今週の株式見通し(2025/3/10~3/14)
今週(3/10~3/14)の日経平均株価の予想レンジは35,500円-37,500円。東京株式市場は個別色が強く、指数は軟調な展開か。
週前半は先週末の大幅安の反動を狙った自律反発狙いの買いや売り方の買い戻しなどで底堅く推移する公算が大きい。後半は3/14のメジャーSQを前に先物主導では動きづらく、米国株式市場における物色動向やトランプ大統領の発言などに神経質になる構図が続きそうだ。一方、国内では決算発表が増加することもあり、個別物色の展開が予想される。
翌週には国内で日銀金融政策決定会合や、米国でFOMC(連邦公開市場委員会)を控えている。すでにFOMCのブラックアウト期間に入っているため、FRB(連邦準備制度理事会)関係者による金融政策に関する発言は出てこないが、米国では2月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)など物価指標の発表があり、引き続き米長期金利動向に注意が必要となる。日銀政策の事前報道を通じた為替の動向に振り回される可能性もあり注意したい。
日経平均株価(図表1)は軟調な展開が続く。先週は一時5日移動平均線(37,425円 3/7)を上回る場面もあったが、週末3/7は寄り付きから下値模索の展開となり、37,000円を割り込む陰線を形成して終えた。直近で形成したような下ヒゲは見られず、ややネガティブな印象で終えた。
1/24高値(40,279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。昨年9月に形成したダブルボトムのネックラインである36,900円付近のフシや、月足の一目均衡表の転換線(36,791円)付近は維持している格好ではあるが、今週の自律反発局面では5日移動平均線や10日移動平均線(37,769円 同)が上値抵抗になりやすく、目先は値固め続く公算が大きい。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、心理的節目の38,000円、25日移動平均線(38,537円 同)、200日移動平均線(38,648円 同)、心理的節目の39,000円などがある。下値メドは、9/18高値(36,675円)、心理的節目の36,500円や36,000円、9/17安値(35,828円)、心理的節目の35,500円、9/9安値(35,247円)、心理的節目の35,000円などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2024/6/3-2025/3/7)

- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、1月毎月勤労統計調査、1月景気動向指数、2月景気ウォッチャー調査、5年国債入札(3/10)、1月家計調査、10-12月期GDP改定値、2月マネーストック、2月工作機械受注(3/11)、1-3月期法人企業景気予測調査、2月国内企業物価指数、20年国債入(3/12)、メジャーSQ(3/14)がある。
企業決算の発表では、アインHD、MTG、学情、萩原工業、Bガレージ、ランドネット、ミライアル、浜木綿、トビラシステム、ギグワークス、B&P、サンオータス(3/10)、グリーンエナジー、三井ハイテック、シーアールイー、セルソース、シルバーライフ、不二電機、ReYuuJpn(3/11)、GENDA、ANYCOLOR、テンポスHD、gumi、ファーマフーズ、サムコ、ステムリム、pluszero、神島化、Casa、ベステラ、大盛工業、ベストワン、アゼアス、ユークス、モイ、ハウテレビ、VALUENEX(3/12)、ビジョナル、タイミー、ラクスル、シーイーシー、JEH、GATECH、ハートシード、巴工業、柿安本店、アイモバイル、トーホー、アイ・ケイ・ケイ、ネオジャパン、ナレルG、あさくま、鎌倉新書、3Dマトリックス、トーエル、WSCOPE、HEROZ、きんえい、リッジアイ、イムラ、ウエスコHD(3/13)、神戸物産、パーク24、くら寿司、トリケミカル、アストロスケール、テラドローン、J.S.B.、正栄食、JMHD、スマレジ、MacbeeP、スバル興、ヤーマン、フリービット、モロゾフ、山岡家、丸善CHI、稲葉製作、オハラ、INTLOOP、フィットイージ、グッドコムA(3/14)などが予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、米1月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、米3年国債入札(3/11)、米2月消費者物価指数(CPI)、米2月財政収支、米10年国債入札(3/12)、米2月生産者物価指数(PPI)、米30年国債入札(3/13)、米3月ミシガン大学消費者態度指数(3/14)などがある。
海外の企業決算の発表では、アドビ、アイロボット(3/12)、ドキュサイン、アルタ・ビューティ、ダラー・ゼネラル(3/13)などが予定している。
今週の注目銘柄!(3/10~3/14)
銘柄 コード |
銘柄名 | 目標株価 (円) |
ロスカット株価 (円) |
注目ポイント | |||||||||
1934 | ユアテック | 2,200 | 1,550 | 東北電力系列の総合電気工事会社。1/30の3Q決算発表時に通期業績や期末配当の見通しを上方修正しており、これらのリリースに対して発表直後の株価も好反応を示した。2/12には1,825円まで上昇し、昨年来高値を更新した。その後、大きめの調整が入って3Q決算発表前の水準まで調整した。しかし、75日移動平均線を支持に反転上昇し、先週は25日移動平均線上に戻すなど急回復の展開となっている。3/7は5日移動平均線上で陽線を形成しており、昨年来高値更新を通じて上値追いの展開が予想される。業態的には為替や米国株の影響を受けづらく、ディフェンシブ性も有している。当面は業績好調を評価した買いが継続することが予想される。ターゲットは2,200円、ロスカットは1,550円 | |||||||||
1964 | 中外炉工業 | 6,000 | 3,190 | 工業炉大手。先週の日本経済新聞の特集記事『アンモニア「燃料用」に商機』の中で同社が取り上げられた。アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を出さない点で時折注目されるが、同社はアンモニア用のバーナーに強みを持っている。株価は堅調な推移が続く。3月に入ってからも昨年来高値を更新しており、直近では3/5に3,855円まで上昇した。昨年8月の急落直前の6月高値(3,710円)を超えたことで、一段高に期待できるゾーンに入ってきた。相場全体が崩れる中でも底堅い印象が強く、順張りスタンスを継続したいところだ。ターゲットは6,000円、ロスカットは3,190円 | |||||||||
4183 | 三井化学 | 4,000 | 3,200 | 総合化学メーカー。2025年3月期3Q累計(4-12月)の連結営業利益は669億円(前年同期比11.5%増)で着地した。株価は昨年6月以降、長く下げトレンドが続いていたが、昨年8月安値3,167円に接近してきたことで、足元では売り圧力が和らぎつつある。今年に入って1/17に3,231円まで下げた後は持ち直しており、先週の上昇で1/29につけた3,462円や昨年12/30につけた3,490円など、直近の戻り高値を上回った。また、これまでは抵抗となっていた75日移動平均線や一目均衡表の抵抗帯(雲)なども上に抜けた。目先的な調整は予想されるが、75日移動平均線や雲をサポートとして戻りを強める展開を予想する。ターゲットは4,000円、ロスカットは3,200円 | |||||||||
5946 | 長府製作所 | 2,400 | 1,800 | 給湯器や空調機器などを手掛ける。2/7に今期ガイダンスを発表したものの、今期の利益見通しには物足りなさもあったためか翌営業日以降は売りが優勢となった。ただ、足元ではPBRが0.5倍を下回っており、過去10年間ではコロナショック直後を除いて最低水準。株主資本が多いことから、株主還元に関して昨今で進むDOE(株主資本配当率)指標導入の可能性もある。上述の決算発表後は2週間ほど下落が続いたが、1,800円を割れずに下げ止まった。昨年8月の急落時にも1,800円割れ手前で反発しており、このあたりを底値に反発する傾向にある。3月に入ってからは一目均衡表では抵抗帯(雲)を下から上回る回復をみせており、2/7高値(2,040円)をクリアしていく展開が予想される。ターゲットは2,400円、ロスカットは1,800円 | |||||||||
7003 | 三井E&S | 2,500 | 1,600 | 船舶用エンジンや港湾クレーンの大手。港湾クレーンの脱中国需要が期待されるほか、防衛関連としても注目されている。昨年2~3月にかけて株価が急上昇したが、その反動もあってしばらく下落が続いていた。一方で11月ごろから持ち直し始めてきたため、調整一巡を経て再び上昇局面入りの可能性が高まっている。直近では1/6高値(1,873円)と2/19高値(1,866円)高値を通る抵抗線を上抜けており、節目突破による需給妙味を背景に上値追いに期待できそう。2022年3月期まで大きな損失を計上していたが、それ以降は黒字に転換。構造改革や需要増加を背景に利益成長のステージに入っており、現株価水準は割安と考える。ターゲットは2,500円、ロスカットは1,600円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・3/7現在、プライム市場に上場、時価総額が200億円以上、PERが20.0倍未満、PBRが1.5倍未満、配当利回りが1.0%以上、今期経常増益予想(日経予想)、株価が10日・25日・75日移動平均線を上回っている中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。

- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。