日経平均株価は4/18(月)に前日比572円安と急落したものの、4/19(火)〜4/22(金)に4営業日続伸となり、4/25(月)には一時17,613円と2/2(火)以来の高値水準を回復しました。
産油国会合で原油増産凍結が決まらなかったにもかかわらず、原油先物相場(WTI)が上昇し、それに合わせて米国株も上昇したことが下支え材料になったことは確かでしょう。しかし、それ以上に株価変動に影響したと考えられるのは「為替」です。ドルは円に対し4/11(月)には1ドル107円63銭、4/18(月)には107円77銭と「下値テスト」の展開になりましたが、何とか底割れを回避し、4/25(月)には一時111円91銭の円安・ドル高水準を回避しました。株価は、こうした円安・ドル高の風に乗るような形で値を戻す展開になりました。
4/28(木)に結果が発表される日銀金融政策決定会合において、「追加緩和」が実施されるとの見方が市場で広がっていることが円安・ドル高の一因です。日銀は「市場の期待」に応えて追加緩和に踏み切るのでしょうか。想定される追加緩和の中身は何でしょうか。そして、日銀金融政策決定会合を経て、日経平均株価は上昇するでしょうか、下落するでしょうか。4/25(月)および4/26(火)の東京市場では、そうした重要な日銀金融政策を控えて様子見気分が強まっていますが、株価は再び上下に振れるタイミングが接近してきたように思われます。
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円安・ドル高の風に乗り株価も回復、日銀会合での「追加緩和」に期待 |
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日経平均株価は4/19(火)〜4/22(金)に4営業日続伸となり、4/25(月)には一時17,613円と2/2(火)以来の高値水準を回復しました。原油価格や米国株の回復もさることながら、外為市場で円安・ドル高となったことが強い追い風になりました。
外為市場ではドルが円に対し、4/11(月)には1ドル107円63銭、4/18(月)には107円77銭と「下値テスト」の展開になりましたが、何とか底割れを回避し、4/25(月)には一時111円91銭の円安・ドル高水準を回避しました。4/28(木)に結果が発表される日銀金融政策決定会合において、「追加緩和」が実施されるとの見方が市場で広がっていることが円安・ドル高の一因です。日銀は「市場の期待」に応えて追加緩和に踏み切るのでしょうか。想定される追加緩和の中身は何でしょうか。
結論からいえば、4/28(木)に日銀から、追加緩和が発表されても不思議ではないと考えられます。我が国がホストを務める伊勢志摩サミット(5/26〜5/27)では他の国に対し率先して金融・財政一体で不透明な内外経済環境に対応する姿をみせる必要があるためです。先に開催されたG20(2/26〜2/27)では金融政策と財政政策を総動員して経済の難局に当たることが確認された模様で、ホスト国として何もしないというのは、考えにくい所です。
ただ、金融機関の当座預金の一部にマイナス金利を付加するというだけでは、銀行に対する「懲罰」的な色彩が強く、銀行からの評判が良いのはある意味で当然とみられます。従って、今度の日銀金融政策決定会合で「追加利下げ」があるとすれば、銀行の資金調達サイドにマイナス金利を適用する方法が考えられそうです。また、市場の一部では現状のETF(上場投資信託)の買い入れ(残高の年間増加額)を現在の3兆円から拡大させる方法も想定されているようです。
仮に、金融機関がマイナスで資金を調達し、それが成長領域に投資されるスキームが確立されれば、金融機関も前向きに対応しやすくなり、一定の成果を収める可能性があります。その時、日経平均株価は上昇し、2/1(月)に付けた高値水準や18,000円前後の水準を回復してくる可能性が大きくなりそうです。無論、日銀が単純にゼロ回答を決めた場合、波乱となる可能性が十分ありそうです。
図1は日経平均株価の一目均衡表です。形の上では、(1)遅行スパンが日々線を上抜け、(2)転換線が基準線を上抜け、(3)日々線がクモを上抜けという「3役好転」を実現し、「強気相場」に入っていると考えられます。しかし、クモの厚さ自体は薄く、弱さを内包しているように見えますので、波乱含みと言えるかもしれません。
図1:日経平均株価(日足)・一目均衡表〜形の上では「強気」に転換も「弱さ」を内包?

- 当社チャートツールもとにSBI証券が作成。
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FOMCは現状維持か?国内では決算発表が本格化 |
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前項でご説明したように、当面のタイムスケジュールでは、日銀金融政策決定会合がもっとも重要であると考えられます。結果の発表は4/28(木)の昼12時台あたりとみられます。ここ数年、何らかの変更がある時は12時30分頃よりも発表が後になる傾向(ただし、12時30分を過ぎても「変更なし」というケースもある)があるようです。このため、午後の取引が開始されても、結果が出ていない場合は、フライング気味に買いが先行し、結果を見て再び上下するという波乱の展開も想定されます。
なお、4/28は日本時間の未明となる午前3時前後に、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表があります。ただ、この会合で追加利上げを見込む向きはほとんどない模様で、市場の焦点はイエレン議長の発言内容に集まりそうです。現在、6月利上げ観測自体後退しているのが現実ですが、市場が金利維持を前提条件化しないよう、釘を刺しに来る可能性もありそうです。
ちなみにこの4/28は国内上場企業の決算発表の第1のヤマ場で、306社の発表が控えています。さらに、我が国の大型連休直前の営業日であり、名実ともに4月の最終営業日でもあります。機関投資家などはポジションを取りにくい日になりますので、取引時間中に大きく動いた場合は、取引間際に逆の動きが増え、一日を通してみれば結果的に乱高下という場合も想定されます。いずれにしても「油断禁物」の気を抜けない一日になりそうです。
表1:当面の重要なタイムスケジュール
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
4/26(火) |
日本 |
◯決算発表〜東京エレク、キヤノン他 |
円高の影響は?半導体設備投資の先行きは? |
米国 |
◯決算発表〜3M、コーチ、P&G |
||
米国 |
FOMC(〜4/27) |
「次の利上げは6月」がメインシナリオで、今回は現状維持か? |
|
米国 |
3月耐久財受注 |
米設備投資の先行指標 |
|
米国 |
4月消費者信頼感指数 |
カンファレンンスボード消費者信頼感指数 |
|
4/27(水) |
日本 |
日銀金融政策決定会合(〜4/28) |
銀行の資金調達についてもマイナス金利導入か? |
日本 |
◯決算発表〜141社が発表 |
||
米国 |
3月中古住宅販売仮契約 |
中古住宅販売の先行指標。米国住宅市場の9割は中古 |
|
米国 |
◯決算発表〜フェイスブック他 |
||
4/28(木) |
日本 |
日銀総裁会見、展望レポート |
「銀行にも優しいマイナス金利」を模索? |
日本 |
3月失業率、有効求人倍率他 |
||
日本 |
◯決算発表〜306社が発表(第1のヤマ場) |
最大のヤマ場は5/13(金)の予定 |
|
米国 |
米1〜3月GDP |
ゼロ%台にとどまる可能性も? |
|
4/29(金) |
日本 |
◎東京市場休場(昭和の日) |
大型連休に突入 |
米国 |
シカゴ購買部協会景気指数 |
||
5/1(日) |
日本 |
G7エネルギー相会合(北九州) |
|
中国 |
4月製造業PMI |
2015/8〜2016/2に50割れ。2016/3は50.2と「水面上」に浮上 |
|
5/2(月) |
日本 |
4月自動車販売台数 |
|
日本 |
サントリーBF、JT他 |
||
米国 |
4月ISM製造業指数 |
2015/10〜2016/2に50割れも2016/3は51.8と急回復した |
|
- |
英国、中国など多くの市場が休場 |
||
5/3(火) |
日本 |
◎東京市場休場(憲法記念日) |
|
米国 |
4月新車販売台数 |
||
5/4(水) |
日本 |
◎東京市場休場(みどりの日) |
|
米国 |
4月ADP雇用統計 |
前月比195千人の増加を予想(4/26現在) |
|
米国 |
ISM非製造業雇用統計 |
雇用関連指標の部分に注目 |
|
5/5(木) |
日本 |
◎東京市場休場(こどもの日) |
|
5/6(金) |
日本 |
◯決算発表〜伊藤忠他 |
|
米国 |
4月雇用統計 |
非農業部門雇用者20万人増を予想(4/26現在) |
- 各種報道等をもとにSBI証券が作成。データは2016/4/26現在。
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【ココがPOINT!】どうなる日経平均? |
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日経平均株価は、日銀が追加緩和を発表した場合は、5月に入っても堅調に推移する可能性がありそうです。マイナス金利に対する評価が好転し、円安・ドル高が進む可能性があるためです。
なお、FOMCについては、Bloomberg調査(4/26現在)によると、4月のFOMCで利上げを予想しているエコノミストは皆無で、6月は6割弱と言う結果でした。「6月利上げ」に対する見通しは「実施」と「見送り」が拮抗しつつあるという印象です。しかし、このことがFRBにとって好ましいことなのか否かは微妙な所です。市場が6月利上げに対する警戒心を薄め過ぎ、結果的に将来の波乱の芽を植えるようであれば、FRBが「警告」を発する場面もありそうです。いずれにせよ、日米で金融政策での方向感の違いは明確にあると言えそうです。
また、今期減益予想を発表した安川電機(6506)、市場よりも慎重な業績予想を発表した日本電産(6594)とも、決算発表後の株価は総じて冷静な反応を示されていました。市場の増益予想に対し、今期減益予想になった日立国際電気(6756)のように極端なネガティブサプライズにならない限り、決算発表で株価が波乱となる可能性も低下しつつあると考えられます。
総じて、日経平均株価は強含みで推移しそうです。日銀が追加緩和を見送った場合は、短期的に波乱となりそうですが、比較的早期に収束する可能性があり、そこが買い場になる可能性もありそうです。
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