日経平均株価は3/4(金)に、2/8(月)以来の17,000円台回復(終値は17,014円)を実現しました。その後反動安となり、3/9(水)には一時16,494円まで下げましたが、その後は再び上昇に転じ、3/14(月)に再度17,000円台を回復しています。
米国株が上昇に転じたこと、為替が一時に比べ落ち着きを取り戻したこと、原油先物相場がテクニカル上「底値確認」となったこと等、追い風が強まりました。3/10(木)のECB(欧州中銀)理事会で決定された追加緩和も、当初は否定的に理解されましたが、規模の大きさが評価され、次第に市場にとっての追い風に変わり始めています。
こうした中、3/15(火)に日銀金融政策会合の結果(現状維持)が発表されました。米国時間3/16(日本時間3/17未明)には米国の金融政策を決定するFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果も発表されます。金融政策の結果は、ECBのケースがそうであったように、時間を経て市場に浸透してくる可能性があります。今後の株式市場はどう動くのでしょうか。「波乱」の可能性もありますが、大丈夫でしょうか。
「春風」強まる東京株式市場 |
日経平均株価は3/4(金)に、2/8(月)以来の17,000円台回復(終値は17,014円)を実現しました。その後反動安となり、3/9(水)には一時16,494円まで下げましたが、その後は再び上昇に転じ、3/14(月)に再度17,000円台を回復しています。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、「春分の日」を前に株式市場でも「春風」が強まってきた感じです。
米国株が上昇に転じ、為替の動きも一時に比べ落ち着きを取り戻したことが、日経平均株価反発につながった要因とみられます。加えて、原油先物相場が1/29(金)の高値水準を超え、テクニカル上「底値確認」となったことでさらに追い風が強まりました。こうした中、欧州では3/10(木)に行われたECB(欧州中銀)理事会で追加緩和が決定されました。当初は、ECBがマイナス金利政策の限界を示唆したと理解され、欧州株が下げるなど波乱の兆しをみせましたが、その後は追加緩和の規模の大きさが評価され、市場は落ち着きを取り戻しています。
金融政策の結果は、株式市場で一過性の「材料」として処理しない方が良いように思われます。昨年末の米利上げも、決定当時は織り込み済みの材料であり、むしろ「アク抜け」になると期待されましたが、2016年の年明け以降は市場のリスク許容度を下げる役割を果たしたという面があります。今回は「現状維持」でしたが、日銀によるマイナス金利政策の影響も次第に浸透してくると考えられます。
米国時間3/16(日本時間3/17未明)には米国の金融政策を決定するFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果も発表されます。それをもって日米欧主要3極の金融政策決定会合が一巡します。市場の動きはどうなるでしょうか。波乱の可能性も指摘されていますが大丈夫でしょうか。
図1は日経平均株価(日足)の「一目均衡表」です。(1)遅行スパンが日々線の下から上に突き抜け、(2)転換線が基準線の下から上に突き抜け、という2つのポイントで「強気転換」しています。これで日々線がクモの上に突き抜けてくれれば「三役好転」が実現し、より強気な形になるとみられます。その意味でも、「クモ」の上限が17,400円台へ低下し、日々線による突破がしやすくなる3/18(金)前後は重要なタイミングになりそうです。
図1:日経平均株価(日足)一目均衡表〜「三役好転」間近
- ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2016/3/14現在。
金融政策会合の時期が終わると・・・ |
タイムスケジュールの面では、3/15(火)の日銀金融政策決定会合以降、3/16(水)のFOMC結果発表がもっとも重要であると考えられます。すでに終わったECB理事会を含め、主要中央銀行の金融政策決定会合集中時期という「イベント」が通過したとみなされ、市場のリスク許容度が回復すると考えることができます。しかし、前項でもご説明したように、金融政策を一過性の材料と考えない方がよいと考えられます。
国内では3/21(月)が振替休日となり、そこまで3連休となるため、その直前に当たる3/18(金)にはポジション調整が起きやすくなります。ちなみに3月決算企業の「権利付最終日」は3/28(月)です。マイナス金利の時代を迎え、権利取りの動きは通常よりも積極化してくる可能性がありますが、3/29(火)の権利落ち後は売られやすくなる可能性があり、注意が必要です。
一方、米国は個人消費や物価の先行きを占う指標が多く発表されます。このうち、先行きの金融政策を探る上でも、消費者物価上昇率(3/16)に注目です。食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比2.2%上昇です。それ以下であれば問題ないと思われますが、超えてくると2012/4の2.3%上昇という数字が意識されます。物価上昇率がジワリ高まっているとの認識が広がると、FRB(米連邦準備制度理事会)に次の利上げを急がせる要因となり、株価に逆風となる可能性があります。
表1:当面の重要なタイムスケジュール
月日(曜日) |
国・地域 |
予定内容 |
ポイント |
---|---|---|---|
3/15(火) |
日本 |
日銀会合結果発表および黒田総裁会見 |
「現状維持」を発表 |
米国 |
FOMC(〜16日) |
||
米国 |
2月小売売上高 |
||
米国 |
NAHB住宅市場指数 |
||
3/16(水) |
日本 |
2月訪日外客数 |
|
米国 |
2月消費者物価指数 |
食品・エネルギーを除き前年比2.2%上昇が市場予想。 |
|
米国 |
2月住宅着工件数 |
年率115万戸ペースの緩やかな拡大が続くか |
|
米国 |
FOMC結果発表、イエレン議長会見 |
今回は利上げ見送り?次の利上げは6月? |
|
3/17(木) |
日本 |
2月貿易収支 |
|
欧州 |
EU首脳会議(〜18日) |
||
米国 |
フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 |
企業心理は多少の改善が予想されているが・・・ |
|
3/18(金) |
日本 |
日銀会合議事要旨 |
|
米国 |
ミシガン大学消費者信頼感指数 |
将来指数が若干の改善になるかどうか |
|
3/21(月) |
日本 |
振替休日 |
|
3/22(火) |
独 |
Ifo景況感指数 |
|
米国 |
1月FHFA住宅価格指数 |
||
3/23(水) |
米国 |
2月新築住宅販売 |
|
3/24(木) |
米国 |
2月耐久財受注 |
輸送用機器を除く部分で前月比-0.2%が事前予想。 |
3/25(金) |
日本 |
2月消費者物価指数 |
|
米国 |
10〜12月GDP確定値 |
「前期比年率1.0%」からの変化は? |
|
米国 |
米国市場休場(グッドフライデー) |
- ※Bloombergデータ、報道等をもとにSBI証券が作成。海外は現地時間。
なお、3/15(火)の経済指標は、レポート掲載時点で発表済みになっているものもあります。
【ココがPOINT!】「日銀会合」「FOMC」後の株式相場はどう動く? |
3/15(火)の午後の取引開始直後、日本銀行が金融政策の現状維持を発表しました。市場でも「現状維持」が事前のコンセンサスになっていたため、本質的にはサプライズはなかったとみられます。しかし、先物にせよ、現物株にせよ、万が一日銀が予想外の追加緩和を実施した場合に備え、それに対応するポジションを取っていた市場参加者は、それを解消する必要があります。このため、日銀金融政策決定会合の結果発表後に、やや売りが優位になったことは致し方のない所だと思います。
市場参加者は現地時間3/16(水)に結果が発表されるFOMCについても、「現状維持」をコンセンサスとしています。次の利上げは6月という見方が多数派で、一部には4月という見方も残っています。米国経済の現状を示す各種指標は強いものと弱いものが混在していますが、海外経済については不安定さが目立っています。このため、米国の性急な利上げを望まない空気が世界的に強く、それを受けて今回のFOMCでは利上げが見送られるとの見方が優勢です。
3月の米政策金利引き上げが見送られれば、四半期に1回0.25%ずつ、1年で計4回・1%利上げするという「FRBの事前計画」は実現が不可能に近くなると理解されそうです。「FRBによる年4回の利上げ」は世界経済の先行きを懸念する多くの市場関係者にとってはリスク要因でしたので、仮に市場予想通り「利上げ見送り」であれば、株式市場でのリスク許容度がさらに拡大するとみられ、日経平均株価の上昇要因になると考えられます。図1に示されている「一目均衡表」のクモを下から上へ突き抜けていく可能性も十分ありそうです。
図2はドル・円相場と日米長期金利差を1つの表面上に表したものです。昨年末以降、ドル・円相場は円高・ドル安基調を辿ってきましたが、「リスク回避の円買い」需要が強まったことや、米金利の低下で日米金利差が縮小したことが影響していたと考えられます。しかし、米経済指標の持ち直しが進んで米長期金利が上昇し始めていることに加え、マイナス金利下での日本では長期金利低下が進み、日米長期金利差は拡大傾向になっています。
今後、年度末の輸出企業による実需の円買いが一巡すれば、日米金利差の拡大を背景に円安・ドル高方向へ反転し、それが株価上昇につながる可能性もありそうです。FOMCによる利上げ見送りは、米金利の低下要因ですが、リスク許容度の拡大を経て、円買い需要の減退につながる面があります。株価の上昇局面は基調的には続くのではないでしょうか。
図2:日米長期金利差とドル・円相場
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
日米長期金利差は米国の10年国債利回りから日本の10年国債利回りを引いた数値(%)。
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