今週の株式見通し(2024/6/3~6/7)
今週(2024/6/3-6/7)の日経平均株価の予想レンジは38,200円-39,000円。様子見姿勢が強く、方向感に乏しい展開か。米国では米5月ISM製造業景況指数(6/3)をはじめ雇用関連指標、6/7には6月雇用統計が発表される。ECB理事会(6/6)では利下げに対する期待が高まっている。利下げが実施され、欧州の長期金利が低下して米国の長期金利も低下する流れになれば、グローバルでリスク選好ムードが高まるだろう。
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一方、米国の長期金利は高止まりしており、利下げ期待が高まる状況ではない。欧州もECBから出てくるメッセージによっては長期金利がそれほど下がらない可能性もあり、反応は読みづらい。翌週にはFOMC(6/11~12)や日銀金融政策決定会合(6/13~14)が控えている。日米欧の長期金利や為替市場をにらみながら、金融政策に対する思惑も入り交じり、不安定な動きが続きそうだ。
日経平均株価をTOPIX(東証株価指数)で割ったNT倍率の低下基調が続いており、バリュー系業種や銘柄への物色が優位か。5月相場は保険や電力、銀行株などの上昇が目立ったが、相対的にさえなかった自動車や商社、鉄鋼株などへの見直し買いに注目したい。
日経平均株価(図表1)は不安定な動きが続いている。5/30は取引時間中に下値模索の展開となり、一時は4/26安値(37,550円)付近まで下落する場面があった。一方、5/31は大幅反発。前日の大幅安で形成したマドを即時に埋め戻す陽線となり、ほぼ高値引けに近い動きとなった。
5/30に形成した長い下ヒゲを伴う「タクリ足」から翌日早々に切り返したのはポジティブな動きである。100日移動平均線(38,068円 5/31)付近をサポートに25日移動平均線(38,485円 同)をわずかに上回って終えたが、5/30の下方への動きをダマシにするためには連続陽線による続伸が必要な局面である。25日移動平均線や75日移動平均線(38,941円 同)上にしっかり戻せるかが、今週の注目ポイントとなる。
一方、25日移動平均線が下向きに変化し出すと上値が重くなり、下を再び試すことにつながる公算が大きい。
上値メドは、心理的節目の39,000円、5/20高値(39,437円)、心理的節目の40,000円などが考えられる。下値メドは、100日移動平均線や5/30安値(37,617円)、心理的節目の37,000円、4/19安値(36,733円)、心理的節目の36,000円などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/5/1-2024/5/31)
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- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、1-3月期法人企業統計、5月新車販売台数(6/3)、10年国債入札(6/4)、4月毎月勤労統計(6/5)、5月都心オフィス空室率、東京ディズニーシーの新テーマポート「ファンタジースプリングス」オープン、30年国債入札(6/6)、4月家計調査、4月景気動向指数(6/7)がある。
企業決算の発表では、伊藤園(6/3)、泉州電、内田洋(6/4)、フジコーポ(6/5)、積水ハウス、アインHD、スバル興、ファースト住(6/6)、クミアイ化、カナモト、ソフトウェアサー、日駐、アイル、シーイーシー、ハイレックス、エターナルホスヒ、サムコ、ポールHD、日本スキー、gumi、エイチーム(6/7)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、中国5月Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI)、米5月ISM製造業景況指数(6/3)、米4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、米4月製造業新規受注(6/4)、米5月ADP雇用統計、米5月ISM非製造業景況指数(6/5)、米4月貿易収支、ECB理事会(ラガルド総裁定例記者会見)(6/6)、中国5月貿易収支、米5月雇用統計、米4月消費者信用残高(6/7)などがある。
米国の企業決算の発表では、バス&ボディ・ワークス、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(6/4)、キャンベル・スープ、ダラー・ツリー、ルルレモン・アスレティカ(6/5)、ドキュサイン(6/6)などが予定している。
今週の注目銘柄!(6/3~6/7)
銘柄 コード |
銘柄名 | 目標株価 (円) |
ロスカット株価 (円) |
注目ポイント | |||||||||
2270 | 雪印メグミルク | 3,150 | 2,290 | 2025年3月期の営業利益見通しは前の期比2.9%増の190億円。前期の着地が同41.4%増の185億円で、増益率が物足りなく映ったことから、株価は売りで反応した。ただ、下では買いも入っており、5月は75日移動平均線上で下げ渋った。今期の利益の伸びが抑えられる計画となっているのは、将来に向けた投資を行っていることが要因。株主還元方針についても、「連結配当性向30%以上」から「資産売却益を除く連結配当性向40%以上」に変更している。なお、5/31時点の予想配当利回りは3.9%。週足では、13週移動平均線近辺で下げ止まって切り返した格好となっている。高い配当利回りを支えに、見直し買いが入りやすい状態が継続すると予想する。ターゲットは3,150円、ロスカットは2,290円 | |||||||||
3291 | 飯田グループホールディングス | 2,480 | 1,950 | 建て売り住宅の国内最大手。前期は建築コストの上昇などが影響し大幅な営業減益となった。今期は若干持ち直す計画。配当は90円を継続しているが、株価下落によって利回りは4%を超える。PBR0.6倍とバリュエーションにも妙味がある。昨年9月の高値2,725円から大きく水準を切り下げ、今年は1,800円台まで下落した。その後、2月中旬から4月中旬にかけて底固めの動きとなり、徐々に持ち直している。MSCI定例見直しにより、5/31大引け後に同社株は指数から除外された。ただ、株価はそれを織り込んだ動きで、当日5/31は3.6%高となった。一目均衡表も三役好転となり、かつ過熱感なく上昇中。しばらくは堅調な推移が続くとみる。ターゲットは2,480円、ロスカットは1,950円 | |||||||||
7752 | リコー | 1,580 | 1,270 | 事務機大手。本決算を受けた5/8は寄り付きから大きく水準を切り下げ下落で終えた。しかし、安く始まった後は切り返し、ローソク足では下に長いヒゲをつけた陽線を形成。この日の安値1,247円は以降では下回っておらず、典型的な悪材料出尽くしパターンとなっている。5/8以降、1,300円近辺でしっかりもんだ後、直近の上昇で25日移動平均線を上回ってきた。一目均衡表でも抵抗帯(雲)の下限で下げ渋って反転し、雲を上に抜けている。本決算を確認して以降は陽線が多く並んでおり、場中の動きも良い。中期では右肩上がりのトレンドが崩れていない中、買いの勢いが強まる展開を予想する。ターゲットは1,580円、ロスカットは1,270円 | |||||||||
8715 | アニコム ホールディングス | 725 | 560 | ペット保険で国内首位。株価はしばらく底値圏で推移しているが、それに反して業績は着実に伸びている。5月以降は証券会社のアナリストの評価が上昇しており、規模感の大きい自社株買いも発表した。買われる材料は豊富にあり、上昇トレンドに転じるのは時間の問題と考える。今年は580円水準をはさんでもみ合いが続いているが、5月は取引時間中に600円台をつける日が増加。直近は5営業日連続で場中に600円台で取引されており、レンジ上抜けの可能性が高まってきた。出来高も増えてきているため、仕込み時と判断する。ターゲットは725円、ロスカットは560円 | |||||||||
9697 | カプコン | 3,350 | 2,660 | 家庭用ゲームソフト開発大手。アクション系軸に人気作品多数。2025年3月期の通期の連結営業利益は640億円(前期比12.1%増)を見込んでいる。株価は今年の前半は強い動きをみせていたが、3/22に3,213円まで上昇したところで失速。昨年7月につけた上場来高値3,289円に接近したことで、利益確定売りに押された。一方、約1カ月調整して4月後半からは基調が上向きになっている。5月前半に25日移動平均線を上回ると、以降はこれより上が定着。週足では接近する13週移動平均線、26週移動平均線、52週移動平均線をまとめて上回ってきた。出来高も増加傾向にあり、3月高値や上場来高値更新に向け、水準を切り上げる展開を予想する。ターゲットは3,350円、ロスカットは2,660円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・5/31現在、プライム市場に上場、時価総額が500億円以上、PBRが7.0倍未満、PERが27.0倍未満、配当利回りが1.0%以上、株価が10日・75日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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