梅雨明けの地方が増え、いよいよ夏本番です。株式市場でも、ギリシャが当面の危機を乗り越え、中国株が当局による矢継ぎ早の株価対策を受けて下げ止まるなど、暗く覆っていた雲はだいぶ解消されてきました。日経平均は最高値を更新し、21,000円を再度トライする可能性が大きそうです。
今回の「225の『ココがPOINT!』」では、7月下旬以降から、暦の上では夏が終わるシルバーウィーク直前の9/18までの日経平均株価の動きを予想します。好調な景気・企業業績を背景に、日経平均株価は、基本的には強含みの展開が予想されます。しかし、過去、8月は夏休み本格化で市場参加者が減り、波乱含みとなる傾向があります。今年も、株価が下がる局面が出てきそうですが、そこが買い場になり得る可能性が大きそうです。
<225のココがPOINT!>
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拡大する企業業績をテコに日経平均は21,000円トライへ。 |
日経平均株価は7/9の取引時間中に19,115円20銭の安値を付け、その後は上昇に転じています。中国株が、当局による相次ぐ株価対策を受けて切り返したことが追い風になりました。さらに、7/13にユーロ圏がギリシャを支援する方向で合意したため、日経平均株価の反発基調は続き、7/21には、18営業日ぶりに20,800円台を回復しました。6/24に18年半ぶりの高値となる20,868円03銭を付けていましたが、それを奪回するチャンス到来となっています。
ギリシャ問題や中国株安への不安などの問題は、最終的な解決をみた訳ではないですが、とりあえず市場の懸念材料としては後退した状態になっているようです。そうした中、市場参加者の注目は、国内の景気・企業業績に移ってくると考えられます。今週(7/21〜24)は、2015年4〜6月期の四半期決算発表が本格化してくる週になります。来週(7/27〜31)は、第一のヤマ場を迎え、主力企業の多くが決算発表を予定しています。なお、社数ベースでのピークは8/7になりそうです。
輸出企業の多くは、ドル・円相場について、1ドル115円を前提為替レートとしていますが、2015年4〜6月の為替レートは実際には平均121円程度で推移したため、その分、利益は上振れしやすくなっています。6月調査の日銀短観では、3ヵ月前に想定していたよりも、景況感が改善している企業が多数でした。2015年4〜6月期の営業・経常利益は10数%の増益が期待できそうです。
3月決算の企業にとり、第1四半期3ヵ月の数値だけでは、業績修正の判断に至らないケースも多いとみられ、会社予想上方修正へ過度の期待を抱くことはできません。しかし、この四半期に会社計画を上回った企業であれば、先行き上方修正の期待が高まり、アナリストの前向きな判断も増え、結局は株価上昇につながる可能性が大きくなります。採用銘柄の間にそうした企業が増えることで、日経平均株価は基調的に上昇傾向を辿ると予想されます。
中国株がいったん落ち着き、ギリシャ問題が当面の危機を乗り越えたとみられるため、世界的に投資家のリスク許容度が高まりそうなこともプラス材料です。リスク回避の円買いによる円高も生じにくくなり、日経平均におけるウェイトが高い輸出株が買われやすくなる点も追い風です。18年半ぶりの高値を付けた6/24に比べ、むしろ投資環境は改善しているとみられ、21,000円をトライする場面があっても、不思議ではないと考えられます。
図1:7/9安値19,115円を底に上昇に転じた日経平均

- ※当社チャートツールを用いてSBI証券投資調査部が作成。
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株式相場の「夏枯れ」傾向をどう理解するか。 |
堅調な推移が予想される日経平均ですが、8月に入ると、主要な買い主体である海外投資家の夏休みが本格化し、「夏枯れ相場」となり、日経平均は上がりにくくなると考える市場参加者は多いと思います。実際は、どうでしょうか。
一般的に、夏相場、特に8月・月替わりから20日頃までは、海外投資家の夏休みが本格化するのみならず、国内でも夏休みを取る市場参加者が増えるとみられます。このため、東京市場でも市場参加者が減少するとみられ、その前に買いポジションを落としてくる投資家も増えやすくなります。表1を見てもご理解いただけるように、7/31⇒8/20までの期間は過去10年で上昇4回・下落6回とやや振るいません。基本的には上昇場面が多い「アベノミクス相場」でも、2013年・2014年のこの時期は下落しています。この時期に、株価が下落するケースがやや多くなっているのは確かです。
しかし、逆に言えば、過去10年間で4回は上昇しているというのが、もう一方の事実です。この時期の株価下落は「緩やかな傾向」という程度の域を出ないように思われます。もともと、ファンダメンタルズとは関係のない季節要因ですので、過度の懸念は不要なように思われます。
むしろ、足元でも上昇基調となっている日経平均株価について、買い場を提供してくれる可能性が大きいと考えるべきではないでしょうか。表1の8/20⇒9/20の騰落をご覧ください。過去10年で上昇7回、下落3回となっており、平均上昇率も2.3%となっています。上記した「アベノミクス相場」における2013年・2014年も上昇しています。過去のデータは、夏休みが本格化する7/30〜8/20に買い場が到来し、その後に株価上昇で報われやすいことを物語っているようにみられます。
表1:8月上・中旬は「夏枯れ」の傾向も、そこが買い場になりやすい日経平均

日経平均公表データを用いてSBI証券が作成。表の左端に示した月日(休日の場合は前営業日)の日経平均終値と、各期間の騰落率を示しています。下落については、グレーで塗りつぶし、上昇(塗りつぶしなし)と区別しました。
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【ココがポイント!】「8月の押し目」が買い場になりやすいその理由は? |
8月に市場参加者が減り、夏枯れ傾向が表れやすいという傾向は確かにあるものの、そこが買い場となる可能性も大きく、前向きに対応すべきだと「225の『ココがPOINT!』」では考えています。最後に、その理由をご説明したいと思います。
表2は、前項の表1で示した各年の期間別騰落率(7/20⇒7/31、7/31⇒8/20、8/20⇒9/20)とともに、各年4〜6月の法人企業統計(資本金1億円以上)・営業利益(前年同期比・%)を併記して示したものです。過去10年のうち、増益だった7年では8/20から9/20にかけて5回、日経平均株価が上昇しています。特に、アベノミクス相場における2013年・2014年は大きめの上昇率になっています。
4〜6月期の企業業績で増益が確認された場合でも、夏休み本格化を受けて7/31⇒8/20くらいの時期は株価が下がる可能性が残ります。しかし、8/20ともなると、夏休みから戻る市場参加者が増えるとともに、海外投資家や機関投資家等による4〜6月期業績の「吟味」が本格化してきます。「吟味」の結果、業績の先行きを楽観できる企業であれば、株価が上昇するケースは大きいと考えられます。総じて4〜6月の好業績が見込まれる2015年は、このパターンになると考えられます。だとするならば、8月に株価が安い場面は買い場となる可能性がありますので、個人投資家にとってチャンスが膨らんでくるかもしれません。
このように、7/31以降、特に7/31〜8/20頃は一時的な株価下落の可能性があるものの、日経平均はそこが買い場になると考えられます。「夏枯れ相場」を見送りと決め付けるか、買い場提供もあり得ると前向きにとらえるのか、その対応の相違でトータルの投資成績も異なってくるかもしれません。
表2:4〜6月期の好業績が確認されると、8/20以降は上昇の可能性が膨らむケースが多い

日経平均公表データ、法人企業統計を用いてSBI証券が作成。各年4〜6月期の法人企業(資本金1億円以上)・営業利益(前年同期比増減率)を最上段に示しました。下3段は、表1と同じです。
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