今週の株式見通し(2024/9/9~9/13)
今週(2024/9/9-9/13)の日経平均株価の予想レンジは34,800円-37,300円。東京株式市場は押し目処を探る展開か。注目された米8月雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が14.2万人増と予想の16万人増を下回ったことで米景気の先行き不安が高まり、米国市場は主力ハイテク株を中心にリスク資産を売却するリスク回避の動きが強まった。S&P500は4日続落となり、ナスダックや半導体株指数などハイテク系指数は相対的に大きく下げた。日経平均先物は心理的節目である35,000円近くまで下落しており、週明けは大幅安からのスタートが予想される。
米国では、9/11に8月消費者物価指数(CPI)、9/12に8月生産者物価指数(PPI)が発表される。これらの結果が株、金利、ドル円相場の変動要因になりそうだ。特に、ドル円は8月後半にかけて日本株が強く戻る過程でも上値が重く、雇用統計発表の日に8/5につけた安値(1ドル=141.66円)に迫る場面があった。投機的な動きから円高(ドル安)に一段と振れる可能性が高く、日経平均先物への断続的な売りが再開する展開も予想される。
一方、上記の物価指標が市場予想を上回るようだと、ドル買い・円売りが強まり、円安(ドル高)への揺り戻しが想定され、米国株はハイテク株中心に上昇→日本株への買い戻しにつながろう。
週末は9月限のメジャーSQとなり、特異な変動要素もある。いずれにしても、日経平均株価は史上最大の下げ幅となった8/5や史上最大の上げ幅となった8/6の取引レンジ近くまで下落している。当時は東京市場の売買代金が大きく膨んだ経緯があることからも、週初から35,000円を割り込み下値模索となる場面があっても、週前半に安値をつけたあとはリバウンド基調に入る展開も想定しておきたい。
3連休明けの9/17-18にFOMC(連邦公開市場委員会)を控えているため、メジャーSQ通過後はポジション調整の売買も予想され、週後半の値動きの方向に加速する動きが予想される。
日経平均株価は(図表1)は8月上旬の急落後のリバウンド相場が一巡した。9/6は25日移動平均線(36,947円 9/6)下で前日の陽線に並ぶような陰線を形成し、4日続落となった。25日移動平均線が再び下向きに変化しており、目先は下方向への力が働きやすい。
一方、一目均衡表で横ばい基調の基準線(35,118円 同)との離れが大きかったことで、36,000円~36,500円処に向けて突如押し戻される動きは許容範囲である。今週は25日移動平均線が下げ止まる可能性があるほか、基準線が上向きに転じることが予想される。目先の下落余地は残すものの、週を通じての下値は限定的となる公算が大きい。
上値メドは、200日移動平均線(37,483円 同)、10日移動平均線(37,926円 同)、75日移動平均線(38,492円 同)、心理的節目の39,000円などがある。下値メドは、心理的節目の36,000円、8/7高値(35,849円)、8/5高値(35,301円)、心理的節目の35,000円、8/7安値(33,739円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/8/1-2024/9/6)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、4-6月期GDP改定値(8:50)、8月景気ウォッチャー調査(9/9)、5年国債入札(9/10)、7-9月期法人企業景気予測調査、8月企業物価指数、8月都心オフィス空室率、20年国債入札、自民党総裁選挙告示(9/12)、メジャーSQ(9/13)がある。
企業決算の発表では、GENDA、くら寿司、シーイーシー、スバル興、学情、萩原工業、Bガレージ、アルトナー(9/9)、三井ハイテ、サトウ食品、トーホー、ポールHD、gumi(9/10)、神戸物産、ANYCOLOR、正栄食、テンポスHD、モロゾフ、サムコ、ステムリム、ネオジャパン、ナレルG(9/11)、ビジョナル、タイミー、JEH、JMHD、ラクスル、スマレジ、MacbeeP、GA TECH、巴工業、ハートシード、柿安本店、セルソース、アイモバイル、ファーマフーズ、WSCOPE、pluszero(9/12)、エイチ・アイエス、アストロスケール、J.S.B.、ギフトHD、ヤーマン、丹青社、HCM、エスコンJPN、シーアールイー、エターナルホスヒ、オハラ、山岡家、フリービット、REVOLUTI、ダブルエー、MSOL、アクシージア、Hamee、フィットイージ、HEROZ、INTLOOP、Eインフィニティ、リベラウェア、学びエイド、イタミアート(9/13)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、中国8月生産者物価指数(PPI)、中国8月消費者物価指数(CPI)、米7月消費者信用残高、米アップルが製品発表イベント開催(9/9)、中国8月貿易収支、米大統領候補者テレビ討論会(予定)、米3年国債入札(9/10)、米8月消費者物価指数(CPI)、米10年国債入札(9/11)、ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)、米8月生産者物価指数(PPI)、米8月財政収支、米30年国債入札(9/12)、米8月輸出物価指数、米8月輸入物価指数、米9月ミシガン大学消費者態度指数(9/13)、中国8月鉱工業生産、中国8月小売売上高、中国8月固定資産投資(9/14)などがある。
米国企業の決算発表では、アドビ、クローガー(9/12)が予定している。
今週の注目銘柄!(9/9~9/13)
銘柄 コード |
銘柄名 | 目標株価 (円) |
ロスカット株価 (円) |
注目ポイント | |||||||||
4733 | オービックビジネスコンサルタント | 8,500 | 6,440 | 通称OBC。中小企業向け業務パッケージソフト「奉行シリーズ」で著名である。8/26の後場(14時半)に配当見通しの修正を発表。中間配当見通しを45円→50円に引き上げた。期末配当に関しては45円を据え置いており、先々ではもう一段の引き上げに対する期待も高い。リリースに対して株価も好反応を示した。8/5には5,356円まで下げて年初来安値を更新したが、翌日以降は強い切り返しを見せている。200日移動平均線を上回り、短期トレンドを示す10日移動平均線上をキープしている。週足では4週連続の陽線のあと先週は小休止しており、再動意が期待できそう。下値不安が大きく後退する中、右肩上がりのトレンドが継続すると予想する。ターゲットは8,500円、ロスカットは6,440円 | |||||||||
5929 | 三和ホールディングス | 4,000 | 2,840 | シャッター大手。地味な業態ではあるが株価の基調は強く、9/3に上場来高値を更新した。欧米でも事業を展開しており、足元では米国の利下げ期待が高まって米住宅関連銘柄が買われる局面で資金が向かうことも多い。最近では複数の証券会社が目標株価を引き上げている。米国では8月雇用統計に続いて、今週は8月消費者物価指数(8/11)や生産者物価指数(8/12)が発表される。弱い指標が相次げば市場が9月FOMCでの利下げ幅は0.25%ではなく0.50%になるとの見方を強める可能性があり、米国の住宅株には支援材料となる。直近の信用倍率は0.76倍と需給は軽く、上値追いの流れが継続すると予想する。ターゲットは4,000円、ロスカットは2,840円 | |||||||||
6524 | 湖北工業 | 4,100 | 2,680 | アルミ電解コンデンサー用リード端子や光部品・デバイスなどを手がけており、海底ケーブル向けの部品に強みを持つ。足元で電線株の動きが良くなる中、同社株も9/5に3,585円まで上昇して上場来高値を更新した。8/8に発表した上期決算は従来計画を上振れ、通期計画を上方修正。アルミ電解コンデンサーにおいては在庫調整が終了し、リード端子の受注が回復傾向となった。また、光部品・デバイスにおいては一部顧客からの受注が急激に増加したとのことで、中国動向など懸念材料がある中でも下半期の回復が継続すると見込んでいる。株式市場でケーブル関連に対する期待が高まる中、業績好調を確認できた同社株には継続した買いが予想される。ターゲットは4,100円、ロスカットは2,680円 | |||||||||
9142 | 九州旅客鉄道 | 5,000 | 3,570 | JR九州、新幹線運営、在来線は観光列車に強み。日経平均株価に上昇一服機運が強まる中でも堅調な推移が続いている。7月につけた高値(4,020円)を上回り、9/5は4,178円まで上昇して上場来高値を更新した。7月高値から8月上旬までの急落で一時200日移動平均線を割り込む場面もあったが、回復力はディフェンシブ性も後押ししている。また、他のJR系の銘柄とも動きが異なっており、ディフェンシブ性だけで買われているわけではない。九州はTSMCの熊本工場誘致で経済が活気づいている。8月急落に対する反動高がしばらくは予想され、相対的な強さが短期資金を呼び込む可能性が高い。ターゲットは5,000円、ロスカットは3,570円 | |||||||||
9602 | 東宝 | 6,800 | 5,130 | 阪急系、邦画配給、興行収入で断トツ。株価は連日で年初来高値を更新している。直近では外資系証券による目標株価引き上げがあったほか、バンダイナムコホールディングスとの資本業務提携を発表するなど、ポジティブなニュースが相次いだ。 8月前半に全体株安を受けて急落し、8/5には4,748円まで下落。7月の戻り高値を早々に更新し、5日移動平均線をサポートに陽線が目立つ。同社は2月決算銘柄で8月は中間配当や株主優待の権利取りの月となったが、権利落ちの影響はなし。9/6の上昇で昨年7月につけた上場来高値(5,933円)も更新した。ターゲットは6,800円、ロスカットは5,130円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・9/6現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が500億以上、PERが40.0倍未満、PBRが5.0倍未満、配当利回りが0.6%以上、株価が25日・75日・200日移動平均線を上回っている中から、業績面、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。