今週の株式見通し(2024/6/10~6/14)
今週(2024/6/10-6/14)の日経平均株価の予想レンジは38,300円-39,300円。週後半は慌ただしい展開となりそうだ。連邦公開市場委員会(FOMC)が6/11-12に開催され、日銀金融政策決定会合が6/13-14に開催される。米国ではFOMCの結果発表日の6/12に5月消費者物価指数(CPI)の発表があり、翌6/13には5月生産者物価指数(PPI)の発表もある。日銀の結果を消化する6/14は6月限のメジャーSQ算出日で、落ち着かない日が続くだろう。
FOMCに関しては、政策金利の据え置きが濃厚で、内容自体にサプライズは少ないとみられる。先週、ECB(欧州中央銀行)が4年9カ月ぶりとなる利下げに踏み切ったことで、米国も先々では利下げが実施されるとの期待は高まりやすい。
日銀金融政策決定会合に関しては、現状維持なら買い反応になる公算が大きい。何か動きがある場合にも、長期国債の買い入れ減額などは事前の観測報道などからある程度は織り込み済みである。
週前半は様子見姿勢が強くなりやすく方向感は出づらいが、メジャーSQ通過後から日銀会合の結果などを通じて動意が生じる展開が予想される。
物色は、割安バリュー業種の循環物色と決算材料で大きく変動する個別株が増えそうだ。
日経平均株価(図表1)は日中では狭いレンジの取引が続いており、先週は週間ベースでも10日移動平均線(38,649円 6/7)や25日移動平均線(38,603円 同)などの短期線を意識しながら小動きだった。
今週は75日移動平均線(39,000円 同)上にしっかり戻せるかが重要なポイントとなる。一目均衡表では抵抗帯(雲)の上限(38,910円 同)や5/27以降の上値の壁になっている水準でもあり、終値ベースでブレイクアウトする意味は大きい。
一方、25日移動平均線上は保っているものの、同線が下向きに変化し出すと上値が重くなり、再び下を試す動きにつながる公算が大きい。
上値メドは、心理的節目の39,000円、5/20高値(39,437円)、心理的節目の40,000円、4/1高値(40,697円)などが考えられる。下値メドは、100日移動平均線(38,355円 同)や心理的節目の38,000円、5/30安値(37,617円)、心理的節目の37,000円、4/19安値(36,733円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/5/1-2024/6/7)
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- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、1-3月期GDP改定値、5月景気ウォッチャー調査(6/10)、5月工作機械受注(6/11)、5月企業物価指数(6/12)、日銀金融政策決定会合(~6/14)、4-6月期法人企業景気予測調査(6/13)、植田日銀総裁会見、4月第3次産業活動指数、メジャーSQ(6/14)がある。
企業決算の発表では、くら寿司、山岡家、モロゾフ、学情、Bガレージ、ファーマフーズ、アスカネット、トビラシステム、B&P(6/10)、GENDA、正栄食、ラクスル、ロックフィール、柿安本店、アイモバイル(6/11)、ANYCOLOR、JMHD、テンポスHD、巴工業、シーアールイー、ステムリム、ナレルG、さくらさ、ベストワン、ハウテレビ、ジャパM&A(6/12)、神戸物産、ビジョナル、J.S.B.、MacbeeP、GATECH、JEH、スマレジ、丹青社、サンバイオ、pluszero、3Dマトリックス、NATTYHD、coly、Pアンチエイジ、GLOE、ベルグアース、アールプランナ、モイ(6/13)、パーク24、三井ハイテ、エイチ・アイエス、ギフトHD、ヤーマン、フリービット、MSOL、アクシージア、ネオジャパン、HEROZ、INTLOOP、AB&C、ツクルバ、Eインフィニティ、tripla、イタミアート(6/14)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、米3年国債入札、アップルが年次開発者会議「WWDC」開催(~6/14)(6/10)、FOMC(~6/12)、米10年国債入札(6/11)、中国5月生産者物価指数(PPI)、中国5月消費者物価指数(CPI)、米5月消費者物価指数(CPI)、パウエルFRB議長会見、米5月財政収支(6/12)、G7サミット(イタリア、~6/15)、米5月生産者物価指数(PPI)、米30年国債入札(6/13)、米5月輸出物価指数、米5月輸入物価指数、米6月ミシガン大学消費者態度指数(6/14)などがある。
米国の企業決算の発表では、ブロードコム(6/12)、アドビ(6/13)などが予定している。
来週の注目銘柄!(6/10~6/14)
銘柄 コード |
銘柄名 | 目標株価 (円) |
ロスカット株価 (円) |
注目ポイント | |||||||||
3791 | IGポート | 1,500 | 950 | アニメ制作大手。「ハイキュー!!」や「攻殻機動隊」など数々のヒット作を担当している。4月に2024年5月期の通期営業利益予想を上方修正したが、好感されず急落。しばらく軟調に推移していたところ、6/4は政府が新たなクールジャパン戦略をまとめたと伝わり大幅高。35営業日ぶりに25日移動平均線を上回った。その後戻り売りをこなしながら、6/7には再び25日移動平均線を上方ブレイク。ボリンジャーバンドがすでに収束していることから、4月急落時に発生した短期の下落トレンドは終了していると考えられる。売られ過ぎの水準まで低下したRSI(14日)は回復傾向にあり、ここから買い戻しの勢いが強まると予想する。ターゲットは1,500円、ロスカットは950円 | |||||||||
4521 | 科研製薬 | 4,500 | 3,400 | 医療用医薬品や農業薬品などを手がける。直近、海外企業との提携に関するリリースや、大量保有報告などを受けて株価が急騰している。ただ、やっとPBRが1倍台を回復してきたばかりであり、バリュエーションに割高感は見られない。配当利回りも4%近いため、現時点でも投資妙味がある。5/29にチャートの窓を開けて急騰し、その後も勢いよく上昇を続けている。6/4には25日移動平均線が75日移動平均線を上回り、ゴールデンクロスを形成。トレンド転換の兆しと考える。思惑が絡むモメンタムの強さから、もう一段の上昇を予想。短期的な過熱感も否定できないため、上値が重くなってきた場合は早めに撤退することも考えておきたい。ターゲットは4,500円、ロスカットは3,400円 | |||||||||
6986 | 双葉電子工業 | 645 | 500 | 電子部品、ラジコン、生産器材が収益柱。前期に続き今期も最終赤字が縮小する見通し。構造改革を進めており、今期は双葉モバイルディスプレイを解散し、保有不動産も売却する予定。売却益の計上により、計画よりも赤字は縮小する可能性がある。業績持ち直しの兆しが出てきたところPBRは0.3倍以下にとどまり、妙味ありと考える。株価は長らく低迷を続けていたが、4/26に年初来安値453円をつけてから急速に回復。6/6には563円まで買われ、今度は年初来高値を更新した。主要な日足の移動平均線より上が定着しており、トレンドが変わった可能性もある。戻り待ちの売りは一巡したとみられ、600円台回復は早いとみる。ターゲットは645円、ロスカットは500円 | |||||||||
7018 | 内海造船 | 6,000 | 4,270 | 中型ばら積み船、フェリー、RORO船など幅広く展開している。5月10日に公表した、2025年3月期の連結営業利益は前年比71.7%減の9.0億円を見込んでいる。株価は昨年9月につけた高値(7,830円)を起点に長い調整局面にあるが、上記の見通し公表後は下げ止まっている。5月9日安値(3,875円)を起点に25日移動平均線を上回り、次は200日移動平均線超えをトライする雰囲気が強くなってきた。6/4は一時5,020円まで上昇し、5月高値(4,920円)をクリア。商い増加が見られれば、2月急落時のマド埋め(5,620円)は軽く達成しそうだ。ターゲットは6,000円、ロスカットは4,270円 | |||||||||
9166 | GENDA | 2,200 | 1,410 | エンタメ業界のM&Aに力を入れている。昨年7月に上場し、ここまでグロース株にあまり流れが向かない中でも株価はしっかりとした動きが続いている。今年に入って3月に高値をつけた後は調整局面に入っているが、4月から5月にかけては横ばいで推移し、下値が固まってきた。同社は5/31を基準日として1:2の株式分割を発表しており、直近で購入のハードルが下がっている。そして、分割前までは25日移動平均線近辺での一進一退が続いていたが、足元では25日移動平均線より上が定着してきた。ここ数日は75日移動平均線を上回る日も多くなっており、調整一巡からの上昇再開を予想する。ターゲットは2,200円、ロスカットは1,410円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・6/7現在、プライム・スタンダード・グロース市場に上場、時価総額が100億円以上、PBRが7.0倍未満、株価が5日・10日・75日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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