今週の株式見通し(2023/11/20〜11/24)
今週の日経平均株価の予想レンジは33,200円-34,000円。東京株式市場は堅調な展開が続きそうだ。国内は決算発表が終わって材料難となる。11/23は勤労感謝の日で休場、米国市場は感謝祭で休場となるため、その前後は特に売り方のポジション調整などを通じて値幅が大きくなる可能性が高い。
注目ポイントは11/21の米半導体メーカーであるエヌビディアの決算とFOMC議事録(10/31〜11/1開催分)の公表である。エヌビディアの株価動向は日本の半導体関連株の騰落のバローメータ的存在になっており、あと一歩に迫った8月の史上最高値更新につながれば強い追い風になる。一方、高値を前に急落を強いられれば足元で堅調に推移する国内ハイテク株全般に利益確定売りが波及する公算が大きい。
先週発表された複数の米インフレ指標が市場予想を下回ったことにより、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ打ち止め感が台頭し、ドルの上値が抑えられている。FOMC議事録の内容で一段と米長期金利の低下を招く場合、グロース株の押し上げにつながりそうだ。一方、金利低下による極端なドル安・円高の進行はプライム市場全体の上値を抑える要因となる。
図表1は、プライム市場指数とグロース市場指数の日足チャートである。6月後半以降、グロース市場指数の大幅調整によって両者の値動きに大きなかい離が生じている。ただ、グロース市場指数は2022年5月〜6月の安値水準を割り込まずに反発に転じ始めており、底打ち感が強い。一方、11/17現在、両指数の直近安値となった10/26安値からの反発局面では、グロース市場指数がプライム市場指数をアウトパフォームしている。小型株物色が強まる兆候とも判断できそうだ。
金利低下による銀行株物色の一巡、円安一服による自動車株への手控え、半導体関連も高値警戒感が強くなれば、流動性の高いプライム市場での決め打ち物色は手詰まり感が強くなる。こんな状態で小型株に盛り上がりがみえ始めた場合、高いボラティリティを好む短期投資家がグロース市場に群がることが予想される。
グロース市場で時価総額トップ3である、ビジョナル(4194)、フリー(4478)、カバー(5253)の日足チャートをみると、7月以降の戻り高値を超えてきた点が心強いポイントである。
図表1:プライム・グロース市場指数の日足チャート(2022/4/1-2023/11/17)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は踊り場(保ち合い)から一段高の展開となっている。11/15はチャート上にマドを開けて上値を試す展開となり、33,000円台を一気に回復した。先週末には9/15につけた終値ベースの高値(33,533円)を上回って終えた。
基本は上目線のトレンドフォローが続いているとの判断が優先される。今週は10日移動平均線(32,817円 11/17)や25日移動平均線(31,958円 同)の上昇が続く中、6月や7月の高値を超えられるかが焦点となる。
一方、11月に入って半月程度で2,700円程度上昇している。短期的な過熱感は否めず、10日移動平均線付近までのスピード調整がいつ入っても不思議ではない。
上値メドは、6/19高値(33,772円)、心理的節目の34,000円、10/4安値から10/13高値までの上昇幅を10/13高値から上げた34,580円処などが考えられる。下値メドは、33,000円、10日移動平均線(32,817円 同)、25日移動平均線(31,958円 同)、10/25高値(31,466円)、10/31高値(30,973円)などが考えられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/11/17)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、10月首都圏マンション販売(11/20)、10月全国消費者物価指数(11/24)がある。
海外の経済指標やイベントでは、米20年国債入札(11/20)、米10月中古住宅販売、FOMC議事録(10/31〜11/1開催分)(11/21)、米10月耐久財受注(11/22)、独11月Ifo企業景況感指数、米11月S&Pグローバル製造業PMI、ブラックフライデー(11/24)などがある。
米企業決算の発表では、アジレント・テクノロジーズ(11/20)、エヌビディア、メドトロニック、ベスト・バイ、ロウズ、アナログ・デバイセズ、オートデスク(11/21)、ディーア(11/22)が予定している。
なお、11/23の米国市場は感謝祭のため休場となる。
今週の注目銘柄!(11/20〜11/24)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4238 | 1,650 | 1,300 | 半導体ウエハー容器など、高機能プラスチック製品の製造、開発を手がける。1Q、2Qと減益決算(1月決算銘柄)が続いたことから、9月辺りまでは株価も下げ基調が続いた。ただ、1,350円近辺では売りが一巡し、10月に底固めが進展。11月に入ってからは、半導体関連の動きが良くなる中で水準を切り上げてきた。11月第2週目に、13週移動平均線を上回り、先週は75日移動平均線を上回った。日足の一目均衡表でも先週に抵抗帯(雲)を上に抜けている。2022年の3月や12月の下落局面でも、1,300円台まで下げたところでは切り返している。今回はこれらの時よりも安値圏で揉んだ時間が長い。売りは十分こなしており、チャート改善を受けて反転攻勢の展開を予想する。ターゲットは1,650円、ロスカットは1,300円 | |
5801 | 2,730 | 2,170 | 電線御三家の一角。今期は顧客の投資抑制などから、情報通信分野での売り上げが減少。11/9大引け後に発表した上期決算は営業赤字となり、通期の利益見通しも大幅な下方修正となった。ただ、直近の株価は決算発表前を上回っており、業績悪化はある程度織り込まれていたと考えられる。決算発表翌日の11/10は売りが先行したものの、強烈に買い戻され結局プラスで終了。その後も下値を切り上げる動きとなり、11/17の大幅高により75日移動平均線を上方ブレイクした。収束していたボリンジャーバンドは再び拡大し始めており、トレンド転換を示唆。一目均衡表の抵抗帯(雲)下限で跳ね返されず雲の中に突入し、勢いの強さから上限突破も可能とみる。ターゲットは2,730円、ロスカットは2,170円 | |
6905 | 1,400 | 1,100 | 多くの電子機器に使用されるスイッチング電源に強みを持つ。11/10に2024年5月期上期(2023/5/21〜11/20)の業績および配当見通しの上方修正を発表した。営業利益は期初計画の27.2億円から42.4億円に引き上げられ、前年同期の20.3億円からは倍増する見込みとなった。株価はこのリリースに強い反応を示しており、11/10に急伸。25日移動平均線を明確に上回った。3月決算銘柄ではなく、上期の決算が発表されるのは12/20の予定。通期の見通し上振れは濃厚で、期待の高い状態が続くとみる。1,000円割れを回避して鋭角的に切り返した格好となっており、年初来高値の1,400円に向けて、水準を切り上げる展開を予想する。ターゲットは1,400円、ロスカットは1,100円 | |
6976 | 4,400 | 3,500 | 11/7に発表された上期決算は営業利益が前年同期比92.8%減の21.4億円と大幅な減益。しかし、1Qは5.8億円の営業赤字であったことから、直近3カ月の業績改善が評価されて、これを受けた11/8の株価は上昇した。10月に全体の地合いが悪くなった中、業績懸念から大きく水準を切り下げており、決算では売り出尽くしが意識された。直近の上昇で25日移動平均線より上が定着してきており、10/31の3,281円が当面のボトムとなった公算が大きい。プラスアルファの材料があれば強い切り返しも期待できそうであった中、米長期金利が大きく低下してきた。今年は4,200円〜4,400円レベルで推移する時間が長く、この近辺に向けて戻りを強める展開を予想する。ターゲットは4,400円、ロスカットは3,500円 | |
7888 | 720 | 505 | 自動車向けなどの樹脂製品を手がける。10/12に発表した1Qは営業減益となったものの、欧米での受注増加に伴う労務費や生産準備費用の増加などが主な要因。株価は売りの反応だったが、自動車生産は回復傾向と事業環境が好転している。1Qはニーズに応えるための準備期間とみれば今後の挽回に期待がかかる。株価は前述のとおり決算を受けて急落したが、比較的早いうちに横ばいへ移行した。11/16は地合いが悪いにもかかわらず、25日移動平均線に跳ね返されることなくこれを突破。上昇局面への転換に対する確度が増した。9月高値(766円)と10月安値(508円)から見て、3分の1戻しはおおよそ600円、半値戻しは640円程度となる。75日移動平均線もこのあたりにあるため、短期的なリバウンド狙いに加え、7月以降の高値水準である700円台前半まで引っ張っても面白そうだ。ターゲットは720円、ロスカットは505円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・11/17現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が100億円以上、PBRが1.5倍未満、株価が10日・25日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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