12/6(火)〜12/13(火)の間、日経平均株価は6営業日連続高と再び上昇ピッチが加速し、12/5(月)終値の18,274円99銭から12/13(火)終値19,250円52銭まで5.3%の上昇となりました。ただ、日経平均株価のテクニカル指標は過熱を示唆する材料が増えているように思われます。
当面の日経平均株価の方向性を占うには、海外投資家の動向を予想することが重要な手掛かりになると考えられます。投資環境的には、11月に野田前首相が解散総選挙を表明し、政権交代への期待が高まった2012年のパターン(12月の海外投資家は買い越しが継続)に近いと言えそうで、引き続き海外投資家の買い越しを期待しても良さそうです。
ただ、12月第4週あるいは第5週には、海外投資家の冬休み本格化で買い越し額が減少する(または売り越しに転じる)可能性もありそうです。2016年は12/23(金)に天皇誕生日の休日で、12/25(日)がクリスマス、12/26(月)は米国が振替休日の予定です。常識的には12月第4週(12/19〜12/22)以降は売買が減少するリスクがあります。株価が急騰した後でもあり、ポジション調整の売りに注意する必要もありそうです。
<今週のココがPOINT!>
上昇加速で過熱感も高まる |
米国大統領選挙でトランプ氏の当選が決まった後、11/10(木)〜11/25(金)の東京市場では日経平均株価が10勝1敗となり、上昇率は13.1%に達しました。金融分野などの規制緩和や社会インフラ投資、減税など同氏の経済対策に期待が集まり、外為市場で円安・ドル高が進んだためです。しかしその後の11/28(月)〜12/5(月)に、日経平均株価の騰落は2勝4敗と勢いが鈍化しました。円安・ドル高が一服し、18,500円前後の水準が上値抵抗ラインとなり、利益確定売りが増加しました。
しかし12/6(火)〜12/13(火)に、日経平均株価は6営業日連続高と再び上昇ピッチが加速し、12/5(月)終値の18,274円99銭から12/13(火)終値19,250円52銭まで5.3%の上昇となりました。12/4(日)の伊国民投票でレンツィ首相が主張する憲法改正案が否決され、欧州経済への不透明感から12/5(月)の東京株式市場は下落しましたが、12/5(月)〜12/12(月)にNYダウが6営業日連続で高値を更新するなど、欧米市場は堅調が続き、東京市場にも追い風になりました。12/8(木)のECB理事会では、量的緩和の期限をこれまでの2017/3末から2017/12に延長することが決められ、そのことも市場の安心感を誘いました。12/12(月)には日経平均株価が約1年ぶりに19,000円台で大引けを迎え、続く12/13(火)も売り先行後に切り返すなど、総じて底堅い動きになっています。
図1は日経平均株価の日足チャート(過去3ヵ月)で、ここもと上昇率が加速していることがご理解頂けると思います。図2では外為相場が1ドル115円を手前に揉み合いに転じた後、12/12(月)に1ドル115円台乗せで上放れた形になったことを示しています。図3では米10年国債利回りが2.5%近辺まで上昇し、同様に上放れた形になっています。産油国の減産に非OPEC諸国まで加わり、原油価格も上昇しやすく、株式市場を取り巻く環境は明るいように思われます。
ただ、日経平均株価のテクニカル指標は25日移動平均からのプラス乖離率が6%を超え、RSI(相対力指数)や騰落レシオがいずれも「過熱」を示唆するなど、注意すべき材料が増えているように思われます。「アベノミクス相場」では予想PERが15倍±10%(13.5〜16.5倍)でおおむね推移してきましたが、現在は予想PERが16.45倍(12/12)と、その上限水準に達しています。12月相場は下旬に売買代金が急減するケースが多く、海外投資家を中心にそろそろ、利益確定売りが優勢になってくる可能性に注意したいところです。
図1:日経平均株価(日足)〜上昇ピッチが加速し、「3空」や「宵の明星」を形成
- ※当社チャートツールもとにSBI証券が作成。データは2016/12/13現在。
図2:ドル・円相場(日足)・過去3ヵ月
図3:10年国債利回り(日足)・過去3ヵ月
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2016/12/13現在。
当面のタイムスケジュール〜FOMCおよびプーチン大統領訪日に注目 |
当面のスケジュールの中で要注目なのは、12/14(水)(日本時間12/15午前4時)に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)および12/15(木)のプーチン大統領(ロシア)訪日等であると考えられます。
FOMCについては、「金利先物市場からみた利上げ確率」が100%となっており、市場は今回の会合で利上げが実施されるとの見方に疑いを抱いていないことを示しています。したがって仮に政策金利の引き上げが実施されても、その上げ幅がコンセンサスの0.25%ではなく、例えば0.5%とかにでもならない限り、サプライズは生じにくいと考えられます。このためFOMCでの焦点は、イエレンFRB議長の会見で、2017年の利上げ回数を示唆するような発言があるか否かになると考えられます。
一方、ロシアのプーチン大統領来日については、北方領土問題での前進や日ロ平和条約締結の可能性を楽観することは難しく、関心は日ロ経済協力の具体的な中身に集まっていくように思われます。ただ、プーチン大統領と安倍首相は個人的に親しく、両者の会談は計15回にものぼっています。仮に日ロ首脳会談が北方領土問題や平和条約締結で大きな前進を伴う歴史的な会談になった場合、意外高につながる可能性も残されています。
表1:当面の重要なタイムスケジュール〜年内最後のFOMCおよび日銀会合
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
12/14(水) | 日本 | 12月調査日銀短観 | 大企業製造業の業況判断指数は9月+6に対し12月の市場予想は+10 |
米国 | 11月小売売上高(自動車・ガソリンを除く) | 市場予想は前月比+0.4% | |
米国 | 11月鉱工業生産・設備稼働率 | 市場予想では前月比-0.2% | |
米国 | FOMC結果発表(日本時間15日午前4時) | 市場では政策金利(上限)が0.5%から0.75%へ引き上げられると予想 | |
12/15(木) | 日本 | ロシアのプーチン大統領来日(〜16日) | 経済協力プランの中身や平和条約締結交渉への影響に注目 |
欧州 | EU首脳会議 | ポピュリズムが台頭する中でEUの結束は? | |
米国 | 11月消費者物価指数 | 食品・エネルギーを除く指数で市場予想は前年同月比+2.2% | |
米国 | 12月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 | ISM製造業指数に次ぎ重要とみられる地区連銀製造業指数 | |
米国 | 12月NAHB住宅市場指数 | 全米住宅建設業者協会(NAHB)が今後半年の住宅販売予想をアンケート | |
12/16(金) | 米国 | 11月住宅着工件数 | 市場予想は前月比-7.0% |
12/19(月) | 日本 | 11月貿易収支 | 10月まで13ヵ月連続減少。10月は前年同月比-10.3% |
日本 | 11月日本製半導体製造装置BBレシオ | BBレシオ(受注/販売)は9月0.98から10月は1.07に改善 | |
独 | 12月Ifo景況感指数 | 7,000社のドイツ企業に経済の現況と6ヵ月後の見通しをアンケート | |
12/20(火) | 日本 | 日銀金融政策決定会合結果発表 | 今回は無風か |
12/21(水) | 日本 | 11月訪日外客数 | 10月は前年同月比16.8%増となり、年初来の合計は初の2,000万人超 |
米国 | 11月中古住宅販売件数 | 前月比-1.8%の予想 | |
12/22(木) | 米国 | 11月耐久財受注 | 米国の設備投資先行指標 |
米国 | 10月FHFA住宅価格指数 | S&PコアロジックCS住宅価格指数より信用度が高い物件が多い | |
12/23(金) | 日本 | 休場(天皇誕生日) | |
米国 | 11月新築住宅販売件数 | 市場予想では前月比+2.1% |
表2:日米中央銀行会議の結果発表予定日
2016年 | 2017年 | |
---|---|---|
日銀金融政策決定会合 | 12/20(火) | 1/31(火)、3/16(木)、4/27(木)、6/16(金)、7/20(木) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 12/14(水) | 2/1(水)、3/15(水)、5/3(水)、6/14(水)、7/26(水) |
※各種報道等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは2016/12/13現在。予定は予告なく変更される場合がありますので、あくまでもデータ作成段階のものです。
【ココがPOINT!】「トランプ・ラリー」の命運握る「海外投資家」の買いはいつまで続くのか? |
日経平均株価は米大統領選挙を控えた11月第1週(10/31〜11/4)の週は様子見となり、週末は前週末比3.1%安の16,905円36銭で引けました。そしてトランプ氏勝利が決まった11/9(水)に前日比5.4%の急落となったものの、11/10(木)には前日比6.7%の急反発となり、11月第2週(11/7〜11/11)は前週末比2.8%の上昇となりました。その後11月第3週は前週末比3.4%の上昇、11月第4週は同2.3%上昇、12月第1週は0.2%上昇と、週足での上昇が続きました。
図4は東証から発表される主体者別売買動向のうち「海外投資家」の売買をグラフ化したものです。日経平均株価が上昇に転じた11月第2週以降、海外投資家が大幅に買い越しとなり、11月第2週〜12月第1週の買い越し額は合計で1兆6,086億円にのぼります。2016年は11月第1週までの累計が5兆7,785億円の売り越しでしたので、海外投資家のスタンスが急に「売り越し基調」から「買い越し基調」に転じたことで、日経平均株価が上昇に転じたことがわかります。
当面の日経平均株価の方向性を占うには、こうした海外投資家の動向を予想することが重要な手掛かりになると考えられます。図5は2011年以降の12月の海外投資家売買動向を比較したものです。2016年12月第1週の買い越し額は4,148億円に達し、例年と比較しても大きな買い越し額であることがわかります。投資環境的には、11月に野田前首相が解散総選挙を表明し、政権交代への期待が高まった2012年のパターンに近いと言えそうです。引き続き海外投資家の買い越しを期待しても良さそうです。
ただ、12月第4週あるいは第5週には、海外投資家の冬休み本格化で買い越し額が減少する(または売り越しに転じる)可能性もありそうです。2016年は12/23(金)に天皇誕生日の休日で、12/25(日)がクリスマス、12/26(月)は米国が振替休日の予定です。常識的には12月第4週(12/19〜12/22)以降は売買が減少するリスクがあります。株価が急騰した後でもあり、ポジション調整の売りに注意する必要もありそうです。
図4:海外投資家の売買動向(東証・億円)
Bloomberg、東証データをもとにSBI証券が作成。主体者別売買動向の売り越しまたは買い越し額。日付欄は2015/11以降の月と第何週であるかを示しています。例えば12(1)は12月第1週を示します。
図5:海外投資家の12月の売買動向(東証・億円)
Bloomberg、東証データをもとにSBI証券が作成。主体者別売買動向の売り越しまたは買い越し額。日付欄は2011年以降の年と12月第何週であるかを示しています。例えば2011(1)は2011/12の第1週を示しています。
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