豪州 政策金利 |
発表時間 |
2/2(火)12:30(日本時間) |
前回値 |
2.00% |
事前予想 |
- |
更なる利下げの可能性は!?
豪州 政策金利推移 (2013年1月〜2015年12月)
- ※出所:Bloomberg
前回、昨年12/1のオーストラリア準備銀行(RBA)理事会は、7会合連続で政策金利を2.00%に据え置く決定をしました。スティーブンスRBA総裁は声明で「鉱業部門の設備投資が大幅に減少している中でも、経済は緩やかな拡大を続けている」との景気判断を示しました。その根拠として、実質GDPが長期平均をやや下回りながらも、非資源部門の企業景況感が緩やかな改善を示していることや底堅い雇用増加と失業率が安定する傾向にあることなどを指摘しました。特に雇用については、11月の雇用統計が、就業者数が7万5千人近い上昇を示し、失業率も前月の5.9%から5.8%に低下、年明け1/14に発表された12月の雇用統計でも就業者数こそ僅かながら減少したものの、失業率が5.8%を維持するなど、労働市場が底堅く安定しつつある傾向が確認されています。就業者数の増加が通年で30万人増加したことと、非鉱業部門の成長に改善の兆候が見られる中で、小売業やサービス業などの非製造業分野での若年層を中心とした雇用の伸びが将来への期待を膨らませています。
昨年、RBAは2月と5月に利下げを実施しましたが、オーストラリアに限らず2015年後半の世界中の金融市場は、中国経済の減速懸念に伴う資源価格の低下の影響を強く受けました。とりわけ新興国市場への影響が大きく、資源国とみなされている上に輸出入ともに中国が最大の貿易相手国となっているオーストラリアが受けた影響はかなり大きいものでした。鉱工業部門の成長に依存している同国経済の成長の中心が、非鉱工業部門への転換へと急速に進んだわけではありませんが、通貨安に至るほどの実体経済の悪化に繋がっていない状況を考えれば、8月終盤に対米ドルで0.70ドルを割り込むほど豪ドル安が進んだのは、明らかに中国経済の先行き不安が大きく影響していたと思われます。
豪ドル/円(日足)
- ※出所:FX総合分析チャート 日足
豪ドル/米ドル(日足)
- ※出所:FX総合分析チャート 日足
12/15に公表された12月理事会の議事要旨を見直すと、「金融政策は緩和的である必要」との文言が外れ、経済が正しい回復軌道にあることが確認されました。また、低金利が家計支出と住宅投資の伸びを支えている証拠があり、豪ドルは主要コモディティー価格の下落に伴った調整を通じて、国内の生産を押し上げているとの指摘が示されました。その上で、理事会メンバーは労働市場などに余剰生産能力の存在を示しており、賃金上昇率が伸び悩む中で、今後1-2年の基調インフレ率は目標に沿って推移する見通しを示しました。
例年通り1月のRBA理事会が開催されないことからも分かるように、1/14に発表された雇用統計を除けば指針となる指標も限られますが、12月の経済指標が総じて良好で、労働市場の底堅さが確認されたこともあり、RBAは2/2の理事会でも金利を据え置いてくる可能性が高いと思われます。RBAが利上げに消極的なことや豪ドルが7年ぶりの低水準にまで持続的に下落し続けていることも更なる利下げの可能性を後退させています。理事会にとって最終的な判断材料として注目された1/27に発表された第4・四半期の消費者物価指数もコアインフレを示すトリム平均の伸びが加速しており、RBAが追加利下げに踏み切る可能性はほぼ消えたと言ってもいいかも知れません。
「豪 金融政策発表」とは
豪 金融政策発表とは、中央銀行であるRBA(オーストラリア準備銀行)が、原則として毎月第1火曜日に「金融政策委員会」を実施し、そのときの経済状況から、政策金利をはじめとする「金融政策」を決定し、発表することです。大きな変更があった場合には、マーケットに与える影響が大きいので注目されています。