今週の株式見通し(2024/4/1~4/5)
今週(2024/4/1-4/5)の日経平均株価の予想レンジは39,600円-40,500円。東京株式市場は名実ともに4月相場に突入する。3月最終週の大きな需給イベントを通過したが、週前半は新年度入りによる機関投資家からのリバランス売りなどが予想され、それに便乗した先物の売り仕掛けなどが強まれば、全般的に下押す場面がありそうだ。
一方、マクロ面では、4/1の寄り付き前に発表される3月日銀短観で国内の景況感改善が見通せるかどうかがポイントとなる。自動車メーカーの一部工場の稼働停止で生産・販売が落ち込んでいることが影響し、大企業製造業の業況判断DIは低下が見込まれているが、その点は織り込み済みだ。先週末に発表された米2月個人消費支出(PCE)の結果を受けた、連休明け後の米国市場の動向にも注目が集まる。
週末の4/5には米国の3月雇用統計が発表される。ドル円相場が高値圏でもみ合いを続けており、ドルの円に対する先高期待は根強い。ISM製造業・非製造業景況指数や雇用動態調査(JOLTS)求人件数など米経済指標の結果を通じて程よい長期金利の上昇につながれば、直近のレンジを上抜けるドル高・円安方向への動きが予想される。日銀・政府の介入に対する警戒も高まっているが、円高に振れる場面があっても一時的との見方が根強い。
日本株は週間のスケジュールからはリバランスの売り以外に逆風となる悪材料は想定しづらく、週前半の売りが一巡したあとは買い戻しでしっかりの展開が予想される。
小売企業などの本決算がいくつか出てくるほか、サーボモータや産業用ロボットなどの製造を手がける安川電機(6506)の本決算発表が予定されている。3月の中国製造業PMIは50.8と前月より1.7ポイント上昇し、好不況の節目となる50を超え景気改善を示した。安川の決算に対する株価の反応は翌週になるが、中国の景況感に対する受注見通しなどが焦点となりそうだ。売上収益に関しては第3四半期までは中国を除くすべての地域において前年同期比で増加しており、中国の改善見通しが示されれば同社株だけではなく、他の中国関連株への下支え要因となる。
日経平均株価(図表1)は高値圏でもみ合い基調にある。先週末後半は5日移動平均線(40,422円 3/29)と10日移動平均線(40,226円 同)の間を意識した動きとなり、方向感に乏しい展開となった。
25日移動平均線(39,713円 同)からの上方かい離率は1.6%(3/29)へ低下している。短期的な過熱感が解消される中、25日移動平均線上は保っており、上目線でトレンドフォロー継続の見方となる。
終値ベースでみた上値メドは、3/22高値40,888円、心理的節目の41,000円、3/4高値から3/13安値までの下げ幅に対する倍返し41,520円、心理的節目の42,000円などが考えられる。短期的な下値の目安は、心理的節目の40,000円、25日移動平均線、心理的節目の39,000円、心理的節目の38,500円、50日移動平均線(38,227円 同)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/5/1-2024/3/29)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、3月日銀短観、3月新車販売台数(4/1)、10年国債入札(4/2)、地域経済報告(さくらレポート)(4/4)、2月家計調査、2月景気動向指数(4/5)がある。
企業決算の発表では、しまむら、ネクステージ、象印、あさひ(4/1)、スギHD、霞ヶ関キャ(4/2)、西松屋チェ、ワールド(4/3)、クスリのアオキ、OSG、壱番屋、ダイセキ、アダストリア、平和堂、不二越、オンワードHD、三協立山、ダイセキソリュ(4/4)、安川電、キユーピー、サカタのタネ、サンエー、トーセイ、WNIウェザー、サーラ、薬王堂HD(4/5)が予定している。
海外の経済指標は、中国3月財新製造業PMI、米3月ISM製造業景況指数(4/1)、米2月製造業受注、米2月雇用動態調査(JOLTS)求人件数(4/2)、中国3月財新サービス部門PMI、米3月ADP雇用統計、米3月ISM非製造業景況指数(4/3)、米2月貿易収支(4/4)、米3月雇用統計、米2月消費者信用残高(4/5)などがある。
米国の企業決算の発表では、コナグラ・ブランズ、ラム・ウェストン・ホールディングス(4/4)などが予定している。
今週の注目銘柄!(4/1~4/5)
銘柄 コード |
銘柄名 | 目標株価 (円) |
ロスカット株価 (円) |
注目ポイント | |||||||||
3687 | フィックスターズ | 3,100 | 1,950 | ソフトウェアの高速化を実現する高度な専門性を持つ会社。スパコン「富岳」の開発支援を行った実績がある。昨今の生成AI関連においても同社の高速化技術が活躍すると想定される。今期は増収増益見込みだが、来期以降の成長加速にも期待したい。チャットGPTが話題となった当初にAI株ブームが起きたものの、同社株はそこまで物色されることはなかった。今年に入るとようやく関連銘柄として株価は急上昇し、3/6に上場来高値を更新。これまでの最高値だった2019年7月の2,124円を上回り、2,516円まで買われる場面があった。その後は高値圏で保ち合っているが、3/29は10日移動平均線上で陽線を形成しており、上昇再開はまもなくか。時価総額はまだ1,000億円以下であり、PER100倍台がざらとなっている人気のAI小型株に比べ、同社は47倍台。ここからの上昇余地は大きいと考える。3,100円、ロスカットは1,950円 | |||||||||
4040 | 南海化学 | 7,000 | 4,150 | 苛性ソーダなどを手がける化学メーカー。2024年3月期は3Q時点で営業利益が通期計画をほぼ達成。イレギュラーがない限り、通期は上振れが見込まれる。半導体市況が改善傾向であることを踏まえると、来期業績にも期待できる。PER10倍以下は化学セクターの中でも割安な方であり、バリュエーション面でも妙味がある。昨年4月に上場し、同年8月半ばから大きく動き始めた。その後の動きは75日移動平均線を割り込んだら大きく反発という展開を続けており、直近も同線をやや下回ったところで下げ止まっている。昨年12月以降、高値から安値までの期間は2回連続で23営業日。3月28日の4,755円が安値だったとすれば、3回目の23営業日で下げ止まりになる。この傾向を踏まえれば、間もなく上昇に転じる可能性が高いと考える。ターゲットは7,000円、ロスカットは4,150円 | |||||||||
4478 | フリー | 4,650 | 3,300 | クラウド型の会計ソフトなどを提供している。コロナ禍の2021年2月に12,910円の高値をつけた。一方、そこからの下落がきつく、コロナショック直前となる2020年1?2月の水準を下回る時期もあった。ただ、足元では若干戻し、一時4,000円台を回復する場面があった。証券会社の一部で格上げもあり、底打ちの期待が高まる。2月後半、東証グロース市場250指数の上昇が目立った時期に同社株も急騰した。これによって200日移動平均線を上に突き抜け、25日移動平均線も大きく上向く展開。昨年11月の高値を上回るとともに一目均衡表では三役好転となったことから、トレンドが変わった可能性が出てきた。出遅れ感が際立つグロース株の代表格であり、信用取引の取り組みがよいことを踏まえ買いの好機とみる。ターゲットは4,650円、ロスカットは3,300円 | |||||||||
4631 | DIC | 3,700 | 2,690 | インキ世界首位。樹脂、電子材料等へ展開している。昨年末辺りから動きが良くなっており、2,400円どころでもみ合っていたところから、今年の2月には3,000円台まで水準を切り上げた。それでもPBRは1倍を大きく割り込んでいる。前2023年12月期は営業利益が前期比55%減の179億円で着地したが、2024年12月期は同67%増の300億円とV字回復を見込んでいる。現在は高値からの調整局面にあるが、13週移動平均線近辺で切り返した。日足の一目均衡表では抵抗帯(雲)を上回る状況が続いており、依然として基調は強い。2023年12月末時点の1株当たり純資産は3,844.70円で、ここに向けて上を試す流れが続くと予想する。ターゲットは3,700円、ロスカットは2,690円 | |||||||||
6209 | リケンNPR | 4,150 | 2,500 | リケンと日本ピストンリングの経営統合により設立された。3/25の昼休み中に、同業のTPRが今期見通しの上方修正と増配を発表。必然的に同社業績への期待感も高まることが考えられる。PERに割安感が強い。経営統合により2023年10月に共同持ち株会社として上場。同年12/25にシンワバネスを子会社化すると発表してから急上昇し、その後は堅調な推移となっている。3/25はここ2週間程度の中で出来高が最も大きくなったが、TPRの上方修正を受けて買いが波及したもよう。東証プライムの8割近い銘柄が下げる中、上昇で終えたことは投資家心理へのプラス影響が期待できる。3/28の権利落ち日を通過し、業績期待が株価を下支えし上昇基調を続けると予想する。ターゲットは4,150円、ロスカットは2,500円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・3/29現在、プライム・スタンダード・グロース市場に上場、時価総額が100億円以上、PBRが15.0倍未満、株価が13週・26週移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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