自、住友不他
米国 シカゴ自動車ショー  
2/10(金) 日本 ☆決算発表(540社) 三井不、東急、NTT他。発表社数ベースで決算発表がピーク
中国 1月貿易収支 輸出、輸入の増減に注目
米国 米国で日米首脳会談(予定)  
米国 2月ミシガン大学消費マインド指数  

表2:日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(2017年以降)

  2017年
日銀金融政策決定会合 1/31(火)、3/16(木)、4/27(木)、6/16(金)、7/20(木)、9/21(木)、10/31(火)、12/21(木)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 2/1(水)、3/15(水)、5/3(水)、6/14(水)、7/26(水)、9/20(水)、11/1(水)、12/13(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 3/9(木)、4/27(木)、6/8(木)、7/20(木)、9/7(木)、10/26(木)、12/14(木)

※各種報道、日米欧中銀Webサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。

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【ココがPOINT!】日本株の持たざるリスクが台頭か!?

図4は過去1年間のドル建て日経平均株価の推移を日足チャートとして示したものです。一見、高値からやや下げているように見えますが、終値ベースでは1/5(木)の高値169.14ドルに対し、1/26(木)の終値は169.27ドルと高値を更新しています。図5はドル建て日経平均株価の月足チャートとなっています。ドル建て日経平均株価は2015/7の高値を上回り、2000/3以来約17年ぶりの高値水準となってきています。

海外投資家の視点に近いドル建て日経平均株価はまさに、上値抵抗ラインを突破し、上放れた形になっていると考えられます。ここから上昇が加速しても不思議ではなく、海外投資家にとり現在は「日本株を持たざるリスク」が台頭してきているタイミングであると言えそうです。

現在、米国の労働市場は完全雇用の状態にあると考えられています。従って現状の水準以下に失業率を落とそうとすればインフレが加速する可能性も膨らんできます。さらに、規制緩和や社会インフラ投資等で内需が拡大して労働者への需要が増える一方、入国制限や国境の壁の構築等で労働者の供給が増えなければ賃金は上昇し、さらにインフレ率を高める可能性があります。そうした状況下で仮にドル安政策を取ればインフレがさらに加速しかねないため、結局、FRBは利上げペースを上げないと、物価の安定を得れなくなると考えられます。実際に米国がドル安政策を取れる余地は少ないと考えられます。

そもそも、ドル・円相場は過去20年間、年平均0.1%の円高・ドル安のペースであり、日本が通貨安を誘導しているという証左はないとみられます。円高リスクは懸念される程大きくはないように思われます。むしろ、為替の安定化、企業業績の回復を背景に、日本株の魅力は今後高まる可能性の方が大きいと思われます。

図4:日経平均株価(ドル建て)・日足チャート

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。

図5:日経平均株価(ドル建て)・月足チャート

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